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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

経済政策は無いよりマシなものらしい

2025年07月20日 | 経済

 「賃上げには生産性向上」と、今でも言われてるんだけど、的が外れている。アベノミクスの時には難渋したが、ポストコロナでは一気に実現した。生産性が向上したかというと違うだろう。なぜ上がったのか、目の当たりにしても分からないままだ。認識の枠組を持っていないと、データを目の当たりにしても理解できないのである。ここに日本の経済政策の本当の問題がある。

………
 大幅な賃上げが実現したのは、売上が増大したからである。経営者の観点に立つと、売上が増えなければ、人件費は増やせないし、売上が取れるなら、人件費を使っても逃さないようにする。売上至上主義と揶揄され、利益を見てないと言われても、経営者とは、そういうものだから、仕方がない。経済理論で言えば、利益で行動しないと合理的ではないけれど、利益は、売上が立った後、結果的に付いてくるというのが、実際の感覚である。

 このあたりに関して、法人企業統計で人件費/売上高を見ると、ショックで上がることはあっても、平時には、あるレベルに落ち着く。ポストコロナでも、売上が増しただけの分配はしているわけである。日経は「利益増でも賃金に回らず」としているが、法人企業統計の経常利益は、持ち株会社の利益が事業会社とダブルカウントされていて、営業利益と乖離があるため、取り扱いは要注意である。

 アベノミクスでは、生産性向上のための様々な支援策が取られたが、他方で、円安と増税で消費抑制策が採られたため、売上が増えず、賃上げには無理があった。ポストコロナでは、購買力が保蔵されていて、コスト高の値上げが受け入れられ、物価高による売上の増大が実現した。売上が立てば、実質的な価値が増大したわけでなくても、賃上げはできるし、競争上、やらざるを得ない。

 では、経済政策として、何をすべきなのか。生産性向上策は結構だが、消費を抑制するようなことを組み合わせてはダメだよね。円安で購買力が削がれないよう日銀が着実に利上げしているかとか、インフレの税収増で無暗に財政が締まっていないかとかを点検するのが正道ということになる。税や社会保険料の下げでなく、消費に結びつく低所得層にいかに出していくかである。

(図)

………
 与党大敗の予想だけど、めぼしい経済政策を立てられなかったのだから、当然のところもある。アベノミクスの三本の矢は的外れだったけど、やってる感はあって、人気を集めることができた。やってる感すらないと、わけのわからないものでも、改革っぽい言説に人々は魅入られてしまう。今が不満だから、何かしてくれというのが大衆であって、それが何だろうと無いよりマシというのが民主主義というものらしい。


(今日までの日経)
 製造業あってのラピダス。夏休みの旅行、原油安の恩恵。米国はや関税収入大国。利益増でも賃金に回らず 賃上げの好循環、道半ば 労働分配率、昨年度51年ぶり低水準 内部留保は最高。地価上昇、潤う不動産税収。

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地方も大幅な税収増

2025年07月13日 | 経済

 2024年度の地方の税収は、前年度決算比+1.9兆円となった。0.9兆円の定額減税を勘案すれば、実質+2.7兆円の増収である。予算(地財計画)からは+2.7兆円の上ブレだ。国の税収では、補正予算から+1.8兆円の上ブレで給付の財源になるとかならないとか騒がれたが、こちらは還元しなくて良いのかね。地方政府は、2024年度の資金循環の資金過不足で見ると、国と違いGDP比0.6%の黒字だ。

 2024年度は、国と地方を合わせて3.2兆円の定額減税を実施していたのに対し、2025年度は、所得税住民税の控除引き上げで1.3兆円の減税に過ぎない。前年度からは差し引き1.9兆円の増税ということになる。給付を行うとしても、実施は年明けではないか。すると、前年度も補正でしていたわけで、前年度より緊縮にならないだけで、定額減税の廃止を埋めることにはならない。

