万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の若者は何処に向かうのか

2008年09月07日 16時44分49秒 | アジア
中国・河南で高校生が警官と衝突、運動場強制収用に反発(読売新聞) - goo ニュース
 中国の河南で起きた高校生による暴動は、4000人にも上る数の高校生が加わったと伝えられています。現実の社会に不満を持つ中国の若者たちは、一体、何処に向かおうとしているのでしょうか。

 第一の見方は、この暴動は、インターネットや口コミを通して情報が広まったことによる、突発的な事件であったというものです。日頃から抱いてていた警察の横暴ぶりに対する反感が爆発し、騒動を知った人々が次から次へと参加したのかもしれません。
 
 第二に考えられるのは、市場経済化をすすめ、開発優先主義に転じた当局に対して、共産主義に忠実であろうとする守旧側からの巻き返しであったとする見方です。4000人も高校生を集めたとしますと、何らかの組織が動いた可能性も否定できません。

 そうして第三に、天安門事件以来潜伏していた民主化運動の勢力が、再び息を吹き返してきた、という見方もできます。暴動の中心が、若い高校生たちであったことを考えますと、あえて暴動を起こすことによって、中国の体制移行に自らの将来を託したのかもしれません。

 長期的な視点から、アジアの安定と平和を望むならば、中国の民主化の問題は避けて通れません。もし、権利意識に芽生えた中国の若者が、民主化に向けて国家を動かすことができたならば、それは、アジアのみならず国際社会にとっても朗報となりましょう。

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