goo blog サービス終了のお知らせ 

経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

アベノミクス・消費を死なせ、地球に貢献

2019年12月29日 | 経済(主なもの)
 景気が減速しているにもかかわらず、消費増税を強行したために、経済は、もう滅茶苦茶である。鉱工業指数が前回増税を上回る大打撃となり、商業動態・小売業が東日本大震災以来の最低水準に沈んだ。2014年当時は、輸出が増えていたから、緩やかながらも、景気は回復して行ったが、今回は、輸出が低迷中であるために、底をはう状態が長く続くだろう。消費がよみがえるのは何年先か分からず、ことによると、もうないのかもしれない。つまり、消費は既に「死んでいる」のである。

………
 11月の鉱工業生産の前月比は、「消費増税の反動減と台風被害が重なった」とされた10月の-4.6から、更に下げて-0.9となった。天気のせいではなかったようである。前回増税の2014年4-6月期の前期比は-3.0だったが、今回の10-12月期は、10,11月実績と12月の経産省予測の+0.4から、前期比-4.3になりそうで、前回を上回る大打撃となるのは必至だ。しかも、前回は直前の期が+2.0だったのに対して、今回は-0.6であり、駆け込みの少なさを考えれば、落ち幅の見た目以上の大打撃なのである。

 水準も低い。11月の97.7というのは、消費増税の再見送りを決断した2016年5月の98.5を下回り、2013年4月以降の最悪である。ここでもアベノミクスは水泡に帰している。景気をリードする資本財(除く輸送機械)と建設財をチェックすると、92.7と96.5であり、2014年以来の最悪値から更に-2.7と-0.2も低い惨憺たる有様だ。予測を含む前期比については、それぞれ-7.3と-3.6と落ち込み、10-12月期のGDPは、消費だけでなく、設備投資も大きく低下することは避けられそうにない。

 他方、11月の住宅着工は83.4万戸、前月比-4.5万戸と2か月連続の減少となった。住宅には駆け込みがあまりないとされていたにもかかわらず、10-12月期は、7期ぶりの大きな下落幅になりそうである。水準としても、前回増税後の最低だった2014年7月の84.3万戸を既に下回っており、それより下は、大震災時までさかのぼらなければならない。住宅がここまで悪化するとは、正直、予想外だった。既に建設業活動指数は急落しており、一層の低下が考えられる危機的な様相となっている。

(図)


………
 商業動態・小売業については、10月に前月比-16.1も落ちたにもかかわらず、11月は、半戻しに全く及ばない+4.4にとどまった。これからすると、10-12月期の消費は、-2%台半ばまで崩れて、東日本大震災時の-2.4%を超えるかもしれない。この時は、住宅や設備投資はプラスだったけれども、今回は、どちらもかなりのマイナスになる公算が高く、大震災を超える需要ショックを、人為的に経済に与える形となる。4~5年おきにショックを与え、積み重ねた努力を御破算にしていたら、成長する方が不思議だ。

 消費を支える雇用については、11月の労働力調査は、男女計の就業者数、雇用者数ともに2か月連続の増加となり、失業率も2.2%に戻して、小康を保った。しかし、先行性のある新規求人倍率は、11月の「除くパート」が2.11倍と前月比-0.09となり、上下しつつも、緩やかな低下局面に入っている。低下は、前年同月差を見ると鮮明で、マイナス幅が拡大しており、産業別では、ここに来て建設業まで増加幅が縮んで、引き続き増加傾向にあるのは、景気と関係の薄い医療・福祉に限られる状況に変わっている。

 家計調査などの結果は年明けになるが、ポイントは、勤労者世帯の実収入の動向である。前回増税の時は、反動減から徐々に回復していったように見えて、実は、収入が増えることに伴って消費水準が戻っていったのであった。つまり、収入が増えて行かないと、反動減からの回復がほとんどないまま、落ち込んだ水準からL字で推移してもおかしくないわけである。足元の雇用の衰えぶりからすると、収入増は望めず、むしろ、L字に陥る可能性は高いと見るべきだろう。

