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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

イシバノミクス・順調な消費は守れるか

2025年07月06日 | 経済(主なもの)

 5月のCTIマクロは、名目が前月比+0.1、実質が0.2だった。4,5月の名目の伸びは鈍ったが、実質は毎月+0.1が7か月続いており、年間+1.2ペースなのだから、順調と言えるだろう。物価高は喧しいが、CPI財の4,5月平均は前期比+0.8と落ち着いて来ている。6月の消費者態度は。前月比+1.7となって、4月のトランプ関税の急落を5,6月で取り戻した。この半年の物価高局面での低下によって水準は低いが、物価の落ち着きで浮上してほしいものである。

………
 2024年度の国の税収が判明したところで、2025年度を予想してみると、予算額から若干マイナスの77.6兆円となった。つまり、上振れなしだ。証券各社の企業業績見通しが振るわず、法人税は、2024年度決算額からはプラスにはなっても、高めを見込んだ予算額からは-1.6兆円になる。もっとも、企業業績は、着地までに変わることが多く、トランプ関税次第で、上にも下にも大きく動く。

 税収の上振れは、防衛費に充てることになっているので、給付金の財源にはならないものではあるが、そのものがない。ただし、所得税の予想値は決算額から+1.6兆円だし、消費税は2024年度の+1.9兆円に続き+0.8兆円だ。2024,25年度の社会保障の予算額は+0.9兆円と+0.6兆円だけなので、なんでこんなに詰められなければならないのかというのはある。地方消費税も増えるし、公的年金の黒字も拡大しそうだ。

 ところで、財務省の決算概要では、基礎年金拠出金等年金特別会計へ繰入1.8兆円を不用にしていたけど、こういう操作ができるものなんだね。国の会計全体ではカネの置き場所が違うだけにせよ、年金特会の黒字が縮み、積立金も目減りするのでは。昨年度からやっていたようだが、説明が必要ではないか。日経は、積立金にうるさいのだから、しれっと流されずに取材してほしいところだ。

(図)

………
 実質消費は年率1.2%で伸びている。これを何としても守らなければならず、少なくとも財政が足を引っ張らないよう注意が必要だ。その意味で、給付金はやらざるを得ないが、再分配の形が、これで良いとも思われない。消費税の伸び、社会保険料の重さからすれば、保険料連動型の給付つき税額控除しかないわけで、選挙では下らぬ議論が繰り広げられているけれど、早く行き着いてほしい。


(今日までの日経)
 GPIF運用益、5年で98兆円。協会けんぽ、昨年度6586億円黒字。子育て世帯「母親が仕事」8割超す。夏ボーナス4年連続最高 5.9%増、非製造業が底上げ。賃上げ5.25%、持続力に不安。格差是正なくして財政再建なし・門間一夫。税収、昨年度上振れ1.8兆円 「2万円給付」に届かず。公金受取口座6300万に 給付付き控除は導入遠く。

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緊縮速報・財政赤字はバブル後最小を達成

2025年06月29日 | 経済(主なもの)

 1-3月期資金循環の資金過不足で見ると、2024年度の一般政府の財政赤字は名目GDP比-1.3%となり、バブル後の最小となった。財政再建派は、こうした数字は気にしてなくて、金利が不安だとかで、もっともっとだ。中央政府の改善幅は、2兆円の定額減税をしたにもかかわらず、GDP比1.3%もあり、さすがに締め方が急で、これで成長率に影響が出てないとは言えないだろう。インフレ対策に人知れず財政引締めをしてたということかね。

………
 2024年度の消費者物価の上昇率は、前年度よりわずかに低下したから、引締めにも意味があったのかもしれないが、2024年度の実質成長率は+0.8%にとどまったことを踏まえれば、政府支出や家計消費をもっと増やせていたらと思う。消費減税とか、大鉈すぎてバカらしいけれど、財政の調節が上手くないことは確かだろう。高度成長期に、予め税収増を見込んで支出や減税を仕込んでいたことは、今にして思えば、非凡な技だったわけである。

 部門別では、資金過不足の4四半期移動平均の推移を見ると、家計部門は、コロナ禍で大幅な資金超過になった後、徐々に低下してきていたものが、最近では、コロナ前の水準を下回るまでになっている。これと対称的なのが政府部門であり、家計が貯蓄できなくなった分、政府が借金を減らす構図だ。他方、企業部門は相変わらず貯蓄を続け、海外部門は投資が増えるという動きである。

