心の色を探して

自分探しの日々 つまづいたり、奮起したり。
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ヨイトマケの唄

2013年01月01日 | ほんのすこし
久々に じっくりと紅白歌合戦を聞きました。
母とふたりで 紙に赤と白を書き 自分が気にいった方を選ぶという感じで 最初の組から始めましたが・・・最初のNYCと浜崎あゆみで すでに母は
「何も気に入らないからって×をつけなくてもいいのに」と自分のやったことを悔やみ(良い方に○だけつければいいのにということらしい)、わたしが○だけつけていたのを見て やる気がなくなってしまったらしい。なんてことはない 書くのがめんどうになっただけだとわたしは内心思っていましたが(笑)

そんな感じで それぞれの組ごとに○をつけていったわけです。こういうことをすると見るほうにも力が入ってきて しっかり見ようという気持ちになります。今回は 本当にじっくり見聞きしました。母はいっぱしの評論家になっています。主に衣装についての難癖が多かったのですが。
その一つが水森かおりさんの衣装。
母はこの方の声も歌も好きなのですが、どうも紅白の時の衣装については異論があるようで。歌い終わってからも ぶつぶつ。
「なんだこれは イチゴのかき氷みたいなの着て。来年が心配だ。こんなに(衣装に)金かけて。普通に歌ってても上手いのに なんで(こんな衣装にするの)?」と 繰り返し言っていました。
好きだから 水森さんの今後が心配でならないらしく、衣装代が半端じゃないだろうから、来年もさらにすごいのを用意しないといけなくなると思ったのでしょう。
さぁ 来年はどうするんでしょうねぇ、水森さん。

大好きな嵐が登場するまでは 帰らないぞと思いながら見ていたのですが、今回 初登場だという美輪明宏さんが出てきたときには 驚きました。母はもっと驚いたみたいで
「あの黄色い髪して出てきたらどうしようと思ったけど」とつぶやいていました。

ヨイトマケの唄を歌う美輪明宏さん。
圧巻でした。
真剣さと 唄にかける思いが 画面の向こうから響いてきました。

真っ暗な画面が数秒続き 美輪さんの声が聞こえてきます。「父ちゃんのためなら エンヤコラ」「母ちゃんのためなら エンヤコラ」・・・
その声が凄かったです。そしてもちろん歌も。身動きできませんでした。

歌を聞きながら 幼かったころを思い出していました。あの頃は 日本が貧しさから這い上がって成長していた時代だったけど、それでも裕福な家庭の子は数えるほどで ほとんどが物をあまり持っていなかったから「持っていない」ことに悔しさや卑屈さを感じることはなかったように思います。そして 父と母がわたしたちのために 働いてくれていたことも蘇ってきました。母は父が勤める会社の社長のお宅の家事を手伝っていました。
給料日には 給料袋を見せて わたしと弟がいる前で 何枚かの袋にお金を分けて入れていました。
「これは お前たちの学校にかかるお金。これは 食事分。これは 電気代。・・・」
あっという間に 目の前のお金が振り分けられて 残ったのは小銭。その小銭を大事そうにふたりに分けてくれました。だから わたしたちは母に「ねぇ 今日のお給料 はしたはあった?」と聞いたものでした。10円あれば 貸し本を借りることができます。わたしはそれを楽しみにしていました。

そんな遠い時代のこと、父母が一生懸命働いてくれた時代のこと。
美輪さんの歌は 懐かしさとともに 忘れていた何かを思い出させてくれたように思います。

今年の紅白。
美輪明宏さんの歌を聞けただけでも 最高でした。

母が
「背景に何も無いっていうのもいいもんだねぇ・・・」と。
どの方も 背景や舞台に趣向を凝らして 見せ場を作っていた中で 美輪さんの時だけ 暗く 逆にそれが黒い衣装の美輪さんにスポットが当たり とても効果的でした。シンプル イズ ベスト・・・それが見事に凝縮された時間でした。

よいとまけ。〈建築場所の地固めのため、数人がかりで重い槌を滑車で上げ下ろしすること〉
生活のために女ながらに男に交じり 大変な仕事をしている母のことを他の子たちがはやしたてる。母の職業を笑う子どもたち。じっと耐える・・・

