万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

沖縄から見た本土と本土から見た沖縄

2011年10月27日 17時23分41秒 | 国際政治
首相、沖縄知事と初会談 アセスメントの年内提出表明(朝日新聞) - goo ニュース
 普天間基地移設問題は、鳩山元首相が残した負の遺産であり、同盟国であるアメリカが移設の実施を求める一方で、沖縄県が頑なにこれを拒否する状況に至ったています。

 事態がこれ程までに拗れた原因は、無責任な元首相の発言にあるのですが、沖縄県民の間にも、日本国政府に対する反感が高まっているようです。本土は、自分達を守るために沖縄を犠牲にし、耐えがたい負担を押し付けていると・・・。沖縄から見た本土は、利己的で身勝手な存在のようです。それでは、その逆に、本土から見た沖縄はどうでしょうか。多くの国民は、先の大戦で沖縄が戦場となったことに加えて、戦後も、沖縄に米軍基地が集中していることに対して申し訳ない気持ちを抱いています。しかしながら、本土から見ますと、沖縄県の安全保障に対する危機感の薄さには、危惧を覚えていることも確かです。隣国からの軍事的な脅威がひたひたと迫っており、地政学的にも要所となる位置、つまり軍事的な衝突が起きやすい位置にありながら、自ら防衛力の弱体化を望んでいるのですから。

 本土の人々は、沖縄県民の置かれている状況を理解すべきですが、同時に、沖縄県民にも、本土では沖縄をどのように見ているかを理解していただきたいと思うのです。基地移設問題は、こうした双方の努力なくしては、解決しないのではないでしょうか。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« トルコ地震―クルド人支援で国... | トップ | 北朝鮮への渡航自粛緩和―北へ... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
national defence (noga)
2011-10-29 22:59:54
アメリカ側の責任者であるメア氏は語る。「普天間飛行場問題での選択肢は現状の固定化か、辺野古への移転しかありません。東アジア、西太平洋に配備されている米軍で唯一、機動力のある部隊が海兵隊です。機動力ゆえに海兵隊は最大の抑止力なのです。強靭な精神力を持つ彼らは、アメリカの日本防衛に対するコミットの象徴でもあります。海兵隊は航空部隊、陸上部隊、支援部隊が同じ演習場でなければ訓練出来ません。統合性を欠く訓練は無意味です。鳩山内閣は軍事的理論より政治的理論を優先させて県外に移すと宣言しましたが、私は2010年5月、自分が国務省日本部長である限り、日本の国内政治のためにアメリカの若い海兵隊員の命を犠牲にするつもりはないと、鳩山首相に伝えてくれと日本側に言いました」

地政学な内容が頭の中に入っていない県民代表と、国防の議論を何回繰り返してもリーズナブルな結論は得られないであろう。「百年兵を養うは、一日のため」である。
相手の程度を考えて話し合うことも、時と場合によっては必要である。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

nogaさん (kuranishi masako)
2011-10-30 09:34:02
 沖縄の地政学的な重要性に、沖縄県民自身が気づいていない、あるいは、充分に理解していないところに、この問題の根本的な原因があるように思うのです。特に民主党政権は、中国を安全保障上の脅威として認めたくありませんので、沖縄に基地が必要な理由を曖昧にしています。政府には、説明責任があるのですから、まずは、沖縄県民の人々に対して、中国の軍拡と海洋戦略について、丁寧に説明すべきと思うのです。

国際政治」カテゴリの最新記事