(図) 

………
 5月の商業動態・小売業は前月比-0.2で、4,5月平均の前期比は-0.1にとどまった。振れが大きい統計とは言え、嫌な感じである。実質はずっと下がりっぱなしだが、名目がマイナスとなると6期ぶりになる。インバウンドに陰りがあるのか、百貨店などの各種商業の低下が大きく、食品小売業が久々にマイナスなのも効いている。物価高に着いて行けなくなったとすると重大だ。

 5月の労働力調査は、就業者が前月比+33万人、雇用者が+21万人の大幅増となり、この3か月の不振を取り戻した形だ。ただし、女性はもう一つ足りず、今年に入っての屈曲を拭い切れておらず、要注意である。5月の新規求人倍率は前月比-0.10だった。2か月連続減だし、幅も大きく、こちらも嫌な感じである。賃上げがあっても、雇用が伸びないと、所得と消費は陰るというものだ。

 インフレ下では、財政が締まりやすいので、とりわけ注意がいる。コロナ後に名目成長を果たした局面では、物価高に着いて行けるだけの所得が保たれていたことがポイントだった。いつものように無頓着に財政を締めていたら、この構図を壊してしまう。昨年は定額減税で春夏の消費を押し上げることができたが、今年は先送りになっている。物価高に負けて名目が伸びなくなっているのは、偶然ではあるまい。


(今日までの日経)
 「関税で値上げ」企業の4割。米へのデジタル税を問題視。世界株4カ月ぶり最高値。フェンタニル、日本経由か 中国組織が密輸拠点。

 

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イシバノミクス・備蓄米放出の中での物価と消費

2025年06月01日 | 経済(主なもの)

 4月の商業動態・小売業は前月比+0.6で、1-3月期より-0.2となった。前月の大幅減からの戻りとしては小さく、もう少し欲しかった。景気を保つには、名目であれ、売上が伸び続けていることが必要であり、トランプ関税で輸出に悪影響が出ることは避けられない中で、ここに変化が生じていないかが注目点だ。世間的には、備蓄米の放出で持ち切りだが、それは物価高のごく一部である。

………
 4月の労働力調査は、男性雇用者が前月比+4万人と、3か月連続の増で上昇がうかがえる一方、女性雇用者が前月比-4万人と、逆に3か月連続の減だった。ちょっと心配な動きである。失業率はさして変わらず、非労働力人口が減らなくなっている。4月の新規求人倍率は、2.24倍で前月比-0.08であり、わずかずつ上昇してきていたものが、やや大きめの低下となった。変化の兆しでなければ良いが。

 5月の東京都区部の消費者物価指数は前月比+0.3だった。この1年の動向からすれば、低めである。米は上がっていても、生鮮が下がっており、加工食品が相変わらず高い。米の値上がりは問題だが、ウエイトは小さく、物価高の問題は加工食品にある。賃金上昇以外の要因をどう下げるかが焦点であり、政策的に打てるのは円安是正になるが、5月は円安がぶり返してしまった。

 4月の鉱工業生産は前月比-0.9と3か月ぶりの低下だった。そんな中でも消費財の水準が高いのは救いである。鉱工業生産の予測は5月が異様に高く、反動で6月が低下しているが、季節調整の乱れかと思う。原指数で見ると、昨年よりは高いけれど例年並みの水準になっている。いずれにせよ、トランブ関税の影響は、これから避けられまい。景気を見るには、消費財や建設財の動きを見守ることになる。

(図)

………
 5月の消費者態度は前月比+1.6と、トランプ関税で急落した3月の-2.9の半戻しに過ぎない。秋からの物価高を受けた12月以来の低下トレンドの範囲内にある。物価高も一服してきたのだから、そろそろ底入れを見たいところである。米は象徴的なものに過ぎないが、その低下で物価の落ち着きに気づき、消費が上向く形になってもらいたい。内需主導の景気は、なかなか微妙なものである。


(今日までの日経)
 米鉄鋼・アルミ関税50%、4日から。「理想の結婚候補」とマッチング、3.8%の狭き門。高齢求職者、4月12万人超で最多に。日鉄、電炉に8600億円。資金循環からみる企業と家計。