歌の背景にあるそんなシーンが目に浮かんできます。
亡くなった父がよく言っていました。
「○子、人間は 職業に貴賎なしだよ。いいか、貴賎はないんだよ」と。
そのせいか わたしは周りの子たちの親がどんな職業についているのかなんてことに無頓着でした。そんなある日、同級生の家に数人で遊びに行ったことがありました。その子のお母さんが皆のお父さんは何をしているかと尋ねました。父は今でいう営業でしたが、そのときは営業という言葉も知らず、汽車に乗って大きなカバンをかついでお菓子(サンプル)を持ってお店に行ってると話したように思います。その子の家は立派な家でした。広くて アパート住まいの自分には羨ましいほど広い家に感じました。
次の日 その子がわたしに
「あのね お母さんがね、○子ちゃんはあと連れてこないでって言うから。ごめんね」と言いました。
わたしは一瞬 意味がわかりませんでした。でも なんとなくその子のお母さんの態度を見て感じていたことが これだったのかと思いました。

学校では図書館に通い 毎日本を借りるのを楽しみにしていたわたし。その日も何冊か本を借りて帰り、母が帰るのを待っていました。字面を追いながら 頭の中では別のことを考えていました。
「世の中には 広くて大きな家に住む家族もいる。アパート暮らしの家族もいる。あの子のお母さんは毎日何をしているんだろう。うちの母さんは 毎日朝から晩まで働いているけど。父の仕事って そんなにダメなのかなぁ。」

またある日、町でもかなりのお金持ちの家の息子とわたしは同級生でしたが、そのお母さんはとてもフレンドリーでした。わたしの母にも気軽に話しかけ お互いの子どものことを話したり わたしにも話しかけてくれる そんなお母さんでした。

わたしは 家につれてくるなと言ったお母さんとその男の子のお母さんのことをよく思い出します。先のお母さんの顔は一度見ただけなので忘れましたが、男の子のお母さんは何度か見かけ 声をかけてくれたりしました。人間って いろいろだなぁといつも思います。
父が言ったように「職業に貴賎なしだよなあ」と心に言い聞かせている自分がいます。
ヨイトマケで働くお母さんの姿を思い出しながら その後の人生を頑張り通して生きたであろう主人公のような人がこの世には沢山沢山 存在しているだろうと 歌を聞きながら 考えていました。

この歌 これから聴き続けたい歌の一つになりました。

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2 コメント

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私も… (かおる)
2013-01-01 13:09:00
あけましておめでとうございます

私も三輪さんの歌に感動しました
秋田公演は行けず、テレビで聴けるのがわかってから楽しみにしてました

最近つくづくかんじる、「日本人が失いつつあるもの」

高度成長期に育った私も慎ましい生活から豊かな生活まで経験してますから
「物質的価値観」が先走って見失ったり、感じなくなる事のなんと多い事か…

今年は、内面をもっと豊かにして、周りの人達にもその豊さを感じてもらえる生き方を意識して過ごしたいと強く思います
まだ、小さな孫にも物にとらわれず、心を豊かに育てたい…(難しい環境の世の中ですが)

その祈願も含め、これから岩木山神社へ初詣に行きます

今年もよろしくです
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かおるさんへ (けい)
2013-01-01 14:18:04
ここにコメントを残してから 初詣に出かけられたのですね。
無事に家族皆様のご祈願を・・・

わたしたちが生きている時代よりずっと 母や祖母たちが生きていた時代の方が変遷が激しかったのだろうなと感じます。戦前 戦中 戦後と生きて 戦後世代のわたしたちと同じく暮らしていても 思いはどこか違うのでしょう。
そのどこか違う部分に少しでも目を向けていければこれから生きていく若い世代にも 何かしら伝わっていくものがあるのではないかと思っています。

今年も始まりましたね。
いよいよ!といった感じがかおるさんにはありますよね。頑張ってください。応援しています。
広報見ましたよぉ~♪寒い中 お疲れさまでした!
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