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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

アベノミクス・続くゼロ成長ぺース

2015年08月30日 | 経済(主なもの)
 消費が振るわないね。5月並みの水準に戻っても、7-9月期はゼロ成長になる可能性があるとしていたけれど、それに7月は届かなかった。希望は、勤労者世帯の実質実収入で高めの数字が出たこと。よくあるブレとは思うが、8月があまり落ちず、消費性向が戻れば、良い数字もあり得る。むろん、消費が増せば、在庫が減る状況にあるので、成長の確保がなかなか厳しいことに変わりはない。

 日本経済は、一気の消費増税によって、成長が屈折し、ほとんど伸びなくなってしまった。無闇な需要の吸い上げを行った結果であり、成長力を高める戦略うんぬんを語るのが虚しくなる大失態だ。行過ぎた緊縮を緩めるには、政府税調が指摘するように、 若年貧困層の負担軽減策が必要だろう。もともと彼らの税負担は少ないのだから、それは必然的に社会保険料還元型の給付つき税額控除に類するものとなる。

………
 7月の家計調査は、二人以上世帯の実質消費支出(除く住居等)の季節調整済指数が95.1と、良好だった5月に届かないという結果だった。また、これは4-6月期平均と同じ数字だから、ゼロ成長ペースにあることを意味する。消費を支える実収入が伸びていることから、7月の数字だけでは気が早いが、7-9月期の成長の確保は険しさを増した。

 7月の伸び悩みは、勤労者世帯の消費性向が大きく下ブレしたことが要因であるため、今回こそ、マインドの低下だの、天気のせいだのと言い得るものである。逆に、6月には、髄分と「悪天候」が言われたが、このときは、可処分所得の低下、すなわち、税・保険料の増加が大きな要因であり、マインドや天気を持ち出すのは適当でなかった。そんなわけで、「猛暑でも動かない」のは当然である。  

 ちなみに、実質実収入と可処分所得の間には差があり、10-12月期、1-3月期には可処分所得の伸びが0.3ずつ少なかった。この7-9月期に、消費の伸びを、これくらい確保できればと望んでいるわけだから、それなりに意味のある大きさだろう。雇用が回復し、正規が増える過程で、税・保険料が所得増を削ぐのは致し方ないが、ここにも緊縮財政が潜んでいることには留意したい。統計外のマインドや天気を持ち出すのは、数字を見てからで良かろう。

(図1) 家計調査



………
 今回は、供給側の商業動態統計も確認しておこう。7月の小売業を季節調整済指数で見てみると、単月では前月比+1.2であったが、水準では、まだまだであることが分かる。下図のとおり、消費増税後、名目的には増税前の水準を、いったん、取り戻したものの、今年に入って崩れてしまい、7月のプラスでも回復できていない。この傾向は、家計調査と軌を一にしている。景気回復を実感できない理由の一つであろう。 

 一方、こうした消費の低迷にもかかわらず、「雇用はアベノミクスで増えている」ともされる。実際、7月は、労働力調査の失業率は3.3%に低下し、有効求人倍率も1.83倍に上昇している。内容も悪くなく、消費と雇用が食い違っているように見えるかもしれないが、そうではない。これを確認するため、失業率でなく、就業者数の季節調整値をチェックすると、今年に入って、伸びが衰えていることが分かる。

 例えば、2014年には、各月の平均が前年比+39万人だったのに対し、2015年7月までの平均は+18万人に半減している。年度で比較すると、さらに際立ち、2014年度の+38万人に対し、2015年度は+7万人に過ぎない。雇用にばかり目が向きがちだが、就業者には、雇用者ではない自営業者や家族従業者も含まれる。実は、これらは減り続けており、2015年には、雇用者の増加の4割を打ち消している。その分、雇用は伸びても、消費は伸び悩むのである。

