万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

侵略の反省なき中国のダブル・スタンダード

2015年05月01日 09時50分56秒 | 国際政治
【首相米議会演説】中国「村山談話に含まれる侵略の歴史直視を」と不満表明(産経新聞) - goo ニュース
 昨日は、『謝罪よりも重要な行動』とする記事を掲載したのですが、この基準から現在の国際社会を見渡しますと、侵略を全く反省していない国は少なくありません。そして、今日、70年以上も年月を遡る戦争を取り上げて、日本国に対して強圧的に”侵略”の反省と謝罪を求めている中国こそ、その筆頭国です。

 中国は、第二次世界大戦後の混乱に乗じてチベットや東トルキスタン…の独立を奪い、今日でも、武力による現状の変更を試みております。尖閣諸島周辺海域における領海侵犯は頻発し、アセアン諸国の中止要請にも拘わらず、南シナ海でも埋め立てを強行しています。また、ブータンに対する国境線の侵犯も報告されており、れっきとした国際法に違反する侵略を実行しているのです。仮に、日本国に謝罪を求めるように、侵略や国際法違反が”悪しき行為”と認識しているならば、自らもまた、その行為を止めるはずです。過去の記事でも、中国は、侵略の基準を定義することができないのではないか?とする記事を書いたのですが(自らを侵略国と認定することになるから…)、自国が侵略を実行していながら、他国を”侵略国”と決めつけて糾弾するのは、ダブル・スタンダードにもほどがあります(この点は、韓国も同じ…)。行動を見る限り、最も侵略の反省なき国は、中国と言わざるを得ないのです。

 このことは、同時に、たとえ日本国が中国に対して謝罪したとしても、アジアの安定や平和には全く寄与しないことを意味しています。現在の中国は、侵略を止めるべき”悪しき行為”とは考えていないのですから。逆に、日本国の謝罪を中国に対する屈服と解釈し、より侵略的な行動の挙に出るかもしれません。実際に、村山談話で”謝罪”を表明しても、覇権主義を強めこそすれ、中国の行動が改まることはありませんでした。改心していない国に対する謝罪は、状況を悪化させるリスクがあるのですから、謝罪すれば関係が改善されるとする期待は楽観に過ぎると思うのです。

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コメント (2)
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