蕎麦喰らいの日記

蕎麦の食べ歩き、してます。ついでに、日本庭園なども見ます。風流なのが大好きです。

誠之堂  深谷市

2014-11-05 22:41:51 | 古民家、庭園
渋沢栄一は、日本実業界の祖と言われる。生涯に数百の企業を立ち上げた。
その拠点となったのが第一銀行であり、明治29年にはその初代頭取を務めた。


誠之堂は、渋沢栄一の喜寿を記念して第一銀行行員の出資により、東京は瀬田に建てられた。
設計は田辺淳吉。西洋風の田舎屋をを目指したというが、見学した範囲には厨房も、宿泊の為の個室も見られない。大きな暖炉と、会食の為のテーブル席が用意される食堂が建物の殆どを占める。
まるで様式は異なるが、なにか16世紀のイタリアの別荘のコンセプトに近いものを感じた。




誠之堂は平成10年から11年にかけて、東京の瀬田から現在位置する深谷市に移築された。

建物の北側の入り口部分は、まるで教会のような、禁欲的な佇まいである。
オランダから北ドイツ、そしてデンマークにかけての民家のスタイルも取り入れた形跡が感じられる。


壁面は、この土地で多いに栄えたレンガ積み。東京駅も、碓井峠の眼鏡橋も、深谷のホフマン窯のレンガで建造されたという。


内部の大部分を占める大食堂。おそらく、取締役を集めての会食が行われていたのであろう。天井の石膏細工や、照明器具が実に意匠を凝らした造りになっている。




中国古典に題材を求めたステンドグラス。
日本のステンドグラスとしては本当に草分けのような年代に設置されたものだが、題材は中国漢代のもの。
この時代においても教育は、中国古典に深く根ざしていたのであろう。それはそれで、悪くないと思う。