花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

「東日本大地震に関して、村上龍氏がニューヨークタイムズに投稿」

2011年03月20日 15時49分35秒 | ちょっと気になること
今日〔20日〕も午前中に散歩しましたが、暑いくらいでした。 東北・北関東の被災地の

方は寒いだろうにとついつい思ってしまいます。 被災地が一日も早く暖かくなることを

祈るばかりです。


友人から、去る3月18日付けのニューヨークタイムズに作家の村上龍氏が投稿していると

知らされました。   

日本語訳を読んで見ましたが、実に冷静にご自分の今おかれている立場を分析されてお

り、 放射能漏れの影響については、「私よりも専門知識の高いソースからの発表、特に

インターネットで読んだ科学者や医者、技術者の情報を信じる。彼らの意見や分析はニュ

ースではあまり取り上げられないが、情報は冷静かつ客観的で、正確であり、なによりも

信じるに値する。」 として、「今後とも現在地(新宿)にとどまる。 (中略) 全て

を失った日本が得たものは、希望だ。」 と村上龍氏は書いています。 



 昨日〔19日〕のラジオで流れたことが思い出されます。

『 被災地でお年寄りが、もうここはだめだな といったところ、そばにいた中学生の男

の子が、大丈夫、若い僕らがいるよ。 絶対に僕らの力で立派な町を作ってみせるから。

 』」といいました

若い、たくましい力に期待しましょう。 村上龍氏が書いているように我が日本には希望

があるのです。 



今このときになっても、国家・国民のことなどは全く省みず、政権基盤の強化のために狡

猾な策略を弄する菅総理にはあきれ果てます。 野党自民党の総裁と副総裁に入閣を電話

で要請したと報じられています。  順序として、まず、民主党を挙党体制にすることで

あり、その上で、野党に協力を申し出るという手順を踏まなければなりません。 唐突

に、しかも電話で自民党総裁に電話して入閣を要請し、自民党が応じれば国会のねじれ解

消になり基盤強化に繋がる、 自民党が拒否すれば、この危機のときに協力しなかったと

いうダメージを与えられる、 というシナリオを描いたのでしょうが、全く浅はかと思い

ます。



福島第一原発では3号機での使用済み燃料の保管プールに海水を注入し、燃料を海水で浸

すことがほぼ成功しつつあります。  他方で、格納容器内や圧力容器内がどのように成

っているか、特に、2号機では圧力抑制室が損傷していると報じられており、素人なが

ら、こちらへの今後の対応が非常に気になります。

本日のニュースでは、3号機の格納容器内の圧力が上昇しており、水蒸気を弁から大気に

放出することも行うようです。


気になるのは、各閣僚・官房長官などが会見するたびに 「菅総理の指示で」 という文

言が出てくることです。  原子力に強いと勝手に自負している菅総理(官邸)が、政治

主導とかいうパーフォーマンスのために、専門家の判断に口出しをして事象への対応が遅

れることは避けなければなりません。 今は、命を賭して取り組んでいる専門家の判断を

最大限尊重することが、官邸のとるべきことと思います。


また、放射能漏れで、海外諸国は自国民の日本からの退避や原発から80キロ以遠への

退避などを実施しています。(末尾の読売新聞の記事参照)

