やれやれ、ようやくその4である。なかなか頂上に達しそうにない・・・。
西穂山荘では何もすることがないので、食べることが唯一の楽しみになる。5時、夕食の時間がやってきた。自販機で缶ビールを買い、食堂の前にみんなが集まっている。が、時間が来てもなかなか入れない。準備が遅れているようだ。そのうち順番に案内されてテーブルに着く。山の上のご飯なので贅沢は言っておれないが、まあご飯のお替わりもあるし、こんなものだろうという食事が出た。私のテーブルは8人掛け。妻以外の人とは初顔合わせなのだが、お茶やご飯をお互いに注いだり、よそおったりしながら協力していただく。その時突然館内放送。「次の入れ替えの人たちの食事時間が35分からですので、それまでに食べ終えてください」。時計を見るとあと10分しかないではないか。せめてご飯ぐらいはゆっくり食べさせてほしいのにと思いながら急いで食べ終えた。
西穂山荘7月20日の夕食
2組目の夕食風景
食事後、山荘内をぶらついていると、受付の向かい側、ちょっと分かりにくい所にほとんどの宿泊客は気付かないだろうと思われる小部屋を発見。山関係を中心にしたコミックや本が雑多に揃えてある。さっそく妻が時間つぶし用に2~3冊のコミックをピックアップ、私は穂高関係のムックを手にして部屋に戻った。消灯時間の9時にはまだたっぷりと時間がある。布団の上に横になり、何人かの新しい同室人たちとあいさつ方々言葉を交わしながら、本の字面を追う作業を行っているうちに7時になった。朝食の弁当が出来たとの放送があり、受付で受けとってくる。再び今度は静かに字面追跡作業を再開、いつの間にか眠ってしまっていた。
秘密の小部屋のコミック類
深夜何回か目が覚める。室内は結構暑くて毛布はいらないくらい。窓を見ると薄明かりの中、外は雨なのかと思えるぐらいに水滴が付いている。ガスで覆われているのだが、翌朝の天気を心配しながら再び眠りに入った。明け方3時頃だろうか、隣に寝ていた浜松からの夫婦連れが動き出す気配を感じる。ああ、焼岳から中尾温泉に下ると言っていたなあ、そうかそうか、もうこの時間から出発するのかと、ちょっと気にしながら目をつむったままでいた。
4時半ごろ起床。まだ寝ている人たちがいるので、ゆっくり、そお~っと、寝ている人を踏んずけないように部屋を出て、出発の準備に取りかかる。玄関を出ると外にはもう多くの人たちが登るのか、下るのか知らないが荷物を整理したり、体操をしたり、コーヒーを沸かしたりして、周囲全面ガスで覆われ何も見えないという中だが、いかにも山の朝という雰囲気が漂っている。さてと、ようやく我々も出発なのだ。ヨッコラショっと。まあ、一本道でたくさんの人が前を歩いているので道に迷うということはない。ぼちぼち行きますかと声を掛けて、妻に前を歩かせ登り始めた。