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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

アベノミクス・4月も再失速を観測

2015年05月31日 | 経済(主なもの)
 4月分の経済指標は対象期間の1/3だから時期尚早ではあるが、このままでは4-6月期はマイナス成長になるよ。それぐらい悪い数字だった。GDPの公表は8月17日なので、安保法制の強行採決で評判を下げたタイミングで、経済失速のニュースに見舞われることになる。諮問会議で歳出削減策に熱くなるのも良いが、9月の総裁選を前に、官邸エコノミストは、何か手立てを考えなければならないのではないかね。

………
 最初は家計調査だ。消費支出を二人以上世帯の季節調整済指数で見ると、基調を示す「除く住居等」は1-3月期平均より-2.1となっている。「除かない」数字となると-3.6にもなり、消費増税直後の昨年4月を下回るレベルという衝撃的なものだった。とは言え、勤労者世帯の消費性向からすると落ち過ぎであり、高かった3月の反動という要素もある。したがって、5月にはかなり戻るだろうが、それでも、4月の穴は4-6月期の平均を押し下げてしまう。 

 問題は、消費を裏打ちする勤労者世帯の実質実収入が前期より-0.3になったことだ。これでも、物価の低下に助けられており、名目では-0.5にもなる。実収入は、昨年夏以降、徐々に上昇して消費を支えてきたが、今年に入って鈍化し、4月は下げるに至った。実収入はブレが少ないので、低迷は大きな懸念材料である。

 次に、商業動態統計だが、マイナスは鮮明だ。卸売業は前期より-1.0、小売業は-0.6といった具合である。いずれも、4月は、3月との比較ではプラスになったものの、3月の落ちぶりが大きかった割りに戻りが弱く、1-3月期の水準にまったく届いていない。4月の水準は、卸売業では昨年5月より下で、小売業では昨年7月より低い。今年に入ってからの低迷ぶりは、振り出しに戻るような体たらくである。

(図)



………
 供給側の鉱工業生産指数に行こう。生産は前期より-0.6、出荷は-1.5である。そのうち、消費財の悪化が、生産で-1.4、出荷で-1.9と、顕著なのは当然としても、GDPの設備投資を占う資本財(除く輸送機械)の出荷まで-1.5となっている。1-3月期はプラス寄与だった設備投資も、なかなか苦しいようだ。おまけに、建設財は、出荷がプラスでも、生産で-0.4になっており、住宅や公共投資によるGDPの押し上げも望み薄である。

 仮に、鉱工業生産指数が予測調査の結果どうり、5月に+0.5、6月に-0.5で推移したとすると、4-6月期の前期比は-0.4になる。予測調査の結果は控えめな数字だが、消費増税以降、この3月を除いて、下方修正が続いてきたことからすると、更に低くなることも、念頭に入れて置かなければならない。

 他方、「明るい話題」は、日経が取り上げた、失業率3.3%という、18年ぶりの水準になる低下である。新規求人倍率も1.77と、このところの低下を取り戻す形となった。しかし、15~64歳人口が年間に100万人も減る時代になり、求職圧力が薄れていることからすれば、こういう数字に喜んでばかりもいられないだろう。GDPを考える上では、就業者数の動向を気にする必要がある。これを労働力調査の季節調整値の前月差で見ると、1月-2万人、2月+2万人、3月-10万人、そして、4月は-28万人である。

 ここで、毎月勤労統計を見たいところだが、来週火曜日までお預けだ。毎勤の給与総額の前年比は、このところ低下傾向にあり、これから賃上げがあるとしても、せいぜい+0.5である。しかも、消費を考える上では、ここから、年金保険料率のアップ分の0.2弱は抜かないといけない。あとは、3月に峠を越えた形になった常用雇用がどこまで粘れるかに注目だ。

………
 主要な経済指標がマイナスのオンパレードになる中、外需は、4月は輸出が鈍り、季節調整値では3月に黒字だったものが再び赤字に戻った。1-3月期と同様にGDPを押し上げることは難しくなってきている。物価についても、1-3月期には消費を押し上げたが、4月の全国は実質的に横バイ、5月の東京は除く生鮮が前月比0.1のプラスという結果だった。「6月にかけて物価は低下する」という見方が一般的だが、足元の円安は気がかりである。

