経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の心

2/14の日経

2019年02月14日 | 今日の日経
 昨日、内閣府・消費総合指数が公表され、12月の消費指標が出そろった。日銀・消費活動指数とは動きが分かれたので、今日、発表のGDPがどう出るか楽しみだね。そんな中、総務省・消費水準指数は、この12月が最後の公表となり、CTIに道を譲る。使いにくいと散々に批判された家計調査の指数だが、移動平均を使えば、十分に動向は分かる。要は使い方であり、物価上昇に弱いクセを知っていれば、むしろ、庶民の敏感さが役に立った。他方、新しいCTIは安定していて、誰でも使いやすい。こんな地道な改善に感謝しつつ、あって当たり前と思わず、統計を利用したいものである。

(図)



(今日までの日経)
 工作機械 内需も減少鮮明 1月受注額18%減 中国向けなお低迷。不祥事対応の第三者委報告書 公表リスク、悩む企業。

※製造業の企業収益の下方修正も相次いでおり、景気の先行きが心配だ。
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緊縮速報・賃金伸び悩みの原因とは

2019年02月10日 | 経済(主なもの)
 売上が立たねば、賃金も上げられない。政府が緊縮を敷き、GDP比で1%超も資金を吸い上げていたら、内需が伸び悩むのも道理であろう。政府ができることは、緊縮を加減して内需を伸ばし、賃上げを促すことだが、政府予算案の緊縮度合いについては、ロクに議論もされず、去年の実質賃金がマイナスだったか否かで白熱しているようだ。アベノミクスが、輸出を増やした反面、内需を低迷させたことを踏まえ、どう直すかの主張があって然るべきだと思う。

………
 2/1に公表された国の税収の12月実績によれば、2018年度の累計額は、前年同月比+4.2%となっており、補正予算の見込む税収額59.9兆円(前年度決算比+1.9%)を大きく上回るのは、確実な情勢である。その分だけ予定外の緊縮となるわけで、本コラムの予想額は、法人税の増加率が企業業績見通し並みになるという設定で、61.1兆円まで上ブレすると見ており、緊縮幅は1兆円超に及ぶだろう。

 同じく緊縮の状況を、日銀・資金循環統計の一般政府の資金過不足で見ると、2017年にGDP比-3.5%の赤字だったものが、2018年は、最新の7-9月期までの4期移動平均の水準が維持されると仮定すれば、-2.1%まで改善すると見込まれる。昨年は、輸出が衰える中、内需も緊縮で低迷させたわけで、実質成長率が0.7%程に落ちるのも仕方あるまい。してきたことに照らせば、賃金の伸び悩みを嘆くより、赫々たる財政再建を誇るべきところだ。

 1/30に公表された「中長期の経済財政に関する試算」では、基礎的財政収支の赤字をゼロにするのが、目標の2025年には1年遅れるものの、従来より1年早まることが示された。しかも、「試算」の税収は、実勢より低い予算額を出発点に計算されているため、税収の上ブレによって、基礎的収支は、更に上方へシフトする可能性が高い。本コラムの税収予想を基にすると、下図の緑線のとおりで、2024年には、財政再建の目標を前倒しで達成できることが分かる。

 税収予想については、2018年度はともかく、2019年度は不確定要素が多いものの、少なくとも、現下の財政状況には多少の余裕があり、景気失速の恐れを犯してまで、緊縮を進める必要はない。つまり、緊縮を緩め、非正規への育児休業給付を実現して出生率を高めるといった施策への還元は十分可能であり、そうした議論こそが内需を高め、賃金上昇を促進することにつながるのである。

(図1)


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 一方、緊縮は、国・地方の財政ばかりでなく、2019年度は、社会保険でも、しっかり行われる予定である。日本では、政府全体の収支は視野の外に置くため、こうした事実は、指摘されることもない。社会保険で大きな黒字を出すのは年金なので、1/28公表の「平成31年度予算の説明」から、厚生年金の収支を取りだすと下図のとおりとなる。前年度より更に収支差が狭まり、約0.4兆円の緊縮になっていることが分かる。

 保険料収入は、前年度比+0.6兆円(+1.9%)と、2018年度が+1.2兆円(+3.3%)だったことを踏まえると、やや控えめな設定である。他方、保険給付費等は、前年度比+0.4兆円と、2018年度の+0.8兆円から半減しており、支給開始年齢引上げの効果がうかがわれる。過去の傾向から、保険料収入等は低めに、保険給付費等は高めに見積もられていると考えられるので、決算ベースでは、2018年度に収支が均衡し、2019年度は黒字が拡大すると予想される。

