経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の心

会食に関する感染防止策への疑問

2021年04月18日 | 経済
 感染確認数が日に1200人にもなった大阪は、増加率こそ鈍ってきたものの、未だ1週間で1.37倍のハイペースで伸びており、3度目の緊急事態宣言も危ぶまれる状況だ。金曜にマンボウの再拡大が決定されて、埼玉・神奈川・千葉・愛知も対象とされたが、先行した大阪がこの状況では、先行きが心配だ。東京は、緩やかながら増加率が上がっている。マンボウを始めて1週間が経過し、効果か見えてくる週明けからが注目される。

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 新型コロナは、ある意味、分かりやすい感染症で、会食に比例する。初めに気がついたのは、東京の第1波の4月で、緊急事態宣言の効果が出るより先に感染が減り始めたことだ。都知事の「夜の街自粛」で潮が引いたように人が減ったためと解釈するのが自然だった。そして、夏の第2波が飲食店の営業規制で収まったことで、会食こそが感染の最大のリスク行為であると確信するようになった。

 そんな認識だったので、忘年会シーズン前の11月に政府が「マスクで会食」を言い出したことには危惧を覚えた。これは、感染症を専門にする沖縄の高山義浩医師も同じ見方だった。案の定、12月には感染が急拡大し、2度目の緊急事態宣言に至ったわけである。そんな失敗策だったが、再び登場したのが、大阪の4月のマンボウ対策であり、未だに抑え込むことができないでいる。

 理屈で言って、マスクなしで15分話をすれば濃厚接触者になるのだから、食う度にマスクを外しつつ1時間も過ごしたら、リスクがあると考えざるを得ない。政府は、「5つの場面」として、休憩室や更衣室でマスクを外すのも注意の対象にしていることを踏まえれば、アクリル板と換気で十分に防げるのなら、明確な根拠が必要だと思う。そもそも、4人以下に限るのは、防ぎ切れないからではないのか。

 そんな中、都知事は、「東京に来ないで、買い物は3日に1回に」を求めているようだが、どのようなリスク行為の防止に結びついているのか判然としない。通勤電車やレジ待ちがリスクというわけではなかろう。むしろ、自粛を強化するなら、4人以下で20時までをOKにしている会食を締めるべきではないか。全面的な自粛が求められないのなら、2人だけ、30分以内といった制限の仕方もあると思う。変異株の感染力が強いならなおさらだ。 

 若者に感染が多いことに関して、若者を非難する向きもあるが、人ではなく、行為を対象にすべきである。若者とて、マスクをしていない者はほとんどいない。問題は、やはり会食だ。所帯持ちは家に帰って話ができるが、独身の若者はそうではない。そんな寂しさを汲みつつ、我慢を求める必要がある。若者は予防が足りないとするだけでは、きまじめな若者から反感を招くし、会食の問題は若者だけではない。

(図)


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 飲食店の営業規制を早々と解除した大阪は感染の蔓延に苦しみ、愛知も解除した途端に急増し、福岡も少しラグをおいて増えだしている。一方、宮城は営業規制をかけて減少させることに成功した。会食こそが問題という状況証拠は積み重なっている。こうして見ると、営業規制は、繁華街を抱える大都市では、ワクチン接種が普及するまで外せないのかもしれない。終わりは見えているのだが、まだコロナとの戦いは続く。


(今日までの日経)
 日米首脳会談 「中国」「脱炭素」米が問う覚悟。コロナ下 売れる高級品。半導体不足、耐えるトヨタ。埼玉・神奈川・千葉・愛知、「まん延防止」適用へ。「財政赤字は悪」今は昔。TSMC独走、世界のリスクに。

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4/15の日経

2021年04月15日 | 今日の日経
 2月の機械受注は、民需(除く船電)が前月比-8.5%の低下とだった。製造業は堅調に推移していて、消費増税後水準から上をうかがう状況にあり、非製造業も大きく下げたが、この3か月程で均してみれば、コロナ禍後のレベルを保つ。驚いたのは、外需の大幅な伸びであった。大型案件も然ることながら、世界経済の回復ぶりを反映している。今後も、輸出を牽引役に設備投資も上向くものと思われる。

(図)



(今日までの日経)
 1人10万円給付、高所得層は貯蓄 大半。 福島第1 処理水の海洋放出決定。大阪府 感染1000人超。 子ども庁、党公約に。 米消費者物価 伸び加速。中国輸出入とも最高。ワクチン高齢者接種開始。