 どう見ても、新たな再分配の仕組みが必要だろう。ポストコロナで我々が学んだのは、賃上げには、生産性向上ではなく、売上の増大が必要だということだ。トランプ関税のために外需で通貨を増やせなくなっているのだから、内需で売上を増大させるには、財政を締め過ぎずに、地味に再分配をして通貨を増やし、消費を確保することである。基本的なことだが、今の政治状況では。なんともやるせない。

(図)


(今日までの日経)
 EU・メキシコに関税30%。最低賃金「1500円目標」遠く。最低賃金「1500円目標」遠く。企業の配当総額20兆円 5年連続最高。給付金繰り返し、いつまで。検証・年金制度改革・駒村康平。

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誰も成長戦略を知らない

2025年06月22日 | 経済

 国会が終わって選挙モードに入ったが、以前の「景気を良くします」という主張は消えて、バラマキを競うようになった。政治が劣化したと言うのか、経済がインフレになったからなのか、いつのまにか変わっている。肝心の設備投資は、日鉄は米国ですると言うし、半導体に続き造船も「国営」でないとダメらしく、いずれにせよ、景気を良くできる道は、消えているのかもしれない。

………
 成長には設備投資が必要で、設備投資は、低金利、補助金、技術支援でできると信じられているが、実際には、売上が見込めないとなされないので、従来の成長戦略は空振りばかりである。利潤を高める施策で出て来ないのは、理屈としてはおかしいけれど、現実には、需要の動向に強く影響されるのだから、仕方がない。理屈から脱せず、現実を受け入れられないことが失敗続きの真の理由である。 

 設備投資が需要次第とすると、需要は設備投資に拠るから、内部では解けない問題になる。ゆえに、日本経済が加速したのは、外需に恵まれたときだ。輸出を起点に、所得増、消費増、投資増と循環して、投資率が高まると、高成長の構造になり、高成長が維持されるようになる。その典型が高度成長期であり、デフレ期は、輸出の起点はあっても、円安物価高と緊縮財政で循環を妨げてしまったために、低成長にくすぶったわけである。

 高度成長の中核であった日鉄が米国に巨額の設備投資をすると聞くと、しょせん、需要のないところには、投資がなされないのだなと思う。半導体や造船だって、売れると思ったら、融資してもらえれば十分で、お上に投資していただこうなんて考えないよね。そして、デフレ期と違って、起点とする輸出の確保すら、この国には、もう、ままならなくなったのだなと感じざるを得ない。

(図)

………
 5月の消費者物価指数は、総合の前月比が+0.4でやや高め。生鮮は引き続き下がり、米と加工食品が上がっている。サービスは、前年同月比で+1.4と、あまり動きがない中、家賃は上がり始めた。財の物価を下げるには、円安是正が必要だが、金融政策には積極性が感じられない。円安でも輸出が得られないのだから、物価対策に考えを切り替えるべきだろう。財政と言えば、ガソリン減税で物価対策ですか。輸入品の需要を増やしてどうするのかね。


(今日までの日経)
 国防費「GDP比5%必要」 米、アジア同盟国に基準。「国立造船所」の建設検討。円安局面は終わってない。成長戦略不在の論戦へ 自民が公約発表。財務省、金利上昇で短期に比重。日本は復活の始まりにある イェスパー・コール。

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1-3月期GDP2次・マンネリの骨太

2025年06月15日 | 経済

 今年の骨太方針の目玉は、実質賃金の上昇なんだけど、実質であれば、交易条件の改善が必要で、それには、円安を是正するよう、日銀に着実な利上げしてもらわなければならない。他方、賃上げには売上増が必要なのだから、内需を確保するため、財政は締め過ぎないようにしなければならない。骨太の特徴は、肝心なマクロの戦略が抜けていて、イノベーション系の産業政策を焼き直すばかりだ。

………
 1-3月期GDPの2次速報では、実質の家計消費(除く帰属家賃)が少し上方修正されて前期比+0.14になった。物価高で下押しされていると言われつつも、アベノミクス期の平均+0.07よりは、ずっとマシである。アベノミクス期には、円安と負担増が強烈で、消費が抑えられ、売上が伸びず、賃金が上がりにくかった。賃金を上げようと思うなら、その逆をやらなければダメなのである。