(図2) 商業動態



………
 8/28の政府税調では、若年貧困層の現状について、小杉礼子、工藤啓の両氏からの聴取と高田創委員からの報告が行われた。いずれも傾聴に値する内容である。1997年以来の緊縮財政による成長喪失と貧困蔓延を目の前にして、いかに対処すべきなのか。安定的な需要管理と若年貧困層への所得再分配が必要なことは言うまでもない。

 日本は、消費増税ばかりを追い求め、高負担には欠かせない低所得層向けの給付つき税額控除を、とっくに欧米が実施する中で、怠ってきた。財政当局がもう少し無能でなかったら、ここまで事態が酷くなりはしなかっただろう。とりあえずは、2.2兆円もの税収上ブレを手にした今の局面で、どのような「財政」緩和策を取るかである。

 社会保険料還元型の給付つき税額控除が創設できれば一番だが、せめて、母子家庭の母についてだけでも、社会保険料を所得に応じて国が肩代わりできないか。そうすれば、130万円の壁に阻まれ、ダブルワークをせざるを得ない苦境から脱せられる。国民年金保険料の減免制度はあるが、それでは将来の年金は惨めな額になる。苦労して次世代を育てても、老いてまで貧困に喘ぐ、この矛盾。足りないのは、財源ではない、我々の理想である。


(昨日の日経)
 看護・介護の復職しやすく。日経平均561円高、市場動乱ひとまず収束。消費は猛暑でも動かず・7月消費0.2%減、食品値上げ重荷。若年貧困層に負担軽減策を・政府税調。

(今日の日経)
 クボタが全国でIT農業。法人税20%台の綱引き本番。円急騰はヘッジファンド主導。
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8/26の日経

2015年08月26日 | 今日の日経
 株式市場の動きは激しいね。そのパターンは地震に似ているそうだから、しばらく、余震が続くのかもしれない。実体経済が4-6月期がマイナス、7-9月も楽観できない中で、株安・円高が加わってきたのは痛い。ブルームバーグによれば、浜田内閣参与は、来期ゼロ成長なら金融緩和が必要としているようだ。政権も、本コラム同様、来期のゼロ成長を心配しているということかな。

(今日の日経)
 日生が三井生命を買収。日経平均18,000円割れ、上海続落、欧米は反発。中国が追加金融緩和。経済教室・日銀参照の家賃は品質調整前に・渡辺努。

※月曜の経済教室・介護難民防げるか・高橋康が興味深かった。日本でも、「食べられなくなったら諦める」という「利用者側の意識改革」が起きるのだろうか。
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7-9月期もゼロ成長の可能性

2015年08月23日 | 経済
 月曜に公表された4-6月期GDP速報は年率-1.6%、なかでも消費は「除く帰属家賃」が-3.9%と大幅に下げた。家計の所得は安定しているので、反動で7-9月期のGDPはプラスに戻るというのが、大方のエコノミストの見方である。ところが、昨日オープンになった消費総合指数の更新値を見ると、楽観できない状況に思える。まあ、今月末に出る7月の家計調査がグンと伸びてくれれば、そういう心配も消えるけれどね。

………
 消費総合指数は、更新によって平たくなった印象だ。すなわち、消費増税直後の時期が持ち上がり、反動減からの回復期が沈んだことによって、緩やかな回復と言うより、増税以来、低迷が長く続いている形になったのである。例えば、昨年6月は106.2、9月も106.2、12月は106.6、今年3月は飛び跳ねて1-3月期を高めたものの、4-6月期の最高値で、消費性向もまずまずだった5月でも106.4に過ぎない。1年も経って、わずかに+0.2だ。

 最新の6月が105.7と落ち込んだのは、たぶん「天気」のせいなのだろうが、7月以降、5月の106.4を取り戻しても、7-9月期は+0.5にとどまる。寄与度にすると+0.3だから、外需や在庫が足を引っ張れば、容易にゼロになる。7月の貿易統計は低調だったし、鉱工業の在庫水準は高く、そうなっても、まったく不思議でない。下手をすると、2期連続でマイナス成長になり、立派な景気後退となるかもしれない。