………
 消費増税を重ねるたびに、消費の増加トレンドは弱まり、フラットに近づいてきた。景気が回復して収入が増えても、消費の際に一定率が徴収されるのだから、率が高まるほど、景気が波及しがたくなり、需要増から投資や賃金への好循環が回らなくなるのは当然だろう。消費税は、消費、物価、投資、賃金、成長を抑え込む手段として絶大な威力を持ち、「低温経済」を実現するには打ってつけだ。問題は、低血圧の時に降圧剤を処方するようなことをしてはいけないということである。

 将来の高血圧が心配だからといって、今から降圧剤を飲んでいたら、死んでしまう。そう、この国は、それをやってしまった。財政赤字におののき、増税と緊縮に取り憑かれ、「経済と人口を圧縮する構造への改革」を現出させたのである。こうなると、「地球環境のため、縮小の道を歩む」と開き直って誇るのも、世界史上での一つの在り方かもしれない。むろん、世界から哀れみは受けても、見習おうとはならないが、訳も分からず自滅したとバカにされるよりマシだろう。


(今日までの日経)
 お手上げ少子化対策 突破口は小泉環境相の育休取得?。安倍首相、出生率低下で対策指示「国難だ」。[社説]座視できぬ出生数86万人への減少。中国社債の不履行最高 今年2.5兆円。動かぬ円 消えぬリスク。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

12/25の日経

2019年12月25日 | 今日の日経
 メリークリスマス、地には平和を。さて、月曜に10月の全産業活動指数が公表され、予想されていたことだが、前月比-4.6と大幅な落ち込みとなった。前回増税の2014年4月を超える下げ幅であり、事態は深刻である。しかも、今後の行方を占う輸出と建設投資の動向が思わしくない。特に、民間住宅は、駆け込みが少ないとされていたにもかかわらず、急落している。企業と公共の建設投資は、上向いたと言っても、わずかだ。週末には11月指標が出るけれど、心配になるね。

(図)



(今日までの日経)
 出生数最少86.4万人 19年人口推計、自然減は最多51万人。緊縮が壊した欧州中道派。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

緊縮速報・景気悪化の中の税収動向

2019年12月22日 | 経済(主なもの)
 7-9月期資金循環が公表され、一般政府の資金過不足は、4四半期移動平均の名目GDP比で見ると-1.9%となり、前期より0.3%の低下となった。この1年は、一進一退しつつ、極めて緩やかながらも改善をたどってきた。しかし、10-12月期以降、消費増税分が加わるにもかかわらず、景気の減速で企業収益が大きく下がっているため、税収は停滞が見込まれ、景気対策をせざるを得ないこともあって、財政収支の改善が見通せない展開となる。成長より財政を大事にする単調な経済運営の当然の帰結である。

………
 2019年度の国の一般会計の税収は、景気の減速を反映し、10月までの累計額が前年同月比-7400億円にとどまっている。所得、法人、消費の主要3税ともにマイナスだが、特に、所得税が-4400億円と低いのが目立つ。これは、7月にソフトバンクへ4000億円の還付が行われたためであり、この特殊要因を除けば、税収は低調ではあるものの、さほどではない。現時点における2019年度の税収の予想は、60.8兆円程と見ている。

 他方、2019年度補正予算の税収見込みは60.2兆円となっており、予想より0.6兆円少ない。この違いは、法人税を前年度決算比-4.9%にしていることによる。野村・日興の企業業績見通しの経常利益の伸び率は、平均で-1.8%だから、かなり厳しめである。また、所得税の前年度決算比-4.2%というのも、特殊要因を踏まえても、やや少ないように思う。もっとも、景気悪化は進行中なので、企業業績見通しが更に落ちる心配はある。

