花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

地場の中小・零細企業へ資金面での支援を行うべき

2011年03月26日 14時12分56秒 | ちょっと気になること

25日、枝野官房長官が原発からの20~30㌔圏で自宅待機している人に対して、圏外への自

主避難を勧める発表を行いました。理由は、(1)物資が届かずに生活の維持が困難にな

っていること、 そして追加的に、(2)今後の推移によっては放射線量が増大する可能

性があること、 を上げています。 枝野長官の発言の理由の(1)は政治的な発言で、

(2)は本音の部分、と思います。 (1)が最大の理由であれば、自宅待機期間が長期

になることは、政府は原発の状況から自宅待機を発した時点で分かっていたはずであり、

長期になれば、生活に様々な支障が生じることも容易に判断できたはずです。現在の状況

を当時は想定できなかったというのであれば、原発事象に対する見通しを誤ったと謝罪す

るべきで、物流復活に対して政府は最大の努力をする責任があります。

然し、(2)が本当の理由ということであれば、放射線から国民の健康を守るという政府

の重要な使命を放棄して、各人の自主判断に任せるという実にあきれた指示です。 原子

力安全委員会の班目委員長が、「環境モニタリングなどで、放射線量が上がっていること

などが理由。念のためだ。」と説明しています。 専門家の発言で本当の理由を率直に認

めています。 やはり、原子力事象については、専門家の丁寧な説明が望まれます。 




東日本大震災の影響で、上場企業3625社の中で、少なくとも1135社が工場などになんらか

の影響を受けており、内472社では営業や操業を停止していること、また、被害の内訳

は、対建物損壊が33.1%、ライフライン(生活物資補給路)の被害が12.8%、生産ラインの

被害が12.1%と報じられています。(25日付 読売新聞)

東洋経済オンラインは、茨城県の鹿島臨海工業地帯の約160社(従業員2万人)が甚大な被

害を受け、国内最大級の石油化学コンビナート(鹿島コンビナート)では、機能停止状態

にあること、中核の石油化学プラントを持つ三菱化学では、復旧には最短でも2カ月を要

する見込みと報告しています。


震災地である北関東から東北地方には、電機、半導体、自動車関連など多くの企業が立地

しており、いずれも大きな被害を被ったことから、企業活動としては全国的な影響、さら

に海外工場への影響が出ていると報じられています。

即ち、被災地以外でも、物流が機能不全に陥ったために、部品調達が出来ずに操業停止に

追い込まれた企業も少なからずあるようです。さらに、地場の企業(ほとんどが零細な規

模)も壊滅的な被害を被っているようです。


企業の復旧状況が今後の我が国の復興に大きく影響してきますが、電力の供給と物流の正

常化が必要になります。 企業が本格的に立ちあがってくる夏場の電力供給が気になりま

す。 やはり、企業が復活し雇用も安定してくることが日本経済立ち直りの前提になりま

すが、民主党が発表した復興支援策の骨子は、「自治体財政・補助金」(社会資本の充

実)と被災者支援の「暮らし・街づくり」(被災者支援)の2本柱であり、企業への支援

策が見られないのは残念です。 弱者の味方というキャッチフレーズを前面に掲げ、企業

に対してつれない民主党政権の体質と思いますが、企業には、大企業から中小・零細企業

までさまざまあります。 大企業は自力で復旧できますが、中小・零細企業が自力で復旧

するのはなかなか困難と思われます。 政府の復興支援策の一端が、本日〔26日〕テレビ

で放送されましたが、企業支援策は税制面が主体であり、即効性のある資金面での支援は

見られません。 特に地場の中小・零細企業へは税制面はもとより、資金面での支援を早

急に行うべきと思います。

 <民主党の復興支援策原案>
 ・復旧工事:道路・橋・農地・学校・公民館の復旧工事での自治体の負担軽減・
       及び鉄道・空港などの復旧工事での自治体やJRに負担軽減
 ・被災者支援:被災者への生活支援金の検討
 ・集落の集団移転:補助金
 ・被災自治体への支援:財政支援
 ・国の機構:復興庁の設置



なお、統一地方選挙の第一陣として、知事選挙が24日に告示され、12都道府県で知事選挙

がおこなわれます。また、首長並びに地方議会議員の選挙も同日に告示されました。但

し、東日本大震災の影響が著しい岩手県、宮城県、福島県内の9の首長選挙と22の議員選

挙を延期しましたが、今や日本全体で被災地を支え、復興を支援すると言状況からする

と、統一地方選挙そのものを延期すべきだったと思います。各政党は地方選挙が気にな

り、復興対策が手薄になる可能性があります。




以下に 医療ガバナンス学会の記事を添付します。


**今回の記事は転送歓迎します。その際にはMRICの記事である旨ご紹介いただけ

  ましたら幸いです。

  MRIC by 医療ガバナンス学会** 



「情報から孤立した被災地」

 石巻赤十字病院

 植田信策

 2011年3月24日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  

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宮城県石巻市は津波による水が引き、自衛隊による幹線道路の復旧が徐々に進んでい

