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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

1/30の日経

2015年01月30日 | 今日の日経
 和悦さんの名目3%成長というのは良いですな。そうあってほしいもの。あとは、原油安と外需増が両立してくれるかだ。そのあたりは、ニッセイの斎藤太郎さんもレポートを書いてくれている。原油安は続くにしても、米国が利上げの前後に揺れたりしないかが焦点。

 今日は主要な経済指標の発表日だが、一日早かった商業動態は、良かったのはスーパーだけで、小売業は低下だった。振り返れば、秋口から輸出が伸びていて、消費増税のショックに底を入れた形だ。アベノミクスは、まだついているよ。幸運と思ってない人は多いがね。


(1/28の日経)
 石油・商社は損失1兆円。三菱UFJ最高益。銀行・生保に国債離れ。ロボットでホテル。1月日経DI悪化。資源安の電ガス連動6-8ヶ月遅れ。経済教室・税制改正の課題・田近栄治。

(昨日の日経)
 スカイマークが民事再生法。国内ドック新設。住宅着工5年ぶり減。自民が財政再建へ新組織。TPPの3月合意へ機運。国保の実質赤字3139億円で85億円増、市町村の補填3544億円、2015年度からは公費補助1700億円、健保からも3年で1700億円支援。100円ローソン260閉店。経済教室・消費税の益税・森信茂樹。

(今日の日経)
 大容量データ拠点を整備。来期2桁増益3割・上場企業。税優遇の設備投資3兆円。米利上げ6月。大機・原油安で名目3%成長・和悦。経済教室・消費税の地域格差・上村敏之。
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1/27の日経

2015年01月27日 | 今日の日経
 増税前の駆け込みで盛り上がった白物家電も、貯金を使い果たし、当初は影響が少ないと言われた外食も、終わってみれば、このありさま。マックの件ばかりが理由でなく、需要が足りないときの優勝劣敗は激しいからね。

 輸出は、やれやれだ。これで10-12月期のGDPは高めに出るかな。米国向けの好調が理由だが、Think outside the boxさんが指摘するバブルは気になる。弾けるとすれば、米国株とドル高(円安)か。日本のインフレ説は、誰がモノを買うのかという感がある。

 ところで、TOBさんの世代間格差論は、そのとおりなんだが、昔から聞く耳を持たない人は多くてね。理屈じゃないみたいなんだな。今は幼児の世代が大人になり、「なぜ親以外の人を支える義務があるの?」となったときに、彼女らは真実を悟るのではないか。

(昨日の日経)
 核心・経済の追い風参考記録・滝田洋一。経済教室・自治体再建は早期介入・小西砂千夫・犬丸淳。

(今日の日経)
 トヨタは若手の賃金手厚く。輸出にようやく円安効果、10-12月期数量は2.0%上昇。外食、3年ぶり減収。国債利回り不安定。インドネシア、フィリピン成長拡大。白物家電は昨年0.9%マイナス。経済教室・イスラム過激派の脅威・池内恵。
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金融資産課税と国債利払いの均衡管理

2015年01月25日 | 基本内容
 「消費増税を見送ったら、国債金利が急騰し、財政が破綻してしまう」と脅されたら、マイナス成長を覚悟で、消費増税も仕方がないという気分になる。しかし、金利が心配なら、消費増税でなく、金融資産に課税すべきではないのか。国債のほとんどは国内で消化されており、利払いが増えれば、利子課税による税収も伸びる構造にある。財政再建=消費増税という図式は、当局による刷り込みでしかない。

 そもそも、政府の借金が大きいのは、企業が資金を滞留させているからである。企業は物的にも人的にも十分な投資をしておらず、これで生じる需要不足を、財政赤字で埋め合わせている。借金は必然的に誰かの貸金であり、双方を同時に解決しなければ、増税しても経済を縮小させるだけである。ところが、日本では、景気が回復しそうになるやいなや、緊縮で需要を抜き始め、企業が需要に従って投資をしたくても、できなくしてしまう。

 これを、どうすべきか。緊縮にはやる原因である「利払いへの不安」を払拭しておくことが肝要だろう。それには、金融資産への課税強化により、金利の上昇で利払いが増えても、連動して税収も伸びるように設計して、利払いと税収が均衡する構造にしておけば良い。これは、別段、難しい改革ではなく、現在の税率20%を25%に引き上げるくらいで、十分、安心できるようになる。

