万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

米教科書慰安婦記述の修正は執筆者が鍵?

2015年05月16日 15時25分01秒 | 国際政治
米学者、慰安婦問題に「ぶれ」 異なる見解の声明に同一人物署名 修正応じない出版社主張との食い違い浮き彫りに(産経新聞) - goo ニュース
 アメリカの大手教科書出版会社であるマグロウヒル社の教科書には、慰安婦問題についておよそ史実とかけ離れた記述が掲載されています。この教科書で教育を受けたアメリカ人の多くは、日本国と日本人に対して、生涯、消しがたい偏見を持つことでしょう。

 捏造とも言うべき記述に危機感を抱いた日本国政府も、マグロウヒル社に対して修正を申し込んだもののなしの礫であり、同社は、今後とも、修正には応じない姿勢を示しております。「歴史的事実をめぐって、米歴史学者たちがぶれることはない」と…。けんもほろろな態度ですが、望みが全く失われたわけではありません。同社が説明した修正拒否の理由は、米歴史学者達が教科書の立場を堅持していることにあるからです。このことは、歴史学者、特に、問題の部分を執筆した学者が見解を変更した場合、教科書も連動して修正される可能性があることを示しています。上述した日本政府による是正申し入れを批判した歴史学者19人のうちの10人ほどが、教科書とは異なる見解を示した先日の「187人の声明」にも署名しているとも伝わりますので、執筆者の見解の変更も大いにあり得ることです。教科書会社に修正を求めるよりも、執筆者に対して直接に働きかけた方が、修正実現への近道であるかもしれないのです。史実を示す慰安婦関係の資料を大量に添付して…。

 執筆者が歴史学者である以上、資料を無視することはできないはずです。ここは、出版社である教科書会社よりも、学者としての良心を信じるべきなのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本の安保法案閣議決定-国際社会への完全復帰への道では

2015年05月15日 09時55分27秒 | 国際政治
新指針裏付けと歓迎=「今夏成立」疑う声なく―米(時事通信) - goo ニュース
 昨日、日本国政府は、集団的自衛権の行使容認に向けた解釈変更を受ける形で進められてきた安全保障関連法案を閣議決定し、今夏に国会での成立を目指すこととしました。野党や一部メディア等は、戦前に模して日本国は、戦争への道を歩んでいるとして反対の姿勢を示しております。

 第二次世界大戦にあって、日本国は、枢軸国の一国として連合国諸国と戦い、敗戦国となりました。戦争に至るまでの経緯については、日本国の国際社会からの孤立化のプロセスとして描かれており、今般の安保法制の整備についても、主たる反対の理由は、自衛隊の海外派遣がかつての諸外国での戦と結びつくからです。しかしながら、第二次世界大戦当時と今日では、国際情勢は著しく違っています。当時は、北京議定書などに基づいて、日本国は中国領内に軍隊を駐留する権がありましたが、今日では、こうした権利は有していません。今日、日本国が自衛隊を派遣するとしたら、それは、”世界の警察官”の役割の一端を担うものであり、自国の防衛を含めて、国際社会の治安を維持することを目的としております。戦前にあって、国際聯盟常任理事国の地位は、満州事変を機に聯盟から脱退ることで失われました。過去には挫折はしたものの、国際社会、そして、人類に対する責任を全うすることは、今日なおも日本国の果たすべき使命であるはずです。今日では日米同盟も成立しており、防衛のみならず、価値観の共有の下で国際秩序を維持する協力関係に発展しつつあります。

 アメリカでは、国務省も国防省も、揃って本閣議決定を歓迎したと報じられております。アメリカの支持は、日本国の国際社会における責任と役割を承認していることを意味しております。そしてそれは、国際社会からの孤立化の道ではなく、日本国が、戦後70年を経て、暴力主義を封じ込めるべき責任を担う国として、国際社会に完全復帰しつつあることを物語っているのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

21世紀のユーラシアに”モンゴル帝国”が復活?

