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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

政教分離は国内平和の要

2007年08月27日 19時48分54秒 | 中近東
 イラク戦争後におけるイラク国内の混乱は、その多くをシーア派とスンニ派との激しい対立関係に負っている言われています。西欧諸国では、宗教戦争は既に過去のものとなりましたが、イスラム諸国では、現在なお、国内平和を破壊する最も大きな分裂要因となっているのです。
 
 これは、イスラム教という宗教が、政治と密接に結びついていることに求めることができますが、歴史を通して政教一致体制―カリフ制やスルタン制…―を築いてきたイスラム諸国にとって、政教分離は一筋縄でゆく問題ではありません。しかしながら、政治的争点を、宗教から世俗の問題へと移してゆくこと、あるいはより大胆な方法としては、宗教・宗派政党を認めないといった方法を採用できれば、イスラム世界においても政教分離に近づくことができるかもしれません。

 もし、それでも国内融和が難しいのであれば、後は、分離策しか方法がなくなってしまうのです。

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