 GDPで消費の推移を見ると、2012年~2013年は毎期+0.5のトレンドで伸びていたが、消費増税後は、+0.3ペースに鈍り、この4-6月期に-0.8を記録して、ほとんどを吐き出すことになった。トレンドとの比較では、1-3月期に14兆円だったギャップが、4-6月期には、増税額の2倍を超える18兆円にも広がった。成長度合いを無視した一気増税の代償の損失は大きく、合理性に反する政策選択をしたことが分かる。

(図1) 



………
 消費の低迷については、6月あるいは4-6月期は「天気」のせいかもしれないが、眺める期間を広げれば、収入の低迷であることが分かる。いつも見ている家計調査の勤労者世帯の実質実収入で既に明らかだが、金曜に毎月勤労統計の確報も出たことだし、今回は、これも見ておこう。もっとも、あえて言わずとも、お役所は、増税が原因のときは、「天気」を持ち出すのを通例としているようなのだが。

 あまり見慣れないかもしれないが、季節調整済指数で推移を示すと、下図になる。確かに、アベノミクスの「お陰」で、常用雇用は順調に伸びている。問題は、給与総額で、好調だった4,5月でも、増税直後の昨年7月すら超えていない。言うまでもないが、消費増税と円安によって押し下げられた実質賃金に至っては、増税前水準には遥かに遠く、3ポイント内外の開きがある。

 雇用増を加味した「常用雇用×実質賃金」で見ても、大きく伸びた4月に、やっと増税前の2013年平均に届いた程度で、5,6月は再び割り込んでいる。今後、常用雇用は堅調に推移すると思われるが、給与総額は4,5月が上ブレしているとも考えられる。したがって、ボーナス支給時期のズレというサンプリング問題で大きく落ちたとされる6月から、7月がどれだけ戻せるかで傾向が明らかになってこよう。

(図2) 



………
 野田民主党政権が決めたスケジュールどおりなら、中国経済が不穏な中、2期連続でマイナス成長になりかねない弱々しさで、10月からの消費税率10%に突撃するところであった。その意味で、アベノミクスは日本経済を救ったとも言えよう。しかし、再増税を先送りしただけでは、成長の推進力は足りないままだ。本田総理補佐官が言及するように、3兆円程度の補正予算は不可欠だろう。

 課題は、その使い方である。住宅着工件数は上向きなので、クラウディングアウトの心配のある公共事業の大幅な積み増しは適当とは言えまい。そうなれば、現金給付となるが、地域振興券のようなバラマキでは評判を下げるだけである。ここは、社会保険料還元型の給付つき税額控除を用いて130万円の壁を崩すといった、経済構造の不合理の解消や格差の是正と結びつけた政策がほしい。

 来夏にある参院選や衆参ダブル選の可能性を考えれば、「還付」は年度末で間に合うはずである。一過性のもので誤魔化そうとする財政当局の性癖を排し、真に骨太な方針を示す方が良い。大議論を呼び、当局などとのバトルもあり、どう決着するか分からないこと自体が政治的資源になろう。

※具体策は、今を見越して1年8か月前に記した『ニッポンの理想』を参照のこと。


(昨日の日経)
 マネー萎縮 株安連鎖、日経平均597円安、NY株一時300ドル下げ、世界景気変調を警戒。

(今日の日経)
 エコカー走行距離長く。日本の格差の実態と処方箋・貧困家庭に教育投資を、非正規の処遇の改善必要。谷も深い商品相場急落・志田富雄。「収入に満足」が2年ぶり改善。
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8/18の日経