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イシバノミクス・対米輸出はもうダメ

2025年05月04日 | 経済(主なもの)

 やっぱり自動車の対米輸出は取り戻せない。取り戻せたとしても、3年後にはゼロにするというような時限のものだろう。とりあえずは、輸出関税を政府が肩代わりし、徐々に輸出を減らす調整をして着地させ、あとは、輸出で成長を起動させてきた従来の戦略を、内需で引き上げるものに転換しないといけない。そうした戦略的な思考は、円安と金融緩和にしがみつくこの国にはないだろうけど。 

………
 3月の商業動態・小売業は前月比-1.4と落ちたが、1,2月の貯金が効いて1-3月期の前期比は+1.7だった。もっとも、CPIの財で除すと-0.3になってしまう。それでも、消費は、物価上昇に着いて行っている、あるいは、着いて行っているから値上げできているとも言える。今、なすべきは、名目でも良いから売上が拡大している状況を保ち、円安の是正で輸入物価高を抑制し、成長を実質化していくことである。

 日銀は利上げを見送り、円安になってしまった。常識的な対応だけど、7月には必ず上げると滲ませても良かったと思う。輸出が望めなければ、金融緩和に意味はない。利上げで円高にすると、資材高での建設投資の滞りが緩和され、むしろ景気は良くなるくらいの戦略観が必要である。景気は日銀、輸出企業の支援は財政という役割分担になる。結婚したら、マツダ車の割引券プレゼントなんてね。

 売上の拡大を保つことが重要なのは、成長の源になる設備投資を引き出すからである。売れるなら投資するというのは平凡な反応で、金利とは無関係だ。3月の鉱工業生産は前月比-1.1で、1-3月期の前期比が-0.7だったが、4,5月の予測の平均は+3.3と妙に高い。消費財、建設財は底打ちにも見える。3月の住宅着工は、規制前の駆け込みで飛び跳ねた。何が理由であれ、予測を実現していかなければならない。

 日本経済が内需主導で成長した前例は、バブル前になる。実需では、住宅投資が先行し、シーマ現象と言われる高額消費が続いた。これからは、円高傾向の下、コスト安で有利になるという方向を示しつつ、内需を拡大する政策を打ち出す必要がある。ガソリンに補助金を出して買い替えを遅らせている場合ではなかろう。初任給が上がっている若い世代が結婚できて、クルマも家も持てる絵を見せるのである。

(図)

………
 4月の消費者態度は、前月比-2.9と急落した。生鮮の低下で物価上昇は鈍っているのにこうなったのは、雇用の悪化を先取りして、トランプ関税の影響を心配しているのだろう。かつて、円高不況で輸出ができなくなった後、実際に来たのは消費ブームだった。政策の舵取り次第なのである。心配が自己実現してしまわないうちに、ビジョンを示すのも重要な政策の役割である。


(今日までの日経)
 米、車・鉄は交渉外。今期143円想定、減益影響2兆円に。「労働者」基準、40年ぶり見直し。日銀、今年度0.5%成長に下げ。上場企業の7割増益。中国企業、初の連続減益。「地産地消」でリスク備え・河野龍太郎。外国人留学生、最多33万人。

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イシバノミクス・トランプ関税ショック

2025年04月06日 | 経済(主なもの)

 トランプ関税で株は急落したが、米国の実体経済に打撃を与えるかどうかは、輸出企業がどれだけ値上げをするかだ。関税分を飲み込めば、消費は変わらないのだから。日本の場合、2021年までのドル円は110円位で、足下の147円だと36%安く、ある程度は飲みこめるはず。輸出を減らした企業には、政府が支援して、国内で売るインセンティブにしてもらうほかあるまい。クルマなら潜在需要があろう。財源はGAFAにでもかけるかね。

………
 2月のCTIマクロは、名目の前月比+0.2で、1,2月平均は前期比+0.7となっていて、消費は順調だ。家計調査では、名目の可処分所得が停滞する中でも、消費は伸びており、昨年半ばに低下した消費性向も元に復している。目下の課題は、名目での成長を保ちつつ、円安是正で物価を落ち着かせ、実質での成長を確保していくことである。その中で輸出が減るようなら、内需で補ってやる必要がある。  