2015年05月14日 15時47分55秒 | 国際政治
米艦船、中国艦に追跡される=南シナ海でパトロール中(時事通信) - goo ニュース
 南シナ海での中国による埋め立て強行は、アメリカが艦隊を派遣し、中国の動きを牽制する事態に至っております。中国の覇権主義は行動へと移され、既に警戒で済むレベルを超えております。

 中国の拡張主義が加速する中、中ロ軍の合同軍事演習も実施されており、軍事大国間の連携も気になるところです。また、インドのモディ首相も、今月には、中国、モンゴル、韓国を歴訪する予定と報じられており、ユーラシア大陸全体を見渡しますと、不穏な空気が流れているようにも感じられます。そして、極めつけは、中国、ロシア、インド、そして、かのモンゴルとの合同軍事演習の実施です。この四か国、今では別々の国ですし、構成する民族も違うのですが、歴史を辿ってみますと、”モンゴル帝国”という共通項に行き当たります。中国には元帝国が、ロシアにはキプチャク汗国が、インドにはムガール帝国(建国者は、モンゴル帝国の継承国であったチムール朝王家の末裔…)が成立していた歴史があり、そしてモンゴルこそ、その本家本元なのです。体制が変わろうとも維持されてきたロシアの専制体制は、モンゴル帝国の遺産であるとも指摘されております。

 仮に、ユーラシア大陸において”モンゴル帝国”の後継国が連携し、その影響力を拡大させるとしますと、21世紀とは、一体、どのような時代となるのでしょうか。国際社会の自由な空気は一変し、法ではなく力が支配した前近代へと時代が大きく逆戻りしてゆくとしますと、”モンゴル帝国”の復活は、幻であってほしいと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国によるNPT会議「被爆地訪問」削除-核の先制使用の宣言か

2015年05月13日 16時20分04秒 | 国際政治
「被爆地訪問」提案を削除=中国が要請―NPT会議(時事通信) - goo ニュース
 国連本部で開催されているNPT再検討会議において、中国は、最終文書の草案に記載されていた各国首脳に被爆地訪問を促す文章が削除されたと報じられております。この提案、NPTの基本コンセプトを覆す重大な意味を持つのではないかと思うのです。

 戦後の核拡散防止の取り組みは、広島と長崎に投下された原子爆弾が、想像を絶する規模の甚大な被害をもたらしたことによるものです。原爆投下を決断した当時のアメリカ政府も、その恐るべき破壊力と長期にわたる被害については正確には予測はしていなかったことでしょう。広島や長崎での被爆の惨状が明らかになったことが、核兵器廃絶へ向けての運動の出発点にあるのです。以後、アメリカもまた、原爆投下には否定派に転じ、NPTに参加すると共に、ロシア(ソ連)との間で核削減に向けて取り組むとようになりました。今日では、核の抑止力を認めつつも、核廃絶を訴える側にあります。ところが、中国は、戦後の核に対する認識の変化を全く理解しておりません。それどころか、広島と長崎の被害を当然の報いとみなし、”戦争を終わらせ、他国の民間人の命を救うために”核の使用は正しかったと主張しております。この中国の主張は、同様の理由によって核を使用する意思があることを、全世界に向けて宣言したに等しいものです。”戦争に勝ち、中国国民の命を救うためには、核を先制使用すると”…。確かに、アメリカでも、第二次世界大戦末期の原爆投下については正当論が強いのですが、それでも、それを過去のものと見なし、現在では、国際社会と共に第三回目の核兵器使用を阻止する努力を怠ってはおりません。この点で、中国とは方向性が違っているのです。

 残念ながら、中国の要請を受けて、NPTの最終文章からはこのフレーズは削除されたそうですが、これでは、特別に核保有を認められている中国が、核保有国の先制使用を公然と容認したことになりますので、NPTの存在意義さえ根底から失われかねません。誰よりも広島と長崎を訪問すべきは、中国の指導者なのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韓国メディア掲載の慰安婦写真が証明する強制連行の嘘

2015年05月12日 17時15分42秒 | アジア
慰安婦の「強制連行」をとらえた写真!・・・元日本軍兵士の撮影は「軍部関与」を証明=韓国華字メディア(サーチナ) - goo ニュース
 昨日、韓国メディアは、慰安婦強制連行の証拠として、九人の慰安婦がトラックの荷台に乗せられている写真を掲載したそうです。しかしながら、この写真、疑問に満ちています。

