万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

チベットを誰が救えるのか?

2007年08月05日 18時35分45秒 | アジア
中国四川省でチベット族住民1000人と警官隊が衝突(読売新聞) - goo ニュース

 チベットが中華人民共和国によって侵略されたのは、建国からわずか1年の後の1950年のことでした。チベット族は、7世紀から既に独自文化を持つ吐蕃国を築いており、中国による侵略は明白なものでした。このため、同年、国連でも、この行為を侵略とする決議が成立するのです。

 しかしながら、チベットは、今日に至るまで独立を回復することができていません。その理由としては、第一に、侵略の張本人である中国が、国連の常任理事国の地位を占めしまったこと、第二に、侵略認定を行いながらも、国連には、この侵略行為をやめさせる実行力がなかったこと、さらに第三として、チベットの政教一致体制が、非暴力主義のチベット仏教に基づいていたこと、などが挙げられます。

 この間、中国は、チベットの人々を弾圧し、虐殺を繰り返すことになります。誰がチベットを救えるのか、この問題は、今後の国際社会の安全を考える上でも極めて重要です。もちろん、チベットの人々が自らの力で独立を勝ち取ることが望ましいのでしょうが、もし、それが叶わないとしたら?

 チベットを救うために知恵を絞ること-例えば、北京オリンピックのボイコット・・・-は、自国の安全を守ることでもあることに、より多くの人々が気付くべきであると思うのです。

 

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