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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

EUはロシアの”兵糧攻め”作戦に対抗できるのか

2008年09月02日 15時47分38秒 | 国際政治
EU首脳が緊急会議、対ロシア一致点模索(朝日新聞) - goo ニュース
 報道によりますと、EUが一致して強硬措置に踏み出せない理由には、ロシアに対するエネルギー依存があるようです。この側面から透けて見えることは、ロシアは、最大限に自国のエネルギー資源を対EU政策に利用しているということです。

 戦国時代にあって、しばしば使われた戦略に”兵糧攻め”があります。この手法は、両軍が直接に干戈を交えるのではなく、敵対する相手勢力への、食糧や水などの必要物資の供給路を絶ち、根負けするまで待つという一種の経済封鎖の手法です。この作戦では、必要物資の供給源を握っている側が、圧倒的、かつ、一方的に有利となります。供給路を断たれた側は、相手方の要求を無条件に飲むか、白旗を挙げるか、もしくは、滅亡するしか道がありません。

 戦国の世は遠くに過ぎ去り、昔の手法など、グローバル化した現代とは無縁と考えられがちです。しかしながら、経済の相互依存が高まり、政策決定における経済要因の重みが増せば増すほど、この”兵糧攻め”の手法は、思わぬ効果を発揮してしまうのです。ロシアの行動を見てみますと、しばらく忘れられていた”兵糧攻め”の手法が、再び頭をもたげてきているように思われます。

 果たして、EUは、ロシアの”兵糧攻め”作戦に対抗できるのでしょうか。依存とは、一つ間違えますと、自己の弱体化を意味するかもしれないのです。

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コメント (4)
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