 まず第一に、日本人の従軍カメラマンがこの写真を写した時期は、1937年から1940年の3年間です。韓国では、工場勤務の女子挺身隊を慰安婦動員と混同しておりますが、朝鮮半島において動員が実施されたのは1944年8月のことですので、次期からしますと、韓国の説とは一致ていません(女性達の年齢も高いように見受けられる…)。第2に、写真の女性の大半が、着物姿であることです(朝鮮半島では、朝鮮女性はチマ・チョゴリを着用していたのでは?)。慰安婦の大半は日本女性でしたので、写真の女性達が朝鮮人女性はない可能性も否定はできません。第3に、強制連行の場面であるならば、荷物としてトランクや風呂敷包み(唐草模様は日本国の文様では?)を携えているはずはないのですが、この写真では、女性達は、すっかり旅支度を整えております。第4に、慰安婦達は、写真撮影に恥ずかしげな様子を見せてはいますが、強制連行される者の恐怖は読み取れません。突然に、家族から引き離されて連行されたにしては、皆、穏やかな表情をしているのです。第5に、元韓国人慰安婦の証言の殆ど全てが事業者に騙されたというものですが、9人もの女性達が一度に騙されたとは思えません(個別に慰安所に連れて行かれたのでは?)。

 以上に、大まかに疑問点を挙げましたが、従軍カメラマンに軍が写真を採ることを許可していることを考慮しましても、この写真は、軍の便宜によって(帽子だけでは、実際に日本軍の軍人であるかは判別できませんが…)、慰安婦一向を慰安所に移送している写真と推測されます。中央に、着物を着た年配の婦人が映っており、その周りに8人の女性達が座っていますので、おそらく、この老齢の婦人が、慰安所の経営者か世話人なのではないかと思われます。この写真は、韓国の思惑とは逆に、慰安婦強制連行説を否定する有力な証拠となるのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申しげます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第二次世界大戦の独ロ関係-友と敵・解放と隷従の混在

2015年05月11日 14時51分01秒 | 国際政治
歴史教訓にウクライナ解決を=ロ大統領と会談、大戦に遺憾―独首相(時事通信) - goo ニュース
 昨日、ドイツのメルケル首相がロシアを訪問し、第二次世界大戦の「無名戦士の墓」に花輪を手向けたと報じられております。一方、ロシアのプーチン大統領は、第二次世界大戦を”ナチズムからドイツを解放した戦”と位置付けております。

 第二次世界大戦における独ソ関係ほど、複雑な変転を辿った事例は人類の戦争史において珍しいのではないかと思います。開戦時おいては、ナチス・ドイツと不可侵条約を結んでポーランドを両国で分割したのですから、独ソは盟友の関係にありました。その後、ヒトラーが対ソ開戦を決意することで、独ソ関係は友から敵へと180度転換します。以後、両国は、枢軸国と連合国のそれぞれの陣営に分かれ、激闘を繰り広げるのです。形勢が逆転してドイツ側の敗戦色が濃くなると、ソ連軍は、首都ベルリンを目指して軍を進め、東部からドイツ領内の占領地を拡大します。ソ連軍によるベルリン陥落を以って、ロシアは、”ナチズムからドイツを解放した”と自画自賛するのですが、それは同時に、ソ連占領地が囲い込まれ、ソ連邦の衛星国家として東ドイツが隷従状態に置かれたことを意味しました。第二次世界大戦の独ロ(ソ)関係は、友と敵、そして、解放と隷従が混在しているのです。

 ソ連邦崩壊後の今日にあっても、ロシアは、かつてはナチス・ドイツの”友”であったこと、そして、その後もおよそ半世紀にわたって東ドイツを”隷従”させた歴史をきれいさっぱりと忘れ去ろうとしています。戦勝70周年に記念日に、中ロは揃って、”歴史の改竄を許さない”と共同で声明を発表していましたが、第二次世界大戦の経緯を知れば、歴史を改竄している側はどちらなのか、誰の目にも自ずと明らかなのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

