万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国際協調主義の偽善

2007年08月11日 21時08分41秒 | 国際政治
 国際協調主義の原則は、”民族や宗教の違いを超えて、全ての国々が相互に信頼し、仲良くしてゆこう”、というものです。この原則自体には、何も非難すべき点はありません。しかしながら、現実の国際社会を舞台に国際協調主義が追及されようとするとき、そこには、何故か偽善の香りが漂うのです。

 偽善とは、美辞麗句のもとに何か良からぬことが隠されている場合に使われる言葉です。国際協調主義という美名の下にも、時にして、何か都合の悪いことや注意を逸らしたいことが隠されていることがあります。

 例えば、このスローガンを掲げて、中国や北朝鮮との友好促進が唱えられることがありますが、その陰で、侵略されたチベット民族、政府弾圧に怯える国民、あるいは、拉致被害者といった犠牲者が取り残されています。国際協調主義は、この悲劇が見えないように覆い隠してしまうのです。

 理想と現実とを見極める眼力なくして国際協調主義を論じれば、結局は偽善の虜になっていまうのではないか、と危惧するのです。

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