 2020年度の税収については、政府予算案は63.5兆円としているが、65.0兆円程になると予想する。これは、企業業績見通しが+6.3%とV字回復になっていることを踏まえたものである。政府予算案の法人税収は、2年前の2018年度決算額より低くとどまる設定だ。また、所得税収も、還付の4000億円が消える特殊要因を踏まえると、700億円しか増えない控えめなものになっている。むろん、こちらも景気の行方にもよるが。

 すなわち、今より景気が悪くならなければ、税収の上ブレは、2019年度に0.6兆円、2020年度に1.5兆円になると思われる。2019年度補正予算では、4.4兆円の国債が追加されるが、税収が上振れした分、財政出動の威力は減殺される。今回の予算編成は、景気刺激型ではあるものの、景気が維持されたら、税収の上ブレによってブレーキがかかるということを知れば、有難味は薄いかもしれない。どちらに転んでも、停滞が待っている。

(図)


………
 景気悪化の中で断行した消費増税だが、そもそも、必要があったのだろうか。一般政府の資金過不足は、この1年、GDP比で2%を切る水準が定着しており、経済見通しの名目成長率が2019年度1.8%、2020年度2.1%という状況(ただし、消費増税分のデフレータが0.4%)を踏まえれば、国債残高のGDP比がほとんど膨らまないところにまで来ているのだから、増税を焦らずとも良かったのである。

 むしろ、消費に対する増税によって、物価上昇を抑制する経済運営をして、名目成長率を鈍化させるようでは、かえって、財政再建が遠のいてしまう。しかも、増税のためにバラマキをするアホらしさは、改めて述べるまでもない。なぜ、日本が財政再建ができないかと言えば、状況に応じた柔軟な経済運営ができず、緊縮一本槍の消費増税至上主義だからである。信念ばかり固くて攻めが単調では、犠牲は大きくなるばかりだ。


(今日までの日経)
 地銀、無理な貸し出しで不良債権リスク。来年度予算案、歳出102兆6580億円。公共事業 目立つ積み残し。景気「緩やかに回復」維持 12月月例報告。 医療費「2割負担」明記 75歳以上、一定所得で。11月の工作機械受注低迷 一般機械向けも半減。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

12/19の日経

2019年12月19日 | 今日の日経
 昨日公表の11月貿易統計は、未だ下げ止まらずだった。日銀・実質輸出入では下げ止まりの気配があったのだが、米国、EUの不調さが足を引っ張っり、また崩れてしまった。他方、輸入は、駆け込み需要が抜けて減少に向かい、景気の上では意味がないが、10-12月期のGDPにはプラスに働きそうである。

 今回の経済対策では、小中学校の児童・生徒に1人1台PCを配るらしいけれども、これで輸入が増えてしまうと、GDPにはマイナスに働く。また、日経によれば、公共事業は執行の限界に達しているようで、いつもは増額を求める国交省の幹部も「国会審議にたえられない」と難色を示したという。戦略の誤りを、戦術で補おうとしても無理がある。

(図)



(今日までの日経)
 来年度、実質1.4%成長見通しを了解。増税後の国づくり(3) 予算、税収無視の増額論。介護保険、「2割負担」拡大は見送り。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

7-9月期GDP2次・虚しき上方修正

2019年12月17日 | 経済
 2次速報によって、7-9月期の成長率は、実質年率1.8%に上方修正されたが、家計消費と設備投資の駆け込み需要に支えられたもので、実態はゼロ成長以下である。これに消費増税が加わる10-12月期は、消費の駆け込みの反動減を考慮しても、マイナス成長に陥ってしまう。景気の実態は、消費増税に攪乱されて見えにくくなっているが、深刻さを増しており、消費税の大打撃からの戻りがほとんどないL字型の様相が濃くなっている。