 こうしてみると、これでマイナス成長以外の予想をどうしたらできるんだという状況にある。厳しい見方は、他のエコノミストにも共通していて、ただ、4月のうちにマイナスという刺激的な言葉を使うのは避けているだけのことだ。もちろん、5,6月に、グッと物価が下がったり、ドンと賞与が上がったりして、好転することもないとは言えない。しかし、今回、見てきたのは、単なる4月の下ブレではなく、ここ数か月の傾向である。

………
 なぜ、こんなことになってしまったのか。一つは、消費増税の悪影響は長引くということだ。1997年の際も、在庫が目に見えて減り始めたのは翌年の5月以降であり、鉱工業生産の底入れは夏になってから、上向き出すには冬を待たねばならなかった。すなわち、今の段階における不調も、前回の経験からは予想のつく範囲ではある。

 そして、もう一つは、そんな「病み上がり」の時期なのに、前にも指摘したことだが、今年は、前年度補正で0.8兆円、国の一般会計で4.4兆円、地方財政で1.2兆円、年金で1.6兆円、合計8.0兆円の緊縮財政を敷いていることである。実際、補正の影響は、1-3月期の公的需要のマイナスとして現れている。

 だから、アベノミクスが再失速しても何の不思議もない。2月の政府経済見通しでは、公的需要で成長率を-0.6も落とすと宣言していたわけだから、原油安の効果が期待を下回れば、こうなるのは、ある意味、当たり前である。日本経済は、やったとおりの結果を出している。僥倖を頼みとし、穏当な財政を怠ることの「甘さ」を露呈していると言えよう。


(昨日の日経)
 起業支援は最大2000万円に。5月株式相場は記録ずくめ。失業率3.3%18年ぶり低水準。原油安が食品値上がりを相殺。米GDP1-3月0.7%減。

(今日の日経)
 設備投資計画10.5%、非製造業国内2.0%。円急落はファンド主導。上海株売買がNY抜き世界最大。5月軽自動車2か月連続2割減。素粒子に迫る超ミニ実験。履歴書・一俗六仙。


※いや、平家さん、そこは前「期」との比較なので、数字は統計局と同一ですよ。ちなみに、経常収入の前「期」比は、名目-0.3、実質0.0となります。(5/31)

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5/29の日経

2015年05月29日 | 今日の日経
 ここまで円安が進むと、株高になっても、不安になってくる。せっかくの原油安が削り取られるような感じだ。つくづく、異次元緩和第2弾は余計だったね。昨日の4月の商業動態は、前月の落ち込みぶりからすると戻りは弱い。さて、今日の指標はどう出るかな。


(5/27の日経)
 123円台・7年10か月ぶり安値。働く年金世代急増、60代後半5人に2人。外食の7割が値上げ。

(昨日の日経)
 即日配送をヤマトが提供。ドル独歩高強まる。日銀決算4割増1兆90億円、自己資本積み増し。

(今日の日経)
 株の納税をマイナンバーで。円安12年半ぶり124円台。歳出削減18年度に本格化。東南ア景気に減速感。大機・金融の坂・富民。産業資材価格が円安進行で押し上げ。経済教室・政策立案に経済専門家を・内山融。
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低成長ほど緊縮せよという矛盾

2015年05月26日 | 経済
 月曜日経の「核心」は、平田育夫さんの「大見えを切る財政健全化」だったが、諮問会議の民間議員が歳出削減を5-6兆円で十分としているのは、将来を過大に期待しているわけではなくて、過去の期間である2014年度の国と地方の税収上ブレを勘案しているだけのことだよ。決算が済んでいないから無視するというのでは、おかしいでしょう。

 他方、より多くの削減を求める財務省の主張が、財政再建目標達成に必要な9.4兆円に対して、なぜか1.4兆円足りないのは、税収上ブレにより、2014年度の国の決算剰余金がそのくらい出ると見越しているからだろう。要するに、地方分については、国よりも決算が先だから、それは勘案しないということだ。

 そもそも、「高成長は現実的でないから、低成長を想定して、歳出削減を多くすべし」という主張には矛盾がある。財政赤字の縮小は資金を余らせることであって、低成長では余らせた資金を使う者が見当たらなくなるからだ。無理に余らせれば、経済を収縮させてしまう。国債の信用確保からしても、経済より財政が大事とはならないはずである。

 もし、低成長を前提にすると、インフレ率も低くなり、増税の余地は限られる。中長期試算では2016年度は0.3%しかなく、消費増税の影響がある2017,18年度は、追加の緊縮はとても無理だろう。するにしても、2019,20年度の2か年に限られるが、もともと1%弱しか実質成長率がないのに、これを失速させずに緊縮するのは困難を極めよう。