 関税を上げると、普通は値上げになるし、国内の供給力は急には上げられないので、それは可能だ。そうなると、消費増税をしたのと同じで、消費を冷やし、設備投資の期待も下げて、成長を減速させてしまう。米国は、コロナ後で最良の経済だったのに、積年の怨みに駆られて自害行為に及んだ。報復関税をやる側も自らの足を撃つことになる。ドル高にあった米国は、輸出先で値上げせざるを得ないからなおさらだ。

 日本は、輸出を成長の起動力にしてきたが、これで完全に戦略を変えなければいけない。1980年代後半、円高不況に驚いて内需拡大をやり過ぎ、間違って好景気を導いてしまったが、これにならうことになる。産業政策としては、ドルを稼げなくなるのだから、デジタル赤字を減らすべく、国産企業育成という輸入代替政策への先祖返りが求められる。自由貿易の時代は終わったのだ。

(図)

………
 歴史的に見ると、米国は、時折、理不尽なことをやってくる。戦前の日本は、対抗コースを歩んで失敗したわけで、忍耐が肝心だ。結局、米国は、多大の犠牲を払った後とは言え、自由貿易に帰って来たのも歴史が示すところだ。今の日本にはイキったりする根性はないから心配はいらないけれど、中国はどうだろう。力があると対抗したくなるのは世の常であり、はた迷惑にならなければ良いが。


(今日までの日経)
 NYダウ急落、2231ドル安 関税応酬で史上3番目下げ幅。中国が報復関税34%。トランプ相互関税、崩れる自由貿易。円高、一時145円台。日米の長期金利急低下。中小賃上げ、33年ぶり水準。トヨタやホンダ、米での価格は当面維持。フォード、米国内で値下げ。

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緊縮速報・大幅な緊縮財政だった10-12月期

2025年03月23日 | 経済(主なもの)

 10-12月期の日銀・資金循環統計の資金過不足は、一般政府が4期移動平均で名目GDP比-2.0%と前期から0.6もの緊縮で、一気にコロナ前の水準を回復した。家計は+1.7%と高まったが、コロナ前の2019年は+3.3%だったので、水準としては低い。目立つのは海外のマイナスぶりで-4.7%である。10-12月期は、雇用者報酬が伸びたのに、消費が鈍かった。第一には円安下の物価高だろうが、緊縮で可処分所得が削られているのかもしれない。

(図)

………
 成長政策では、金融緩和はまったく効かないが、財政はじんわり効く。だから、コントロールがとても大事なのだけれど、景気が悪い時に吹かすことはするものの、順調なときに無頓着に締めないことができていない。大して意味のない日銀の金融政策会合は注目を集めるのに、そのために公表を遅らせた資金循環で、政府の緊縮が激しかったなんて出たところで、誰も気に留めない。

 もっとも、中央政府の過不足の水準は、コロナ前より一段低く、地方と社会保障が高めているから、緊縮してる感があまりないこともあると思う。地方が潤っているとか、年金が黒字を強めているとか、全体状況を眺めて戦略的に考えることが、日本は極めて不得手である。そもそも、財政の締まり具合には無関心で、とにかく所得税の控除を上げてくれればいいとか、粗い議論しかできていないのが現実だ。

 成長を加速させるには、経営者に売上が増すという期待を持たせて、設備投資をしてもらわなければならない。そうしたときに、政府が緊縮をして、可処分所得を削り、消費を抑制して売上が伸びないようにしていたら、設備投資は出て来なくなる。いかに、金利を下げて補助金を出したところで、売上が見込めないのに設備投資をするリスクを犯そうとする経営者はいない。

 経済学的には、財政を出してGDPを膨らましても、生産力を高めないので、成長は加速するものではないと言われるが、財政の役割は、需要を安定させ、売上に対する期待をもたらすところにある。それゆえ、じんわり効くことになる。言い換えれば、成長政策は、インセンティブによるのではなく、リスクをマネジメントしなければならない。そこがなかなか理解されないわけである。

………
 日銀は利上げを見送り、やや円安に動いた。日本経済の成長の起点は、もっぱら輸出である。輸出が増すのは、だいたい円安の局面で、それは物価高で消費にはマイナスに働く。つまり、景気が回復している局面なのに、消費を冷やさないように財政を出さないといけない。直観的になかなか理解しがたいことで、逆に、ああ良かったとばかりに締めがちだ。これが長期停滞に日本が嵌った理由の一つである。今週の動きを見て、日銀がハトで財政がタカじゃダメじゃんと、どれほどの人が思っただろうか。


