万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国の不幸―経済産業省は経済衰亡省?

2012年03月03日 15時36分59秒 | 日本政治
東電、値上げしても赤字2千億円…来年度見通し(読売新聞) - goo ニュース
 社会・共産主義者は、支配のための”統制”には熱心ですが、”成長”に対してはすこぶる否定的です。週刊誌などでは、革マルとの関係が報じられていますので、枝野経産相もまた、前者の一人なのでしょう。

 できる限り経済成長を抑えたいとする経産相の態度は、電力危機への対応に最もよく現れています。電力供給が、日本国の産業の命綱であることを充分に認識していながら、それを、経済成長のストッパーとして逆利用しているからです。本日の新聞にも、ストレステストで妥当の判定を得た原発の再稼働を渋っているのは、他でもない、枝野経産相であるとする記事が掲載されていました。率先して地元の説得と説明に当たるべきところを、サボタージュしているのです。その一方で、電力会社に対しては、原発の稼働停止で収益率を低下させることで、経営を疲弊させ、国有化に持ち込もうとしています。代わりに、再生エネを普及させる方針なようですが、7月から始まる再生エネ買い取り制度は、競争が働かない完全なる統制型のシステムですし、割高な発電コストは全ての電力料金に上乗せされます。しかも、試算では、20年ほど先の2030年頃にしか、原子力発電に匹敵するほどの発電量を実現することはできないとされています。

 統制を強化したい枝野経産相は、密かにほくそ笑んでいるのでしょうが、国民にとりましては、これ程の背信行為はありません。オーウェルの『1984年』では、平和省が戦争の遂行を、真理省が情報と歴史の改竄を、愛情省が思想弾圧と拷問を、そして、潤沢省が国民窮乏化策を担うのですが、現在の日本国の経済産業省の実態は、さながら経済衰亡省なのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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