………
 日本の金融資産の状況は、日銀の資金循環統計で分かる。参考図表の「部門別の金融資産・負債残高」を、しげしげと眺めてみよう。これによると、2014年9月末における家計の金融資産の残高は1,654兆円、民間非金融法人は972兆円である。仮に、これらに1%の利回りがあるとして、20%の課税をすると、税収は5.3兆円になる。 

 他方、一般政府は1,177兆円の負債を抱えている。ただし、541兆円の金融資産も持っているから、差し引きの純資産は636兆円のマイナスである。これに必要な利払いは、金利が1%なら、6.4兆円になる。こうしてみると、もう少し税率が高かったら、税収と利払いが均衡することが分かるだろう。

 国債の利払いの問題で、案外、見落とされているのは、利子課税の存在だ。日本は需要不足の経済であるから、国債のほとんどは国内で消化される。したがって、それらには20%の利子課税がなされ、国債の利払いの20%は、税収として政府に戻って来る。いわば、政府は2割引の金利で借金ができるようなものである。

 そして、国債金利の上昇に連れ、それ以外の金融資産の利回りも上昇して行くとすると、当然、そこからも税収は揚がって来る。政府の純資産の-636兆円は、家計と企業の金融資産の合計額2,626兆円の24%に相当するから、もし、税率が24%であれば、利払いの増と税収の増はバランスし、金利が上昇しても、まったく困らないようになる。

 現実には、すべての金融資産に一律に課税ができるのか、すべての金融資産が国債金利と同様に利回りが上昇するのかといった問題があるので、ここまで単純な話にはならないが、利払いが心配なのであれば、念仏のように消費増税を唱えるより、金融資産への課税の強化が極めて重要であることは理解できると思う。

(表1) 金融資産の状況



………
 ここからは、もう少し現実に照らした議論をしていこう。まず、表を見て、思い浮かぶ疑問は、家計や企業が持つ、預金、証券、保険・年金には課税が可能だとしても、「その他」に課税ができるのかである。特に、企業では「その他」が金融資産の4割を占める。そのため、表では、「その他」を除いた数字も示してある。

 「その他」の中身は、企業間・貿易信用と、対外投資・債権が大半を占める。前者は、金融商品のように課税はできないし、後者は、海外子会社からの配当の95%が益金不算入となっていることを踏まえれば、課税になじまないようにも思える。ただ、現状はともかく、制度として、いろいろ考えることは可能だ。

 前者は、帳簿にある数字なので、年間平均残高について、国債金利並みの利回りがあったとみなし、いわば、外形的に課税する道もなくはない。法人税は外形標準化が図られているが、給与を課税標準にするのでは、所得税や社会保険料に似たような性格になってしまう。むしろ、資金の有効利用に結びつくような課税がふさわしい。

 後者の益金不算入は、高い法人税率をかけてしまうと、日本に還流せず、現地にとどめてしまうことが理由だ。そうであれば、金融資産として低い税率を用い、現状より課税を強化することには検討の余地があろう。実は、これら二つの論点が示すように、企業の持つ金融資産への課税は、法人税の在り方と一体のものになっている。

 法人税は、言うまでもなく、利益に課税するものではあるが、実態的には、企業の持つ金融資産や実物資産を運用した結果の利回りに課税していると見ることもできる。ある意味で、金融資産への課税なのだ。したがって、金利上昇を心配しているであれば、消費増税と引き換えに法人減税をしてしまうのは、矛盾した政策になる。

 法人税率を下げるにしても、企業の持つ金融資産に対しては課税を強化したり、利子や配当への課税強化を並行して行うべきである。実際、財政当局も努力はしているようで、2014年度は、証券優遇税制で10%となっていた税率を、NISAを導入する代わりに、20%にしたり、2015年度の法人減税の財源では、持ち株比率25%未満や5%未満の場合の配当課税のベースを拡大したりしている。

 おそらく、次の課題は、利子・配当課税の税率の引き上げになるだろう。日本の税率20%は、他の主要国は累進的に税率を課していることもあって、概して低い。その際、理念的なものではあるにせよ、利払いと金融資産からの税収とのバランスも念頭に置き、25%程度の税率は、是非、確保したいものである。

