一年を締めくくる蕎麦

絶妙のタイミングで、生蕎麦が届いた。11月に知り合ったばかりのTさんが、福井から送って下さったのだ。


蕎麦は2種類。見た目ちょっと細めと、太めの差位しか、違いは分らない。それにしても、いい感じだ。持ち上げても手にすっと馴染んで切れそうな気配もないし、茹でてもいないのに香りがどんどんくる。


茹で上げると、細めの蕎麦の方が少しだけ色黒のようだ。では、早速ためしてみるか。


鯖江の骨董市で手に入れた蕎麦皿を持ち出して、越前流におろし、ネギ、花鰹を添えてぶっかけでいただく。
この蕎麦は本当に生きがいい。口ざわり、味、そして蕎麦を口に含んだ状態でふっと息を吸うと、とんでもなく豊かな香りが鼻腔にぬけてくる。特に細めの蕎麦の香りは素晴らしい。それ程沢山食べた訳でもないのに、全身深い満足感に包まれる感じだ。


もし、感想はと聞かれたら、誤解を恐れず、「しばらくは、お蕎麦屋さんに行かないでもいいです」と答えたい。
もちろん、そんな真似はできないし、お店には蕎麦前とか、あてとか、魅力的なものが揃っているのも承知のうえで、敢えてそう答えたい。
この蕎麦には、血の通ったなにかがあるのだ。何物にも代えがたい、なにかが。
Tさん、ご馳走様です。