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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

迷走の中の物価の安定化

2025年04月20日 | 経済

 与党はバラマキに失敗し、年金からは逃避。あまりに予想どおりで、政治主導なんて、所詮、こんなもの。社会保険連動型の給付つき税額控除を導入すれば、バラマキの名分は立ち、一気に適用拡大ができて給付も下げずに済む。どうして、経済的に合理的な政策を選ぶことができないのかね。年金の抜本改革なんて、目立ちたいばかりに世迷言を叫ぶ輩が党内にいるからなのかな。

………
 3月の全国の消費者物価指数の総合は前月比+0.3と、なんとなく低めで、加速は止まった感じだ。サービスは、帰属家賃も上がって前年同月比2%弱が定着した感がある。金融政策は、緩やかに、かつ、トランプ関税にかかわらず着実に、金利を上げるで良いだろう。物価高対策は、円高原油安でガソリンの補助金が不要になったように、節目を迎えている。本来は、賃上げや物価スライドまでのタイムラグを埋めるべきものなのだし。

 トランプ関税で星先生は、「輸出に頼る構造は再考が必要」と言われるのだか、代わりにどうするのかだよね。「円安にして、輸出は伸ばすが、消費は見ない」の逆をしなければならない。今は利上げ局面にあって、円安是正は大丈夫だが、財政を上手くコントロールし、消費を伸ばせるかになる。基本は、どうやって、税・保険料の自然増を見込んで、安定的に還元していくかだ。消費減税とか、一気ものはダメである。

 高度成長期は、実は、今より輸出に頼っておらず、自然増収を事前に見込んで、減税で還元する方法を取った。当時は大した政策だとは思われていなかったが、失ってみると、今更ながら再評価せざるを得ない。ただし、今は、税より社会保険料の負担が遥かに大きいので、これをどう戻すかに知恵が必要となる。最初から無理と思う先入観があるから、合理的な政策に行き着かないのである。

 年金の社会保険料は、原理的には、負担を減らすと将来の給付が減るため、野放図に減らせという話にならない、今と将来の必要度を考えつつ、負担減を量ることになる。また、適用拡大や少子化緩和につながれば、負担を減らしても給付が増えるメリットもある。負担減に補正予算を使えば、プライマリーバランス達成後の次の目標である補正予算の整理にも役立つはずだ。

(図)

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 米軍駐留経費を全額持つくらいで、トランプ関税が収まれば安いものだが、それに加えて自動車の対米輸出を数年でゼロにするくらいは、求められるだろう。既に失っているとはいえ、輸出を成長の起動力にすることはもうできない。米国のように内需で成長を引き出すには、どういう戦略になるかまじめに考えなければいけない。それが今の政治にできるとは、到底、思えないのがやるせない。


(今日までの日経)
 トランプ関税、日本は改革の好機に・星岳雄 政府・自民、ガソリン価格10円下げ。社説・年金改革から逃げる政治は無責任だ。「安保」握る米国 糸口探る日本 関税交渉スタート。基礎年金底上げを見送り。経済対策、狭まる選択肢。訪日客1000万人、四半期で初。巨額政府債務の下で利上げは効くか 門間一夫。

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4/16の日経

2025年04月16日 | 今日の日経

 10-12月期の生産側GDP速報が出たので、2024暦年+3.0%成長の寄与度を見ると、名目では卸小売業が1/3の+0.9を占めて1位、金融保険業が2位で+0.3、製造業が3位で+0.3となる。インフレだから1位は分かるにせよ、2,3位は意外ではないかな。そして、実質成長率+0.1%の中身は、やはり卸小売業はゼロで、製造業は-0.5に沈み、1位が金融保険業の+0.2、2位が保健社会業の+0.1となる。コロナ以降、知らないうちに日本は金融立国になっていた。カネで豊かさを測るがゆえの不思議さだ。

(図)


(今日までの日経)
 ガソリン補助、初のゼロ円 原油安・円高反映で。自民幹部「今国会の補正見送り」 予備費で電気・ガス補助。ホンダ、米で9割現地生産 カナダ・メキシコ縮小。日本人の数、減少幅最大の89万人。都の人口増は3年連続。減税・現金給付、野党も批判。初任給30万円以上130社。

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家計GDP 10-12月期・何がしたいのか分からない

2025年04月13日 | 経済

 無茶苦茶が売り物のトランプ関税だが、長期金利の高騰は心配するんだと知って驚いた。それくらい想定できるだろうに。トランプを懲らしめたければ、報復関税ではなくて、関税を転嫁して値上げすることだ。日本は、利上げで円高誘導、転嫁で数量減なら、国内市場への転換を支援するので十分だろう。参院選に向けてバラマキというのは醜悪だ。筋立てのないバラマキでは勝てない。それとも、長期金利を上げて報復する高騰戦術なのかい。

………
 10-12月期の家計GDPが出て、名目で雇用者報酬が前期比+1.6%だったのに、税・負担の増で、可処分所得は-0.3%となり、家計消費は+0.2%にとどまった。そうなるよねという結果である。賃金と物価の好循環を目指すらしいが、本質は、賃金と売上の好循環であり、賃金と消費の好循環でなければならない。ところが、循環を堰き止めているのは政府だったりする。もっとも、2024暦年では、定額減税や物価対策で負担減にできていたが。