2015年08月18日 | 今日の日経
 見た目以上に4-6月期GDPが悪いことは、多くのエコノミストが語っているので、あえて筆者が詳述するまでもなかろう。それにしても、民間消費の除く帰属家賃が前期比-1.0とは、ひどいものだ。さすがに、7-9月期の消費はV字回復すると思われるが、今回、落ちたのが元に戻るだけであり、5/3から指摘してきたように、消費はゼロ成長という状態が続く。

 消費は、今後、増税前の毎期+0.5のトレンドで伸びたとしても、2014暦年の-1.3%に続き、2015暦年でも-0.8%成長にとどまりそうである。生活は貧しくなる一方で、増税前の水準に戻るには、2017年の1-3月期までかかりそうだ。そして、その4月には、消費再増税が待っている。このままだと、民心は離れてしまうだろう。

 心配なのは、4-6月期の消費性向は決して低いとは言えないことだ。2012年のノダ後退の時期は、このくらいに萎縮していたから、所得の見通しが厳しくなると、このまま低迷という可能性すらある。2015年前半の成長は、通しで+0.7で、在庫増加が+0.6を占める。アベノミクスの成長力の源泉は「在庫」である。これでは先行きは険しい。


(今日の日経)
 首都圏へ送電能力2倍。景気回復踊り場、GDP実質年1.6%減4-6月。企業好調、国内投資・賃金に回らず。
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赤字は悪のドイツ・イデオロギー

2015年08月16日 | 経済
 フランスの人口学者は、随分と影響力があるものだなと、感心しながら読んだのが、エマニュエル・ドット著『ドイツ帝国が世界を破滅させる』だった。均衡財政の下、賃金を切り下げ、輸出主導で成長を果たすドイツ流の経済モデルを手本にせよと言われても、フランスには、はた迷惑なだけで、反発も分からなくはない。

 問題は、貿易黒字を出すには、どこかの国が赤字を出さなければならないので、誰もがドイツにはなれないことである。いわば、ギリシャが赤字を出すから、ドイツが黒字を得られるという具合に、世の中は「不都合」な仕組みになっていて、黒字を「善」とはできない。企業や政府部門が資金を引き受けるから、ほとんどの家計が黒字にできるのとは、訳が違うのである。

………
 通常、ドイツのように輸出主導で成長を果たそうとしても、貿易黒字が増えてくると、自国通貨高になって、抑制が働く。ところが、ユーロのように、域内で固定相場制になっていると、金融が緩和されていれば、自在に輸出ができる。域外に対しても、域内に赤字国があれば、その分だけ通貨高を気にせず、輸出を増やせる。トッド先生がユーロを目の敵にするのも、分かるところだ。

 正しい経済政策は、輸出を拡大して所得を得たら、それで国内消費を増やし、内需向けの投資を刺激して、自立的な成長へと移行せねばならない。この典型が高度成長期の日本である。輸出は、成長の起動力、呼び水として使うべきであり、逆に、スターターに頼り、緊縮財政で所得を吸い上げていると、輸出が止まった途端に景気後退に見舞われる。小泉・安倍政権期からの暗転が正にこれだ。

 トッド先生は、金融資本の支配も批判しておられるが、金融界にとっては、金融緩和と緊縮財政の組み合わせは、資産価格を高めるので、手っ取り早く稼ぐには、好都合である。資産高騰で、格差が大きくなり、国内消費が不足しても、輸出で外国の需要を奪えば良い。ドイツ流のモデルは、悪くない政策であろう。これに関しては、「ピケティに思う」(1/5)で、少し書いたところだ。

 世界で唯一、貿易赤字を垂れ流して平気なのは、米国だけである。借金をしてモノを買っても、ドルを緩やかに減価させれば、債務を軽くできる。機軸通貨を持つ特権であるが、世界に需要を供給する大切な役割も果たしている。本当は、どの国も、黒字は「善」という誤った考えを捨て、内需主導の経済成長を果たすことの方が国民の幸福になると気づくべきなのである。

