花熟里(けじゅくり)の静かな日々

脳出血の後遺症で左半身麻痺。日々目する美しい自然、ちょっと気になること、健康管理などを書いてみます。

「田中原子力規制委員長に期待したい。」

2012年10月02日 17時59分07秒 | ちょっと気になること
原子力規制委員会が、委員の国会同意を得ないという変則な形でしたが9月19日に発足しましたが、規制委員会のあり方を巡って、政府と規制委員会で見解が対立しています。新聞で明らかになっている発言の要旨は次の通りです。

<野田総理>
 ・再稼働そのものの判断には、規制委員会が主導的な役割を果たす。

<枝野経済産業大臣>
 ・安全性について規制委員会がゴーサインを出し、電力会社が地元の了解を得れば再稼
  働していく。

<田中俊一委員長>
 ・新しい安全基準の骨格を本年度内に提示する。 そのうえで、来年7月18日までに新
  たな安全基準を策定する。その時点で安全基準を満たす原発については再稼働を考え
  る。
 ・安全基準には、最新の知見を反映させる“バックフィット“も適用される。
 ・ストレステストについては、今後は安全性の判断基準にはしないが、ストレステスト
  そのものは安全性の向上に役立つので、安全基準を検討する上での参考資料にす
  る。
 ・再稼働は政治や資源エネルギー庁の問題で、規制委員会の役割ではない。安全の判断
  に電力需給や電力会社の経営問題は加味しない。


2011年の東日本大震災の前までは、原子力発電所は法的な施設定期検査が終了し、合格証が発行されれば、即再稼働になっていましたが、福島第一原発事故後には、法定の施設定期検査時期になって、そのまま“政治的に停止“させられて現在に至っています。 わずかに関西電力大飯原子力発電所3・4号機の2基のみが検査が実施され、政治的判断で再稼働しています。原子力規制委員会は、当然のことですが法律に定められた業務を行います。原子炉等規制法に定める原子炉に関する主な許可は次の通りです。

<核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律>
「第4章 原子炉の設置、運転等に関する規制」に定める主な許可。
(設置の許可)(変更の許可及び届出等)(設計及び工事の方法の認可)(使用前検査) (溶接の方法及び検査)(施設定期検査)(運転計画)(許可の取消し等)
(施設の使用の停止等)(原子炉の廃止に伴う措置)

法律に基づく措置、例えば施設定期検査で停止している場合には、検査が終了し、合格証が交付されれば自動的に稼働されます。 政治的な判断が入る余地はありません。 しかし、現在停止している全国の原子力発電所は、施設定期検査の時期が到来したにも関わらず、ストレステストを実施中であることなどを理由に、施設定期検査を実施しないまま再稼働させていません。

このストレステストは法に基づく制度ではなく、当時の菅総理大臣の思いつきで突然言い出したもので、あくまでも政治的な命令(行政指導)です。 これに従わなければ、許認可権限を持つ経済産業省や原子力安全・保安院に様々な“意地悪”をされるので、企業としては従っているだけです。 

枝野大臣はじめ政府関係者が、高い独立性を持った規制委員会が発足したのだから、今後は再稼働は規制委員会の判断になる、と発言していることには、首を傾げざるを得ません。 逆に、原子力規制委員会の田中委員長が、法律に基づかないストレステストの結果はあくまでも安全に関する参考資料にすること、再稼働は政治マターであると発言しているのは、理路整然としており納得が出来ます。

田中規制委員長に対しては、原子力ムラの出身だと言う理由で強硬な反対意見が出されましたが、今までの発言を見る限りにおいては、原子力の専門家として経験に裏付けされた説得力のある説明をしており、しかも、なかなか気骨のある優れた見識の持ち主だと思われます。 是非、国会同意を取り付けて、正統性を与えていただきたい思います。


【2012年10月2日   花熟里】  


コメント
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