………
 7-9月期2次速報では、各需要項目が軒並み上方修正された。最も大きいのは、設備投資が前期比+0.87から+1.78になったことである。しかし、ほとんどが駆け込み需要によるものと考えられる。なぜなら、設備投資は、追加的な3需要、すなわち、輸出、住宅、公共を足し合わせたものとパラレルに動くのが普通なのにもかかわらず、これとは大きく食い違っての上昇になっているからである。

 案の定、12/12公表の10月機械受注では、民需(除く船電)が前月比-6.0%と大きく下落し、当局も基調判断を引き下げることになった。製造業がジリジリ低下する中で、堅調を保っていた非製造業も崩れたのがポイントである。当局は、農林漁業を除いて駆け込みと反動はないとするものの、非製造業については、2014年増税の際も同様の動きが見られたので、下落は予想されたものだった。今後の設備投資を占う機械受注がこれでは、見通しは暗い。

 おそらく、10-12月期には、設備投資でも大きな反動減が出る。しかも、3需要のうち、輸出の停滞、住宅の減少が確実なため、その後の反動減からの戻りも期待薄だ。設備投資は、需要を見ながらなされるもので、政策的に動かし得る3需要から設備投資に、そして、消費へと波及し、需要が循環する中で成長する。物価高でもないのに、増税で需要をカットするのは、成長を拒否するのに等しい行いなのである。

 他方、家計消費は、この2四半期になって急に伸びるという不自然な形になっている。もし、駆け込みがなければ、上ブレは4-6月期のみで、7-9月期は良くて横バイだったろう。こうした消費の寄与と、設備投資での駆け込みの大半がないとすると、7-9月期の成長率は、ゼロを割る水準にまで下がる。続く、10-12月期は、増税による所得削減の効果によって、消費が1%程度落ちるから、駆け込みの反動減がなくても、マイナス成長は確定的である。

 結局、消費増税の攪乱のために見えにくくなっているだけで、ゼロ以下の成長のところへ、消費増税をぶちかまし、二期連続マイナス成長という立派な景気後退に仕上げてしまったということなのだ。おそらく、10-12月期は、駆け込みの反動が加わり、びっくりするようなマイナス成長になる。東日本大震災時の-5.6%級の「震度」になるおそれがあり、こうなると、駆け込みの反動が大きかった前回増税の実質的な落ち幅を超える打撃である。

(図)


………
 12月の日銀短観でも、代表的指標である大企業製造業の景況感がゼロとなって、2013年3月以来の低水準になった。ここでも、アベノミクスのスタート時に逆戻りし、景気回復の成果は無に帰した。2014年の前回増税の際は、低下が小さく、輸出が堅調で崩れることもなかったが、今回は増税前から崩れてしまっている。非製造業も全規模の低下は、予測を含むと前回増税並みで、果たして前回のようにV字で戻れるか心配になる。先行きについて、「非製造業は堅調」と安易に構えることはできない。

 不況下の緊縮財政は怖い。なぜなら、需要減が需要減を呼ぶという不合理なスパイラルを起こしかねないからだ。2014年増税の際は、一時、減産しても在庫増が止まらず、輸出の支えがなければ、悲惨な事態になりかねない冷や汗ものの乗り切りであった。日本は、「財政再建は善」というナイーブな発想から、怖いことも平気でやってしまう。前回も上手く行ったから、今回も大丈夫だろうというのは、ハイリスクの「桶狭間」での運の良さに味をしめ、繰り返し試みるような危険な行為である。


(今日までの日経)
 米中、火種抱えた休戦 第1段階合意 関税や農産物購入の説明にずれ。 英保守党が過半数 総選挙 1月末EU離脱へ。日銀短観、大企業製造業は4期連続悪化。雇用保険、育休給付分離へ 厚労省が素案、財政膨張を懸念。安いニッポン 人材流出 高まるリスク。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

