万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の習近平は”東方のスターリン”?

2014年01月25日 16時01分18秒 | その他
「国家安全委」トップに習主席=治安統括の巨大権力機関―集権体制を強化・中国(時事通信) - goo ニュース
 本日の報道によりますと、中国の習近平主席は、国家安全委のトップに就任することで、さらなる中央集権化を図っているそうです。近い将来、東アジアには、旧ソ連邦のスターリンさながらの独裁者が誕生するかもしれません。

 ダボス会議での首相の発言を受けて、中国は、第二次世界大戦における日本国のA級戦犯を”東方のナチス”に譬え、東条英機元首相に至っては、ヒトラーと同一視しています。実際には、日独伊の三国同盟を形成した三国の間には違いがあり、日本国では、ドイツのナチスやイタリアのファシスト党の如き特定の政党による一党独裁は成立していませんでした。戦時中にあっても、大政翼賛会は成立したものの、明治憲法の下で帝国議会は存続し、総統といったポストに権力が一極集中することもなかったのです。況してや、特定の民族を対象にホロコーストを実行したわけでもなく、当時の日本国政府は、ドイツの同盟国でありながらユダヤ人迫害には非協力的でもありました。中国の認識は、明らかに誤っているのですが、おそらく、現在の日本国にナチスのイメージを重ねることで、国際的な批判の矛先を日本国に向けようとしているのでしょう。そしてその実、中国は、着々と旧ソ連邦のスターリン体制に近づいているのです。ポーランドをナチス・ドイツと共に侵略して分割した…。

 ”東方のスターリン”の出現は、まことに厄介な問題となります。何故ならば、侵略という点においてナチス・ドイツと同罪であるはずのソ連邦は、終戦時には連合国の一員として戦勝国となってしまったからです。そして中国は、旧ソ連邦の行動を真似て、国際法の無視も、侵略をも是として恥じないことでしょう。国際社会は、中国がばらまく過去の幻影よりも、現代の”東方のスターリン”にこそ警戒すべきと思うのです。

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コメント (4)
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