20~30キロ圏に退避している人々や近隣県の人々に対して、この退避による健康への

影響の判断根拠を、政府は明確に説明しなければなりません。 そうでなけれれば、諸外

国の対応を見て、不安を覚える国民も多くなると思います。 私自身は、東京に住んでお

り、村上龍氏と同様、全く不安はありませんが、総理大臣の命令で退避した方々へは、政

府としてきちんと説明する義務があります。



2011年03月18日 (金) 掲載

ニューヨーク・タイムズのThe Opinion Pageに、作家 村上龍の寄稿文が掲載された。こ

れを読んだタイムアウト東京のエディトリアル・ディレクター、ジョン・ウィルクスは、

「とても誠実な文章だと思う。災害について行き過ぎた大げさな報道をしているイギリス

のメディアでは見られなかった内容だ。今すぐ彼をハグしたい気持ちだ。」と共感とリス

ペクトを表した。タイムアウト東京には、ツイッターを通じて、外国人フォロワーから、

「涙しました」、「これこそ、今読むべき記事だ」などのメッセージが寄せられている。

震災の後、ネットやツイッターを通じてメディアや個人の発信する様々な情報が錯綜して

いる。多くの人々が、何を信じていいのか、何が真実なのかという不安とこれからの将来

への不安に心を悩ませているようだ。村上龍のこの寄稿文は、そういった人たちに安堵と

希望をあたえてくれるに違いない。タイムアウト東京では、この素晴らしいメッセージが

少しでも多くのみなさんに届いて欲しいという思いから、日本語に翻訳し、ここに掲載す

る。

日本語版掲載にあたり、村上龍氏、ニューヨーク・タイムズ紙には、助言と協力を頂いた

ことを心から感謝致します。



「危機的状況の中の希望」

村上龍

先週の金曜、港町・横浜にある我が家を出て、午後3時前、いつも行く新宿のホテルにチ

ェックインした。普段から私はここに週3~4日滞在し執筆活動やその他の仕事をしてい

る。

部屋に入ってすぐに地震が起きた。瓦礫の下敷きになると判断し、とっさに水とクッキ

ー、ブランデーのボトルをつかんで頑丈な机の下にもぐりこんだ。今にして思えば、高層

30階建てのビルの下敷きになったらブランデーを楽しむどころではないのだが。だが、こ

の行動によってパニックに陥らずにすんだ。

すぐに館内放送で地震警報が流れた。「このホテルは最強度の耐震構造で建設されてお

り、建物が損傷することはありません。ホテルを出ないでください」という放送が、何度

かにわたって流された。最初は私も多少懐疑的だった。ホテル側がゲストを安心させよう

としているだけではないのかと。

だが、このとき私は直感的に、この地震に対する根本的なスタンスを決めた。少なくとも

今この時点では、私よりも状況に通じている人々や機関からの情報を信頼すべきだ。だか

らこの建物も崩壊しないと信じる、と。そして、建物は崩壊しなかった。

日本人は元来“集団”のルールを信頼し、逆境においては、速やかに協力体制を組織する

ことに優れているといわれてきた。それがいま証明されている。勇猛果敢な復興および救

助活動は休みなく続けられ、略奪も起きていない。

しかし集団の目の届かないところでは、我々は自己中心になる。まるで体制に反逆するか

のように。そしてそれは実際に起こっている。米やパン、水といった必需品がスーパーの

棚から消えた。ガソリンスタンドは枯渇状態だ。品薄状態へのパニックが一時的な買いだ

めを引き起こしている。集団への忠誠心は試練のときを迎えている。

現時点での最大の不安は福島の原発だ。情報は混乱し、相違している。スリーマイル島の

事故より悪い状態だがチェルノブイリよりはましだという説もあれば、放射線ヨードを含

んだ風が東京に飛んできているので屋内退避してヨウ素を含む海藻を食べれば放射能の吸

収度が抑えられるという説もある。そして、アメリカの友人は西へ逃げろと忠告してき

た。

東京を離れる人も多いが、残る人も多い。彼らは「仕事があるから」という。「友達もい

るし、ペットもいる」、他にも「チェルノブイリのような壊滅的な状態になっても、福島

は東京から170マイルも離れているから大丈夫だ」という人もいる。

私の両親は東京より西にある九州にいるが、私はそこに避難するつもりはない。家族や友

人、被災した人々とここに残りたい。残って、彼らを勇気づけたい。彼らが私に勇気をく

れているように。

今この時点で、私は新宿のホテルの一室で決心したスタンスを守るつもりでいる。私より

も専門知識の高いソースからの発表、特にインターネットで読んだ科学者や医者、技術者

の情報を信じる。彼らの意見や分析はニュースではあまり取り上げられないが、情報は冷

静かつ客観的で、正確であり、なによりも信じるに値する。

私が10年前に書いた小説には、中学生が国会でスピーチする場面がある。「この国には何

でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」と。

今は逆のことが起きている。避難所では食料、水、薬品不足が深刻化している。東京も物

や電力が不足している。生活そのものが脅かされており、政府や電力会社は対応が遅れて

いる。

だが、全てを失った日本が得たものは、希望だ。大地震と津波は、私たちの仲間と資源を

根こそぎ奪っていった。だが、富に心を奪われていた我々のなかに希望の種を植え付け

た。だから私は信じていく。

原文
www.nytimes.com/2011/03/17/opinion/17Murakami.html
編集部注:小説の場面訳は『希望の国のエクソダス』より
翻訳 タイムアウト東京編集部




(読売新聞  3月19日(土)8時17分配信)

「原発事故、自国民に退避を求めている主な国・地域」 
 ▽米国
   福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告
   チャーター機で約100人が台湾へ退避
   外交官らの家族約600人に退避許可
   軍人の家族2万人の国外退去を支援

 ▽英国
   福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告
   チャーター機を香港まで運航

 ▽フランス
   出国または東京以南への移動求める
   政府機で241人がソウルへ退避
   エールフランスに増便を指示

 ▽イタリア
   出国または東京とその以北からの退避勧告
   特別航空便の運航を検討

 ▽スイス
   被災地と東京・横浜からの一時退避勧告
   チャーター機の運航を検討

 ▽オーストリア
   出国または東京・横浜からの退避勧告

 ▽スペイン
   福島第一原発から120キロ圏外への退避勧告
   チャーター機を運航

 ▽ロシア
   輸送機を派遣

 ▽ベルギー
   軍用機を派遣

 ▽チェコ
   軍用機で106人が帰国

 ▽クロアチア
   出国または南部への退避勧告

 ▽オーストラリア
   福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告

 ▽ニュージーランド
   福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告

 ▽韓国
   福島第一原発から80キロ圏外への退避勧告

 ▽シンガポール
   福島第一原発から100キロ圏外への退避勧告

 ▽フィンランド
   東京とその以北からの退避勧告

 ▽セルビア
   出国を勧告

 ▽イスラエル 
   東京周辺から西日本などへの退避勧告

 ▽ドイツ 
   出国または東京・横浜からの退避勧告

 ▽台湾 
   高齢者、子供、女性に出国検討求める

 〆


(2011年3月20日 ☆きらきら星☆)
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