………
 日本では、財政再建の計画が金科玉条になっており、政治家を縛り付けても達成すべきと主張する人も少なくない。しかし、国の借金のウラは、企業の貸金である。企業の余剰資金を計画的かつ半ば強制的に削減せよと言うのと、実態は変わらない。まるで共産主義思想だが、言ってる本人に自覚はない。強引な緊縮財政は、不況を呼び、企業業績を悪化させ、余剰資金を消失させるにもかかわらず。

 むろん、主流派の経済学では、財政赤字を減らすだけで、企業は投資を増やし、経済は均衡することになっているから、理論上はこうだと言って、現実を見ずに済む。実際には、格差や企業部門に資金滞留があるとき、経済の均衡と成長の観点において、財政赤字は「次善」ですらあるが、大衆は、貿易も財政も赤字は「悪」と、家計の常識に訴える者へとなびいてしまう。

 赤字を嫌う「ドイツ・イデオロギー」は、欧州に脅威を与える独自の思想というより、いまだ常識論を超えられない現代の経済政策論の在り様に思える。もし、ドイツ人に独自さがあるとすれば、彼らは経済上の観念に酔えるのに対し、フランス人は自由気ままな生活を楽しむという本音を隠さないところにあるかもしれない。


(今日の日経)
 企業向け火災保険料上げ。人民元ショック、減速に焦り。貯蓄率じわり上昇4-6月期。

※今夏の経済財政白書は、消費増税の反動減が大きかったとする。「反動減」と言われると、いずれ戻る気がするが、実際には、増税のショックで家計の所得がヘタっており、消費低迷は、使わないからではなく、おカネがないからである。確かに、4-6月期の消費性向は低いが、たまたまであろう。しかも、増税前と比較して、特に低いと言うほどでもない。大きな「反動減」を起こしたこと自体が失敗であり、甘く見たことを反省すべきである。
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8/14の日経

2015年08月14日 | 今日の日経
 消費総合指数が公表になり、8/2に予想したとおり、前期比は-0.6だった。これが、そのままGDPの消費になると、相当、厳しい結果になる。通常は、消費減の分、在庫が増えて、相殺されるのだが、在庫は、1-3月期に大幅にGDPを押し上げた後だけに、2期連続でそうなるかどうか。在庫も足を引っ張るようだと、極端なマイナス成長になる。

 昨日の6月の機械受注は、民需(除く船電)が大きく下げた。7-9月期の見通しは、ほぼ横ばいで、達成率を外すとマイナスである。設備投資も、消費増税後の落ち込みからの回復過程を終えて、停滞局面に入ったように見える。景気回復の好循環は資本主義の常態だが、それを消費増税でわざわざ阻害している構図である。

(今日の日経)
 東芝に企業トップ経験者。人民元下落が一服。機械受注4-6月2.9%増。
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8/11の日経

2015年08月11日 | 今日の日経
 昨日公表の7月の消費動向指数は、季節調整値の前月差は-1.4と大きめの低下となった。景気ウォッチャーも、日経の見立てとは異なり、季節調整値では6月に続き低下している。7-9月期に入っても、アベノミクスが再失速の状態にあることが確認されたと言えよう。輸出の減退を停滞の理由とする見方もあるが、タイミングが早いし、製造業比率の低い北海道や沖縄でも停滞している。やはり、消費増税後のリバウンドが終わり、勢いがなくなったと見るべきだろう。

 昨日と今日の経済教室は、女性の活躍だった。日本は、「年功賃金」、「長期雇用」については他の先進国とあまり変わらず、「現業の熟練への処遇」、「管理職の遅い選抜」に特徴があるという、脇坂先生の指摘には耳を傾けたい。女性の登用には、出産時期の制約もあるから、早い選抜が必要だろう。一方で、そこで選に漏れた女性が非正規に押し込められるのでは困る。長時間労働の是正より、あまり指摘されない130万円の壁が問題だと思うが、いかがだろうか。


