経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

大連立の危機管理

2011年04月04日 | 経済
 本コラムは、同時代的に歴史の「If」を書いているようなところがある。大震災の直後、「自民党は、解散の約束と引き換えに、政府案へ全面的に賛成すべし」としたものとかである。そうしていれば、日本政治の信頼回復につながったと思う。

 大連立にしても、具体的にどうすれば良いかを書いてきた。「外交、安全保障、選挙改革の閣僚を確保し、経済政策については民主党に任せるべし」という内容だった。これも、民主と自民どちらに有利というのではなくて、日本政治に必要なものを記したつもりである。

 前者については、危機においては権力を集中する一方、評価を受ける時期を明らかにするという考え方、後者は、内政と外政を区分した政治責任の確立という考え方であり、諸外国では普通の手法である。これを日本政治の憲政の常道としたいと思ったわけだ。

 さて、年度が変わっただけで、にわかに大連立の機運が高まってきた。その内容は、復興担当、防災担当、沖縄担当の大臣を設けて、自民党に担わせるもののようだ。二大政党が協力して大震災という国難に対応するらしいが、失敗したら、どういう形で責任を取るつもりなのだろうか。

 まあ、自民党には「有能な人材」が居るそうなので、失敗はあり得ないのかもしれないが、筆者は、失敗した場合を常に考えておくことが、危機管理の提要だと思っているのでね、希望的観測などは持たないのだよ。

 阪神大震災をなんとか乗り切れたのは、震災対策と景気対策に、惜しまず財政出動を行ったからである。成長率の大半をこれらで占めるほどで、これをしていなければ、大震災のショックで経済は落ち込み、1996年の景気回復へとつなげられなかっただろう。

 今回は、財源を用意してから復興に取り組むという傾向が、民主、自民党ともに強いので、経済運営に失敗する可能性が高い。財源を用意する財務、総務相を民主が受け持ち、対策を担う大臣を自民と分け合うのも紛争のタネになるだろう。

 大連立で失敗したら、国民は、連立に参加しない社共や、みんなの党のような小政党でも選択すれば良いのだろうか。それとも、政党政治は見限られてしまうのか。いずれにしても、碌なことにはなりそうもない。

 経済運営では、電力不足が心配されているが、今日の日経の記事を分析すると、各社の対応でかなりカバーでき、世間で言われるほどは深刻にならないように見える。今回も、また、現場はがんばるが、トップリーダーが迷走して苦しむという、いつもの「日本らしさ」を発揮しそうである。

(今日の日経)
 節電促進へ規制緩和。社説・税関でお墨付きを出せ。電力不足、化学や紙パの影響大きく。スリランカ、内戦終了で高成長。米、値上げ品目広がる。汚染水処理船「すずらん」の活用を。三井造船、夜間休日に電力多用工程。経済教室・日本の経営者から長期的視野が奪われた・加護野忠男。

※節電策はこの程度か。電力逼迫時には、冷房を切るという運動でも組織化してはどうか。商工会議所などの「民」にさせ、「官」が再保険する方が良いのでは。平和こそ繁栄の礎だ。
※米国は、今が、最も緩和のメリットが出て、デメリットが少ない最善の時期だろう。これからは、デメリットが広がり、メリットを打ち消していくことになる。
※加護野先生、景気が回復しかけると、早々に緊縮財政を仕掛けて芽を摘んでいくのだから、短期的視野になるのも当然ですよ。これをされると企業はどうしようもない。まあ、特別版の「壮大なる愚行」でも見てくださいな。
コメント
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