万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

米中接近への危惧-もう一通の”硫黄島からの手紙”

2014年01月27日 15時28分08秒 | アメリカ
米政府、靖国参拝後の安倍政権にさまざまな注文(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版) - goo ニュース
 2006年、「父親たちの星条旗」に次いで、クリント・イーストウッド監督の下で制作された戦争映画「硫黄島からの手紙」が封切られました。本作品は、硫黄島における日米両軍の死闘の中、日本軍の指揮をとった栗林忠道陸軍中将をはじめ、硫黄島で戦った兵士たちの家族に宛てた手紙を中心に展開しており、家族愛というヒューマニティーの普遍性を描いています。

 国際的な賞をも数多く受賞した作品ですが、家族のみならず、アメリカのルーズベルト大統領に宛てた手紙があったことについては、詳しくは触れてはいなかったようです。硫黄島での激戦の中、アメリカ大統領に宛てた手紙を認めたのは市丸利之助海軍少将であり、総攻撃を前に遺書として書かれました(『ルーズベルトニ与フル書』)。おそらくは、戦勝国となった連合国諸国にとりましては、敗者の弁明に過ぎないと見なされたのでしょうが、その文面には、当時の日本が、戦争の大義として掲げた国際平和の在り方が謳われています。大東亜共栄圏の目指すところは、東洋民族の束縛からの解放であり、世界平和の一翼となり、世界人類の安寧幸福を保障するものであると…。そして、ナチス・ドイツ成立の遠因は、第一次世界大戦における敗戦国への全面的な責任の押し付けにあると指摘しつつ、ヒトラーを打倒すべき敵としながら、スターリンと手を結んだ連合国の欺瞞をも暴いているのです。

 本書簡は、ハワイ生まれの兵士によって翻訳され、アメリカの新聞紙上にも掲載されました。記事に対するアメリカ市民の反響は分かりませんが、今日、アメリカ政府が、当時よりもはるかに自由で民主化された日本国に対しては厳しく、また、真摯に日本という国を理解しようともせず(当時の日本人が、どのような思いで戦争に臨んだのかも含めて…)、共産党一党独裁の下で国民を蔑にしている中国に接近する様子を見るとき、ふと、この手紙が蘇ってくるのです。文面には、”凡そ世界を以て強者の独専となさんとせば、永久に闘争を繰り返し、遂に世界人類に安寧幸福の日なからん。”とあり、今なおを現代に生きる私達に問いかけているのです。

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コメント (2)
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