………
 続いて、一般政府に目を転じよう。ここでの問題は、利払いの対象となる負債の大きさである。一般政府の資産では、社会保障基金が226兆円を持つ。この大部分は公的年金の積立金である。これを負債から差し引き、利払いが無用のように見なすのはどうかという点だ。これについては、成長率に準じた正常な利回りは必要にしても、望外の利回りの上昇で高収益が得られた場合は、それで年金水準を上げる必要はないと考える。

 また、一般政府の資産には、中央政府の対外証券投資125兆円が含まれる。これは、過去の為替介入の結果として、ドル建ての米国国債が積み上がったものである。現在の円安局面で差益が出ているうちに、少しずつ減らして、日本国債を償却しておきたいところだ。それはともかく、金利が上昇する際には、案外、円安ドル高になり、利払いを助けてくれるかもしれない。

 そして、一般政府で最重要の問題は、異次元緩和に伴い、日銀が国債を229兆円も保有するようになったことである。日銀への利払いは、納付金として政府に戻って来るから、事実上、無いのと同じである。この分を一般政府の純資産から差し引くと、家計と企業の「その他」の金融資産を除いた場合でも、税率は19%でバランスする。これを踏まえれば、主要国並みに税率を25%に上げておけば、課税の対象が狭かったり、利払いの対象が広がったりしても、安心であろう。

 もっとも、金利が上昇する場面では、日銀の保有する国債と言えども、完全に無利子では済まないかもしれない。国債保有の反面で日銀当座には資金が積み上がっており、これを安易に引き出させないため、ある程度、付利をする必要が生じ、それで納付金が減る事態も考えられるからだ。結局のところ、短期金利程度の政府からの事実上の利払いは、必要となる可能性が高い。

………
 国債の利払いの問題については、上昇を無闇に恐れて、一気の消費増税に突っ走ったり、「いざとなれば年金カットだ」と息巻いたりするのではなく、金利上昇時の利払いの推移をシミュレーションしておくのは当然として、金利上昇が金融資産にどのように波及し、どの程度の税収増に結びつくかも検証しておくべきだろう。それで税収が十分でないとなれぱ、金融資産への課税強化をどういう手順で進めるかの計画を練っておく必要がある。いわば、国家版の資産負債総合管理(ALM)というところだ。

 それも念頭に、ここで、金融資産からの税収が、現状、どのくらいあるのかを押さえておこう。国税庁の統計年報をめくると、所得税の源泉徴収分における、利子所得、配当所得、株式等譲渡所得からの税収額が出てくる。2013年度は、計3.5兆円である。利子所得の地方税分を加えると3.7兆円ほどになるだろう。

 申告分については、総合課税であるから、所得の種類別には税収額が分からない。そのため、「申告により納税額がある者」の種類別の所得額に、20%を乗じることで推定した。これが、0.9兆円である。こうして、源泉分と申告分を合わせれば、金融資産からは、およそ4.5兆円の税収があったものと考えられる。

 いかがだろうか。意外に税収は揚がっているという印象ではないか。日銀保有分の国債を抜いた一般政府の純資産額は407兆円のマイナスだから、これに必要な利払いは、2013年度末の普通国債の利率加重平均の1.15%を乗じると、4.7兆円になる。これに先ほどの税収4.5兆円を対比させると、税収と利払いのバランスを取ることが、さほど難しくないと分かる。

 2013年度は、アベノミクスで株価が上がったり、税制改正に伴う駆け込みの益出しがあったりと、税収が膨らむ要素はあったが、これだけの税収が得られるのなら、現状においても、それなりに金利上昇に耐えられる税収構造になっていると言える。これを更に強化し、税率を25%に引き上げておけば、十分、安心が得られるのではないか。

(表2) 金融資産からの税収



………
 日本の財政当局のすることは、消費増税の一本槍で、極めて単調である。優れているのは、税の自然増収を隠匿し、財政破綻の脅威を言い募り、経済界と法人減税で取引するといった政治的な能力ばかりである。正直に言って、経済全体を見て需要管理をせよとか、金融資産の税収「債権」と債務の総合管理をせよとか、日本にとって「高級」なことを並べても、虚しい気はする。

 需要を追加する方法についても、社会保険が国の財政に匹敵する規模となり、低所得層への「減税」は、社会保険料を軽減するしか道がなくなっているにもかかわらず、旧態依然とした公共事業の追加か、地方財政を通じたバラマキに頼っている。米国では幻想とまで言われる法人減税への「信仰」も未だに猖獗を極めており、時代に則した新たな方法の開発が必要だという発想すらないのが現実だ。