 厚生年金の給付額については、2018年の消費者物価上昇率が+1.0%だったのに対し、2019年の改定は+0.1%に抑制され、実質的に0.4兆円ほど目減りする。物価指数の上昇幅は、2012年から+5.1にもなるのに対して、年金額の改定幅の累計は、-0.8と逆に下がっている。負担と給付のバランスを取るために必要なこととは言え、60歳以上の世帯主が半数を超える現状では、賃金が上昇しても消費が伸びない原因の一つである。

 現役世代の減少を踏まえれば、年金給付の抑制はやむを得ないにせよ、その分、政府全体での財政収支の健全化が進むわけだから、これを活かして、少子化対策を拡大する発想が求められる。緊縮の一本槍では、成長を抑制するだけになるため、成長の基盤となる人的投資に還元し、出生率を高めれば、ストレートに年金給付の改善につながる。そうして成長が高まるなら、財政再建も早まるというものだ。

(図2)


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 金融緩和によって、輸出や民間の建設投資を高め、雇用の量を増やしたことは、アベノミクスの成果と言えよう。他方、緊縮財政によって、財政再建を進め、内需を弱めたことは、利点でもあり、欠点でもある。世界経済の減速によって、輸出の雲行きが怪しくなる一方、財政収支は、既に大きく改善しているのだから、現実主義に基づいて、軌道修正を図るべきである。その具体策の提案が求められる。


(今日までの日経)
 貿易戦争 デフレ圧力招く。超高級車販売 5年で国内3倍。自動車・非鉄、2割減益 中国減速、下方修正相次ぐ。欧州景気、減速鮮明に。核条約の死 日本の選択は。中国企業の失速鮮明 18年、1000社減益 赤字も1割。

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2/6の日経

2019年02月06日 | 今日の日経
 金融緩和はヒモで押すようなもので、不況には効き目が薄いというのは、ケインズの時代から言われていたことで、アベノミクスも、その轍を踏んでいるだけである。金融緩和の直接的な効果は、輸出と住宅に及ぶに過ぎず、これらが「不発」に終わった上に、緊縮を重ねたことがアベノミクス失敗の理由である。

 他方、財政出動も効果がなかったという説も根強い。事実として、「失われた20年」では、拡張は一時で、緊縮が大半だから、話にならないのであるが、赤字があるうちは、赤字が縮小しても緊縮ではないという誤った感覚が強いようで、この上は構造改革しかないと、あらぬ方向へと迷走してしまう。 

 事実をGDPの年次推計でプライマリーバランスを見れば、下図のとおり。過去20年のうち、一般政府の合計が下向きの拡張になった年度は、1998、2002、2008、2009年の4回だけ。1998年は、前年に度外れた緊縮財政を試みて経済構造を壊し、自ら本物の財政危機を招いた時で、2008~09年はリーマンショックのときだ。

 リーマン前は、成長を輸出に頼り、緊縮で内需を育てなかったために、輸出の崩壊で元の木阿弥となった。アベノミクスも基本は同じである。したがって、最も怖いのは輸出を失うこと。日本経済は、賽の河原をしているように思える。現実から目を逸らさず、財政無効説から早く脱してほしいものだね。

(図)



(今日までの日経)
 「日本製」アジア輸出加速 資生堂、九州に新工場。中国減速、企業業績に影 10~12月、日本・アジア減益 米欧も伸び鈍る。

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アベノミクス・景気後退期にある可能性

2019年02月03日 | 経済(主なもの)
 災害のあった前期の反動増で高めに出るはずだった10-12月期GDPは、落ち込みを埋めることもできそうにない厳しい状況にある。そうすると、次の1-3月期次第では、景気のピークは前々期の4-6月期だったことになってしまい、今は、既に景気後退期にあるという位置づけとなる。1-3月期の成長が年率1.6%を超えて来れば、景気拡大は続いていることになるにせよ、簡単ではない。そして、景気維持の最後の砦は、消費になるが、10月には増税で着実に潰す予定だ。この国は、一体、何を目指しているのだろう。

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 12月の鉱工業指数は、出荷が前月比+0.3となり、10-12月期の前期比は+1.9と、わずかながら、前期の減を埋め切れなかった。図でも分かるように、昨年春頃のピークを超えられずにいる。今後についても、生産予測を見る限り、良くて横バイで、低下する可能性が高い。特に痛いのは、設備投資の動向を示す資本財(除く輸送機械)が勢いを失っていることだ。長く続いた在庫の低下も止まり、上昇の兆しさえうかがえる。