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不運の重なりと幸運の意味

2021年04月11日 | 基本内容
 悲劇は不運が重なったときに起こる。重ならずに済んだ場合が幸運なのだ。NHKメルトダウン取材班による『福島第一原発事故の真実』を読むにつけ、改めて、そう思わざるを得ない。そして、重なった一つひとつについて、これを防げたならばと考えてしまう。10年を経て明らかにされた真実は、献身的な現場の踏ん張りにもかかわらず、ベントも注水もできず、わずかにできたことが汚染やデブリを加えてしまうという過酷さである。現実とは、かくも厳しいものなのか。

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 『事故の真実』には、身につまされるような教訓がいくつもある。結果の重さを思えば、教訓と言うのが辛いほどだ。小さなリスクを避けたために、大きなリスクを招いてしまう、一気に情報が押し寄せ、最重要の情報を認識できなくなってしまう、対応が現場に集中し、トップの指揮は現場を疲弊させるだけに終始してしまう等々、日本では特に弱点になりがちと感じさせられるものも多い。 

 現場が情報と対策を一編にやり、トップは容喙するだけになるのは、現場が強いからこそであり、弱いと、そうなりようもない。現場が強いのなら、トップは、現場にさせるタスクの範囲を決め、補給や予備の投入を考え、情報の総合と分析に力を注がないといけない。現場を超える情報と兵力がなければ、単に前任者が同じ立場で注文をつけるようなもので、現場の邪魔になるだけだ。

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 金曜にマンボウの拡大が決まった。新型コロナは、会食が最大のリスク行為である。大阪府は、緊急事態宣言の解除後、すぐに大阪市外の飲食店の営業規制をやめてしまい、市外から市内、府外へと感染が拡がった。今回、対象になった京都府は遅れて急増した。対象外の奈良県の増加も著しい。愛知県も、営業規制を終えてから増え始めた。会食のシーズンに規制をやめることを重ねたがゆえの失敗であった。 

 他方、宣言の解除が3週間遅かった東京都は、その前から緩やかに増え、トレンドが変わらない。神奈川県は東京都と同様のトレンドにあり、埼玉県と千葉県は、未だ安定している。しかし、感染の水準が上がり、12月に加速したとき並みになったこともあり、東京はマンボウを選択した。4月に入れば、会食の圧力は弱まってくる。昨年も、4/14頃がピークだったから、これからの収束に期待したい。

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 そんな中、景気は強まっている。3月の景気ウォッチャーは、現状判断の「水準」で見ても、雇用がコロナ禍前の40台を回復した。企業も、製造業は昨年8月以来の高さである。当然、「方向性」となれば、もっと高く、雇用と企業は50の節目を超え、家計を含む合計でも49.0ともう一歩のところに来た。むろん、この背景には、輸出の好調さがある。鉱工業生産の4月の予測の非常な高さが象徴している。

 米国では、ワクチン接種が進み、急速にポストコロナへと向かっている。しかも、回復期に手を緩めず、重ねて景気対策を打ち、成長の巡航速度まで一気に持ち上げる戦略だ。成長が低いままでは、コロナ禍での債務がしこってしまう。財政出動に伴う金利上昇も懸念されるが、法人税率の引き上げを掲げ、見通しを示して不安を鎮めるようにもしている。戦略なき日本も、おこぼれの恩恵に与っているわけである。

(図)


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 福島では不運が重なったが、コロナでは国民のマスク習慣が幸運だった。ただし、会食は幸運の穴であり、予防の要になっている。景気は、やらずもがなの消費増税をして、コロナ禍になる巡り合わせとなったが、足下では、輸出に恵まれ、外需まで失う不運に遭わずに済んでいる。不運を重ねないためには、場当たり的な対応に引きずり回されず、本質を探りつつ戦略的に対応する余裕を持つことが大切だ。


(今日までの日経)
 膨れる高リスク資産。東京・京都・沖縄「まん延防止」。大阪、夜の人出2割減。出産支援策競う世界 出生数、コロナで急減。子ども庁へ府省部局統合。派遣料金、高値を維持。

