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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

アメリカのプレゼンスは華夷秩序を防ぐ

2009年11月14日 15時43分58秒 | 国際経済
オバマ大統領演説、米国は「アジア・太平洋国家」(読売新聞) - goo ニュース
 ひと頃、21世紀のアジアでは、中国を中心とした華夷秩序が復活し、それが、あたかもアジア秩序の”正常化”の如くに喧伝されたものです。このヴィジョンは、主権国家並列型の国民国家体系から、アジア型の主権の制限を伴う位階秩序への逆戻りを意味しますが、少なくとも、古来、中国への臣従を拒否してきた日本国では、このヴィジョンは受け入れられそうにありません。

 とは言いますものの、日本国が一国で抵抗しても、中国は、アジア地域での盟主の座を求め、着々と華夷秩序再建への手を打ってきそうです。しかも、中国は、公式には共産主義国であり、中国の周辺諸国への影響力の増大は、民主主義や自由主義の否定を伴います。今後の展開によっては、中国の民主化どころか、周辺諸国が非民主化の道に連れ戻されてしまう可能性もあるのです。華夷秩序の復活は、アジアを、一気に前近代にタイム・スリップさせることになるかもしれません。

 もし、人類が歴史の教訓に学び、より優れた体制を構築する能力を備えた存在であるならば、華夷秩序の復活は、何としても防がなくてはなりません。アメリカのアジアにおけるプレゼンスに期待することは、中国の覇権主義を抑え、自由、民主主義、法の支配といった諸原則をアジアに広げることではないかと思うのです。日米同盟は、この役割を担う一翼であってほしいと願うのです。

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