ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

寺のムスメと神社のムスメ

2005-02-25 | 読書
いちご大福は お店によってかなり味が違う。
これは、あの養護教諭が 買いに行ったら売り切れで、
予約して翌日ようやく手に入れてくれたもの。
いちごの酸味と甘みを邪魔しない絶妙な味のこし餡が、
うっすらといちごを包み、ジューシー。
いちごの美味しさがそのままわかる。

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『「ジンジャの娘」頑張る!――美人神主の愛宕山だより』
(松岡里枝著、原書房、2004.3.30、1400円)
という本がある。

東京は港区、こんなところにマンションを持ってる、
なんて、嘘をついてみたいようなところに、
家康の命で防火防災の神を祭る神社として作られた、
愛宕神社の権禰宜(ごんねぎ)の女性が書いた本。

権禰宜というのは よくわからないけど、
‘権’というのは 「ごん」と読む。
だから権力の‘権(けん)’ではなく、
権僧正(ごんそうじょう)と同じく、
「仮の」という意味じゃないだろうか。

著者は神道学科を卒業、
広告代理店で2年間の社会勉強を修了し、
両親・妹と共に 創建400年の神社を切り盛りする、
働き盛り(?)の若奥様。

なんと、バーチャル参拝の発端、
寺社のホームページの草分け的存在が
このムスメだった。
http://www.asahi-net.or.jp/~GX8R-MTOK/


ところどころに絵文字、顔文字が見られ、
自分と妹とを「ゴンネギ・しすたーず」と呼び、
神社の世界を「ギョーカイ」と呼び、
いまどき!?と思うほど 
何ごとも手仕事に頼る神社の仕事を、
「マニュファクチュア(家内制手工業)」と呼ぶ。

その斬新で正直な感覚がユニークで、
そして「お寺とおんなじジャン!」とも思い、
とても面白く読んだ。



読んだ後、
こんな感覚を一緒にしゃべってわかってもらえる、
姉に電話した。

「ねえ、おねえちゃん、惜しかったよねえ。
 もう少し若けりゃ、私たちも
 <お寺の美人姉妹>で売り出したのにねえ。」

私の実家では 以前 父がそうしていたように、
たぶん今では義兄が 一人寂しく 夜なべ仕事で 
マニュファクチュアぶりを発揮しているはず。




お寺の子として生まれて、
損したことも得した事も 多分いっぱいあるだろう。

仏教学部に入った私は 今では得した事しか思いつかない。

そんな中、ただひとつ、困った、と思ったことがあった。
姉が三度、私は二度の 出産の時だ。

実家では 安産のお守りをお渡ししている。
(その時、出産する人の数え年を聞いて、
 <帳面:ちょうめん、死語?>に書き入れる。)

そのお寺のムスメが、安産とまでいかなくとも、
難産で苦しんだとか、言えないではないか。

これは、ちょっとした プレッシャーだった。
そう言うと姉は
「あんたも? アハハ、そうだよねー。」
と言っていたっけ。

「お寺」でも「神社」でもギョーカイのムスメは
多少は同じようなプレッシャーを
きっと皆さん感じている?



この本を読む前の2004年3月。
お彼岸に姉から電話があった。

「あんたぁ。あたしのムスメは、偉いどぉ。」
「なんで?」
「・・・彼岸の中日に子ども、生んだぁ。」
「あはははは」
「あははは」

姉夫婦の初孫は 女の子。
結婚式から一年と少し、
姉の予言(?)通り、
お彼岸の中日に合わせて 生まれてきた。
安産だった。