 むろん、金融政策は、極端な緩和で円安を狙うようなことは既にやめている。しかし、金融政策の真のターゲットはドル円にあって、今の局面では、長期金利が上がろうとも、着実に利上げして円高に誘導する戦略が徹底されているわけでもない。景気が減速するようなら低金利を維持したいような、効果がないと分かった政策に、いまだに引きずられているように思われる。

 財政については、昔から緊緩を調整しようという思想は皆無だ。2024年度の税収増は、国だけで3.6兆円にもなりそうで、たまたま2兆円の定額減税をしていなかったら、どうなっていたんだろうというレベルである。参院選向けに、税収上ブレ分を給付しようという政策が出てくるのは、むしろ自然だ。問題は、インフレでもいまだに思想が変わらず、還元するための制度インフラがなく、行き当たりばったりになっていることだ。

 2次速報では、設備投資が実質で前期比+1.02と好調だった。その主力は知的財産生成物で、一般にイメージされる機械設備ではない。遅れていたデジタル化がようやく進んできており、2022年以降のインフレ下での特徴となっている。売上が伸びる中で人手不足がネックなら、デジタル化に投資するのは当然の成り行きで、産業政策で旗を振るより、売上こそが設備投資の薬なのだ。

(図)

………
 売上がすべての起点だ。会社を経営していれば、言うまでもないことだが、政策となると、金利とか補助金になってしまう。産業政策は、国が半導体に直接投資するところへ進化したけれど、ちゃんと売上は立つんだろうね。インフレ下で、売上が積年の課題を癒すのを目撃したのに、経済戦略はマンネリだ。本当の問題は、経済戦略自体より、従来路線にしがみつき、現実に学ばないことなんだろうね。


(今日までの日経)
 日鉄、USスチール買収成立。日銀、国債購入の減額圧縮へ。骨太方針決定、賃上げに力点 「実質1%目標」具体策乏しく。ホテル・旅館業界で、省人化サービス。50年後の日本、AI社会変革でGDP4位。自社株買い12兆円で最高。

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物価高において戦場を選ぶこと

2025年05月25日 | 経済

 アベムジカというバンドアニメの話を聞いて、妙なところに感心してしまった。主人公は、野心的なプロジェクトに挑み、支えることに必死で、負荷の過ぎた盟友がメンタルに異常を来たしているのを見過ごしてしまう。ついに主力を失ってプロジェクトは潰え、絶望するだけでなく、狂態を目にして悔恨に泣き崩れ、求めていたことすら否定せざるを得なくなる。仕事より体が大切とは、よく言われるが、どれほど重いかは、できる人間ほど、大なり小なり経験し、彼我を知って戦場を選ぶことを思い知る。今の若手がアニメで学んでいるとは思わなかったよ。

………
 4月の消費者物価指数は、総合が前月比+0.1にとどまった。要因は生鮮の低下で、ウエートは米類の10倍だから、影響は大きい。生鮮は、上下が激しいために省かれがちだが、年間で見ても、総合や財より上昇幅がずっと大きい。物価高の庶民の痛みは、実は、ここにあるので、値上がり分にまでかかる消費税は目の敵になるし、野党は食料品への減税で選挙でのウケを狙うことにもなる。

 とは言え、消費税は社会保障財源になっていて、逆進性の強い社会保険料を上げないためのものであることを忘れてはいけない。戦場を選ぶ必要がある。対する財務省も、籠城作戦に出たものの、時流に乗る勢力を抵抗運動で押し返すのは危い。本当の戦場は、「真に意味のある社会保険料の軽減」なのだが、体力勝負を避け、ここに行き着くには、戦略を練らなくてはならない。

 再分配で有効なのは、低所得者に厚くなる定額給付であり、消費減税などのように、所得に比例する軽減は不効率で、財源に穴をあける弊害も大きい。負担減の対象は、重くて低所得者に容赦のない社会保険料とするのが当然だ。負担は、非正規雇用を助長したり、結婚を阻害したりと、経済合理的な行動を妨げており、貧しい人を助けるだけでない社会的意味があることも重要だ。