 低成長の中で、どうしても、財政再建をしたいのであれば、資金余剰となっている企業部門から法人増税で取り上げるか、企業から株主に行く所得を資産課税で吸い上げるしかない。現実的なのは、歳出削減よりも、余剰セクターへの増税である。もっとも、これらは、日経の望まないものではないかと思う。

 財政再建に当たっては、経済学の基本である資金過不足の観点が絶対に欠かせない。このことを、財政当局の若手エリートの中でさえ分かっていないように見受けられる者がいることには、暗澹たる思いがする。経済に合わせてしか財政再建はできず、経済とは独立に財政再建は進められないことを、肝に銘じなければならない。


(昨日の日経)
 ROE10%超3社に1社。エコノ・消える?地方の就職難。核心・大見えを切る財政健全化・平田育夫。
 ※平田さん、また敵役してしまってすまないね。

(今日の日経)
 地震保険料2~3割上げ。4月再び貿易赤字。日銀・異例の上方修正。政府月例・基調判断据え置きへ。
 ※消費動向指数が改定され、1-3月期は前期比+0.5とGDP速報に近くなったね。
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見た目と異なる惨状・1-3月期GDP

2015年05月24日 | 経済
 GDP速報は、ただの項目別の数字の羅列である。だから、「消費が伸びた」、「設備投資もプラスに」と説明するにとどめるのが、正確を期すというものだろう。しかし、前期比0.6%の成長のうち、在庫の押し上げが0.5%もあるという異様さを前にして、ストーリー仕立てで理解を試みるのも許されるように思う。

 1-3月期に何が起こったのかと言えば、まず、消費が、増税ショックからの緩慢なリバウンドを終えて、失速してしまい、積み上がった在庫を整理しているところだったから、これを大きく滞らせてしまった。売上げ減を受け、折からの原油安もあり、当然、値下げで対抗だ。こうなると、設備投資は抑制せざるを得ない。今、我々が目にしているものは、世評の「緩い回復の継続」ではなく、「異変発生」ではないのか。

………
 1-3月期GDPにおける数字、すなわち、消費の名目値のマイナス、在庫の大幅な押し上げ、消費デフレーターの大幅な低下、低調な設備投資と増嵩する輸入といったものを編集すると、「実質で消費は伸びているから、回復は継続」という見方とは別に、先のような筋立てを描くこともできる。ここでカギになるのは、毎月の消費の動きである。

 家計調査は、消費のブレが大きい統計だが、ベースとなる勤労者世帯の名目実収入を見ると、3月の季調値は101.3と、12月から0.1しか増えていない。実は、1-3月期の伸びは、12月までの伸びのお陰であり、期中では失速している。3月に消費支出は伸びたが、回復を意味せず、2月の減の反動である。消費性向からして、4月には再び落ちるだろう。

 消費総合指数で見ると、同じく12月と3月の差は0.1しかない。こちらは1-3月期の前期比も+0.1にとどまる。筆者を含め、多くのエコノミストが消費低迷を予想していた根拠となるものだ。結局、家計調査も、消費総合も、期中の動きは、勢いを失ったことを示しており、1-3月期中に伸びを稼げなかったことは、次の4-6月期の数字に消費の停滞として表に出て来る。なかなかに前途は厳しい。

 ところで、5/21の日経夕刊によれば、日銀幹部は、予想を超えた消費の高成長を当てていたらしい。つまり、多くが読み違えた消費デフレーターの大きな低下を分かっていたことになる。さすがは物価のプロと言うところだが、日銀が景気判断を前進させた裏には、もしや、消費デフレーターの低下が更に続くという見方でも持っているのだろうか。

………
 次に、鉱工業生産指数で供給側もチェックしよう。1-3月期の特徴は、1月に跳ね、2,3月は低調だったことだ。12月までの消費の伸びに応じ、1月は生産を高めたものの、その後の消費の低調さに遭って、元に戻ったような形である。したがって、1-3月期は前期を上回ったものの、3月の水準が低いために、4-6月期は、順調に伸びて行ったとしても、プラスにするのは容易でない状況にある。

 こうした1-3月期に生じた「発射台」の問題に加え、周知のように、足元の鉱工業生産は、在庫水準が高い状態にあり、しかも、2,3月に高まってしまっている。通例なら、在庫整理の圧力がかかって、今回とは逆に4-6月期GDPの足を引っ張ることになるだろう。つまり、需要側、供給側いずれも、この先は多難である。