ます。3月11日の地震と津波の後、石巻市がおかれた状況は情報からの孤立でした。

仙台空港が津波に襲われる映像がTVで繰り返し流されたため、全国から集まってきた

DMATは仙台近辺の被害が大きいと考え仙台入りしました。しかし、県内の他の被災地

域の情報がなく、すぐに戻った隊もあったそうです。この時点で石巻から南三陸沿岸

にかけての被災情報が仙台にはあまり入っていなかったようです。


石巻市から県の対策本部へ被災状況が伝わっていなかったのでしょうか。もっとも、

石巻市役所は水没し、停電と固定電話・携帯電話の不通などにより市役所に被害情報

が集約されなかったことが、県への正しい情報伝達を妨げたのだと思います。このた

め、石巻市立病院の被災情報を市が知ったのは2日後のことでした。


石巻市立病院は海岸に立地していたため、津波により周囲が海とつながって完全に孤

立しました。水没のため自家発電も使えず、医療スタッフ、患者は押し寄せる水と断

続的な余震のなか、長時間の恐怖に晒されていました。同院の医師が自力で脱出して

市役所に直接知らせ、それからやっと自衛隊ヘリによる患者救出が始まりました。


避難所への搬送も情報不足に苦しみました。石巻赤十字病院にヘリや救急車で運び込

まれ治療を終えた傷病者や家族は、避難所への交通手段と避難所の受け入れ状況がわ

からなかったため、被災後72時間経過した時点で院内に約500人留まることになりま

した。市が辛うじて手配してくれた地元観光会社のマイクロバス2~3台が市内の避難

所を回り、受け入れ可能な人数を下ろして次の避難所を探すといったものでしたの

で、病院から出たバスが戻ってくるのに長い時間を要し、院内の避難者はなかなか減

らない状態でした。避難所への搬送を県や自衛隊に直接交渉しましたが、そんな情報

は上がってきていないと、まともな対処はされませんでした。院内も救急対応で人手

が足りないため3人のスタッフでこれだけの人数に対処しなければなりませんでし

た。彼女たちは、避難所搬送が進まないことに怒り、情報の少なさに絶望的な気分で

ロビーで夜明かしせざるをえなかった被災者達に、夜遅くまで対応していました。そ

の職員の中には家族の安否もわからないまま職務を続けていた者もいました。


避難所の情報も市が把握できず、食料や水などの救援物資が3日間以上届かない避難

所がありました。市が指定した避難所では収容しきれず、その何倍もの避難所が存在

していましたが、通信手段がないため情報が市に伝わらなかったようです。


避難所搬送での問題点は、受け入れ拒否となる対象者の存在でした。津波で流されて

救助された被災者は家族同伴であるわけがなく、自力歩行できない被災者・傷病者

や、寝たきりの高齢者、一人身の認知症の高齢者を受け入れる避難所がないため、介

護や医療のスタッフがいる避難所ができるまで、院内に留まらざるを得ませんでし

た。また、週3回の透析が必要な被災者も、避難所との間の交通手段がないため院内

に留まることになりました。在宅酸素療法が必要な被災者も停電により酸素濃縮器が

使えないため当院に収容され、院内の各所に留まることになりました(約70名)。彼

らは入院ではなく、当院は避難所でもないため食料も水も供給できませんでした。


透析患者を収容する避難所が設定され、市と交渉のすえシャトルバスを運行してくれ

るようになったのは地震後約1週間のことでした。


現在の喫緊の問題は避難所への支援です。食料の配給は、おにぎり1個、パン1個、そ

れに果物類が加わるだけという分量です。これが1日量です。ボランティアや自衛隊

による炊き出しが行われている避難所でなければ、極めて厳しい内容です。市ではこ

れらの配給さえ厳しい状況で、支援物資が届かなければすぐにでも倉庫の底をついて

しまうとのことでした。また、衛生面も悪く1000人の避難者に対し、仮設トイレが6

基のみという避難所や、飲料水が足りない避難所など、感染症対策、エコノミークラ

ス症候群対策の実施には程遠い環境と言えるでしょう。


現在、避難所の情報収集は市と赤十字救護班で行っています。その結果をもとに必要

な物資の供給を県に依頼しています。しかし、十分な支援物資は届いていません。避

難所には約2.5万人、食料の配給を必要としている住民も約4.5万人います。合わせて

7万人分の食料供給が必要です。食料が届かないために略奪がおこっていることも被

災者から聞きました。新潟中越地震や阪神淡路大震災でも震災後の関連死が多数あっ

たことを考えると、これから起こるであろう悲劇を最小限に食い止められるかどうか

の分岐点に今、さしかかっています。支援物資が比較的豊かな仙台市から車で1時間

の距離なのにその格差は大きいのです。


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(2011年3月26日 ☆きらきら星☆)


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