 また、設備投資に先行する機械受注は、7-9月期まで増勢を保ってきたが、10-12月期は、6四半期ぶりにマイナスを記録しそうである。自律的成長は、設備投資が伸び、消費が追い、設備投資が応じる循環で進む。いったん、設備投資の伸びが止まっても、消費が持つうちは、再開の希望があるが、消費が崩れてしまえば、それも失われる。今年は、その消費を緊縮で抑制している上に、直接、増税で圧する予定であることがいかにも拙い。

 消費については、主要指標の公表はこれからだが、12月の商業動態を踏まえると、10-12月期は、前期比+0.8程の高いものになりそうだ。消費だけは、前期の減を大きく超える形である。内容的にも、景気上昇期に伸びる自動車や衣服等が好調だ。ただし、石油や生鮮の物価低下の後押しもあってのことで、今後は、1月の消費者態度指数が前月比-0.8と、3か月連続の低下になるなど不安がある。その中でも雇用環境の低下は著しい。

 実際、12月の職業紹介では、新規求人の前年同月比増加数が、災害の9月以来、3か月ぶりに、再びマイナスをつけた。労働力調査では、10-12月期の雇用者数は、前期比+5万人とどまり、増勢は明らかに下がっている。気になるのは、女性の雇用者数が、夏以降、頭打ちになっており、11,12月には低下していることだ。消費者態度や景気ウォッチャーが厳しさを増しているのには、実体的な理由がある。

(図)



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 10-12月期のGDPについては、本コラムは、実質で前期比+0.3ほど、年率1.1%成長くらいと予想する。これはコンセンサスに近いのではないかと思う。消費が大きく伸び、設備投資も高い。ただし、災害後の回復生産で稼いだ分が多くを占め、むしろ、勢いは弱まっている。外需は、輸出が回復を見せたものの、それ以上に輸入が嵩み、大きめのマイナス寄与になりそうで、成長率を大きく下げる要因となる。加えて、公共投資は、大きく足を引っ張った前期に続き、マイナスは6期連続になると見られ、緊縮の成果がしっかり出る見通しだ。

 問題は、次の1-3月期である。反動増、物価安、ボーナス増など、消費を高めた一時的要因が抜け、地力が問われるわけだが、雇用環境の停滞を踏まえると、なかなか厳しい。輸出や設備投資でも、反動増要因の剥落があるため、多くは期待しがたい。住宅については、持家と分譲に消費増税前の駆け込みが出始めても、貸家は、融資が締まって、着工の底入れもできていない状況にある。

 おそらく、2019年度予算が成立する頃には、経済の厳しい実態が次第に明らかになって、「これで本当に消費増税なんてできるのか」となろう。そもそも、2018暦年の家計消費(除く帰属家賃)は、2013暦年の増税前水準を回復できない。他方、財政赤字については、2013暦年にGDP比-7.7%もあった一般政府の資金過不足の赤字は、2018暦年には-2.0%を切るところまで大幅に改善している。

 それにもかかわらず、まだ消費を犠牲に、緊縮を続ける様相だ。もっとも、こんなことをしている意識は、まったくあるまい。政治的な予算数字しか見ず、最新の統計データは無視されているからである。苦心の統計データも活かさねば意味がない。大隈重信が言うように「施政の結果を鑑照せざれば、利弊を知るに由なし」だ。財政整理の中で、統計の重要性を痛感し、整備に努めた故事は、未だ今日的である。


(今日までの日経)
 高齢者向け賃貸住宅 安いほど要介護者流入。日常的に医療ケア必要な子 10年で2倍。女性就業率5割超す。FRB、追加利上げ休止 資産縮小早期終了。

※ 総務省によれば、厚生労働省の統計職員数は、2009年から2018年の10年で46人減となっている。国家公務員の年収は約670万円だから、この間に節約できた人件費は、ざっと1.5億円程だろう。もし、毎勤統計のたった1人のプログラム担当者を二重にし、母数復元のミスを防いでいたら、労働保険の追加給付に必要な195億円の事務費は不要だった。少しの人件費を惜しんで巨大なリスクを犯す、やってはいけない合理化の典型だろう。

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1/31の日経

2019年01月31日 | 今日の日経
 12月商業動態の小売業は、前月比+0.9と好調で、10-12月期の前期比が+1.2となった。実質では、物価が低下していることから、更に高いものとなる。12月の景気ウォッチャーが低下していたので心配だったが、結局、今期の消費は、期初での想定どおり、前期からの反動増が大きく出て、高めの伸びとなった。問題は、反動増が抜ける1-3月期である。基調はしっかりしているものの、1月消費者態度が大きく低下していて、何とも不気味である。

(図)
 


(今日までの日経)
 財政黒字化 なお1年遅れ。労使、人材確保を優先 高卒初任給アップ 非正規の待遇改善。


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