 もし、4-6月期GDPが年率ゼロ%台の低いものになったとしたら、遡って1-3月期がターニングポイントであったと認識されるはずだ。人は、その時々の事態に合わせて、過去の認識も書き換えてしまいがちである。異変が起こった時には見過ごしておいて、事態が進んでから改めて気づく。変化を知るとは、そういうものである。

………
 名目の消費が四半期でマイナスになったのは、消費増税直後を別にすれば、アベノミクスで初めてのことである。期待された原油安だが、消費の名目での落ちをカバーする役回りとなった。メリットは、まだ続くと見られるが、原油安自体は、既に底を打っており、いつまでも頼りにはできない。

 やはり、肝心の消費が名目でも伸びる必要があるが、これを支える勤労者世帯の実収入はわずかな伸びにとどまっている。これは、雇用増の圧力が弱まりつつあることに関係していると思われる。一つデータを挙げれば、3月の毎月勤労統計の常用雇用は、前年度比が1.9%に低下し、峠を越えた形となった。これから、前年度に加速していた時期に入り、どこまで踏みとどまれるかがポイントになる。

 景気拡大では、設備投資に期待したいが、1-3月期GDPではプラスになっただけで弱々しい。企業収益は高くとも、今回は需給逼迫を示していないので、設備投資に結びつくものではない。むしろ、消費は増税前の水準を取り戻しておらず、供給を増やすインセンティブに乏しい。先行きを示す機械受注は一進一退の状況にある。

 今後の景気に関して、ベアや年金の物価スライドによる所得増に期待する声もあるが、ベアは+0.5%程度に過ぎず、他方で年金保険料率を0.18%上げたことを忘れてはいけない。以前も書いたように、消費税を延期してもなお、財政は緊縮であり、公的年金も緊縮になっている。これを乗り越えて行かねばならない。

 1-3月期GDPは、年率2.4%成長という見た目と異なり、内実は、在庫と物価低下によるものという惨状だ。しかも、4-6月期に尾を引きそうな情勢である。消費は、2012年、2013年と2%超の伸びで成長をリードしてきたが、ここへ来て勢いを失った。正直、消費増税が成長力を屈曲させてしまったのではないかと案じている。


(昨日の日経)
 東証1部時価総額がバブル期超え。日銀・景気判断前進を強調、市場と温度差。日銀・強気の予想が的中(5/21夕)。

(今日の日経)
 ヤマダが40店一斉閉鎖。夏のボーナス1.7%増。演説辞退した変人・秋田浩之。適度なノイズは効率アップ・確率共鳴。
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5/21の日経

2015年05月21日 | 今日の日経
 昨日の1-3月期GDPに対する世間の評価は高いようだ。日経は「消費浮上で景気押し上げ」だし、日銀は景気判断上げを検討するらしい。しかし、筆者は、まるで逆だ。3月の指標が出た段階で、「アベノミクス再失速、消費はゼロ成長」としていたが、在庫の押し上げがなければ、実質成長率は年率で0.4%にとどまるのだから、やはり「再失速」で良かろう。

 消費は前期比+0.4%だったから、予想を外した形となったが、名目値を見てほしい。前期比0.1%の「マイナス」であり、消費のデフレーターが-0.5%も落ちたことに助けられたものだ。7-9月期、10-12月期の名目消費も同じ+0.4%であるが、デフレーターは0.0と0.1だった。主因は原油安としても、口は悪いが「デフレのぶり返し」が消費増の理由である。

 在庫の押し上げは、確かに、在庫削減ペースの鈍化によるもので、在庫がプラスになったわけではない。とは言え、鉱工業生産を見る限り、在庫水準は高く、再び在庫削減が加速する可能性は高い。4-6月期は、今期と逆にGDPの足を大きく引っ張ることが考えられ、高成長もヌカ喜びに終わるのではないか。

 輸出の伸びは鈍化し、設備投資は、3期連続マイナスの後にもかかわらず、年率1.4%増でしかない。今後への期待は高いが、名目消費がマイナスで、安値で販売量を確保する中、経営者が設備投資を増やすものなのか考えるべきだろう。通例、高収益が高投資に結びつくのは、高収益は需給逼迫が背景にあることを忘れてはならない。今回の1-3月期GDPへの筆者の評価は、「見た目と異なる惨状」という厳しいものである。