 具体案を言えば、2023/1/1で示したような社会保険料に連動した給付つき税額控除になる。財源は、2兆円程度までなら、足下の自然増収の規模からして問題にならない。問題なのは、分かりにくさだ。国民には「実質的に社会保険料を下げます」で十分だろうが、政治家の理解力がどれだけあるかである。物価高だから消費減税という力任せの単純思考から離れ、勝てる戦場を選ぶ知恵があるかだ。

(図)

………
 年金法案は、立民党の提案で基礎年金の底上げが復活するという、不思議な展開になった。自民党は責任政党の面目を失い、選挙のために負担増を忌避するという単純な戦い方の惨めさが露わとなった。5年後、底上げを発動させるには、給付水準を上げる適用拡大と裏打ちする負担減が必要で、戦場は移っていく。政治家は、戦い方を学ぶために、アニメでも見てはどうかね。


(今日までの日経)
 日鉄の2兆円投資評価 USスチール買収一転承認。基礎年金底上げ復活へ 法案修正 自民、立民案受け入れ。コメ、背水の「官製値下げ」 随意契約で備蓄米半額に。消費減税「地方財源を圧迫」自民税調、異例の5月会合 やまぬ推進論を説得。ドイツ国債、大増発時代。

 

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1-3月期GDP1次・輸入増によるマイナス成長

2025年05月18日 | 経済

 1-3月期の実質GDPは前期比-0.2と若干のマイナス成長と、予想どおりだった。マイナス成長は輸入増によるもので、前期の反動が多く含まれているとは言え、トランプ関税の行方によって、輸入が成長の足を引っ張り続ける経済の始まりになるかもしれない。言い換えれば、資源や食料の輸入に難渋する経済に転落するということだ。過去の栄光は、さらに遠くへと去りつつある。

………
 1-3月期の家計消費(除く帰属家賃)は、実質が前期比+0.1と横ばいにとどまり、名目では+0.3であった。停滞は物価高が理由で、デフレーターは前期比+1.8と、この3年でもひときわ高かった。それでも、消費増税のときのように、実質を減らさなかったのだから、よくついてきたと評すべきだろう。物価高の背景には、1月をピークとした円安のぶり返しがある。物価安定は、円安是正を通じた金融政策の仕事なのに、やり切れていない。

 設備投資は、輸出が減る中で、前期比が+1.4と思いのほか高かった。鉱工業指数では、建設財、消費財の出荷が底入れしているので、この反映ならば良いのだが。設備投資は、需要に従うものであり、トランプ関税で輸出の減退は目に見えているから、あとは、今は名目だけとはいえ、内需の拡大につれて、設備投資がどれだけ引き出されるかが、今後の成長維持の注目点となる。

 政府消費は、前期比-0.0と寂しいもので、公共投資も、前期比-0.4とマイナスだった。年度では、それぞれ+1.5%と+1.4で、まずまずだが、直近がマイナスだと、今後が心配だ。住宅投資は、前期比+1.2だったが、資材高で、年度だと-1.0という収まりである。輸出は、年度が+1.7と前年より減速し、輸入は、+3.7と2倍の伸びだったものの、前年度のマイナスの反動もあり、輸入の水準だけが上がっているわけではない。

(図)

………
 デフレ下で投資をした日産は、輸出を失って経営危機に陥り、トヨタは、日本の生命線を守るべく、試練に挑む。国内新車販売台数は、2018年の527万台から2024年の440万台まで、出生率の低下と同様、大きく減った。内需が乏しければ、輸出に活路を見出すしかなかったが、その道が狭まって、改めて内需が求められるようになった。結婚ができない若者は、車も欲しない。産業政策の課題は、低所得の若者への再分配だったりする。


(今日までの日経)
 社説・年金を政争の具とせず建設的な審議に。低年金対策、5年後に再検討 底上げ策、苦し紛れの先送り。日産、拡大突き進み巨額赤字 トヨタは立ち止まり黒字。トヨタ「300万台」の試練 外貨を稼ぎ、エネルギー輸入を支える。中国不動産、長引く不況 在庫5年分、負の連鎖招く。米関税、車に1.7兆円打撃。昨年出生率「過去最低1.15」民間試算 。政府税調「年収の壁」物価連動を議論。