 財政破綻は、通例、金利上昇やインフレの発生として理解されるが、前者については、金融資産への課税を強化して均衡を取っておけば、利払い不安で金利上昇が加速する事態は避けられる。後者は、福祉財源論と切り離し、機動的に消費税を引き上げるマンデートを国民から得ておけば、物価を冷やす抜群の効果を発揮しよう。これらの安全装置を用意した上で、健全なる積極財政によって、適切な需要管理をすれば、おのずと経済は成長する。

 需要が足りなければ、若者や女性が多く含まれる低所得層の社会保険料を軽減することで対応したり、年金給付を子育て時に前倒しで給付したりすれば良い。これらは、少子化の緩和にも役立ち、潜在成長力も高める。このような再分配を行えば、成長に伴う雇用の底上げと相まって、格差も縮小に向かう。日本が本当に必要としている政策は、こうしたものではないか。別段、痛みはいらんのだがね。

 ビケティ先生は、格差是正のために、資産への累進的課税を提言しているが、今回、見て来たように、金融資産に的を絞って、果実へ一律に課税するのを構想するだけでも、大変な作業になる。「21世紀の資本」に対応できる政策は遥かかなただ。まあ、それでも、一歩ずつである。若い人たちには、日本が蔑まれるような前時代的な政策から脱し、手本として世界が敬意を払うような政策を編み出せるよう、奮起してくれることを期待しているよ。


(今日の日経)
 米国産コメ輸入拡大、TPP歩み寄り。読書・運命の選択1940-1941、最低生活保障と社会扶助基準。
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1/22の日経

2015年01月22日 | 今日の日経
 異次元第二弾の理由は、客観的には、春の消費増税の弥縫、あるいは、次の消費増税の慫慂であろう。総裁が認めることはないにしても、そうとでも考えないと、日経ですら「説明苦慮」とせざるを得ないのだからね。第一弾は素直に評価するが、第二弾は余計だったのではないか。一層の円安も、0.1%台の長期金利も行き過ぎに思える。

 増税の結果、割高のコンビニが敬遠され、節約で食品スーパーが人気となり、円安株高の下、総合スーパーは不振でも、百貨店はプラスとなって、緊縮財政と金融緩和の組み合わせが、世の中をどう変えるかが端的に現れた。そこまでして財政が貯蓄を余らしたのに、企業の設備投資と言えば、機械受注で「持ち直しに足踏みがみられる」有様だ。

 金融緩和は必要だし、大局的には有効だが、経済政策にはディテールが重要だ。貨幣数量説の流通速度は、テクニカルで安定しているように思えて、実はそうではなく、その量的な変動は、交換から保蔵へという質的な変貌までもたらす。このあたりに、理論から実態を理解する難しさがあるように思う。金融緩和には副作用が少ないとしても、「多々益々弁ず」とはなるまい。

 他方、財政では、日経電子版で滝田洋一さんが「税収の出世魚」で書いているように、当局の税収見積もりは実態より過少であるという基本的な性質を理解していないと、やたらと大きな消費増税を求めることになる。社会保障の拡大に合わせた増税は欠かせないが、それを踏み超えると、財政政策の意味が違ってくる。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」である。

(今日の日経)
 日産が世界で生産シフト。日銀が物価見通しを1%に下げ、説明苦慮。スーパー18年連続減収、コンビニ不振、食品スーパーは上回る、百貨店プラス。同友会・消費税17%へ。年金65歳納付は先送り。電子部品の受注が過去最高。経済教室・サービス業の生産性・森川正之。
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1/20の日経

2015年01月20日 | 今日の日経
 祝迫先生の経済教室は読み応えがあったね。意外なおもしろさは、1997年の消費増税後の変化だろう。増税で消費が減り、追いかけるように所得が減って、家計貯蓄率は激減した。将来的な家計貯蓄の減少が心配だから、消費増税をしようというのは、足元の家計貯蓄の破壊行為でしかない。

 今回は、前回ようなデフレスパイラルに陥らずに済んだから良かったが、海外経済の異変などが重なれば、二の舞を演じるところだった。そうなっていれば、今度は、企業の貯蓄激減という形になっていただろう。設備投資などを伸ばしてから、財政赤字の削減(=貯蓄の拡大)をするという手順を守らないと、財政赤字はひどくなるだけである。消費増税しか知らない財政当局をいただく国の不幸だよ。 