12/11の日経

2019年12月11日 | 今日の日経
 やっぱり、11月の景気ウォッチャーも悪かったね。合計値が前月比+2.7と戻したが、低下トレンドから脱することができなかった。雇用に至っては、大幅低落の10月から更に下げて5か月連続である。景気の悪さは、台風のせいにはできないということだ。企業関連では、非製造業の戻りはわずかで、製造業は2か月連続の大きな低下になっている。第一次安倍政権が辞任に追い込まれた2007年8月の合計値42.0の水準から、駆け込み需要によって、いったんは盛り返したものの、再び割ることになった。

(図)



(今日までの日経)
 冬のボーナス7年ぶり減。18年度ゼロ成長・年次推計。税収2兆円超下振れ。安いニッポン 価格が映す日本の停滞。増税後の景気見通せず 10~12月は下げ公算。厚生年金「106万円の壁」残る。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

景気が無に帰したアベノミクス

2019年12月08日 | 経済
 10月の景気動向指数は、先行指数に続いて、一致指数も95を割り、アベノミクス開始時の6年前の水準となった。アベノミクスでの景気回復は、無に帰したことになる。しかも、今後、L字で推移する公算が高く、希望退職が6年ぶりに1万人超えというのも当然だろう。また、消費動向指数は99.5と、6年間で最低だった2014年7月の99.3とほぼ同じ水準まで下落し、こちらも逆戻りである。そうした中、2019年度の税収は、不況にも関わらず、消費増税のお陰で前年度を超え、過去最高を更新する見込みだ。経済対策をするといっても、一時のバラマキだから、出生数の90万人割れをよそに、財政は安泰である。

………
 景気動向指数は、既に先行指数が5月の段階で95を割り、アベノミクスで最低を記録していたが、10月に一致指数も大きく下がって、2013年2月以来の低水準となった。深刻なのは、一致指数の重要な構成項目の鉱工業生産の11月予測がマイナスになっており、V次回復とは行きそうにないことである。実際、前回の消費増税のときも、多少、上下しつつもL字で推移した。今回は、輸出が低調であり、底割れしないだけで有難いと思わねばなるまい。

 先行指数は、10月が91.8にまでなってしまい、民主党政権で最低だった東日本大震災の2011年4月を下回り、リーマンシッョク後まで遡らなければならない水準だ。消費増税は、我々を「あの時代」へと連れて行こうとしている。構成項目の11月消費者態度指数は、少し戻しているものの、前回増税時の先行指数だって、少し戻しただけで、あとはL字になったから、駆け込みが「少ない」とされる今回は、なおさらであろう。

 今週は、消費関係の10月指標が公表され、家計調査は、二人以上世帯の消費支出が前月比-12.3と駆け込み増の10月の2倍を超える落ち込み幅となった。日経も分析するとおり、前年同月での落ち込み幅は、前回増税を超えるものである。消費を支える勤労者世帯の実質実収入は、ボーナス後の7月からは一進一退の状況で、増税を跳ね除ける勢いは感じられない。2014年後半のような伸びがないとすると、消費もL字になる心配がある。

 日銀の消費活動指数は、10月が-8.0と、商業動態・小売業で予想されていた動きとなった。やはり、10-12月期は、11,12月で4-6月期のレベルまで戻すとしても、前期比が-2%を下回る状況にある。設備投資の失速や輸出の低調を踏まえると、GDPは、大震災の2014年1-3月期より酷いマイナスになるおそれがある。それでも、前回増税時よりはマシだが、前回の駆け込みの大きさを考えれば、実態はもっと悪いという見方もできる。

 他方、税収は、10月までの実績からすると、さすがに、2019年度予算の見込み額には届かないものの、企業収益がマイナスとなって法人税が減る中、1.5兆円の消費増税分が補うことで、前年度の税収額は上回りそうである。つまり、ビルトインスタビライザーが機能せず、不況下の増税が穴埋めするわけで、まるで戦前の財政である。ちなみに、2020年度の企業収益の予想は、今年度の低下を取り戻す以上の伸びになっおり、税収も復活すると思われる。