※立民党は、低年金対策の法案修正で、氷河期世代の支持を獲得でき、社会保険料連動型の給付つき税額控除で一気に適用拡大をして、若い世代の支持も拡げ、高齢世代の給付水準の低下もなくなって、こちらの支持まで得られる。戦略的に極めて有利な位置にいるのだが、まったく見えてないのが、あまりにも日本的だ。まあ、建設的な審議をしてくれ。

 

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消費維持のための還元策の頃合い

2025年05月11日 | 経済

 3月のCTIマクロは、実質の前月比が+0.1で、1-3月期の前期比は+0.2で着地した。名目では+0.8で順調だ。これで1-3月期のGDPは若干のマイナス成長かな。マイナスは輸入増によるもので、住宅と設備投資は高めだから、中身は悪くない。ただ、住宅は駆込み、設備投資は輸入によるものが大きく、いま一つ頼りない。とにかく、名目で良いから消費増を保ち、投資を引き出す展開に持ち込みたい。

………
 その消費を家計調査で見ると、可処分所得が削られている。1-3月期に名目実収入が前期比+0.2なのに、可処分所得は-0.8だ。気になるところだ。いかに締め過ぎないかが経済政策のカギだが、疎かになっている。選挙の人気取りに、荒っぽく大規模な減税がぶち上げられるばかりで、経済を調整する上で、どの程度、どこに充てるのが最善かという戦略がまるでない。この国に戦略的思考を求めるのは虚しいのだけれど。

 3月の国の税収は、前年同月比+15.7%とかなり高かった。この調子だと、補正後の2024年度予算額を1.8兆円ほど上ブレるのではないか。前年度決算比だと+3.1兆円くらいだ。2兆円の定額減税をやってこれなので、実質+5兆円の増収だ。たまたまにせよ、定額減税をやってちょうど良かったくらいだ。コロナ後の名目成長の動向だと、毎年、2兆円程度の減税や再分配を重ねていくというのが頃合いだと思う。

 消費減税やガソリン減税は、規模が大きすぎて、経済政策として危惧するレベルで、充てる先も、高所得者とか年金の物価スライドで補われる高齢者に拡散してしまう。非正規の低所得者、結婚・出産に直面する若者といった、成長にもつながるような分配を考えなければならない。具体策としたら給付つき税額控除なのだが、看板にしていた立民党まで消費減税を掲げるようでは、大衆迎合で戦略を捨ててるとしか言いようがない。

(図)

………
 度が過ぎた減税は、一部に大受けでも、他方で先行きに不安を与え、支持を限られたものにする。国民党が人気だったのは、所得控除に現実味があったからだろう。野放図さを与えては逆効果になる。有権者が真に欲しているのは、経済政策として成り立つ筋立てであって、バラ撒けば選挙に勝てるなどと思う政治家は、国民をバカにしている。そもそも、政治が売るべきは、利得でなく、戦略なのだ。

 

(今日までの日経)
 製造業2年ぶり減益。トヨタ「国産300万台」堅持。「財源なき減税論」警戒 自民、参院選へ近く勉強会 家計負担軽減、対案は乏しく。世界の成長エンジン陰り 新興国経済下押し 米関税への懸念続出。韓台通貨高、ドル離れ映す。真に価値あるスキル AIの正体 見抜く力を。

 

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再分配への遠い道

2025年04月27日 | 経済

 立民は「食料品消費税ゼロ」ですか。1年後には給付つき税額控除だそうですから、道半ばですな。与党は総選挙で負けてから、参院選用に再分配を必要としながら、ロクなものを用意できなかった。国民党は、一応、掲げてはいる。合理的な政策に、なかなか行き着かないのは、なぜなのか。受けることしか考えず、何が解決すべき課題なのかを、ちゃんと分かっていないからだろう。