(昨日の日経)
 研究開発費3社に1社が最高額。ドイツにきしむ・トッド。経済教室・女性活躍・脇坂明。

(今日の日経)
 高級農産品をアジア直送。街角景気に猛暑効果。経済教室・両立支援策・大沢真知子。
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増税下で年金も緊縮

2015年08月09日 | 社会保障
 日本では、2020年度に基礎的財政収支をゼロにすることが金科玉条になっているが、ここに社会保障基金の収支は含まれていない。GDPの一般政府の3部門のうち、中央と地方の財政しか見ていないわけで、財政再建の目標と言っても、その程度の間の抜けたものである。

 それでは、社会保障基金の動向は、どうなっているのか。その大部分を占める厚生年金の2014年度の収支が8/7に公表されたので、これを眺めることにしよう。結論的には、この数年と同様、着実な収支の「改善」を果たしており、2014年度は約7000億円に及んだ。年金の立場からは結構なことだが、消費増税の下、それだけデフレ要因になっていたということでもある。

………
 正直、厚労省の発表資料を見ても、素人には、訳が分からないと思う。そこで、保険料・税と給付の「フロー」の部分、積立金やその運用機関であるGPIFの納付金の「ストック」の部分、そして、「その他」の3つに区分したのが下表である。フローの収支差は、一番下の「小計差」欄が示している。ここが前年度より約7000億円改善していることをもって、デフレ要因としている。

 今年度の特徴は、一つは、保険料収入が大きく伸びたことだろう。予算と比較すると、7000億円の上ブレだ。保険料収入は、毎年、料率を上げているのだから、伸びるのは当たり前だが、例年以上なのは、景気回復による雇用増と賃金増があったためだろう。裏返せば、せっかく所得が増えたのに、保険料で吸い上げ、消費にブレーキをかけている。負担率の高い社会では、景気の好循環は回り難い。

 他方、給付は、特例水準をカットしたことにより、高齢化にも関わらず、減少している。消費増税と年金削減のダブルパンチを放ったのだから、消費の低迷もやむを得まい。なお、歳出の中で、基礎年金への繰入が増したのは、支え手全体における厚生年金の加入者の割合が大きくなったことで、按分率(分担率)が上がったためである。

 ここで、フローの推移を「小計差」で見ていくと、景気回復の局面で、着実に赤字が縮小していることが分かる。加えて、2014年度は、GPIFの納付金が3兆円に上り、ついに積立金を取り崩さずに済むようになった。納付金の増大は、デフレ要因にカウントしてないが、株高と配当増のメリットの一部がここで堰き止められていることを意味する。需要不足は、金持ちが使わないからだけではない。

(表)


………
 2015年の景気は、原油安メリットが押し上げてくれることになっていたが、期待はずれに終わっている。ガソリン代などは少なく済んだが、食料品などが値上がりしており、メリットは、企業が確保した形だ。昨日の日経が報じるように、非製造業においても経常利益が回復しているのは、そういうことなのだろう。

 他方、消費は、1月以来、まったく伸びなくなっている。消費増税もしたし、年金も切り、保険料率も上げ、株高と配当もせしめた。これでは、停滞するのも、当然かもしれない。過去にも、景気回復の局面で踊り場を迎えたことがあるが、その背景には、負担増があった。また、同じことを繰り返しているように思える。


(昨日の日経)
 上場企業の経常利益24%増、非製造業も回復・4-6月期。2014年度年金積立金13兆円増。

(今日の日経)
 住生が米生保と買収交渉。要介護認定600万人、国民の20人に1人。
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8/5の日経

2015年08月05日 | 今日の日経
 6月毎勤は、常用雇用の前年同月比が+2.1%と水準を上げて来た。労調の自営業者・家族従業者は減っているので、就業増は割り引く必要はあるが、まずは順調だ。給与総額は、ボーナス時期による撹乱があるが、所定内給与で見れば、水準は高めである。