敗戦国=犯罪国家観への疑問

2015年05月10日 14時29分58秒 | 国際政治
中露首脳、歴史観めぐり共同歩調 対独・対日の「共闘」確認(産経新聞) - goo ニュース
 第二次世界大戦におけるドイツ降伏から70年を迎え、世界各地では、先の大戦に関する行事や報道が目立つようになりました。ロシアで開催された対独ドイツ戦勝記念式典では、”ドイツのナチズムと日本の軍国主義に対する勝利”として盛大に祝っているようです。

 近代以降、国際社会が、国際法によって律せられるに至ったことは、人類にとりまして歓迎すべきことです。しかしながら、今なお、法の支配の確立が目指すべき将来像として強調されている背景には、現実には、国際法を順守しない国が存在していると共に、全ての問題を司法解決できない現状があります。況してや第二次世界大戦当時にあっては、現在以上に国際法がカバーする領域は狭く、かつ、国際制度も欠陥に満ちておりました。いわば、過渡期にあったわけですが、中途半端な状況にあったことは(国際軍事法廷と講和条約の二本立て…)、第二次世界大戦を評価する場合、問題を残すことにもなりました。それは、司法的な観点が持ち込まれたことで、敗戦国の戦争犯罪が糾弾され、有罪認定されてしまうことです。第一次世界大戦にあっても、戦争の直接的な原因がドイツあったわけではないにも拘わらず、「ヴェルサイユ条約」第231条の規定により”有罪”と見なされ、戦争責任を負わされました。つまり、世界大戦の戦後処理では、敗戦国の行動は刑法上の”犯罪”として扱われ、賠償責任も含めて敗戦国=犯罪国家に認定されてしまうのです。しかしながら、戦争に至る経緯を注意深く観察しますと、一般の犯罪とは違い、100%敗戦国に責任があるとは言えない場合が少なくありません。現実には、複雑な対立要素が絡み合って戦争に至っており、両陣営の責任の度合いには様々な比率があります。しかも、陣営対立となりますと、同盟条約が発動されますし、陣営間のそれぞれの二国間の関係を見ますと、さらに責任比率の濃淡はまだらとなります。

 国際裁判は確かに平和的な紛争の解決手段ですが、実のところ、その本領は、戦争に至る以前の段階での解決であり、戦争後にあって、戦勝国が敗戦国を一方的に犯罪国家として裁くのであれば、司法本来のメリットが生かされているとも思えません。敗戦国=犯罪国家観は、結局は、真の戦争原因の追究を困難とするとともに、倫理的な判断さえ狂わせてしまうと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

戦勝記念の中ロ会談-歴史は勝者が書くのか?

2015年05月09日 15時34分19秒 | 国際政治
 今からおよそ70年前の1945年5月8日、ナチス・ドイツは連合国に降伏し、第二次世界大戦におけるヨーロッパ戦はようやく終結しました。旧連合国諸国では、この日を祝して戦勝記念の式典等が催されております。

 第二次世界大戦の直接的な原因は、アドルフ・ヒトラー率いるナチス・ドイツとスターリンが君臨したソ連邦の両国による1949年9月1月のポーランド侵攻にあります。独ソの開戦を契機にソ連邦が連合国に加わったため、戦勝国となったソ連邦の”侵略”は問われませんでしたが、第二次世界大戦の責任がソ連邦にもあったことは明白です。ロシア主催の対独戦勝記念式典には、中国の習近平主席も出席し、両首脳は、”戦勝国として歴史の改竄は許さない”ことで合意したと報じられておりますが、”歴史は勝者が書くもの”、あるいは、”力は正義なり”を地で行く態度とも言えます。ロシアの歴史教科書には、自国のポーランド侵攻がどのように記述されているのか興味深いところですし、中国の教科書では、チベットや東トルキスタン等の併合は、決して”侵略”とは表現されてはいないはずです。両首脳が、”戦勝国として”と敢えて前置きした理由は、おそらく、戦勝国には歴史を書く権利があると念を押したかったのでしょう。しかしながら、知の世界では、近年、勝者が書く歴史に疑問を呈する著述や研究が少なくありません。書店の書棚を見れば、丹念に事実を調べ上げ、敗者側の立場や多様な角度から通説を見直した、”定説を覆す○○”とか、”明らかにされる○○の実像”といったような宣伝文句が付けられた書籍が並んでおります。こうした現象が起きているのも、勝者の歴史が全て誤りではないにしても、多くの人々が、勝者側の書いた歴史には、バイアスがかかりやすいことをよく理解しているからです。

