万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日中関係―ゼロ・サム問題で隘路に

2010年10月26日 15時27分33秒 | 国際政治
自己中心の“中華思想”をいつまで貫けるか?世界規模で顕在化する中国リスクの行き着く先(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 我が国の経済界や識者が、中国の経済成長を評価するのは、市場の拡大が自国の経済にも恩恵をもたらすとするポジティブ・サムの発想に基づくものです。確かに、経済分野では、貿易や投資の増加は相互利益をもたらしますし、企業のビジネス・チャンスも広がります。

 しかしながら、政治の分野では、そうはいきません。政治分野では、得てして、国家間の関係は、ポジティヴ・サムではなく、ゼロ・サム関係となるからです。その最たるものが、領域の取り合いであり、中国が、尖閣諸島の領有権を主張したことで、日中関係は、抜き差しならぬ状況に陥いりました。経済分野では、バーゲニングを通した妥協や譲歩がありえますが、ゼロ・サム問題では、この解決手法はとれません。つまり、中国が、尖閣諸島の領有を諦めない限り、根本的な問題解決には至らないのです。迂闊な譲歩は、一方的な損失しか意味しません。

 尖閣諸島問題のみならず、中国では、政経一元論を採る共産主義を奉じているために、経済問題が、即、政治問題に転化されます。レアアースの輸出規制しかり、外国の国債買い漁りしかりです。近い将来、共産党保守派であり、習近平氏が国家出席に就任するとなりますと、我が国のみならず、国際社会は、中国の政治的なリスクとも前面から向き合うことになるかもしれません。

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