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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

カーター元大統領の北朝鮮発言の真意は?

2009年11月25日 15時59分06秒 | アメリカ
カーター元米大統領「故金日成主席は聡明で鋭利」(聯合ニュース) - goo ニュース
 政治の世界では、発言の真意を見極めることが大変難しいことがあります。しばしば、メッセージの読み違いが起こり、後々、困ったことになることも少なくありません。94年に米朝関係が緊迫化した際に、仲介役を務めたカーター元大統領が、故金日成主席を評価したとの報道がなされていますが、氏の発言の真意はどこにあるのでしょうか。

(1)金正日批判
 94年の枠組み合意が成立したすぐ後に、金日成主席は世を去りますが、その後、後継者となった息子は、核やミサイル開発など、その行動をエスカレートさせ、瀬戸際作戦を繰り返します。この展開を考えますと、カーター元大統領は、自身が交渉相手であった故金日成氏を持ち上げることで、暴走を続けている金正日体制を暗に批判しているのかもしれません。

(2)独裁体制批判
 為政者の能力は、国の在り方にも影響を与えるものです。カーター氏は、”聡明で鋭利な”指導者を頂きながら、国民を極めて低い生活水準に甘んじさせることになった、北朝鮮の独裁体制を批判しているとも考えられます。為政者が優れていても、国家の体制が悪ければ、良き国家とは言えないと。

(3)北朝鮮との交渉の勧め
 カーター元大統領が、この発言において、北朝鮮との交渉について何度か触れております。このことから、氏は、如何に酷い国でも、為政者には交渉能力がある可能性を示唆することで、アメリカ政府に対して、早期に北朝鮮との交渉を行うよう、勧めているのかもしれません。

 おそらく、大方の見方は(3)なのかもしれませんが、性格や能力は、必ずしも親子間で遺伝しませんし、金正日体制では、金日成体制よりも、はるかに冒険主義的な行動を繰り返えされ、国際社会を欺いてきたことは確かなことです。何れが真意であったとしても、ここはやはり、用心に越したことはないと思うのです。

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