※詳しくは、また日曜にでも書くとするか。GDP公表前のものだけど、ダイヤモンドO.L.(5/20)に載ったバークレイズのの森田京平さんの論考は参考になるよ。


(昨日の日経)
 トヨタ新工場CO2半減。医療にメス・諮問会議。雨不足で野菜高騰。貯蓄が最高の1800万円・2014年家計調査。シェール設備6割減。経済教室・寿命のジニ係数も低下・吉川洋。

(今日の日経)
 特許審査を日米共同で。日銀が景気判断上げ検討。1-3月GDP実質2.4%増。4-6月期民間予測は平均1.8%増。GDP民間在庫内訳を初公表。中国株の信用取引膨張1年で5倍。
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5/19の日経

2015年05月19日 | 今日の日経
 昨日は3月機械受注が出た。「除く船電」は、前月比+2.9%、前期比+6.3%と良好だったが、4-6月期の見通しは-7.4%と、前期のプラスをすべて吐き出すものだった。2014年度は、+0.8%にとどまり、何のための法人減税という結果に終わった。まあ、「需要が伸びないのに、投資するやつはいないよ」という俗論の正しさが証明されたわけだ。もっとも、法人減税をしていなければ、マイナスだったという主張もあろうが。

 1-3月期GDPの公表2日前にして、消費動向指数もオープンとなり、前期比+0.1%という低さだった。「消費はゼロ成長」とする本コラムの見方に沿うものだと思う。これで、在庫増を別にすれば、成長率は0%台だろう。「緩やかな回復を確認」とするには、少し苦しいのではないかな。やはり、「再失速」としか言いようがあるまい。今後の舵取りを考える上で、認識を改めた方が良いと思うね。


(昨日の日経)
 大阪都構想を否決。建設現場の人手不足感和らぐ。中国の雇用に不安のカゲ。

(今日の日経)
 スカイマークに2銀行出資。経常6%増で上場企業が7年ぶり最高益、今期は9%増。派遣時給が高値を更新。経済教室・米国型で第二の敗戦・岩井克人。
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緊縮財政の愚行を雪ぐ道

2015年05月17日 | 経済(主なもの)
 日本の経済運営にとっては「偉大な飛躍」かもしれないね。足元の税収を考慮して中長期の計画を練ることは、財政学の初歩でしかないが、これまでは、まったく出来ていなかったのだから。財政再建目標までの9.4兆円のギャップを埋めるのに、歳出削減は5~6兆円で十分と、経済財政諮問会議で民間議員が提言したことには、そういう意味がある。そうした事情も分からず、日経は「もっと痛みを」みたいな社説を掲げていて、なんとも情けないものがある。

………
 編集委員の滝田洋一さんが指摘するように、足元では国の税収に大幅な上ブレが生じている。これは、消費増税によって、消費は低迷したものの、円安・株高・原油安を背景に、企業収益が好調に推移したことによる。上ブレの着地点を見極めるには、あと半月ほど待たねばならないが、現時点で1.9兆円程と予測できる。

 国の税収が上ブレすれば、地方も同様である。地方の税収は、規模が国の7割強であり、構造も似ているので、納付年度にズレはあるにせよ、国と地方を合わせた上ブレは、1.9兆円×1.7倍=3.2兆円程になろう。名目GDP比では0.7%程である。そうすると、政府の中長期の経済財政の試算のベースが上がり、その分だけ上方へシフトする。これを示したのが、下図の緑線である。

 見てのとおり、税収の上ブレを考慮すると、基礎的財政収支をゼロにする目標へは、2023年度に到達することが分かる。現在の政府の試算(黄線)は、8年後の2023年度までで止めることで、トレンド上の2025年度に到達することを伏せているが、2014年度の税収の実績を基に計算し直すと、もはや、隠しおおせなくなる。この時、目標年次の2020年度のギャップは、GDP比で0.9%程であるから、歳出削減は5~6兆円で十分なのだ。

 逆に、それを超えて、従来どおりの9.4兆円削減の計画を立ててしまうと、2014年度の国や地方の決算が表に出た段階で、過剰なことが明らかになり、計画が根本から崩れてしまう。一度削ったものをまた戻すという、二度手間の作業を迫られるようなことを、賢いお役人がしたいはずがない。日経は、こうなることを敢えて求めているわけだから、何をか言わんやである。

(図)



………
 事は、それで終わらない。2014年度に上ブレがあるなら、2015年度にもあるのではないかと疑うのが普通だろう。まさに、そのとおりで、証券各社が企業収益の2桁増を予想している中で、予算上の税収は、いかにも低い。むろん、2015年度は、過去となった2014年度とは違い、始まったばかりで楽観は禁物だが、順調に行けば、予算から1.2兆円ほどの上ブレが期待できる。