 先生の論説には、1990年代以降の家計は「平均的」でなくなっているとか、家計貯蓄と企業貯蓄が逆転しつつも、家計と企業を合わせた民間貯蓄「率」は安定しているとか、いろいろと示唆に富む指摘が多い。古いと言われるだろうが、筆者には「貯蓄は投資の影」のように思えるのだがね。


(昨日の日経)
 海外の口座情報監視・国税庁。米長期金利の低下とまらず急変リスク。米が富裕層に大幅増税案。

(今日の日経)
 中国国有大手に出資・伊藤忠。岡田代表・法人減税より社会保険料軽減。上海株一時8%安。長期金利最低0.2%。消費者心理に底打ち感。高額商品に客足戻る。原油在庫が先進国で最高。円に先高予想・QUICK。経済教室・マイナスの家計貯蓄率・祝迫得夫。
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2015年度予算はいつもの緊縮財政

2015年01月18日 | 経済(主なもの)
 経済成長の加速には、好循環が欠かせない。日本は、いつも巡航速度に乗る前にブレーキをかけ始めるから、デフレにくすぶり続けている。今年も、補正で0.8兆円、本予算で4.4兆円、地方で1.2兆円、年金で約0.5兆円、合計6.9兆円もの収支改善が行われる。今回も、まったく同じバターンが繰り返される。

 ただし、今年に限っては、原油安の天恵がある。これが緊縮財政を相殺し、ゆるゆると回復してくれたら、ありがたい。昨年は、一気の消費増税という危険な行為をしたが、すんでのところでデフレスパイラルには陥らず、マイナス成長で済んだのは、強運だった。最善を尽くさなくとも、運で勝ち進んでしまうということは、世の中にないわけではない。

………
 2015年度の政府予算案では、4.4兆円の公債金減額が行われる。本来なら、GDPの1%近い収支改善を聞いて、デフレ圧力の大きさに脅威を感じなければならない。殊に、日本経済の潜在成長率は0.5%程度しかないと言われているのだから、そうやって余らせた資金を、一体、誰が使ってくれるのか、考えが及ばなくてはおかしい。

 潜在成長率の低さを指摘して、効果不明の成長戦略を声高に叫びつつ、低成長下では無理がある大幅な緊縮財政を求めるというのは、矛盾がある。ところが、日本では経済を統合的に見ないから、こうした分裂した議論が罷り通ってしまう。現実には、過剰な緊縮への願望が成長を阻害し、その実績によって潜在成長率が低いものになっていると思われる。

 さて、4.4兆円の収支改善の中には、8%消費増税の平年度化による増収1.7兆円が要因として含まれる。消費増税は、既に、経済の負担になっており、納税が後年度に計上されるだけだから、実質的なデフレ圧力としては、これを除くべきであろう。同じ理屈は、地方にもある。地方消費税は前年比1.5兆円増であるから、地方でのデフレ圧力は、とりあえず、概ねないとすることができる。

 その一方、国の税収は、毎度、過少な見積もりが行われ、隠れたデフレ圧力となっているため、これを勘案しなければならない。本予算の税収は54.5兆円である。そのうち、所得税は、補正から4.0%増であり、政府見通しの名目成長率2.7%からすれば、まずまずの数字だ。法人税の4.5%増は、証券各社の予想する経常利益の増加率が10%前後であることを踏まえると、少ないと言えよう。

 こうしたことから、2015年度は、全体で1.6兆円ほどの上ブレが出るものと予想している。結局、消費税の平年度化分で、実質的なデフレ圧力は1.7兆円減るとしたが、今度は、自然増収で1.6兆円増えるわけであり、元へ戻る形だ。地方については、税収規模が国の3/4であるから、その程度の影響と思っておくのが簡単であろう。

………
 ここで、国の税収の検証方法について、一般の方には煩雑かもしれないが、一応の解説をしておく。自分なりの尺度を持たないと、評価はできない。政府の言うことを鵜呑みにするでなければ、面倒でも、手を動かす必要がある。

 基本的な流れは、2014年度決算の税収の予想を作り、これをベースに2015年度の税収を予想する二段階で行う。わざわざ決算の予想を作るのは、政府の補正の税収は、いつも少な目で、信用が置けないからだ。例えば、2013年度の決算では、12月に補正をしていたにもかかわらず、1.6兆円の上ブレが出ている。