(図)


……… 
 日本は、財政再建に励んで消費を抑制するとともに、経済成長を得ようと投資を促進する政策を採ってきた。しかし、これは矛盾するのである。投資は、消費の増大を目指してなされるものであり、消費に支えられない投資がなされたところで、不安定で崩れやすいものになる。むしろ、現在の低金利・低物価は、消費の割合が少な過ぎることを示唆する。

 経済運営で最も重要なことは、需要を安定させ、投資リスクを減らすことだ。これが健全な投資を育てるのである。逆の悪手は、財政再建に焦って緊縮の急ブレーキを踏み、景気が悪くなると、経済対策の猛アクセルを吹かすやり方だ。しかも、一時の対策だからと、恒久的な出生減対策はスルーし、社会の存続まで危機にさらす。

 この国を復活させたければ、改革も痛みも無用で、平凡で穏健な財政をすれば良いだけなのだが、これができすじまいである。消費抑制と投資促進の矛盾が分からず、状況の悪化につれ、過激さは増してきた。唯一、矛盾が解けるのが外需依存で、このための異様な金融緩和と円安なのだ。それが持っているから、アベノミクスは、まだ崩壊せずに済んでいる。


(今日までの日経)
 景気指数6年ぶり低水準。希望・早期退職、6年ぶり1万人超え。経済対策 事業規模26兆円。年金改革「パート適用拡大」など政府案。中国、地方で預金取りつけ。19年出生数、90万人割れ確実 (共同)。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

12/4の日経

2019年12月04日 | 今日の日経
 7-9月期の法人企業統計が公表になった。堅調を保っていた設備投資(含むソフト)は、前期比-0.8%に低下した。既に、製造業は一進一退の状況にあったが、非製造業も今期はマイナスとなった。非製造業のマイナスは、前期に「ソフト」が急伸した反動があるものの、「除くソフト」も低下傾向がうかがえる。従来の「製造業は停滞も、非製造業は好調」という構図が崩れつつある。景気は「悪化」局面にあるから、当然ではあるが。

(図)



(今日までの日経)
 経済対策、公共投資に6兆円計上 事業規模は前回並み。経済対策13兆円規模 全小中学生に4年で端末配置。製造業、国内外で逆風 法人企業統計 米中摩擦、減益続く。新車販売、11月12.7%減。中国、台湾人材3000人引き抜き。人ごとではない新潟危機 未満児保育事業廃止。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アベノミクス・消費増税で大震災級のシッョク症状

2019年12月01日 | 経済(主なもの)
 10月の商業動態も鉱工業指数も惨憺たる数字だった。こんな具合だと、10-12月期の家計消費は、前期比-2.5%まで陥落し、東日本大震災の2011年1-3月期の-2.5%、リーマンショックの2008年10-12月期の-1.9%を超えるかもしれない。もっとも、前回増税時の2014年4-6月期の-5.8%よりはマシだから、政策対応で小さく済んだと、そやす向きも出て来るだろう。いやはや、もっと凄い愚行をしたことがあるから、このくらいの愚行は平気だと、愚行比べをするようでは、この国の先は見えているよ。

………
 商業動態・小売業の前月比は-16.3と、駆け込みがあった9月の+7.6を勘案しても、落ち込みは大きい。しかも、10月の水準は、物価を調整すると、前回増税の2014年4月や大震災の2011年3月を下回るレベルになると考えられる。11,12月の反動減の戻り方にもよるが、10-12月期の家計消費は、前期比-2.5%に及ぶおそれが出てきた。増税に伴う反動減と所得効果で想定できる-1.8%よりかなり大きく、台風の影響のみならず、弱い基調への政策ショックが悪化を増幅している疑いがある。