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4/8の日経

2021年04月08日 | 今日の日経
 2月の景気動向指数は、先行指数が+1.2と更に水準を上げ、2018年の中頃の景気の最盛期並みになってきた。一致指数は、前月比-1.3と低下したが、前月に伸びた反動もあり、足踏みの状況にある。一致指数の中心を占める鉱工業生産の予測は、3月もマイナスだが、4月には高い伸びが見込まれる。大阪の感染拡大で再び不安感が増しているが、ワクチン接種で先行する米国の景気回復に引かれて、景気は基調を強めている。

(図)



(今日までの日経)
 東芝、英ファンドが2兆円買収提案。成長率、米中が突出 財政出動・ワクチンで上方修正。個人事業主に識別番号。工作機械など7業種で改善 4~6月、産業天気図。

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スガノミクス・マンボウと景気の行方

2021年04月04日 | 経済(主なもの)
 今週は、ヤンボウ、マンボウ、景気予報といったところか。景気の基調は強く、2月の商業動態・小売業は102.8と消費増税「後」の最高となり、鉱工業出荷(除く輸送機械)は前月比+2.9の103.7となって、消費増税「前」の水準を取り戻した。そんな中、3月下旬になって、大阪を中心に感染がぶり返し、「まん防」が発動されるに至った。5月には高齢者へのワクチン接種が本格化し、コロナ禍の終わりも見えてきた中、最後の難所にさしかかった。

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 2月の小売業は、コロナ蔓延による1月の減少の反動もあって、前月比+3.1と大きく伸びた。その水準は、消費増税「後」並みである。構造を見ると、飲食料品は、増税の対象外だったこともあって、増税後も水準を維持し、外食が規制された分、やや高めだったりする。小売業全体は、増税により水準が低下しており、衣服・身の回り品は、コロナ禍の外出自粛の影響を強く受けている。モノに関しては、コロナ禍より消費増税の悪影響が強く残る。

 2月の鉱工業出荷は前月比-1.4となったものの、設備投資の動向を示す資本財(除く輸送機械)は前月比+2.9だった。これで1,2月の前期比は+7.3となったので、景気をリードする設備投資は、前期に続き1-3月期も大きく伸びそうである。ちなみに、3,4月の生産予測が-13.1、+31.5と激しく動いているのは、季節変動の3月のピークが4月にズレ込んだためと考えられ、基調は強いと見るべきだろう。

 雇用については、2月の労働力調査の就業者数は、前月比+3万人と若干の増で、6,697万人だった。コロナ禍前のピークとは、まだ50万人ほど差があるものの、景気が悪くなかった2018年末頃と同じくらいの水準にある。失業率は2.9%と前月から横ばいだった。新規求人倍率は、前月比-0.15の1.88倍となり、2か月連続のマイナスだ。前月からは、求職が増え、求人が減るという形での悪化である。

(図)


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 首都圏より3週間早く緊急事態宣言が解除された大阪府では、感染確認数が急増している。週に2.2倍のハイペースなので深刻な状況だ。ところが、同時に解除された福岡県では、感染確認数に変化がない。愛知県は、大阪府に遅れての増加となった。おそらく、こうした違いは、飲食店の営業規制を解除した時期の早さによる。大阪では、すぐ解除された大阪市外で感染が拡大して全体に波及した。福岡県では、規制の解除は3/22になってからである。 

 新型コロナは、会食が最大のリスク行為である。会食を増やせば、感染が増える。減らせば、減る。ある意味、単純だ。その点、「マスクで会食」や「外出の自粛」は、リスクとのつながりがボヤけてしまう。会食には季節性があり、3月は意欲が強いので、そこで規制を緩めると、感染増につながる。会食をいかに増やさないか、特に、意欲が強い時期に抑制することが予防のカギとなる。

 首都圏は、規制の解除が遅く、限定的だった。宣言の解除から10日が過ぎ、その結果が出始めているが、緩やかな増加で済んでいる。4月以降の会食の意欲の低下に伴って、落ち着いてくればと願っている。5月には高齢者へのワクチン接種が本格化し、コロナ禍の終わりも見えてくる。最後の難所を越えれば、輸出が先導する景気の基調は強いので、消費増税の悪影響に苦しみつつも、展望が開けてくるだろう。


(今日までの日経)
 「一億総中流」もはや過去。新規感染増、43都道府県に。米雇用復調、91万人増。「まん延防止」大阪・兵庫・宮城。「子ども庁」検討指示 自民に。景気「K字型」鮮明に 3月日銀短観。大阪、時短緩和で感染拡大 解除直後の10倍。

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