 月曜の経済教室では、田近先生が戦後の税の歴史を簡潔にまとめていたね。日本の課題を、若年と低所得への税還付とするところは、本コラムと同じだ。税と社会保険の両方を知る人にとっては、当然の帰結だと思うよ。


(今日の日経)
 トヨタ純利益最高。地方創生は小粒の1000億円。6月毎勤2.4%減ボーナス後ずれ。政投銀調査・設備投資13.9%増。

(昨日の日経)
 カメラ生産、完全自動化 キヤノン、国内工場で。

(8/3の日経)
 上場企業の7割が経常増益・4-6月期。社会保障費「自然増」の謎。核心・日本化しないユーロ圏。レタス新工場で価格を露地程度に。経済教室・若年と低所得には税還付・田近栄治。
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アベノミクス・2年続きでのゼロ成長も

2015年08月02日 | 経済(主なもの)
 4-6月期GDPの予測は、民間試算の平均で年率-1.9%になった。本コラムが「アベノミクス・再失速」としたのは5/3のことだったが、ようやく世間も追いついてきた。1-3月期GDPは、物価低下と在庫要因で高かったが、その時には消費に異変が生じていた。大機でカトーさんが言うように、消費増税の後遺症は重い。もし、第一生命の新家さんの予想どおり、4-6月期GDPが前期比-0.7になると、2015年の成長率はゼロ%台前半が射程になる。アベノミクスは、2014年の-0.1%成長の惨敗に続き、またも成長を失う事態へ追い込まれる。

………
 6月の家計調査が明らかになり、4-6月期の2人世帯の実質消費支出は、「除く住居等」の季節調整済指数で、前期比-1.6という低落ぶりだった。これだと、消費総合指数の6月は4月並みのレべルにとどまり、前期比は-0.6くらいだろう。そのままの数字でGDPの消費が減るとなると大変だ。ちなみに、新家さんの予想は-0.3である。

 もっとも、4-6月期の消費の悪さは、たまたまの面がある。4月と6月の下振れが大きく、消費を支える勤労者世帯の実質実収入は、前期比+0.1となっている。つまり、消費性向が下がっており、大きく戻す可能性を持つ。したがって、消費への評価は、昨年12月以来、まったく伸びない状態になっていると認識するのが正しい。なお、商業動態統計は、4-6月期の季節調整済指数の前期比が、卸売業で-2.2、小売業で+0.2だった。小売業は、1-3月期が-2.1だったことからすれば、弱いものである。

 こうした失速状態は、今後、どうなるのか。増税によって消費水準を落としたので、企業は供給を増やそうという動機に乏しい。かといって、落ちた水準から、更に需要が低下しつつあるわけでもない。企業の収益と景況感は崩れていないため、極めて緩慢なペースで投資と雇用が増し、それに連れて消費が増税前水準を取り戻したあたりで、ようやく加速するのではないか。

(図)



………
 次に、鉱工業生産は、4-6月期が前期比-1.3となり、高い伸びだった1-3月期の+1.5のほとんどを吐き出す形となった。特に出荷が-2.5と減りが大きく、在庫は+1.0とピークを更新した。この在庫の高まりは気になるところで、在庫調整のために、生産が低下し出すようだと、景気は失速から後退へと転落する。8月の予測指数は+2.7と高いが、7月の+0.5の低い後で、生産日数も少ないため、好材料と思わない方が良かろう。

 消費財の出荷を見ると、家計調査と同様、4-6月期は-2.4という落ち込みぶりである。ここでも、1-3月期の+2.7を吐き出す形になった。消費財は、生産が-1.8と、鉱工業生産より強く減産がかかっており、これで在庫が-4.3と大きく減じた。そうしたことが、輸出の停滞に伴って、投資財にまで起こりはしないか心配である。