 この意味において、中ロ首脳が”戦勝国”を強調したことは、逆効果であったかもしれません。”勝者の歴史問題”を、人々の意識に登らせてしまったのですから。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

 
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第二の”慰安婦強制連行”になりかねない”強制労働”という言葉

2015年05月08日 10時55分12秒 | アジア
日本「強制労働と時代異なる」…韓国の反対に(読売新聞) - goo ニュース
 世界遺産として日本国国の明治期の産業施設(「明治日本の産業革命遺産」)の登録が勧告されたことに対して、韓国政府は、自国民が”強制労働”を強いられた施設は不適切として、積極的な反対運動を展開しております。日本国政府も、反論を試みているようですが、”強制労働”という言葉自体が事実誤認なのではないでしょうか。

 通常、戦時期において、政府が工場等での生産を目的として自国民を徴用する場合、”強制労働”とは表現しません。日本国もまた、昭和13(1938)年に国家総動員法を制定し、国民の徴用を実施しましたが、朝鮮半島における徴用の時期は遅れ、実際に徴用が始まるのは、1944年に至ってのことです。しかも、戦時徴用は、”強制労働”がイメージさせる”ただ働き”ではなく、法律に基づいて賃金も支払われておりました。韓国人も、当時は日本国籍を有する日本国民であったわけですから、戦時徴用は全く合法的なものであり、未払い賃金などについても、1965年の日韓請求権協定で解決しております。また、仮に日本国の産業施設で韓国の人々が働いていたとすると、それは政府による徴用ではなく、朝鮮半島において日本国の企業等が労働者の募集を実施したことによるものです。この場合も、雇用主との間の雇用契約の下で勤務していたわけですから、”強制労働”には当たらないはずです。実際には、朝鮮半島においては日本国での就業は人気が高く、急激な人口の流入による国内の雇用悪化を懸念した日本国政府が、流入規制を敷いたほどです。

 慰安婦問題も、”強制連行”という言葉が先走りし、あたかも日本国政府が、組織的に20万人もの朝鮮女性を慰安婦に戦場に強制連行したとするイメージが造り上げられてしまいました。日本国政府は、反論において”強制労働”という言葉を用いていますが、イメージ操作がもたらす結末に思い至れば、”強制労働”ではなく、戦時徴用、あるいは、一般労働契約として実態を説明すべきなのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

187人の学者の傲慢な声明-敗戦国虐めも戦争の悲劇

2015年05月07日 14時59分05秒 | 国際政治
「偏見なき過去の清算を」=学者187人、安倍首相に声明(時事通信) - goo ニュース
 今夏に予定されている安倍首相の70年談話を前にして、歴史問題に関する諸外国による要求が強まってきております。本日も、欧米の学者を含む187名が連名で安倍首相に対して声明を送付したと報じられております。

 報道によれば、声明は特に慰安婦問題に焦点を当てており、普遍的な人権の価値に鑑みれば、戦時における慰安婦被害に対する日本国政府の否定的な態度は許されない、というもののようです。しかしながら、こうした批判する側の高飛車な態度こそ、戦争の悪しき一面なのではないかと思うのです。何故ならば、敗戦国が受けた被害に対しては一切の同情も痛みも感じないどころか、如何なる罪を擦り付けても構わないと考えているからです。日本国としても、十分な証拠が揃っており、厳密に検証された結果として立証されているのであるならば、慰安婦問題も事実として認めたことでしょう。実際に、各地に慰安所が設置され、軍が衛生面などの考慮から管理していたこと、そして、民間事業者の募集に際して詐欺等の犯罪があったことは否定はしていません。否定しているのは、20万人ともされる国家的な動員や強制連行です。当声明でも認めているように、依拠する根拠は、一貫性のない元慰安婦の証言のみですし、日本側に残されている史料や証言では、自発的に慰安婦となった女性達の方が多いことを示しております。確かに犯罪被害者は存在したのでしょうが、談話において慰安婦に触れないことが、あたかも、人権侵害のような言いぶりは、客観的、かつ、厳正な学術的調査に基づいて判断すべき学者としては、感情的な態度です。