 先の2014年度と同じ理屈で、国と地方の上ブレは2.0兆円、GDP比で0.4%程だろう。これを示したのが先の図の青線である。これは、財政再建の目標へ、更に2年早い2021年度には概ね到達することを示している。もし、2020年度の達成に拘るなら、GDP比であと0.5%程の歳出削減をすれば済む。

 おそらく、そうした努力さえも無用であろう。政府の税収の試算は、名目成長率に対する弾性値が1.0、つまり、成長率と同じだけしか伸びないという堅い想定になっていて、次の2016年度でも税収の上ブレが生じる可能性が高いからだ。結局、順調に成長するたけで、歳出削減なしに、2020年度の目標をクリアしてしまう。敢えて言えば、目標を達成できなくなるのは、余計な緊縮をやって、成長を潰してしまった場合だろう。

………
 正直、中長期試算の再生ケースにおける実質成長率2%強は、高めの想定だと思う。ここで大事なのは、2012、2013暦年に実現した1.6~1.8%程度でも良いから、成長を保つことである。これができれば、年次は遅れても、基礎的財政収支ゼロへと着実に近づける。この見通しが国債の信用を保つことになる。

 逆に言えば、ベースラインケースような1%を割る成長だと、永遠にゼロに近づけないので、発散への不安が起きかねない。無理な緊縮財政を敷き、日本経済が完全に成長力を失ったと見なされたとき、本当の危機が訪れる。考えるべきは、歳出削減を大きくすることではなく、成長を妨げない範囲の削減はどこまでかである。

 言わずもがなだが、歳出削減の努力が要らないわけではない。特に、税収増に伴って、地方の黒字は拡大するので、これが歳出の膨張につながらないよう、地方交付税の出口を適切に管理しなければならない。その意味で、国の歳出の削減計画は、国・地方を通じた収支改善には中立であるにしても、重要である。

 また、税収の弾力性を高めておくことも肝要だ。再生ケースに対しては、成長率の想定が高いという批判が多いが、2.0%成長での弾性値1.0と、1.6%成長での弾性値1.25では、税収の伸びは同じである。弾力性を高めるには、利子配当課税を引き上げたり、安易な法人減税を避けたりして、資産課税の強化に努めることが大切だ。

………
 今後、財政再建で一番の難所となるのは、2017年度の消費増税だろう。これで成長を壊してしまったら、元も子もない。中長期試算では0.8%成長とされているが、タダでは難しい。日銀の展望レポートは0.2%としており、自然体なら、このくらいが妥当である。1%ずつに刻むのがベストだが、それができなければ、需要追加策が必須となる。

 毎度ながら、本コラムのおススメは、低所得層の社会保険料の軽減と、年金からの乳幼児への給付である。前者は物価上昇とともに自然に縮小するし、後者は、社会保障基金からの支出なので、中長期試算の収支に影響しない。収支の管理は、基金も統合してするのが本筋ではあるが、財政しか視野にない日本の甘さに、乗じることにしよう。

 日本は、ようやく、足元の税収を考慮するという、経済運営の第一歩を踏み出した。ど素人に等しく、緊縮を焦って失速させてばかりの日本が、安定的な需要管理ができるようになるまでには、まだ道は遠いが、日経も温かく見守ってほしい。「壮大なる愚行」を犯し、財政再建で本物の財政危機を招いた「黒歴史」を、今度は雪いでもらいたいものである。


(昨日の日経)
 株式配当6%増で初の10兆円。社説・痛み分かち合う歳出削減から逃げるな。ゆうパック23年ぶり値上げ。歳出削減・政府内で綱引き。

(今日の日経)
 後発薬との差額を患者負担。加速感なき回復・設備投資1.2%減、主要200社14%増益。
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5/14の日経

2015年05月14日 | 今日の日経
 景気ウォッチャーは、日経が報じるとおり「5か月連続改善」なのだけど、減速感があるね。原数値でも伸びが鈍っているし、季調値では一進一退で50に届かなかった。特に気になるのは、雇用がピークアウトしたことだ。企業関連も鈍く、これは家計に波及するかもしれない。もっとも、先行きの数字は順調なんだけどね。

 5/12公表の景気動向指数は、先行指数がほぼ横バイ。一致指数は、商業販売の極端な動きに足を引っ張られているが、それを除いても2か月連続のマイナスだ。遅行指数は、やや大きめのマイナスだった。1月の鉱工業生産が跳ねたお陰で、基調判断は「改善」を維持しているが、実態的には再失速と見ても良いのではないか。