………
 2月の人口動態速報の出生は前年同月比-6.6%で、年に5%減のペースが続く。婚姻は、この1年、減少ペースが緩んできたが、未だ出生の減少ペースは衰えない。このままだと、今年の合計特殊出生率は1.11人まで落ちる。コロナ前の2019年と比べると出生数は25%も少ない。子供が減るのだから、子育て支援を厚くしているつもりで、総額では軽くなって社会的負担は下がることになる。

 日経の経済教室では、無子化の背景として、収入・雇用状況や若者の経済格差が指摘されている。結婚してからの支援ではなく、結婚ができるように低所得の若者に再分配を行うのが最重要の課題なのだ。社会保険料の軽減で、一気に適用拡大をすれば、マクロ経済スライドを改正をしても、給付水準を下げずに済むという大きな利点もあり、年金改正の悩ましい問題もクリアできる。

 ガソリンを安くして、クルマを持てる人に広く薄くバラ撒いている場合ではなかろう。広く薄いだけに大受けだろうが、これで膨らませた財政赤字を若者は背負わなければならず、無知なるがゆえの喜びだ。食料への軽減税率は、10%増税の際、給付による再分配はアピールが薄いと否定して設けられたもので、その咎めが未だに尾を引いている。受け狙いの軽減税率が真に必要な再分配を潰した轍を踏まなければ良いが。

(図)

………
 経産省は産業構造審で経済成長の構想を描いて見せたが、設備投資が盛んになれば、成長が加速するのは当たり前だ。どうやって設備投資を盛んにするのかが肝心である。半導体のように、直接、国が設備投資をするというのだろうか。企業は売れる見込みがあれば、黙っていても設備投資をする。見込めるほどの消費需要をどう確保するのかが真の課題だ。どこもかしこも受けばかりで、課題が見えていない。


(今日までの日経)
 立民「食品消費税ゼロ」。参院選にらみ減税ドミノ。建設費高騰止まらず。中国、世界の企業「支配」。財務長官「通貨協定求めず」。無子化をどう捉えるか・支援策、広報と評価の充実を・「草食化」の背景に雇用不安。

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迷走の中の物価の安定化

2025年04月20日 | 経済

 与党はバラマキに失敗し、年金からは逃避。あまりに予想どおりで、政治主導なんて、所詮、こんなもの。社会保険連動型の給付つき税額控除を導入すれば、バラマキの名分は立ち、一気に適用拡大ができて給付も下げずに済む。どうして、経済的に合理的な政策を選ぶことができないのかね。年金の抜本改革なんて、目立ちたいばかりに世迷言を叫ぶ輩が党内にいるからなのかな。

………
 3月の全国の消費者物価指数の総合は前月比+0.3と、なんとなく低めで、加速は止まった感じだ。サービスは、帰属家賃も上がって前年同月比2%弱が定着した感がある。金融政策は、緩やかに、かつ、トランプ関税にかかわらず着実に、金利を上げるで良いだろう。物価高対策は、円高原油安でガソリンの補助金が不要になったように、節目を迎えている。本来は、賃上げや物価スライドまでのタイムラグを埋めるべきものなのだし。

 トランプ関税で星先生は、「輸出に頼る構造は再考が必要」と言われるのだか、代わりにどうするのかだよね。「円安にして、輸出は伸ばすが、消費は見ない」の逆をしなければならない。今は利上げ局面にあって、円安是正は大丈夫だが、財政を上手くコントロールし、消費を伸ばせるかになる。基本は、どうやって、税・保険料の自然増を見込んで、安定的に還元していくかだ。消費減税とか、一気ものはダメである。

 高度成長期は、実は、今より輸出に頼っておらず、自然増収を事前に見込んで、減税で還元する方法を取った。当時は大した政策だとは思われていなかったが、失ってみると、今更ながら再評価せざるを得ない。ただし、今は、税より社会保険料の負担が遥かに大きいので、これをどう戻すかに知恵が必要となる。最初から無理と思う先入観があるから、合理的な政策に行き着かないのである。