(今日までの日経)
 ドイツ改憲、債務抑制を転換。決定会合、金利0.5%据え置き 米関税の影響注視 円安・円高、双方にリスク。ユーロ、対ドル急回復 欧州、国防費増が経済に恩恵。春季交渉、賃上げ率5.40% 連合2次集計 前年を0.15ポイント上回る。

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イシバノミクス・物価高と少子化の凄まじさ

2025年03月02日 | 経済(主なもの)

 いまや一番重要な指標になってしまった商業動態・小売業の1月は、前月比+0.6、前期とは+0.7で順調だった。もっとも、実質では、CPI・財の前月比が12月+1.3、1月+1.2と物価高が凄まじかったために、大きく低下している。ようやく、利上げで円安が是正に向かっているものの、物価に表れるのは、もう少し先だ。それでも名目が伸びているのは、物価高に耐える力をまだ持っているということでもある。

 鉱工業生産の1月は前月比-1.1だった。2,3月の予測で伸ばすと、1-3月期は前期比+0.7となり、久方ぶりの2期連続増となる。一進一退の状況に変わりがないが、ベースが少しでも上向いてくれれば十分だ。財別では、資本財(除く輸送機械)は1-3月期が前期比-4.8とマイナスで、完全に一進一退で、建設財も-1.1と同様である。他方、消費財は+3.2となっていて、連続でのプラスが望めそうになっている。

(図)


………
 12月の人口動態速報で、2024年の出生は前年比-5.0%の72.1万人と判明した。-5%が3年連続という少子化にも程がある物凄い低下で、同じ少子化でも厳しさの面構えが違う。合計特殊出生率は、おそらく1.15人で、また-0.05も下がる。2024年の婚姻はようやく底入れしたものの、出生の底入れには1年位はタイムラグがあるので、2025年は1.1人までいくだろう。子世代が親世代の半分になるわけで、支える負担は倍増だから、今30歳前後の人の老後は相当に厳しくなる。そもそも、この激しさでは、国の存続が危い。

 日経は、少子化の背景の婚姻の少なさは価値観の変化としているけど、2022年にちょっと増加して、2023年に大きく下がり、2024年に戻したという経過からすると、物価高の生活の苦しさが大きいと思う。結婚は一定の所得があればできるので、ボーダーにいる人が脱落することで減ってしまう。少子化対策は、ボーダーの人をターゲットにしないと意味がない。結婚できている人に児童手当を増やしても効果が薄いのは当然だ。

 「年収の壁」対応の所得控除拡大で1.2兆円の減税をするらしいが、これだけあれば、低所得者の社会保険料を半減でき、手取を増やして、壁を除去した上、一気に適用拡大ができ、年金の給付水準も向上させられる。そもそも、所得税に本物の壁はないのだから、お笑い種でしかない。また、厚労省は壁対応で補助金を入れるらしいが、そんな余裕があるなら、非正規への育児休業給付の差別撤廃が先だろう。 

 どうして、こうも的外れな方に思い切りが良いのかね。生活の苦しさ、結婚の難しさから、国民が手取増を願うのは正しい。しかし、その本質がどこにあり、何が解決につながるかを考究するのは政治の役割だ。受け狙いの思いつきに対する場当たりの調整では、とても正解にたどり着けない。与党は、目先の乗り切りに気を取られ、給付つき税額控除のような正しい政策を次の参院選で掲げられなければ、とにかく負担減の野党にまたやられるだろう。役所の枠を超える戦略を選べず彷徨うのは、この国の宿痾であるにせよ。


(今日までの日経)
 昨年の出生数最少72万人 社会保障、現役世代に負担 少子化、政府想定超す。「異次元の少子化対策」初年度は不発。昨年の婚姻数、戦後2番目の少なさ コロナ禍減少分が戻らず 単身定着、価値観変化か。社会保険料の肩代わり、企業に8割→全額還付。政府・与党、高額療養費上げ延期を検討。年収の壁160万円になると…納税者の多くは2万円減税。与党「年収の壁」160万円に 国民民主、賛成せず 所得税1兆2000億円減。強い米景気に陰り、円高圧力に 148円台。れいわ、本社世論調査で維新に並び6%。