 政府経済見通しが今年度の公需寄与度を-0.6にもしたことに、危惧の念を持っていたが、既に、建材市況には変調が生じているようだ。折悪しく、景気の再失速と重なってしまったわけである。これで、後手に回って対策を打つハメになるのだろうか。やることが極端だから、ギクシャクするのだよ。

………
 今日の日経の報道で、諮問会議のナゾがとけたね。口頭だけの説明をよく書いてくれた。2014年度の税収実績を踏まえれば、2015年度時点で国の税収上ブレは3.2兆円になる。地方税収の規模は0.7掛けだから、国地方を合わせた上ブレは5.4兆円だ。したがって、2020年度の目標を達成するのに、5~6兆円の歳出削減で間に合うわけだよ。

 自民党の委員会は自然増収を認めない学者がメンバーになっているみたいだから、違うのも当然だ。ちなみに、中長期計画を解析すると、税収の伸びは名目成長率と同じで、1.1倍にもなっていない。だから、順調に成長すると、目標はどんどん近づいて来て、歳出削減はほとんど要らなくなる。成長を落としかねない歳出削減より、税収弾力性を高める利子配当課税の強化でも考えたらどうか。目的は、緊縮財政でなく、財政再建なんでしょう? 


(昨日の日経)
 東電がガスとセット割。日銀が自己資本増強。財政計画6月末に・諮問会議。景気一致指数1.2低下で13年8月以来の水準に。
 ※税収上ブレに対応し、日銀の税外収入を減らすということか。

(今日の日経)
 特許の国際条約に参加。新興国もたつく景気。諮問会議・歳出削減5~6兆円と自民委より小額。中国乗用車2桁減。ユーロ圏1-3月期GDP年率1.6%。変調・建材市況、仕事量1割減。
 ※中国は思ったより重症だね。

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5/12の日経

2015年05月12日 | 今日の日経
 昔懐かしいエンゲル係数は、いかがだったかな。実は、説明が煩雑になるので省いたけれども、1989年の前年比は-0.1、1990年は+0.0であり、この前後の年の様相からすると、停滞感が強い。つまり、過去に行われた3度の消費増税は、いずれもエンゲル係数に大きく悪影響を与えてきたということだ。消費増税は、国民生活を苦しくするのに異様な力を持っており、しかも、成長力が衰えてきたせいか、後になるほど酷くなっているように見える。

 そんな消費税だが、安倍首相が解散で10%への先送りを決めていなければ、10月には4度目の打撃を受けていたところだ。1-3月期の成長が再失速し、米中の景気が薄曇りになる中での実施になったのだから、危ないところだった。無謀を回避した功績は大きいよ。この国は、「進むも退くも地獄」などと意味不明なセリフを叫びつつ、バンザイ突撃をするものと、筆者は予想していたからね。外れてホント良かった。

………
 さて、日経が報じている財政再建の新たな目標だが、5年後にGDP比で3.3%改善するのだから、2年前の2018年度は、均等ペースなら、目標まで2/5の1.32%残しておいて良いはずなのに、0.32%余計に改善するというは、どういうことか。余計な1.6兆円分の歳出削減は小さくない。しかも、2017年度という消費増税の年を含む期間であり、ただでさえ、成長を保つのが難しいのに、逆に緊縮を重くするというセンスが分からない。

 中長期計画の2017年度の実質成長率は0.8%と置いているが、日銀の4月展望では0.2%と低い。今回の消費増税で成長率が-1.0%にもなったことを踏まえれば、税収を安定的に増やすために、消費増税を刻んで、ショックを和らげるべきではないか。そうでないと、かなりの景気対策のバラマキを必要としてしまう。失敗の教訓は、まったく活かされていない。ノモンハンの敗北を無きものにした旧軍と変わぬのではないか。

 もっとも、2015年度の税収は、計画より3.2兆円ほど上ブレしそうなので、新たな目標の達成に必要な6兆円の歳出削減は、半分以下で良いことになろう。均等ペースなら、わずか1.2兆円で済む。これなら、2016年度の自然増収で賄えるレベルだ。正直、2014年度の税収が判明する夏には無意味になってしまうような歳出削減目標を作るのは、なぜなのだろう。まさか、足元の税収の動向を見ていないわけでもあるまいに。