 国際軍事法廷が敗戦国のみを対象としたことによって、戦勝国側の戦争犯罪は不問に付されております。過去の戦争裁判のあり方アンフェアであったことは、既に国際社会でも共通認識となっておりますが、今日なおも、”敗戦国虐め”とでもいうべき誣告が横行しているとなりますと、人類は、戦争を未だに克服していないことになります。187人の学者は、「偏見なき過去の清算を」と訴えておりますが、その言葉を噛みしめるべきは、これらの学者なのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国によるAIIBの増資提案の謎

2015年05月06日 15時35分54秒 | 国際経済
AIIB、資本金の大幅引き上げ検討 参加国急増受け(朝日新聞) - goo ニュース
 アジア開発銀行が増資に向けて踏み出した矢先、AIIBもまた、当初予定していた6兆円の倍に当たる12兆円への増資を提案したと報じられております。一体、これは、何のシグナルなのでしょうか?

 この提案、”国際金融筋”によりますと、北京に設置されているAIIB臨時事務局からの提案であったそうです。案の定、提案は、中国からの一方通行となり、参加国の賛否の意思がどれほど決定に影響されるかは分かりませんが、この提案には、謎がないわけではありません。中国側の説明は、参加国が、当初の予測を大幅に上回る57カ国に膨れ上がったためというものです。仮に、自らの出資額を変えずに参加国の増加分だけ増資するとしますと、中国の出資比率は下がります。また、中国の出資比率の方を変えないとしますと、他の加盟国の出資分も比例的に増額されることになります(*最初にアップした記事を、出資額と出資比率に分けて訂正しました。)。この場合も、57カ国の大半は借り手となる途上国ですので、外貨による出資は容易ではないでしょうし、負担増を求めれた欧州諸国も、不透明な国際投資銀行への出資増に対して国内世論が反発するかもしれません(離脱国も現れるかも…)。この不可解な行動の裏には、中国経済好調論による”元建て融資の実現によるアジア元通貨圏の形成”から、中国経済危機論による”国内市場のバブル崩壊の受け皿”まで、様々なシナリオが推測されます。

 AIIBの不透明感は、実のところ、中国経済の行く先の不透明感でもあります。中国当局が発表する統計の数字は当にならず、誰もが、中国経済の正確な実態を知らないのですから。少なくとも、行く先不明のバスには乗るべきではなく、参加を見送っている日米は、AIIBの行く先を見極めるべきと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日米同盟強化はアジアの平和に貢献する-力による抑止

2015年05月05日 14時12分23秒 | アメリカ
オバマ氏、尖閣領有権触れず…日本政府の要請で(読売新聞) - goo ニュース
 報じられるところによりますと、日米首脳の共同記者会見において、オバマ大統領は、日本政府の要請に応じて、これまで表明してきた中立の立場を封印して、尖閣諸島の領有権には触れなかったそうです。アメリカの変化と日米同盟の強化は、アジアにどのような影響を与えるのでしょうか。

 首相の公式訪問については、親中韓派や左翼系メディアを中心に批判的な論調が多々見受けられます。あたかも、即、戦争が起きるかのような書きぶりの記事もあります。安倍政権は、アジアの平和を乱しており、軍国主義の復活に警戒せよ、と…。しかしながら、この見解は、正しいのでしょうか。一国が領土拡張主義を志向し、既存の国際秩序を力で変更しようと試みる場合、最も一般的、かつ、効果的な方法は力で抑え込むことです。この一国が、外交的な合意を反故にし、国際ルールさえ遵守しない国である以上、人間的な行為である合意や法による抑止は全く期待できないからです。中国は、尖閣諸島の領有権を突如として主張し始め、国内法で自国の領土に編入すると共に、連日のように領海侵犯を繰り返しております。南シナ海でも、係争地域に一方的に埋めて事業を開始し、アジア全体を睨んだ軍事拠点の建設を目指しています。領土的野心は周辺諸国との軋轢を深めており、中国は、自らの行動で拡張主義を証明しております。こうした状況を念頭に置けば、日米同盟の強化が、強力な対中抑止力として働くことは疑いなきことです。