 

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イシバノミクス・雇用と消費で見ていく景気

2025年02月02日 | 経済(主なもの)
 12月の商業動態・小売業は前月比-0.8で、10-12月期は前期比-0.3となった。10-12月期の消費は、これほどCTIマクロが激しく動いていないので、名目で前期比+0.6くらいかと見ている。むろん、実質では、CPIが前期比+1.1も上がっているので、マイナスに沈む。消費は、可処分所得の増加を背景になんとか食らいついている形だが、これが破綻する前に、早く実質プラスに持ち込みたいところだ。

 12月の経済指標が出て、10-12月期のGDPは実質前期比+0.3かと思う。消費が沈んで、設備投資は若干のプラスでも一進一退の範囲にとどまり、輸入減で外需が押し上げ、在庫減が下げるといった構図であり、実質だと弱さが目立つ。名目では、消費は伸びているので、やはり金融政策で円安を何とかしないといけない。円安でも、定番の輸出と設備投資には頼れない状況であり、日本も米国に似て、雇用と消費が景気動向のカギになっている。

 消費の中身を商業動態で見ると、食料品は、物価が上がっているのに、売上が停滞していて、物価高についていけなくなっている。これが食料品以外にも拡がらないか心配だ。消費の背景にある雇用は、10-12月期の労働力調査は、就業者が前期比+14万人、雇用者が+9万人で、過去最高を更新している。ニッセイ研の斎藤太郎さんも過去最高を指摘していて、ここはポイントだ。

 7-9月期の家計GDP速報では、可処分所得の収入の寄与度が+1.0に対し、公的負担が-0.7と足を引っ張ったものの、前期の収入の高い伸びもあり、家計消費(除く帰属家賃)は前期比+1.0としっかり伸びていた。10-12月期も、雇用者報酬は、10,11月は前期比+1.0と伸びており、期待できる状況にある。あとは、公的負担が邪魔しないことで、再分配に十分配慮することが必要である。

(図)



(今日までの日経)
 「スマイル」も安いニッポン。年金改革、「氷河期」に届くか。マグロ完全養殖ほぼ消滅。就業者最多6781万人 昨年34万人増。社説・野党は負担軽減の手柄争いから脱皮せよ。人口、東京集中に拍車 女性・若者の流入多く。スタバが立地別価格。

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緊縮速報・厚生年金は0.6兆円の緊縮で黒字化を達成

2025年01月26日 | 経済(主なもの)
 政府予算案の提出で、2025年度の厚生年金は、昨年度並みの0.6兆円の緊縮を行い、予算上でも黒字化に到達することが判明した。財政再建は結構だが、それだけ賃上げを相殺し、可処分所得を減らし、消費を抑制しているわけで、庶民に理由は分からずとも、手取が増えないのはおかしいという不満が募るのももっともだ。そうした政治課題を認識できない石破政権は、また選挙で負けるのではないかな。

(図)


………
 「緊縮は善」の日本では、補正予算間で-2.2兆円、本予算間で-6.8兆円の国債減額を果たしているが、赤字の減に、うれしくなるばかりで、「可処分所得の削減で生活が苦しくなり、消費不振で成長が鈍らないか」という視点は欠けている。年金で更に0.6兆円の緊縮と聞いても、何も感じないとは思う。財政赤字は着実に減らす必要はあるが、一気に減らして良いかは別問題で、生活の苦しさで少子化が進めば、年金財政はかえって悪化する。

 昨日は、11月の人口動態も公表され、出生は前年同月比-7.2%で、合計特殊出生率だと1.15人に後退した。婚姻は下げ止まりがうかがえるが、このレベルで止まっても、悲惨な状況の固定でしかない。岸田政権の少子化対策で、児童手当増が既に10月から始まり、育児休業10割支給も4月に始まるというのに、このざまである。にもかかわらず、石破政権は、所信演説で、少子化を受け入れて人口減に見合った地方創生をしようと言い出す始末だ。

 その方策は、これまでも試みられて来た類のもので、若い女性に選ばれるようになるとは思えない。都会では、乳幼児保育や給食が無償で、育児休業給付がもらえる正規職も豊富だ。地方でも同様の支援があり、非正規でも給付がもらえるようでなければ、若い女性に見限られる。産業政策やインフラ整備で正規職を増やすのは迂遠であり。厳しい生活状況の現実を直視した方策が必要だろう。