 年金の社会保険料は、原理的には、負担を減らすと将来の給付が減るため、野放図に減らせという話にならない、今と将来の必要度を考えつつ、負担減を量ることになる。また、適用拡大や少子化緩和につながれば、負担を減らしても給付が増えるメリットもある。負担減に補正予算を使えば、プライマリーバランス達成後の次の目標である補正予算の整理にも役立つはずだ。

(図)

………
 米軍駐留経費を全額持つくらいで、トランプ関税が収まれば安いものだが、それに加えて自動車の対米輸出を数年でゼロにするくらいは、求められるだろう。既に失っているとはいえ、輸出を成長の起動力にすることはもうできない。米国のように内需で成長を引き出すには、どういう戦略になるかまじめに考えなければいけない。それが今の政治にできるとは、到底、思えないのがやるせない。


(今日までの日経)
 トランプ関税、日本は改革の好機に・星岳雄 政府・自民、ガソリン価格10円下げ。社説・年金改革から逃げる政治は無責任だ。「安保」握る米国 糸口探る日本 関税交渉スタート。基礎年金底上げを見送り。経済対策、狭まる選択肢。訪日客1000万人、四半期で初。巨額政府債務の下で利上げは効くか 門間一夫。

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家計GDP 10-12月期・何がしたいのか分からない

2025年04月13日 | 経済

 無茶苦茶が売り物のトランプ関税だが、長期金利の高騰は心配するんだと知って驚いた。それくらい想定できるだろうに。トランプを懲らしめたければ、報復関税ではなくて、関税を転嫁して値上げすることだ。日本は、利上げで円高誘導、転嫁で数量減なら、国内市場への転換を支援するので十分だろう。参院選に向けてバラマキというのは醜悪だ。筋立てのないバラマキでは勝てない。それとも、長期金利を上げて報復する高騰戦術なのかい。

………
 10-12月期の家計GDPが出て、名目で雇用者報酬が前期比+1.6%だったのに、税・負担の増で、可処分所得は-0.3%となり、家計消費は+0.2%にとどまった。そうなるよねという結果である。賃金と物価の好循環を目指すらしいが、本質は、賃金と売上の好循環であり、賃金と消費の好循環でなければならない。ところが、循環を堰き止めているのは政府だったりする。もっとも、2024暦年では、定額減税や物価対策で負担減にできていたが。

 こうして見れば、家計に安定的に還元できていないことが、日本経済の欠陥であることは明らかだろう。それなのに、思いつくのは、参院選目当てのバラマキだ。商品券のごとく配れば歓ぶとでも。アベノミクスが受けたのは、論理が変でも、時流に乗れる筋立てがあったからである。国民党の人気も、筋が通っていた部分があったからである。タダのバラマキだった定額減税は、もらった4か月後の総選挙で、すっかり忘れられていた。

 トランプの相互関税は90日先に伸びたが、いざというときに家計に還元する制度インフラがないという欠陥がまたも露呈した。財務省は、更なる財政再建目標を作るのに熱心だが、名目で成長するようになれば、いかに秩序立って還元するかが焦点になる。情勢が変化しているのに、満州死守しか掲げられないようでは破綻する。欧米の経験に照らしても、社会保険料連動型の給付つき税額控除の一択である。

(図)

………
 トランプを見ていると、何を得たいのかが分からない。高関税で米国内に縫製工場を作りたいのかね。しょせん、「悪いのは外国、懲らしめれば、米国が良くなる」という思いつきに、多少、理屈を載せたものなのだろう。まじめに考えるのもばからしい。アベノミクスだって、日銀が国債を買いまくれば、設備投資が出てくるなんて、さっぱり分からなかったし、財政は黒字であるほど良いはずとか、古今東西、同じなのか。みんなまじめに考えてくれよ。


(今日までの日経)
 万博、きょう開幕。金融リスク、米に再考迫る 米国債急落が引き金 株価下落で巨額損失を抱えたヘッジファンドが保有国債の換金売り。米相互関税、上乗せ部分を90日停止 中国は125%に上げ。財務省が狙う次の財政目標 基礎収支の「黒字幅」浮上。。政府・与党、経済対策を検討 物価高で現金給付案。

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