 こうして見れば、家計に安定的に還元できていないことが、日本経済の欠陥であることは明らかだろう。それなのに、思いつくのは、参院選目当てのバラマキだ。商品券のごとく配れば歓ぶとでも。アベノミクスが受けたのは、論理が変でも、時流に乗れる筋立てがあったからである。国民党の人気も、筋が通っていた部分があったからである。タダのバラマキだった定額減税は、もらった4か月後の総選挙で、すっかり忘れられていた。

 トランプの相互関税は90日先に伸びたが、いざというときに家計に還元する制度インフラがないという欠陥がまたも露呈した。財務省は、更なる財政再建目標を作るのに熱心だが、名目で成長するようになれば、いかに秩序立って還元するかが焦点になる。情勢が変化しているのに、満州死守しか掲げられないようでは破綻する。欧米の経験に照らしても、社会保険料連動型の給付つき税額控除の一択である。

(図)

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 トランプを見ていると、何を得たいのかが分からない。高関税で米国内に縫製工場を作りたいのかね。しょせん、「悪いのは外国、懲らしめれば、米国が良くなる」という思いつきに、多少、理屈を載せたものなのだろう。まじめに考えるのもばからしい。アベノミクスだって、日銀が国債を買いまくれば、設備投資が出てくるなんて、さっぱり分からなかったし、財政は黒字であるほど良いはずとか、古今東西、同じなのか。みんなまじめに考えてくれよ。


(今日までの日経)
 万博、きょう開幕。金融リスク、米に再考迫る 米国債急落が引き金 株価下落で巨額損失を抱えたヘッジファンドが保有国債の換金売り。米相互関税、上乗せ部分を90日停止 中国は125%に上げ。財務省が狙う次の財政目標 基礎収支の「黒字幅」浮上。。政府・与党、経済対策を検討 物価高で現金給付案。

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4/9の日経

2025年04月09日 | 今日の日経

 3月の景気ウォッチャーは、前月比-0.5と少し下げた。これで3か月連続の低下だ。物価高が続いているのだから、仕方ないところだが、ちょっと心配になる。賃上げを受けて、4月に底を打ってくれると良いのだが。トランプ関税で、輸出企業の収益は下がるにせよ、輸出量がどれだけ減るかは測りかねるところだ。関税を利上げによる円高で許してもらえるなら安いものだが、関税での懲罰が目的化して、米国自身、何を達成したいか見えてないのかもしれない。

(図)


(今日までの日経)
 米が中国に追加分104%。日経平均1876円高 上げ幅史上4位。日銀利上げ「外圧」あるか。日経平均2644円安、下げ幅歴代3位。低年金対策、政策か政争か。インフレで政府が資金余剰 税収増で初の黒字。中国、弱まる商品需要。 

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イシバノミクス・トランプ関税ショック

2025年04月06日 | 経済(主なもの)

 トランプ関税で株は急落したが、米国の実体経済に打撃を与えるかどうかは、輸出企業がどれだけ値上げをするかだ。関税分を飲み込めば、消費は変わらないのだから。日本の場合、2021年までのドル円は110円位で、足下の147円だと36%安く、ある程度は飲みこめるはず。輸出を減らした企業には、政府が支援して、国内で売るインセンティブにしてもらうほかあるまい。クルマなら潜在需要があろう。財源はGAFAにでもかけるかね。

………
 2月のCTIマクロは、名目の前月比+0.2で、1,2月平均は前期比+0.7となっていて、消費は順調だ。家計調査では、名目の可処分所得が停滞する中でも、消費は伸びており、昨年半ばに低下した消費性向も元に復している。目下の課題は、名目での成長を保ちつつ、円安是正で物価を落ち着かせ、実質での成長を確保していくことである。その中で輸出が減るようなら、内需で補ってやる必要がある。  

 関税を上げると、普通は値上げになるし、国内の供給力は急には上げられないので、それは可能だ。そうなると、消費増税をしたのと同じで、消費を冷やし、設備投資の期待も下げて、成長を減速させてしまう。米国は、コロナ後で最良の経済だったのに、積年の怨みに駆られて自害行為に及んだ。報復関税をやる側も自らの足を撃つことになる。ドル高にあった米国は、輸出先で値上げせざるを得ないからなおさらだ。

 日本は、輸出を成長の起動力にしてきたが、これで完全に戦略を変えなければいけない。1980年代後半、円高不況に驚いて内需拡大をやり過ぎ、間違って好景気を導いてしまったが、これにならうことになる。産業政策としては、ドルを稼げなくなるのだから、デジタル赤字を減らすべく、国産企業育成という輸入代替政策への先祖返りが求められる。自由貿易の時代は終わったのだ。

(図)

………
 歴史的に見ると、米国は、時折、理不尽なことをやってくる。戦前の日本は、対抗コースを歩んで失敗したわけで、忍耐が肝心だ。結局、米国は、多大の犠牲を払った後とは言え、自由貿易に帰って来たのも歴史が示すところだ。今の日本にはイキったりする根性はないから心配はいらないけれど、中国はどうだろう。力があると対抗したくなるのは世の常であり、はた迷惑にならなければ良いが。


(今日までの日経)
 NYダウ急落、2231ドル安 関税応酬で史上3番目下げ幅。中国が報復関税34%。トランプ相互関税、崩れる自由貿易。円高、一時145円台。日米の長期金利急低下。中小賃上げ、33年ぶり水準。トヨタやホンダ、米での価格は当面維持。フォード、米国内で値下げ。

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