昨日の話を少し補足しよう。成長率で言えば、1997年度は0.1%、1998年度は-1.5%なのだが、内需だけだと、その寄与度は-0.9、-1.7である。つまり、外需がなければもっと打撃は大きく、外需に助けられていたということ。
来年度の成長率の予測は、第一生命が0.4%、ニッセイが0.0%であり、外需の寄与度を第一生命は0.8、ニッセイは0.7と置いている。これだけの助けがあっての成長率だから、もし、外需が横バイで、内需だけなら、成長率は-0.4%、-0.7になる。
筆者が「一つ間違えばマイナス成長に転落するような経済運営は論外」とするのは、こんなわけである。中国は成長率の低下が続いていて、何が起こってもおかしくない。黒田総裁は「リスクは海外経済」とするが、リスクの蓋然性と起こった時の破壊力を、とくと考えてみたら良い。
………
古い筆者は、1997年のハシモトデフレの衝撃を肌で知っているが、若手はなかなか実感できないと思う。せめて、当時の寄与度の数字(4(1) 実質連鎖・年度)をじっくり見たら良い。先ほど、内需だけだと成長率は-0.9%になるという話をしたが、この中には0.4の在庫投資も含まれている。
要するに「売れ残り」で内需がかさ上げされているわけで、商品の売れなさぶりは、もっと酷かったということだ。民間住宅の-1.0も恐ろしい数字で、前年度は0.6だったから、駆け込み需要の反動というには、あまりに大きい。しかも、翌年度も-0.5と続いた。市場が壊れたような感じだよ。
当時の話は、鈴木淑夫先生がリアルタイムで書いていたコレの「月例景気見通し・1997年11月」を読んでほしい。消費の低迷が続き、在庫が急増、生産調整に追い込まれ、雇用も悪化したことが良く分かるから。大型金融破綻が起こる前の経済指標で、景気後退とゼロ成長は確実な情勢になっていた。
鈴木先生は、緊縮財政による景気悪化を見て、金融危機に発展すると「予言」までしていたものだ。だから、今頃になって、「増税は関係ない、金融危機が不況をもたらした」という、因果を逆にする説を聞かされると不思議な気がするよ。
(今日の日経)
米大統領が来春に訪日。トヨタ、国内20万台上積み。失業率3.9%に改善、円安が雇用を押し上げ。4-6月期3.5%成長予測・民間調査機関。株価で円動く底流。経済教室・企業の価格設定行動・渡辺努。
来年度の成長率の予測は、第一生命が0.4%、ニッセイが0.0%であり、外需の寄与度を第一生命は0.8、ニッセイは0.7と置いている。これだけの助けがあっての成長率だから、もし、外需が横バイで、内需だけなら、成長率は-0.4%、-0.7になる。
筆者が「一つ間違えばマイナス成長に転落するような経済運営は論外」とするのは、こんなわけである。中国は成長率の低下が続いていて、何が起こってもおかしくない。黒田総裁は「リスクは海外経済」とするが、リスクの蓋然性と起こった時の破壊力を、とくと考えてみたら良い。
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古い筆者は、1997年のハシモトデフレの衝撃を肌で知っているが、若手はなかなか実感できないと思う。せめて、当時の寄与度の数字(4(1) 実質連鎖・年度)をじっくり見たら良い。先ほど、内需だけだと成長率は-0.9%になるという話をしたが、この中には0.4の在庫投資も含まれている。
要するに「売れ残り」で内需がかさ上げされているわけで、商品の売れなさぶりは、もっと酷かったということだ。民間住宅の-1.0も恐ろしい数字で、前年度は0.6だったから、駆け込み需要の反動というには、あまりに大きい。しかも、翌年度も-0.5と続いた。市場が壊れたような感じだよ。
当時の話は、鈴木淑夫先生がリアルタイムで書いていたコレの「月例景気見通し・1997年11月」を読んでほしい。消費の低迷が続き、在庫が急増、生産調整に追い込まれ、雇用も悪化したことが良く分かるから。大型金融破綻が起こる前の経済指標で、景気後退とゼロ成長は確実な情勢になっていた。
鈴木先生は、緊縮財政による景気悪化を見て、金融危機に発展すると「予言」までしていたものだ。だから、今頃になって、「増税は関係ない、金融危機が不況をもたらした」という、因果を逆にする説を聞かされると不思議な気がするよ。
(今日の日経)
米大統領が来春に訪日。トヨタ、国内20万台上積み。失業率3.9%に改善、円安が雇用を押し上げ。4-6月期3.5%成長予測・民間調査機関。株価で円動く底流。経済教室・企業の価格設定行動・渡辺努。