 今回、アメリカが尖閣諸島について領有権に言及しなかったことは、中国に対する暗黙のメッセージとなったはずです。武力による現状の一方的な変更は許さない、という…。そして、仮にアメリカの対応が、尖閣諸島の領有権に関する厳正な調査の結果であったとすれば、日本国にとりましては極めて心強い限りです。自称平和主義者の人々は、日米同盟の強化を戦争の兆候として危険視しておりますが、現実はその逆であり、日米同盟の力こそ、中国の拡張主義を押さえ、アジアの平和を実現するのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

問題の根源は韓国の”成り済まし体質”にあるのでは?

2015年05月04日 15時44分54秒 | アジア
安倍首相演説「米国でも批判」=「歴史に埋没しない」とも―韓国大統領(時事通信) - goo ニュース
 安倍首相の米議会での演説について、韓国の大統領は、歴史を直視せずに謝罪もしなかったとして批判したと報じられております。 そもそも、日本国の首脳による米議会での演説内容に、韓国に対する謝罪を含めるよう求めること自体が非常識なのですが、一体、韓国は、日本国に対して何を謝れ、と要求しているのでしょうか。

 謝罪の対象は、慰安婦問題なのでしょうか。慰安婦問題にしても、慰安所の設置そのものは、日本軍のみならず、朝鮮戦争やベトナム戦争において韓国政府も行っていたことです(韓国軍の方がより非人道的であった…)。日本国の慰安婦に関連して問題があるとすれば、一部の民間事業者による”人身売買”であり、犯罪の発生については、首相自身が被害者に対して労りの言葉を述べておりますし、犯罪被害者に対しては、お詫びの手紙と共にアジア女性基金を通して支援も実施しました。また、他の一般の慰安婦についても、財産上の問題は、日韓請求権協定において既に解決しております。少なくとも、既に国家として対応した問題について、米議会の演説で謝罪する必要はないはずです。それでは、”植民地支配”について、謝れと訴えているのでしょうか。1910年の韓国併合は両国間の条約によって成立しており、武力による占領を経た強制的な併合ではありません(韓国国内にも併合賛成派が存在…)。民族自決の原則が国際社会において提起されたのは第一次世界大戦を後のことであり、この原則が世界大で確立するのはさらに先の第二次世界大戦後です。しかも、日本国の朝鮮統治は近代化を基本方針としており、インフラ整備などのために、日本国から常に財政移転が実施されていました。もっとも、朝鮮半島の近代化に貢献したとはいえ、朝鮮民族の民族自決権を損ねたわけですから、遡及的には謝罪の理由とはなりますが、少なくとも、米議会での演説で韓国に謝罪することではありません。あるいは、謝罪要求の対象は、第二次世界大戦において、日本国が枢軸国として闘ったことなのでしょうか。しかしながら、この点においても、韓国もまた日本国の一部として枢軸国に含まれておりますので、謝罪の根拠とはなり得ないのです。

 第二次世界大戦時にあっては、韓国は、戦争による被害をほとんど受けておりません。韓国は、”慰安婦問題”においては、日本国の国家犯罪による犠牲者を装い、”植民地支配”については、過酷な収奪を受けた被害国を演じ、”第二次世界大戦での立場”については、あろうことか、連合国、あるいは、戦勝国のふりをしているように見えます。何れも”成り済まし”である故に、日本国は、事実に基づかない韓国からの謝罪要求に拒絶反応を示しているのです。実のところ、問題の根源は、如何なる場面でも自己に有利な立場にありたいとする、韓国の”成り済まし体質”にあるのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国際社会はネパールの復興資金を心配すべき-アジア開発銀行の出番か

2015年05月03日 15時04分22秒 | アジア
【ネパール大地震】政府、支援金を増額(産経新聞) - goo ニュース
 ネパールで発生した地震は、死者7000人を越える大災害となりました。日本国も地震国であるだけに他人事ではなく、本日も、政府が支援金を増額するとの報道がありました。