 予想の方法は、単純で、前年度決算から名目成長率で伸ばし、税制改正の増減をし、あとは、成長率以上に伸びる性質を持つ所得税と法人税について、任意の尺度で税収を加算するものだ。今回は、所得税については11月までの実績を延長する手法、法人税については証券各社の経常利益の予想を参照する手法とした。これらには別の尺度もあると思う。

 結果は、2014年度決算の予想は52.7兆円と、補正より1兆円の上ブレであった。ただし、ベースにした2013年度決算では、課税強化に伴う駆け込みの株式の益出しという特殊要因があって、所得税が0.3兆円ほど膨らんでいることから、これを割り引く必要がある。続いて、2015年度の税収の予想は、主に法人税の上ブレにより、更に0.9兆円ほど高まるものとなった。こうして導いたのが、前節の1.6兆円である。

(表) 国の税収の予想 (政府予算案決定後)



………
 補正、本予算と続けて公債金の減額がなされるのは、2006-2007年度以来のことである。第一次安倍政権の頃であり、6兆円もの収支改善がなされたが、結果は景気の停滞であった。米国への輸出拡大で勢いに乗り、好循環を回そうというところでブレーキをかけてしまい、大企業が高収益を上げる中で、景気は賃金に波及せず、格差批判を招いた。そうこうするうちに、米国の景気が陰り、デフレ脱却の最大のチャンスを逃すことになる。

 当時の経済財政白書などを紐解くと、「なぜ、従来と異なり、輸出から景気が波及しなかったのか」という問題意識で書かれている。むろん、立場上、緊縮財政を批判したりはしないが、その代わり、天候が悪かったことに触れている。本コラムは、昨年、「消費が悪いのは、天気のせいなのか」と苛めたりしたが、官庁エコノミストとしての筆法かもしれない。ちょっと、かわいそうなことをしたかな。

 今年も、大いに天気は心配であるが、当時と事情が違うは、原油価格である。原油価格は、2004年頃から上昇が始まり、2005~2008年にかけて年々急騰して、日本経済にボディーブローのように効いていた。今度は、これが逆向きに働く。その反面として、原油安は世界経済減速の証であるから、輸出には頼れまい。それだけに内需は大事であり、好天を祈りつつ、運の強さに期待したいところだ。


(今日の日経)
 ROE経営目標広がる。スイスフラン・ショックでユーロ安。読書・大脱出・Aディートン
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1/15の日経

2015年01月15日 | 今日の日経
 日本人は本当に「痛み」が大好きなんだね。日経は、社説で「潜在成長率は0%台半ば」としておきながら、補正で0.8兆円、本予算で4.4兆円、地方で1.2兆円、年金で約0.5兆円、合計6.9兆円もの収支改善が行われて、GDP比で1.4%ものデフレ圧力になろうかというのに、まったく矛盾を感じないようだ。財政がニュートラルなら、今年の日本経済は、政府見通しの名目2.7%と合わせ、4%超の実力を持っているとでも思っているのだろうか。

 財政赤字が減るのなら、経済の許容量も考えず、手放しで喜ぶとは、本当に困ったものである。家計を預かるのと同じ感覚でどうするのか。消費再増税の5.4兆円の圧力には耐えられないと判断して見送ったはずなのに、6.9兆円の圧力は不安にならないらしい。そもそも、2.7%成長を目指すのに、一般会計の歳出は0.5%増であることに、誰も疑問を持たない。「景気回復、これしかない」と言いつつも、財政は足を引っ張ることになっていて、成長の牽引は民需にお任せなのである。

 こうした見方は、日経に限らないことで、このあたりの常識が変わらないうちは、日本で、まともな経済運営がなされることはないのだろうと思う。今年は、原油安があり、甘利経済相が言うように、経済に7兆円のプラスの効果があるから、あまり心配せずに見ていられるが、どう転ぶか分からない商品相場に頼るのは、危なっかしくてしょうがない。まあ、「知らぬがゆえの勇ましさ」なのだろう。こんなことをしておいて、「なんで景気回復が鈍いのか」と、ぼやいたりしないことだよ。