………
 厚生年金は、マクロ経済スライドの給付調整の早期終了が損得論を呼んでいるが、そもそも、デフレで調整ができなかったために、今の給付水準が高過ぎて、若い世代の給付水準を犠牲にしているのであり、世代間の公平のためにやって当然のものだ。恩恵のある若い世代や低所得層からは、強く支持されるはずの方策だし、国庫負担の増も、元々得られていたものを取り戻すだけだから、財源を論ずるまでもない。

 むしろ、問題は、少子化が深刻化し、給付水準を下げざるを得なくなっていることである。これをリカバリーするには、適用拡大しかなく、それには、給付つき税額控除の導入で、若い低所得層の負担軽減をはからなければならない。これは、地方に多い低所得者の結婚確率を高めて、出生率を向上させ、地方創生にも働く。政策課題の根っこは、経済合理性でつながっているのである。


(今日までの日経)
 日銀、0.5%に利上げ。BYD、本命PHVを日本に。首相「令和の列島改造」5本柱 。政府、備蓄米放出に転換。年金額、物価より伸び抑制 25年度1.9%増 財政改善で将来世代恩恵。コロナ禍の貸付金5600億円分を免除。LNGに供給の大波。

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緊縮速報・道具としての中長期試算

2025年01月19日 | 経済(主なもの)
 中長期の経済財政試算が公表され、2025年度の基礎的財政収支は-4.5兆円の赤字となり、夏の試算とは変わって黒字化の目標には届かなかった。要因は2024年度補正の一部を2025年度に積み込んだためとされる。いずれにせよ、補正と本予算で決めた緊縮が動くものではなく、財政赤字が十分に小さくなっているのに、成長を確保する上で、妥当な政策になっているのかという話になる。

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 試算は緊縮財政を訴える道具でしかなく、マクロ経済運営を考えるためには、あまり役に立たない。ただし、今回は税収を過小に見積る悪癖をやめたため、実態が試算以上に緊縮になっているというバイアスが消え、2025年度に13.4兆円の緊縮になるのが素直に分かるようになった。もっとも、緊縮を善とするこの国では、GDP比で2.2%も需要を削って成長を抑制するつもりだという情報は、無意味なものだが。

 試算が起点とする補正と本予算の税収は、マクロ指標から推計されるものから見ても適正なもので、上ブレは、ほとんど見込まれない。意外なのは、試算の税収が2026,27年度に名目成長率以上の伸びであり、夏の試算より2.2,2.6兆円の上積みになっていることだ。それでも、基礎収支が悪化しているのは、2027年度では、国の基礎収支のその他歳出が+2.3兆円、地方の公債等を除く歳出が+2.6兆円も伸びているためだ。理由はよく分からない。

 2025年度に基礎収支黒字化の財政再建目標は、事実上、当初予算を対象にするものだったので、今回、補正予算の一部積込みで達成できなかったと言われても、ゴールを動かしたようにしか思われない。意味ある目標としては、補正予算含みでの黒字化であるべきで、初めから前年度と同規模の補正を続ける想定で試算を示した方が適切ではないだろうか。その意味で緊縮の道具としても半端なものになったように思える。

(図)


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 今回の試算では、2026,27年度の名目成長率が+2.7,+2.9%で推移するとき、国・地方の税収は、+4.4,+4.4兆円で推移し、2026,27年には基礎収支が+6.7、+2.3兆円改善することになっている。これを踏まえれば、2025年度の補正は、前年度並みの規模で良いように見える。あとは、使い途であって、ガソリンの値引きとかでなく、年収の壁の解消や非正規の育児休業の給付にでも使って、成長に資するようにしてほしいものだ。


(今日までの日経)
 中国、9年ぶり名目を逆転。ガザ停戦合意 まず6週間。ガソリン補助金再縮小185円に。基礎年金底上げ、29年以降に判断。輸入物価、4カ月ぶりプラス。訪日消費8兆円で過去最高。壁は「106万円」→「週20時間」に。ドイツ経済、中ロ依存裏目に 昨年再びマイナス成長 。小売り、3年ぶり減益。

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