国際問題に親しんでいると、「この情報は、誰が何のために」と考える妙な癖がついてしまう。情報を集めて加工するにはコストがかかるから、意図のない情報提供はないと考えなければならない。
今日の日経は、ネタ枯れの時期とは言え、一面トップに「家計の貯蓄頼み限界」という記事を載せた。こんな統計分析的な内容がトップを飾るようなものなのか。経済部の普通の記者がこんなものをデスクに持ってきても、扱いは軽いものにしかならないだろう。しかし、これが新たな財政当局の目標になり得るものだとすれば、話は別だ。
経済危機への対応のために、日本の財政当局はプライマリーバランスの達成という目標を失ってしまった。次の目標が必要とされている。その点でいうと、政府債務を家計貯蓄の範囲内に収めるというのは、手ごろな目標になる。ちょうど都合よく10年先に逆転が起きるようなので政治的にも扱いやすい。
記事は「日銀によると」としているが、これは資金循環統計を参考にしたという意味だろう。慎重なる日銀マンが「政府」の純負債の予想を示すといった「危険」なことをするとは思えない。そうすると情報の出元は…。まあ、あまり憶測は言わないでおこう。
むろん、経済学的には、政府債務を家計貯蓄の範囲内に収めることには、ほとんど意味がない。だいたい、この数年の家計の純資産は減っているが国債消化に何の支障も出ていない。貯蓄投資バランス上の問題は、企業部門が十分な投資をせずに貯蓄を膨らませてきたことにあり、この貯蓄が巨額の国債発行を飲み込んできたのである。
もし、企業が貯蓄を減らして投資をすれば、それは景気が良くなっているということであり、国債発行も減らせることになる。そもそも、経済政策で重要なのは、政府負債の残高ではなく、その時々の貯蓄投資バランスなのである。不況で企業の投資不足があれば、政府が出て、企業が投資を始めたら、政府は引っ込むということに尽きる。
重要なのは、金利などで資金の需給状況を見ながら財政のコントロールができるように、増減税のメニューを整え、その実行の基準となる物価上昇率などの経済情況がどのようなものかを考えておくことである。繰り返して言うが、経済は生き物であり、財政は経済に合わせなければならない。財政赤字で数値目標を掲げることは、財政構造改革法以来、失敗の連続である。いい加減、学んだらどうか。
(今日の日経)
家計の貯蓄頼み限界。日本経済縮みの10年。「埋蔵金」底をつく・参院選前の財源。液晶パネル中国勢続々。ウイグル漢族も地元指導部批判。経済教室・ドラッカー・利益より目的、加護野忠男。
今日の日経は、ネタ枯れの時期とは言え、一面トップに「家計の貯蓄頼み限界」という記事を載せた。こんな統計分析的な内容がトップを飾るようなものなのか。経済部の普通の記者がこんなものをデスクに持ってきても、扱いは軽いものにしかならないだろう。しかし、これが新たな財政当局の目標になり得るものだとすれば、話は別だ。
経済危機への対応のために、日本の財政当局はプライマリーバランスの達成という目標を失ってしまった。次の目標が必要とされている。その点でいうと、政府債務を家計貯蓄の範囲内に収めるというのは、手ごろな目標になる。ちょうど都合よく10年先に逆転が起きるようなので政治的にも扱いやすい。
記事は「日銀によると」としているが、これは資金循環統計を参考にしたという意味だろう。慎重なる日銀マンが「政府」の純負債の予想を示すといった「危険」なことをするとは思えない。そうすると情報の出元は…。まあ、あまり憶測は言わないでおこう。
むろん、経済学的には、政府債務を家計貯蓄の範囲内に収めることには、ほとんど意味がない。だいたい、この数年の家計の純資産は減っているが国債消化に何の支障も出ていない。貯蓄投資バランス上の問題は、企業部門が十分な投資をせずに貯蓄を膨らませてきたことにあり、この貯蓄が巨額の国債発行を飲み込んできたのである。
もし、企業が貯蓄を減らして投資をすれば、それは景気が良くなっているということであり、国債発行も減らせることになる。そもそも、経済政策で重要なのは、政府負債の残高ではなく、その時々の貯蓄投資バランスなのである。不況で企業の投資不足があれば、政府が出て、企業が投資を始めたら、政府は引っ込むということに尽きる。
重要なのは、金利などで資金の需給状況を見ながら財政のコントロールができるように、増減税のメニューを整え、その実行の基準となる物価上昇率などの経済情況がどのようなものかを考えておくことである。繰り返して言うが、経済は生き物であり、財政は経済に合わせなければならない。財政赤字で数値目標を掲げることは、財政構造改革法以来、失敗の連続である。いい加減、学んだらどうか。
(今日の日経)
家計の貯蓄頼み限界。日本経済縮みの10年。「埋蔵金」底をつく・参院選前の財源。液晶パネル中国勢続々。ウイグル漢族も地元指導部批判。経済教室・ドラッカー・利益より目的、加護野忠男。