(今日の日経)
 来年度政府予算案96.3兆円決定、税収増で痛み先送り。長期金利最低を更新。社説・成長と財政両立の道筋見えぬ予算。歳出もっと削減を、エコノミストら。国債商品の下落続く。国債・想定金利1.8%で実勢との差はへそくりに。

※国債の分析記事は、自分の尺度を持っていて、高く評価できるよ。
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1/14の日経

2015年01月14日 | 今日の日経
 ボーナス増による一時的なものかもしれないが、街角景気が久々に改善したのにはホッとさせられる。そうこうしているうちに、原油安がじわじわと効いてくれれば良いのだが。地方財政は、思ったより歳出が伸びた。これも景気を支えてくれるだろう。

(1/12の日経)
 海外資金が不動産に1兆円。

(昨日の日経)
 ロボット活用へ法整備。来年度予算案96.3兆円。訪日で日本製品爆買い。政府経済見通し・民需主導で回復。地方財政計画・歳出1.9兆円増、税収2.4兆円増も交付税0.1兆円の減。

(今日の日経)
 金利低下が原油安で拍車。日銀1%前半に下方修正。街角景気5か月ぶり改善。増税で消費抑制1兆円・内閣府。
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2014年度補正は前回並み

2015年01月11日 | 経済(主なもの)
 1/9に閣議決定された2014年度補正予算は、日経の見出しは「抑制」となっているが、概ね前回並みである。昨年度の補正予算は消費増税を前にして2兆円の緊縮であり、それを増税対策とする不誠実さに怒りを覚えたが、今回は景気対策の看板どおりである。もっとも、いまだ消費増税のショックが癒えておらず、11月の景気動向指数が低下している状況で、これが適当なのかという懸念は残るにしても。

………
 今回の補正は、歳出項目の生活者支援、地方活性化、災害等対応、その他の四つを合わせ、既定経費の減額のうち国債費以外を差し引くと2.7兆円となる。これに復興特会の0.3兆円分を加えた3.0兆円が実質的な大きさと言えるだろう。昨年度は、これが約3兆円であったから、ほぼ同規模である。

 他方、歳入は、税収、税外収入、前年度剰余金の合計が2.9兆円であり、実質的な歳出の規模を、これら増収の範囲に収めた形となった。ちなみに、歳出における地方交付税交付金1.0兆円は、来年度予算に組み込まれるだけであり、復興特会への繰入のうち0.7兆円は、復興債の償還財源に充てられるものだから、いずれも新たな需要にはならない。

 今回の補正の特徴は、2006年度以来となる公債金の減額0.8兆円を行ったことだろう。理想的には、低金利で利払いが少なく済んだ分の国債費1.5兆円と同じだけの減額をしたかったのではないか。むろん、需要管理とは別の問題であり、利払い用の借金を、浮いたからといって、転用して使い尽さないという予算管理上のルールの話である。

 安倍政権は、公債金の減額に縁があり、第一次内閣の時に、2006年度補正で2.5兆円の減額をした上、続く2007年度本予算で4.5兆円の減額まで行っている。当時は、これらを誇らしげに掲げたが、景気回復の勢いを殺ぐ結果となり、その夏の参院選の惨敗と退陣の遠因となった。こうした経緯もあって、あまり良い印象はない。

………
 補正に関する筆者の関心は、追加の規模より、税収の見積もりにあった。これは、当初予算の50.0兆円から51.7兆円へ、1.7兆円上方修正された。7割の規模の地方税収も同様に伸びているはずだから、経済には2.9兆円もの増収の圧力がかかっていたことになる。消費増税と合わせると11兆円にもなるのだから、民間消費がトレンドより13兆円も落ちてしまうのも道理である。

 税収の過少見積もりは、いつものことではあるが、大増税をする際に、相も変わらずでは、危険極まりない。もっとも、1997年のときのように、消費増税のショックで一気に不況に突っ込んでいたなら、目論見どおりの税収になっていたかもしれない。当初予算の税収は、消費税以外が前年度実績より1.5兆円も減るという暗澹たるものであり、批判する気にもならなかった。

 さて、補正後の税収は適切か、本コラムの予想と比較してみた。予想は12/21に使ったものの改訂版である。結論的には、政府税収は0.9兆円少ないものの、予想がベースにする2013年度実績の所得税は、増税前の株の益出しという特殊要因で0.3兆円ほど膨らんでいることもあり、この程度なら、堅めの見積もりとして許せる範囲だと思う。