 設備投資に関しては、資本財(除く輸送機械)の出荷が前期比-2.6と、大きく低下し、1-3月期とは反対に、GDPの足を引っ張る側になりそうである。資本財(同)は、前期との比較では大きく低下したが、これは1月に跳ねたことが影響しており、傾向的には、堅調に推移している。建設財は、出荷が底入れしたものの、需要項目としては小さい。

………
 続いて、雇用を点検する。6月の労働力調査は、比較的、良い結果であり、失業率は、3.4%と0.1上昇した反面、就業者数の季節調整値の前月比は34万人と大き目の数字である。ただし、女性が増加の8割を占め、医療・福祉が対前年同月比で+50万人と、偏りが見られる。最近の景気ウォッチャー調査や消費動向調査で雇用に陰りが見られるのは、こうしたことが理由かもしれない。

 職業紹介では、有効、新規の求人倍率とも、前月から横ばいだった。ただし、有効、新規の求人数を見ると、季節調整値の前月比で、-0.7%、-0.4%と低下している。労働需要の水準は高いにしても、それが強まりつつある感じはない。余談だが、いつの間にやら、有効求人倍率で最下位が定位置の沖縄県が脱出に成功している。内外の観光客の急増が強みになっているようだ。

 残る毎月勤労統計の公表は、来週である。5月確報で、実質賃金は、ようやく、対前年同月比0.0%に漕ぎ着けた。6月はボーナスも始まるため、もう少し上がってほしい。常用雇用が対前年同月比2.0%で足踏みをしている状態にあるだけに、なおさらである。常用雇用は、前年が春から夏にかけて加速したので、この水準を守れるかがポイントになる。

………
 さて、4-6月期GDPは、外需もマイナス要因になりそうであり、内需の以上のような状況を踏まえると、大幅なマイナス成長は、誰の目にも明らかだ。もし、4-6月期が-0.7%成長になると、2015年の成長率は、残り2四半期が消費増税前トレンドの+0.4%に戻ったとしても、0.3%成長にとどまる。増税イヤーの2014年の成長率は-0.1%だったから、2年かけて、わずか0.2%しか増えない計算だ。

 トレンドと比較すると、GDPは年額で16兆円もの差がついた。消費増税をしていなければ、これだけパイが大きくなっていたということである。消費増税とは、ほぼ変わらぬ大きさのパイを、民間から政府へ、より多く切り分ける政策だった。パイが大きくなっていれば、その3割の5兆円は、政府のものになっていたから、3兆円多く政府に分けるだけのために、16兆円を捨てたことになる。

 GDPの発表は、1次速報が8月17日、2次が9月8日である。マイナス成長の失態が露呈したところで、安保法案の採決というタイミングであろうか。そうなると、安倍政権の評判が大きく下がることは避けられず、安保から経済へのチェンジオブペースが求められよう。ここで、TPP対策の農業予算とか、公共事業の追加とか、定番のバラマキをするのでは、かえって逆効果になる。

 そんなことをするより、社会保険料還付型の給付つき税額控除の検討でも、総理が指示したらどうか。10%への消費増税は、2016年秋に決断しなければならず、その前の夏には参院選がある。食料等の軽減税率は数千億円にとどまりそうで、何らかの国民負担の軽減策が要るのだから、配偶者控除の改革や130万円の壁の問題と絡めて、国民的大議論を喚起すれば良い。仕上がりの形がどうなるにせよ、世の中の気分は一新される。権力の源は、アジェンダの設定にある。


(7/24の日経)
 日経、英FTを買収。ピアソンから1600億円 経済メディア世界最大。

(昨日の日経)
 TPP交渉が最終攻防。税インフラ世界122位。外為特会剰余金3.4兆円、財投特会1兆円。GDPマイナス予測、民間試算平均1.9%減。中国の株価対策は強硬に。大機・やはり影響大きい消費増税・カトー。

(今日の日経)
 TPP先送り、日米誤算。
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