昨夕は大阪弁護士会館で行われた反貧困全国キャラバン2012大阪イベント第2弾の「たたいてどうなる!? 今、大阪から生活保護を考える」に参加。
最初にケースワーカー歴30年の松崎喜良氏(神戸女子大学)が、大阪市の貧困と生活保護行政について問題提起された。以下、いくつか印象に残った点。
1.大阪市の生活保護受給者比率はは市民17.5人に1人という全国一の高さ。
2.利用者世帯には「高齢者世帯」が圧倒的に多い。また「その他世帯」という働ける中高年齢層の世帯が多い。これは失業の多さがある。そして一人暮らし世帯が多い。
3。大阪市は生活保護にお金がかかってたいへんだというが、生活保護費2916億円(平成23年度)のうち、実際には生活保護は国負担が多い高率補助金行政で、大阪市の実質負担分は予算全体のわずか5%でしかない。
4.生活保護は、生活困窮者が救済される、地域の小規模商店の営業維持に貢献、医療扶助費が半数近くを占めるので医療方面の発展に寄与する、犯罪や自殺の抑制につながる。
5.大阪市の生活保護の実施体制は専門職を増やさず、非正規労働者で穴埋めをしている。法律基準では80世帯に1人のケースワーカーを配置が必要でその数は1383人だが、現実は483人が不足している。
6.そのため、ケースワーカーは熟練者が少なく7割が3年未満の経験者という未熟さがある。
7.生活保護事務は錯綜し混乱の中にあり、正直、「担当者を増やしたくない」というのが現場の声だ。
8.就労支援といってもその先の多くが低賃金、不安定雇用なので保護から抜け出すことは困難な状況にある。そもそも「人間らしく働く場がない」
9.不正受給問題がキャンペーンされるが、平成22年度の件数は2615件で、利用者全体のわずか2.3%に過ぎない。1件当たりの徴収額は47万円(全国は1.8%で50.8万円)。一方、今年の4月から各区に2人の警察官OB(58人)を配置したが、この人たちの人件費負担が徴収額よりも多くなっている。
10.「不正」事例の大半は、借金返済で困窮、高校生アルバイトの未申告、申告義務に関する錯誤などで、モラル違反の「できごころ」もあるが、警察が介入するような「不正」はわずかにすぎない。
11.橋下市長の「生活保護制度の抜本的改革にかかる素案」(2012.7)は問題だらけ。市民の窮状、職員の激務解消、改善するための課題設定がほとんどない。利用者の増加を制度改悪で抑制を目指している。国の責任を曖昧にし、大阪市を改善していくための要望は出されていない。
など、ほかにも生活保護が直面する課題について多くの提起が行われた。
こうして問題点や課題が明らかになってくるけど、やはり人々の意識、見かた、考え方を変えていくことにつながるそもそもの大本を変えていかないと、なかなか難しいのかなと思ったのだが、どうなのだろうか。話しにもあったが生活保護利用者のことはほとんど見えないので、そこをいかに想像していく力を身に着けるかが大事なのではないかとも思った。