(昨日の日経)
 世界景気が薄曇りに、外需に影。中国が追加利下げ。エコノ・日銀の買える国債先細り。

(今日の日経)
 ドコモがポンタと提携。4月中国新車がマイナス。財政目標18年度は赤字GDP比1%に。歳出抑制・教職員削減、救急車有料化。スズキされどシェア。
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貧しくなった日本と政策

2015年05月10日 | 経済
 一昔前までは、エンゲル係数なんて、大して注目される指標ではなかった。年々、経済成長によって豊かになることが当たり前であり、家計調査で見るそれは、単調に低下していくだけの面白味のない数字に過ぎなかった。ところが、1997年以降は変わった。日本は、かつてより豊かになれなくなり、貧しさが募るようになったのである。

………
 エンゲル係数とは、消費支出に占める食料費の割合である。1990年以降の動向を、家計調査(2人以上世帯)で示すと、下図のとおりである。異変が起こったのは、消費増税が行われた1997年だった。1974年のオイルショック以来、23年ぶりの明確な上昇を記録し、翌年も続けて悪化した。その後、景気の回復に伴い、いったんは低下を見せたものの、2005年を境として、上昇傾向へと転じた。

 エンゲル係数の上昇は、食べるために、より多くのお金を割かねばならなくなったことを表し、要するに、国民の生活が貧しくなったことを意味する。特に、8%の消費増税が行われた2014年には、大きく跳ね上がり、いまや、その水準は、20年前と同じ程度まで後退している。アベノミクスでは、2年続きでの悪化なのだから、景気回復が実感できないと言われるのも、仕方ないところがある。

 皮肉なのは、かつて悪化がぶり返した2006年にも、安倍政権であったということだ。当時は、まだリーマンショック前であり、緩やかな景気回復が続いていたのに、国民からは強い格差批判を浴び、2007年夏の参院選に惨敗してしまう。損な巡り合わせにも見えたが、実は、この時、家計は苦しくなり始めていた。国民が抱いた不満は、それなりに正しいものだったのである。

(図)



………
 さて、国民が貧しくなれば、再分配政策の重要性が増してくる。諮問会議は財政再建策の企画立案にばかりに熱心だが、世の中が必要としているのは、別の方向だろう。そう考えるのは、筆者だけではないようで、5/7のダイヤモンドO.L.に、出口治明さんが『資産・雇用・教育の三大格差をどう減らすか』を書いておられた。

 そこで提言されている内容は、資産の再分配について、相続税を100%にすること、雇用に関しては、パートへの社会保険の適用拡大を行うこと、教育では、子どもの貧困に対する給付を増やすことなどである。三つの分野で再分配の強化が必要なことは、筆者も賛同するところで、我が意を得たりという思いだ。

 本コラムでも、いくつか具体策を提言している。ヌルいかもしれないが、資産については、利子配当課税の税率の5%アップを『金融資産課税と国債利払いの均衡管理』で書き、パートの適用拡大は、『ニッポンの理想・2兆円でできる社会』で、企業負担が増さない方策を示し、子どもへの給付は、『日本よ、雪白の翼を再び』で、増税なしで大規模なものが可能であることを明らかにしてある。(「基本内容」を参照)

………
 第一次安倍政権では、補正と本予算で6兆円の国債減額を誇りつつ、失業率は低下させていたにもかかわらず、生活が苦しくなった国民から、厳しい審判を受けた。今また、消費増税と自然増収によって財政再建は進捗し、失業率も低下局面にはあるものの、国民の生活は、第一次のとき以上に、大幅に悪化し、水準も低くなっている。

 来年の参院選までは1年以上あるが、新たな政策を生み出すのに、それほど時間があるわけではない。今後、アベノミクスが再失速する一方、税収上ブレが1.9兆円も出ることになる。こうした状況で、貧困や格差の問題に目が注がれ、従来型の公共事業や地方振興商品券とは異なる、豊かな発想に基づく再分配政策が数多く企画立案されるようになることを願ってやまない。


(昨日の日経)
 トヨタ・マツダ包提携。NY原油が3月比5割高。米雇用22.3万人増。

(今日の日経)
 上場企業は今期も最高益で1割増。18年度に財政の中間目標。諮問会議・薄れる存在感。


※Kita-Alpsさん、どうぞ、お使いください。出所は下記の通りです。
 総務省統計局 5.長期時系列データ(年) 農林漁家世帯を除く結果
 18-1 1世帯当たり年平均1か月間の支出-二人以上の世帯
 (昭和38年~平成26年)(全国)


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