 ついでに、2015年度の税収予想も改訂しておいた。日経の報道を基に、政府見通しの名目成長率2.8%に替え、法人減税を加味し、8%消費税の平年度化分を幾らか多くした。予想は、政府案とされる54.5兆円より1.5兆円多い。財政状況の全体的な評価は、12/21と変わらず、2025年度の基礎的財政収支ゼロに向け順調に進んでいる。ただ、2014年度、2015年度ともに、法人減税の影響で、毎度より小さめの印象を受ける。

 繰言になるが、基礎的財政収支ゼロの目標は、法人減税をしていなければ、2020年度はともかく、2023年度には到達することになっていただろう。復興法人税の廃止は2015年度換算で1.4兆円、2014年度にした企業減税は0.6兆円、来年度の法人減税は0.2兆円にもなる。更なる法人減税も予定されており、目標到達は、法人減税でどれだけ穴を開けないかにかかっていよう。

(表)



………
 11月の景気動向指数は、先行指数が103.8と2か月連続で下がり、消費増税後の最低値だった5月の104.3を下回ってしまった。一致指数も108.9に落ち、8月の最低値108.3とあまり変わらないレベルである。この状況で、補正予算は前回並みで、景気には中立という内容となった。景気の推進力は、原油安と、ようやく上向きつつある輸出に期待することになる。これで、政府見通しとされる、実質1.5%、名目2.8%の成長率に届いてくれたら良いのだがね。 

 景気の行方が心配な向きにしても、補正を膨らますのに、地方にバラまく以外の知恵がないのが現実ではなかろうか。筆者なら、「輝く女性」のため、社会保険の130万円の壁をスロープにすべく、配偶者特別控除のような仕組みを考えるよ。パートの女性がより多くの所得を得て地位を高めるには欠かせないものだが、恒久的な制度になるから、地方創生とは違い、補正予算になじまないとされるかもしれないが。

 しかし、そうした勝手な理屈を付けて補正予算の使途を制約するだけでは、国民にはムダ使いばかりやっているように見える。必要なら、地方交付税と似た仕組みを作り、補正予算から年金特会に繰り入れ、次年度の保険料の軽減に充てるようにすれば良い。要は、やる気の問題ではないか。国民の努力の賜物である税収上ブレを、社会保険で還元する道がないのは不幸なことである。


(昨日の日経)
 介護報酬2.27%下げで決着。小売り業績二極化。米雇用25.2万人増。補正予算3.1兆円、規模抑制。景気一致指数が低下。子育て給付金は継続。交付税加算は半減。トヨタ生産計画は国内前年割れ。産業資材の在庫調整足踏み。

(今日の日経)
 貯蓄保険の販売停止。通信は設備投資を抑制、ピークから2割減。地方の何を創生するか。官民ファンドが乱立。
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1/7の日経

2015年01月07日 | 今日の日経
 コンビニ出店を見れば、法人減税をしても、消費増税で需要のパイを小さくしたら、設備投資は落ちてしまうことが良く分かるのではないか。出店が減れば、賃金の上昇圧力も高まらず、格差は縮まらない。現実は教科書と違い、資本課税や金利を低くすれば、投資が増えるという単純なものではない。

 税収の記事は、54.0兆円から54.5兆円に、事実上、訂正されたね。補正後の2013年度税収51.7兆円に、名目成長率2.3%の1.1倍を乗じ、消費増税平年度化分1.7兆円を加え、法人減税0.2兆円を引くと、ちょうど54.5兆円になる。デスクは、前の54.0兆円の不自然さに気づかないといけない。「54兆円程度」とぼかしておけば良かったわけだ。

 2015年度が名目2.3%成長になるとすると、ベアは2%超でないと、人材は確保できないと思わないとね。成長する経済では、人材を確保し、価値を示して値上げできる企業が勝つ。記事の日通は良い手本ではないか。マクロの方向性は、ミクロの最適な戦略を変え、それがマクロを動かしていく。

(今日の日経)
 原油急落でリスク敬遠、日経平均525円安、長期金利0.288%。コンビニ出店5年ぶり減・15年計画。ロボットは仕事のトモダチ。経済界にベア容認論・2014年度2.28%賃上げもベアは0.4%分。2015年度税収54.5兆円に。日通・営業益7%増、コストは値上げで。経済教室・円安で国内投資・竹森俊平。
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