経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

プロの望みと有訓無訓

2011年04月18日 | 経済
 今日は、趣向を変えて、日経ビジネス4/18号を取り上げよう。読んでいない人は、こめんね。新編集長が就任したようなので、そのお祝いだ。実は、先々週号の時点で、寺山正一さんから山川龍雄さんに交代していたようだが、仕込みの時間もあるので、今週号が実質的なデビュー戦ではないかな。

 さて、いきなり、先制パンチで恐縮だが、巻頭に「編集長から」を持ってくるのは、いかがなものか。しかも、財政を家計に例えるという低レベルの内容。これを見ただけで、大丈夫かと思えてくる。ビジネスは、長いこと「有訓無訓」を巻頭に置いていたのを、寺山さんが巻末に変えてしまったが、これすら違和感があった。

 小姑的ですまないが、ビジネスは、元々はエグゼクティブ限定の雑誌であり、いわばプロに対面して書いていた。だから、プロでも一目置くような人の円熟味のあるコラムを巻頭に置いていたわけである。まあ、大衆化したと言われれば、それまでだが、さすがに、学生や新人に説くようなことを掲げられるとね。

 それで、「これはダメかな」とページをめくっていったのだが、なかなか良い特集を組むではないか。特に、「船頭なき漁港再建」は出色だ。今回の震災では、漁業の町が大打撃を受けたのに、日経本紙を含め、誰も漁業の将来を語らない。「エコタウン」だの、現場から遊離した話ばかりが踊る始末である。

 そんな中での「初めて」の記事だから価値がある。むろん、本コラムでは、早くから漁業の課題と将来について指摘していたが、現場取材ができるわけではないから、満足なことは書けない。ぜひ、この視点で復興を追いかけてほしいと思う。地元紙では、共同化などが報じられていて、改革の芽吹きも見られるしね。

 言うまでもないが、週刊誌は新聞と違って、取材に時間をかけられる。それだけに、新しいこと、語られてないことを抉らなければならない。ちっょと尖ったというか、一風、変わったというか、「これは知らなかった」というものがいる。例えば、巻頭の財源論など、プロなら承知のことで、せめて、どのくらいなら国債を市場は飲み込めるのか、最低限必要な増税とはどういうものかまで踏み込まないと意味がない。

 その点、先々代の佐藤時代は、時折、「読ませる」特集があった。寺山時代は、良くまとまっていて、ソツはないのだが、「日経本紙と主張が変わらないな」という食い足りなさがあった。贅沢ばかり言ってはいけないが、ビジネス編集長は、日経幹部への登竜門なのだから、頑張ってほしい。そうそう、交代間際に震災に見舞われて大変だった寺山さんも、お疲れさまでした。次は本紙での署名記事を期待していますよ。

(今日の日経)
 米独は67歳に、年金支給年齢、改革遅れる日本。震災復興財源、7割が容認。福島原発、6~9か月で冷温停止。米成長率、エコノミストが相次ぎ下方修正。中国が預金準備率0.5%上げ、インフレ抑制へ今年4回目。震災対応、今こそ与野党歩み寄れ、北岡・御厨両氏対談。

※本当なら年金を書くところだが、予定稿があったので、明日にしたよ。今週の日経ビジネスは、チェルノブイリと言い、東レと言い、粒ぞろいだったから、お勧めです。ただ「農林漁業再生5条件」は在り来たり。特区と規制緩和という「ガマの油」でごまかしてはダメよ。

コメント (1)
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