 鉱工業生産も、前月比-4.3とネガティブサプライズとなった。7-9月期が前期比-0.6と、全体としては駆け込みらしきものが見られなかったにもかかわらず、急落した事態は深刻だ。その上、11,12月の生産予測が-1.5、+1.1にとどまっており、台風の影響からの回復生産が感じられないL字型になっている。このままでは、10-12月期の鉱工業生産は前期比-4.2にもなる。とりわけ、資本財(除く輸送機械)は、10-12月期の見通しが前期比-8.4と急激で、設備投資が崩れかねない様相を呈す。

 建設投資については、前回コラムで指摘したように、9月までの建設業活動指数は下向きになっている。鉱工業生産の建設財は、10-12月期の見通しが横バイにとどまるものの、気がかりは、10月の住宅着工が87.9万戸と、7-9月期の水準から更に-2万戸と切り下げたことだ。今回は増税前の駆け込みが小さいとされていたのに、住宅着工の低下傾向が止まらない。消費も、投資も、住宅も、民間需要は、軒並み不調であり、このように揃ってしまうのが消費増税の怖さである。

 他方、10月の新規求人倍率は、前月比+0.16の2.44倍と上昇したが、内容があまり良くない。求人の前年同月比が減少する中で、求職が更に大きく減ったことによるからだ。特に、製造業、卸小売業、その他サービス業で、新規求人の減少が深まっている。労働力調査でも、10月の完全失業率は2.4%と横バイで、就業者、雇用者ともに増えはしたものの、雇用者は7-9月期の水準を下回っている。製造業の不調を反映し、男性雇用者の動きが鈍く、19万も少ない水準にとどまったためだ。

(図)


………
 増税のショックは、直接、間接を含め、愕然たるものがあるが、世間的な危機感は薄い。おそらく、日本なんてこの程度という期待感のなさがあると思われる。大きく下がった鉱工業生産も、原数値で見ると3年前と同じ水準で、フリダシに戻ったに過ぎないと言えなくもないし、低下した消費水準も、7年前のアベノミクスのスタート時に帰っただけという見方もできる。そんな「賽の河原の成長」に慣れてしまい、稼ぎは渋くとも働き口に困らないだけマシと達観しているのだろう。

 なにせ、失われた期間は20年を超え、会社の中堅でも、「成長する経済」は話に聞くだけになっている。政策的にも、マイナス成長に慣れっこになって、増税が出来ていたら御の字という価値観になっている。あとは、成長を味わいたかったら、海外へ出ていくしかない。それにしても、何のための消費増税なのか。景気を悪くし、そのとき限りの経済対策で大赤字を出しながら、継続性が必要な少子化対策は入りようがない。なるほど、出生数が減り、人口が崩壊するわけである。

 少子化対策のカギは、負担の重い乳幼児期の支援だ。結婚後、すぐに直面する事柄だからである。ところが、民主党の子ども手当も、自民党の教育無償化も、見事に0-2歳児を外している。財政負担が膨らむからと、肝心な部分を抜いて薄撒きにしてしまう。今度、10兆円の経済対策を打つくらいなら、年7千億円でできる非正規への育児休業給付でも実現したらどうか。預けて働かなくても良くなれば、保育需要を冷まして、待機児童を無くすことにもなる。まあ、やるべきことより、やれることで来たから、愚行比べの20年になったのだけど。


(今日までの日経)
 低格付け債バブルが変調 元本割れ相次ぐ、世界経済にリスクも。設備投資 計画比1.3%減 今年度、本社調査 車・電機で下振れ。景気不透明感 一段と 鉱工業生産、10月4.2%低下 外需縮小、増税・台風響く。経済対策 10兆円超に 政府調整、事業規模は20兆円超。増税後消費、厳しい出足 小売販売額10月7.1%減。中国、社債の不履行が最高に 2兆1700億円を突破 1~11月、幅広い業種で経営悪化。非製造業の純利益率最高 4~9月、生産性改善の兆し。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする