実質成長率で見ると、7-9月期GDPは前期比—0.5%と大きめのマイナス成長となった。主因は在庫減によるものだから、ヘッドラインほど悪くはないが、それでも、内需は、この1年で3度目のマイナス成長で、水準は1年半前の2022年4-6月期より低いのだから、なかなか深刻である。他方、体感的には、景気は悪くなく、企業業績は高水準だったりする。つまり、もうインフレ経済になっているということである。
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7-9月期の家計消費(除く帰属家賃)は、実質で前期比-0.1%と2期連続のマイナスだ。コロナが一服した2021年10-12月期と大して変わらず、むろん、消費増税後の2020年1-3月期より低い。コロナの落ち込みが十分に癒えてないにもかかわらず、停滞しているという構図で、消費増税前と比べると9兆円も少ないレベルだ。
他方、名目では、消費増税前のピークだった2019年7-9月期を9兆円上回る。アベノミクス期のトレンドからしても、2023年1-3月期に飛び出た形だ。物価上昇に伴って変化が起こり、その後は、トレンドで伸びているように見える。コロナからの回復と物価高への適応の境目は分かりずらいが、この辺りかと思う。
すると、足下では、アベノミクス期と同様の平時に戻っているということかもしれない。アベノミクスでは可処分所得を削減したため、消費の伸びが鈍かったが、キシノミクスでは、それをしていない。日経は、一気に補正を落とし、緊縮で需要シッョクを与えたいらしいが、アベノミクスとの違いは、これから出てくる。
設備投資については、7-9月期は実質で前期比-1.0%と2期連続の低下である。水準としては、アベノミクス期に届かず、2022年4-6月期以来、90兆円を前後しているだけだ。キシノミクスでも、設備投資促進の産業政策は潤沢にしてきたが、マクロ的には、せいぜい輸出が伸びる範囲でしかなく、むしろ、停滞しているのが実態だ。
ただし、こちらも名目では、ほぼ100兆円になっており、過去最高のバブル期に迫る水準にある。企業は、高収益の下、主観的には、積極的に設備投資を進めている感覚だろう。ここでも、インフレ経済になっているわけである。今後については、10-12月期の機械受注の見通しは、製造業がマイナスで、非製造業も低下を取り戻す程度と、芳しくない。
公需は、政府消費が珍しく四捨五入で寄与度0.1だったが、公共投資はマイナスであった。こちらも、名目では、わずかずつ増やし続けているので、物価上昇で目減りしている構図にある。実質だと、過去最低の水準にあるので、補正でテコ入れしなければならないのは当然過ぎる状況だ。日経も何を見ているのかと思う。
(図)
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GDPを眺めるのに、名実を分けて評価しなければならないというのも、久しぶりの感覚だ。正直、忘れてたね。若いエコノミストだと戸惑いもあると思う。今が本当に転換点になっているかは、後になって分かる。「キシノミクス」なんて誰も言わないが、ここまで無難に進めて来て、足りないのは「やってる感」かな。日経はほめないが、意外と「経済、経済、経済」になっているのだよ。
(今日までの日経)
米消費に減速感強まる 8~10月、耐久財や高額品不振 余剰貯蓄の効果息切れ。歴史的円安、近づく最終局面 日米の金融政策転換がカギ。社説・直らない補正予算の水膨れ。第3子加算、期間延長 児童手当 子の数え方変更。外食9社、稼ぎ上回る投資。