 被災地の映像や写真を見ますと、国民の多くが住居を失うと共に、ネパール経済と人々の生活を支えるインフラも甚大な被害を受けております。倒壊した建物の再建と復興には、多大な費用が要するものと予測されます。ネパールの経済は農業中心ですが、近年では、絨毯や衣料などの輸出産業が伸びており、インドを最大の輸出先としつつ、アメリカやドイツなどにも販路を広げております。また、エベレスト登山の入り口であると共に、伝統を伝える世界遺産なども存在しているため、観光業も重要な収入源でした。山岳地帯には、鉱物などの埋蔵も報告されており、地震災害に見舞われなければ、将来的には発展が期待できる状況にあったのです。このため、地震発生以前から世銀、アジア開発銀行、国連開発計画などからの支援を受けておりました。しかしながら、産業や生活基盤まで破壊されたとなりますと、発展のプロジェクトも全て予定が狂ってしまいます。否、早期に震災からの復興を遂げなくては、ネパール経済そのものが崩壊しかねません。現在、世界各地で募金運動などが展開されておりますが、長期的に見ますと、復興資金の調達こそ最優先課題です。既に融資を実施している国際機関が、融資資金の復興目的への転用を認める、新規にネパール復興債を起債する、あるいは、各国が長期の無償・有償支援を実施する…といった方法が考えられます。なお、地震国である日本国は、復興ノウハウの面からもネパールを支援できるかもしれません。

 現在、アゼルバイジャンのバクーでは、アジア開発銀行の年次総会が開催されておりますが、この席で、ぜひネパールの復興資金問題を議題として取り上げていただきたいものです。今こそ、アジア開発銀行の出番かも知れないのですから。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

AIIBの次なるターゲットはアジア開発銀行の”取り込み”?

2015年05月02日 16時06分36秒 | 国際経済
中国主導銀と協働確認=初代総裁候補と会談―中尾アジア開銀総裁(時事通信) - goo ニュース
 中国が主導するAIIBについては、国際機関としての制度的な欠陥や設立目的の怪しさも手伝って日米ともに反対論が根強く、参加のハードルは相当に高い状況にあります。日米の参加は期待薄であるため、中国は、作戦を既存の投資銀行の”取り込み”に変更したのではないかと推測するのです。

 現状のままでAIIBが発足すると、審査基準の緩和を打ち出している以上、”焦げ付き”リスクの高い案件もまた融資対象となります。このため、AIIBが単独で起債するとなりますと、ハイリスク・ハイリターンの高金利債となり、市中での資金調達が難しくなると共に、途上国への低利融資も困難となります(もっとも、強欲な中国が低利融資を目的としてるとも思えませんが…)。過去に一度も貸し倒された案件がないアジア開発銀行債の格付けは、Aaa(Moody's)やAAA(S&P)等ですので、AIIB債の格付けは、ADB債を下回るはずです。つまり、起債コストが高くなり、かつ、不良債権化のリスクも増大するのです。投資銀行が発行した債券は、発行体、つまり、AIIBがデフォルトした場合にのみ、償還不能(”紙くず化”)となるそうです。このため、個別の融資案件において回収不能の事態が発生した場合、損失を引き受けるのはAIIB債保有者ではなく発行体であるAIIBとなり、不良債権の処理のために事業が傾くこともあり得ます(資本の取り崩しとなれば、各国の出資金も痛むかもしれない…)。中国では、国内のインフラ投資の失敗で既に多額の不良債権が積みあがっていますので、決定権を中国が握るとされるAIIBでも、杜撰な融資によって同様の事態が発生する可能性は小さくはありません。一方、AIIBが他の国際投資銀行と共同で起債するとしますと、起債コストが低減することに加えて、リスクを相手方にシェアさせることができます。

 中国は、アジア開発銀行のみならず、欧州復興開発銀行とも中央アジアのインフラ整備においてAIIBとの協調融資を計画しているそうです。中国の強かな行動力には驚くばかりですが、最悪の場合、AIIBが破綻しようものなら、ADBは”連帯保証人”の立場となりかねません。報道によりますと、AIIB設立協定に関する会合は迷走気味であり、むしろ、懸念や疑問は深まるばかりです。中国からの耳に心地よい提案は、要注意ではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへにほんブログ村
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする