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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

貯蓄と投資にまつわる因果関係

2009年09月30日 | 経済
 経済動向の長期的変遷を経済学者が解説すると、どうしても平板になりがちである。統計データでは、相関関係は観測できるが、一般の人が興味を持つ因果関係については、立証が難しいからである。今日の経済教室は、マクロ経済の貯蓄投資(IS)バランスについて、ホリオカ先生が手際よくまとめている。これをちょっと異なる観点で眺めてみたい。

 まず、貯蓄=投資というのは、景気変動の影響を大きく受ける。むしろ、投資の動向が景気を変動させると言った方が正しいかも知れない。経済教室の1980年以降の図を見るだけでも、83年を底、91年が山ということが分かるはずだ。そして、97年のハシモトデフレを境として、低成長・低投資へと、日本は転落することになる。

 こうして見ると、高齢化といった構造的な要因よりも、景気動向の方が遥かに重要なことが分かる。構造要因によっては、中期的な貯蓄率の動向を占うことすらできないはずだ。貯蓄率の予想は、景気の予想と変わらないからである。また、ハシモトデフレの愚行のように政策によっても大きく左右されることになる。

 少し大胆なことを言えば、鳩山政権の「バラマキ」は、現在の需要不足の情況を打破して、需要から設備投資、設備投資から所得、そして、所得から需要へと景気拡大の好循環がスタートさせる可能性が高い。むろん、そうなれば、高齢化にも関わらず、貯蓄=投資は上がることになる。

 景気が回復すれば、貯蓄は自動的に生み出されるので、ホリオカ先生のように財政再建で貯蓄を生み出そうといった心配は無用である。投資をする企業は資金調達力が強く、融資を受けて投資をすると、需要が引き締まって物価が上昇し、消費が抑制されて貯蓄が生み出されることになる。 

 需要を安定的に供給し、企業を安心させて設備投資を引き出し、それで所得を増して税収を伸ばしていけば、緩やかな物価上昇とも相まって、財政再建は、おのずと進むことになる。因果を理解せず、財政再建で貯蓄を増やし、投資を誘おうというのは逆であり、それが上手くいかないことは、これまでの失敗で既に経験してきたはずである。

(今日の日経)
 燃料電池大きさ半分で飲食店にも。国債翌日決済を検討。混合診療国側逆転勝訴。家電下郷8月販売額減少。環境と成長の両立立案。CPI低下も対前月は同水準。求職者への生活費支給法案通常国会に。介入観測で円高一服。金融・放置される不満の種。豪、資源権益取得に規制。新興国、兵器調達拡大。中朝経済協力調印へ。LED搭載型TVの主力に。電ガス7月ぶり11月値上げ。パソコン電池を車に転用。マツダ燃費HV並み。トヨタ採用上積み。経済教室・日本経済の貯蓄超過・CYホリオカ。
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年金はいくらもらえるのか

2009年09月29日 | 社会保障
 日経ビジネス・オンラインで、「格差と不公平・政治家は知っているの?日本の年金」というコラムが連載されている。年金の専門的な見地からすれば、多少、意見の分かれる点はあっても、内容は妥当なものである。それにもかかわらず、コラムへのコメントは、ずいぶんと悪し様で、いかに年金への不信が強いかが分かる。

 おそらく、批判者自身も意識してないように思うが、本当の不信の原因は、「保険料に見合う給付が受けられるのか?」という素朴な質問に、誰もストレートに答えてくれないことにある。

 答えられないのも当然で、様々なケースがあって、一概には言えないというのが正確なところである。あるいは、厚労省の説明のように、「代替率は多少下がっても、給付されなくなるわけではありません」というのが精々であろう。しかし、この頃は、その程度の説明に納得してもらえなくなっている。素人相手に、専門的な説明を振り回すわけにもいかず、かなり厄介な情況である。 

 そこで、正確さを犠牲にして、おおまかな説明をすると、次のようになる。まず、結論から言うと、払った保険料に見合う給付は受けられる。少子化が進み、親世代より子世代が少なくなるのに本当かという声が聞こえて来そうであるが、子世代が足りない分は、税負担と積立金の取り崩しで賄えるので、保険料での「損」はない。

 考えてもみてほしい、払った保険料も戻ってこないようでは、制度が持たないことぐらい、年金官僚が分からないわけがない。少子化が進んだら、税負担を大きくし、保険料に見合う給付を減らさないようにするのは当然ではないか。むろん、現在の年金財政の前提は、出生率1.37、基礎年金国庫負担1/2だから、それを下回ると危うくなる。

 また、こういうことを書くと大反発を受けそうだが、現在言われているような年金の無駄遣いは、マクロの年金財政にはまったく響かない程度の大きさである。年金財政に決定的な影響を与えるのは、少子化と税負担であり、こちらを優先して考えるべきというのは、論理としては、間違ってはいない。

 最大の問題は、払うだけで見返りのない税負担に納得できるかどうかである。この問題に対する答えは、小論にあるので、関心があれば見てもらいたい。

(今日の日経)
 円急伸政権の姿勢探る。シルバーウイーク特需。戦略室に財務省。マイクロファイナンス債大和証券発行。還暦中国高齢化の影。独、保守中道政権へ。キンドルで雑誌記事バラ売り。イオン、ベトナムとカンボジアに進出。世界を買い米国を売る。米国債高・長期金利の低下促す。
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少子化対策もできない国なのに

2009年09月28日 | 社会保障
 日本は、今後、急速な人口減少に見舞われる。2012年には年間30万人減、2024年には70万人減になり、そして、年間100万人が減るまでに加速していく。毎年、中核市や政令市が一つずつ消えていく勘定である。これは人口崩壊である。

 この大きさを考えれば、移民で埋めようという政策がいかに困難か、分かろうというものである。2055年には、人口が8000万人台にまで落ちてしまう。その時、人口減を埋め合わせる「外人」は3280万人に達し、人口の3割にもなる。そうなれば、もはや今の「日本」とは違う国である。移民政策を望む人は、それだけの覚悟があるのだろうか。

 少子化は、約2.5兆円の予算があれば、ほぼ克服することができる。しかし、日本は、それを惜しんできた。2.5兆円は、300万人に年間83万円、月額7万円ほどを支給できる規模である。これは、もし、移民を100万人受け入れ、日本語をマスターさせるのに年間83万円の教育費をかけて高校に3年間入れるのに匹敵する。

 そんなことをするのなら、少子化対策で「日本人」を増やす方がトクではないか。逆に言えば、移民をしようという人は、満足な教育も受けさせず、人間をこき使おうという魂胆なのかと疑ってしまう。移民を人間的に扱おうとすれば、少子化対策の方がずっと安上がりになるのである。

 もしかすれば、単純労働でこき使い、数年で使い捨てて送り返すという方法もあるのだろうが、それは円が強い通貨であり続けることが前提になる。少子化で生産力が衰えてくると、中国や東南アジアとの通貨との比較して円が安くなり、日本への出稼ぎは魅力を失ってしまうことが予想される。

 しかも、少子化に見舞われるのは日本だけではない。中国も一人っ子政策で人口がピークを打つし、東南アジアでは、タイでも少子化が始まっている。若者はどこの国でも貴重になるのである。アジアからいつでも簡単に人が集められると思ったら大間違いである。そうなったら、遠くアフリカからでも移民を募るつもりなのだろうか。

 結局、移民政策は、損得だけで言っても、人権に無頓着で安くこき使える人だけがトクをし、社会全体では大きな負担を背負うことになる。移民とは、それでもやろうというものでなければならない。損得と関係なしに、多様性の価値のために世界から人々を受け入れようという人が、日本には、どれほどいるというのだろうか。

(今日の日経)
 社説・歳入庁の設計を急げ。需要回復、姿勢に共感・千本倖生。自民党半世紀・日米同盟。国家戦略を問う人口危機。中国製造業ASEAN進出加速。地デジ南米でブラジルと連携。緑色レーザー量産。災対クラウドで割安に。女性社員を営業職に。セコム社長・助けられて気付く。
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大国の外交かくあるべし

2009年09月26日 | 経済
 オバマ政権は、ロシアが反発する東欧へのMDを中止し、核なき世界へ安保理決議をまとめ上げ、イランが隠していた核濃縮施設をオープンにして、一気にイラン包囲網を作り上げた。見事な手際ではないか。ブッシュ政権の強硬路線の「資産」を上手く使い、退く過程で譲歩を引き出していった。

 もともと、東欧のMD配備は、イランの弾道ミサイルに対抗するためのものであるから、イランが核開発を放棄し、弾道ミサイルを諦めれば、無用のものになる。それならば、MDを中止することと引き換えに、ロシアに影響力を行使してもらい、イランの野望を断念させればよいということになる。

 ロシアに政策転換をさせるには、大義名分も必要である。米英仏で共同の記者会見をして核施設の存在という機密情報を明らかにし、イランが信用ならない国であることを国際世論にアピールした。つまり、「こうなれば、ロシアもかばい切れない」という状況を作ったわけである。

 イランは、たまらず、核施設の「自白」に追い込まれた。日経の記事にもあるように、安保理決議への違反であり、今後、追加の制裁措置の流れが強まり、イランは核開発の放棄に向けて妥協を迫られることになろう。もはや、ロシアに盾になってもらうことも期待できない。リヤド発の松尾博文記者の分析は非常に参考になる。

 むろん、イランは、孤立したからといって、簡単に屈服するとは思えないが、かなり苦しくなった。核なき世界への決議には、中国もコミットメントしているから、石油資源を材料にして中国の支援をたのむというわけにもいかない。ここまでは、オバマ政権の外交的勝利と言っていいだろう。外交、軍事、情報の各部をよく統率している。

 それにしても、ロシアを妥協させるには、嫌がるものを突きつけた上でなければ、ダメということなのであろうか。北方領土を返してもらうには、善意だけでなく、こんな嫌なことをされるなら、返そうというようなものを探すべきかもしれない。ロシアは、資源バブルがはじけて、金融不安の地金があらわになって来ており、それを見つけるのは、難しいことではない。

(今日の日経)
 G20不均衡是正政策協調で一致。円急伸89円台、ドル安容認の観測。パワー半導体を増産。谷垣氏「25%削減は斬新」。財源は公共、埋蔵金は運用益。イラン、ロの米接近懸念。米高官、核軍縮中国引き込みに自信。スーチー氏協力呼び掛け。EUルール世界揺さぶる。NUMMI全員解雇へ。太陽熱温水器ガス各社連携。弁当期限低温管理で3倍長く。大機・国債増発が唯一の解決策。
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核なき世界へ為すべき役割

2009年09月25日 | 経済
 オバマ大統領は、「核なき世界」の理想を追っているのだろうが、その背景には、間違いなく経済問題がある。財政と貿易の巨大な双子の赤字を削減することが米国経済に欠かせないからである。景気が底を打ち、金融の超緩和を戻す局面が巡ってきたときに、双子の赤字は、ドル安や金利高の撹乱要因になりかねない。今のうちに、安定した展望を提示できるよう準備しておく必要があるのだ。

 他方、もう一つの核大国ロシアは、原油バブルの崩壊で経済的苦境に陥っている。ひと頃は、原油輸出で溜め込んだ基金の大きさを誇っていたものだが、それも底をつき、政府が海外での資金調達に迫られるまでになっている。カネのかかる核兵器を減らすことは、ロシアにもメリットがある。

 また、軍事費を減らしたいのは、英国も同様である。米国同様、バブルの後始末に追われており、財政に余裕はない。現状の核弾道弾搭載原潜の軍備を維持するには、2020年代に3兆円もの費用がかかるとされており、少しでも軽くしたいのは当然だ。現在のSSBN4隻体制をを3隻に減らすとしている。

 SSBNは、常時、1隻を海洋に配置し、即応体制をとるためには、整備や休養を勘案すると、4隻の保有が必要とされる。英国の方針は、即応体制を緩めるということであるが、もう一つ、最低限の海洋核戦力の「単位」が下がるという意味も持っている。

 米、ロ、英が核戦力を減らしたいのに対し、唯一、中国は、核戦力を増強し、米国と対等になりたいと考えている。このところの潜水艦戦力の整備には急速なものがあるからだ。日経は、オバマ構想には中国の核軍備増強にタガをはめたい思惑があると分析しているが、これは正しいと思う。米国は、中国と競争になり、グアムの軍備増強を迫られるのは避けたいところだろう。

 英国が3隻体制をとると、核保有国としての最低限の海洋核戦力は、これが基準になり、国際社会は、中国に対して、これに止めるよう主張することが可能になる。つまり、最低限以上のものを持ちたがるとしたら、それはどういう意図なのかと、責められるわけである。日本が為すべきは、抽象的に核のない平和を唱えることではなく、最低限を超える中国の海洋核戦力の増強には明確に反対することである。それは日米共同の国益でもある。 

(今日の日経)
 核なき世界安保理決議。英SSBN減、中国にタガ、印パ・イランに放棄を。日産日本に高級車集約。刷新会議事務局加藤氏。与那国への配備撤回。ベトナム主席日本支持。日本は旗をMグリーン。日航再建、政投銀と溝。環境税検討来月に開始。G20米依存脱却めざす。FRB経済活動上向き。サウジ海外資産減少。電ガス11月引き上げへ。経済教室・中国輸出入連関低下。
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ネットブックの挑戦

2009年09月24日 | 経済
 2007年に初のネットブック発売の小さな日経記事を見たとき、これはヒットすると直感した。3年ほどでOSが入れ替わり、そのたびに20万円近いノートPCの買い換えを迫られることに不合理を感じていたからだ。数年しかもたないコモディティ商品は、5万円以下でなければ、本当に普及するには難しいと考えていた。それから数年で、ノートPCは、ほとんどの学生が気軽に持ち歩けるものになった。

 PCの価格破壊のカギは、独占の下で高価格であったOSとMPUをいかに安くするかにあった。今日の日経は、その事情を手際よくまとめている。当初、MSがリナックスのネットブックが売れ筋になったことに危機感を抱いて一世代前のOSを安く提供したこと、インテルもライバルを恐れて別用途のMPUを安く提供したことなどである。

 台湾の新興企業が新しいコンセプトの製品で巨人の支配する市場を切り取っていくのは小気味良いものであった。小さくとも競争者が存在すれば、独占価格が切り崩されるという経済理論を証明するかのような活躍ぶりである。

 一昔であれば、こうした役回りは日本企業のものだったが、残念ながら、日本企業は後手に回った。新たなコンセプトに挑戦するだけの活力が失われているのだろう。日本語に向いたキーボード作りなど、ファンを囲い込める国内の有利なポジションを活かし切れてないように思える。

 ノートPCを使って思うのは、使い慣れたキーボードやパッドを使い続けられないかということだ。ノートPCをコンポ化してもらって、バラして持ち歩けるようにしてほしい。「ポメラ」といって、入力に特化した製品も人気を集めているのだから、ニーズはあるように思える。こういうモノ作りの部分には日本は強みを持っている。

 ノートPCについては、進歩が早く、オフィスソフトがネットで無料で手に入るようになったり、無料のウイルス対策ソフトも広がったりしている。いずれも、PCを一人が複数台使うようになると、高価なソフトを揃えるのは大変だからである。これから、どんなビジネスモデルが出てくるかは予想がつかない。そんな中で、「良いものを安く」の代名詞だった日本企業にも、ぜひ復活してもらいたいものである。

(今日の日経)
 価格破壊ネットPBが主役。地価底冷え・病院育児で人口増。三菱銀モルガン出資含み益2000億円。損保J一般職も長期海外研修。途上国向けビジネス支援。日本の25%削減を評価。中国銀・物価上昇率2%超容認。育児中はパート・アキュラホーム。パソコン勢力図に変化・MS二重の誤算。建築家妹島和世。学テで事前対策・鳥取。
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経済開発の教科書

2009年09月23日 | 経済
 どうすれば国を富ませられるかについては、ひとつの経済開発のモデルが確立している。一言でいうと、農業重視に輸出振興を組み合わせたものである。その成功例として挙げられるのが、タイ、マレーシア、インドネシアのASEAN諸国である。

 経済開発に、農業重視を挙げると意外感があるかもしれないが、途上国のほとんどが農業を基盤としており、農業振興と食料増産なしには国の安定が保てないのであり、政権が国民の支持を得て、秩序を維持するのには欠かせない要素である。

 その上で、輸出主導によって工業化を図っていく。具体的には、外国から資本と技術を導入し、海外に需要を求めることで生産を拡大する。それで得た所得が内需を刺激して、国内向けの投資が喚起され、更に内需が広がるという経過をたどる。こうして投資率が高まっていくと、あとは内需を中心に自律的に成長していくことになる。

 このモデルの創始者は日本であり、やや異なるのは、国内資本を基にして、技術を外国から買ってスタートしたところだけである。そして、日本に続くことになったNIES、ASEAN、中国に、資本と技術を提供するという重要な役割を果たしたのも日本であった。

 ところが、発展モデルの先頭を走っていたはずの日本は、1997年のハシモトデフレを契機として、突如として転倒してしまう。これ以降は、ドルベースで見ると、日本はまったく成長しなくなってしまう。他方、最後尾にいたはずの中国は、米国の内需に誘われて次第に加速し、今やGDPで日本と肩を並べるまでになった。

 今日の経済教室で掲げられたIMFのGDP推移の図は、日本の自滅と中国の成功を、残酷なまでに明確に示している。同じ先進国の米国に置いていかれ、横ばいを続ける日本の姿は、まったくもって異常である。

 その原因は、輸出で得たせっかくの所得を、財政再建で吸い上げてしまい、内需へと拡大する経路を断ち切ってしまったところにある。日本は、自分で作った成功モデルを自分で捨ててしまっている。 

 そして、成長戦略と言うと、海外からの指摘をありがたがり、規制、教育、農業、財政再建と、効果の程度の知れないものに頼ろうとする。成長には投資が、投資には需要が必要である。環境や保育の需要を与えていけば、おのずと投資が出て、やがて自律的な拡大へと向かう。日本に必要なのは、自身の経済の自律性を信じることである。

(今日の日経)
 GHG25%減国連で演説。二つの過剰・企業間応援、正社員化。社説・成長戦略を描け。地価底冷え・取引優良物件に限定。地デジ日本ブラジル方式で。消えた年金救済・不正受給の防止課題に。トヨタ50万台上積み。経済教室・中国建国60周年課題と展望・国分良成。
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老後の不安と貯蓄

2009年09月22日 | 社会保障
 敬老の日を含む連休だから、シルバーウィークと言うのだろうか。9月15日と決まっていた頃よりも祝日の印象が薄れ、連休の中に埋没してしまったように思える。仕事のない年寄りにとって連休のありがたみは薄いが、それで故郷を訪れてくれるのなら、これもまた良いだろう。

 さて、「老後の不安があると、貯蓄が増え、消費が盛り上がらない」とは、経済評論でよく言われるセリフであるが、これは誤りである。こういう安易な分析を言うエコノミストは統計データを見ていないのではないかと、疑ってみるべきだろう。

 まず、ある程度知られている事実に、家計貯蓄率の低下傾向がある。これが老後の不安の減少を示しているとは、誰も思わないだろう。普通、これは貯蓄を取り崩して生活する高齢者世帯の増加が理由であると解釈されている。

 そして、これより重要なのは、貯蓄率全体は景気変動の影響を強く受けており、家計の行動とは、あまり関係がないという事実である。統計データを見ると、総貯蓄率の増減は、見事に景気の山谷を示していて、貯蓄が景気の所産であることを明確に表している。

 現実には、投資が貯蓄を決定しており、好景気で設備投資が盛り上がれば、貯蓄率が上がって消費率が下がるという現象が観測される。好景気の下では、直感と異なり、消費の量は増大し、増大の速度も加速するが、投資との相対的な比較では伸びが劣っていて、消費の率は下がってしまうのである。

 また、先の「老後の不安があると、貯蓄が増える」ことのおかしさは、「貯蓄=投資」の経済学の基本恒等式を理解していれば、容易に分かる。この恒等式を基にすると、「老後に不安があると、設備投資が増える」と、言い換えることができるわけで、いかに変な帰結になるかが明確になるだろう。

 したがって、景気対策として、「老後の不安を減らして消費を盛り上げよう」という主張はほとんど意味がない。景気対策は、老後の不安に働きかけるという間接的な方法ではなく、直接に需要を創出する方法を考えるべきなのである。

 むろん、消費の増加促進とは切り離して、年金を始めとする社会保障を安定させて、不安を取り除くことは、国民生活のために極めて重要である。その具体的な方法は、小論に明確に記しているので、参考にされたい。

(今日の日経)
 日航の新旧分離要請へ。水力発電の設備増強。離島や無人島管理を厳格に。FTA遅れ鮮明。マンション脚光浴びる中古。中国の人口33年にピーク13.3億から15億へ。温暖化対策・新興・途上国が独自策。経済教室・外国人労働者の社会統合。
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悪者が助けてくれた

2009年09月21日 | 経済
 景気だけの観点から言えば、補正予算の執行停止は適当ではない。しかし、これは政治である。マニフェストを掲げた民主党が勝利し、それに沿った政策を採るのはいたしかたない。景気に大きな影響が出ないよう配慮しつつ、やってもらうほかなかろう。

 おそらく、公共事業は、執行停止の対象として、大きな部分を占めるだろう。長期にわたって実現しない巨大ダムを始めとして、公共事業はすっかり悪者になってしまった感があるが、景気対策という面では、十分な役割を果たしている。

 4-6月期のGDP統計を見ると、公的資本形成は、前期比で7.5%増となり、国内需要の成長率が-1.3の中で、寄与度は+0.3もある。これは、景気対策としての公共事業の前倒し発注が功を奏しているのであろう。他方、民間の資本形成は、民間住宅が前期比で-9.5%と落ち込み、成長率の足を-0.3も引っ張っている。もし、公共事業が助けてくれなければ、これが成長にもろに響いていたところであった。

 実は、この住宅の落ち込みは異常である。通常、景気が後退して、金利が下げられると、住宅建設が上向くというのが通例だからだ。設備投資は、金利が下げられても、いっこうに出てこないが、住宅建設は、金利の感応性が高い。これは、住宅には、自分か住むという確実な需要が見込めるためだ。

 したがって、通常の場合、景気対策では、金利を下げ、住宅建設を増やし、これを下支えとして景気を回復させるという経過をたどる。今回のように、金融を緩和しているのに、住宅建設が落ち込むというのは、逆の現象である。

 むろん、その理由は、明らかで、リーマンショックのあおりで、未だ不動産向けの銀行融資が滞っているからである。また、日本は、長引く不況の中で長く低金利を続けてきたために、感応性そのものが鈍っているということもある。

 現在の景気対策は、こうした日本経済の置かれている不利な条件を、なんとか公共事業でカバーしているのである。それをやめるというのは、景気対策の手をまた一つ捨てることになる。確かに、公共事業で景気対策というのは、時代遅れになった。なすべきことは、できるだけ早く、社会保障による再分配という新たな手段を用意することである。

(今日の日経)
 複数年度予算を導入。エコポイント来年度以降も。インフル東南ア歯止めに腐心。韓国マイクロクレジット。クルマ職人育成変速で。HTV高い信頼。一時保護施設カリヨン子どもセンター。経済教室・東南ア、インドも重視を。
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異説仮想の外交論

2009年09月20日 | 経済
 さすがは伊奈久喜さんというべきだろう。情報分析には多様なパラダイムが必要であり、常識的なものから異説まで、一通り見渡して総合的に判断しなければならない。思わぬ展開に慌てないためである。

 「反米的な鳩山政権が却って日米同盟を強化する」という逆説については、鳩山政権がニクソンやレーガンほどの強い支持基盤を持っているのかとか、クリントン橋本の関係が例として適当かといった批判はあるだろうが、異説と断って堂々と展開すること自体がすばらしい。多様な見方で考えるという在り方が日本には不足しているからだ。

 そこで、伊奈さんに刺激を受け、日米同盟の難問の一つ、普天間「移設」が海外移転で決着するという「異説」を仮想してみることにしよう。普天間移設とは、市街地にある米軍普天間基地の危険を減らすため、沖縄県内の名護市辺野古の沖合いに埋め立てで代替基地を作ろうとするものである。

 小泉政権下での日米合意の情況から大きく変わったのは、オバマ政権になって、軍事費の削減に本腰を入れるようになったことである。その一環として、嘉手納基地のF15部隊の撤収を日本側に打診しているとされる。もし、そうなれば、嘉手納のキャパシティーに余裕が生まれ、あえて代替基地を作らなくても、ということに発展しかねない。

 そうしたことがあるためか、読売新聞によれば、米軍は、埋め立て地の滑走路を短縮してもよいと、軟化しているという。多少の妥協をすることで、基本的枠組を維持したまま固めようという意図なのだろう。しかも、沖縄では、那覇空港の沖合い展開が着々と進んでいる。那覇空港は自衛隊との共用であり、その他に、辺野古に長大な滑走路が本当に必要なのかという疑問も湧いてくる。

 もし、日本側から次のような提案をしたら、どうなるだろう。まず、F15部隊の撤収を容認し、代わりに那覇の空自を強化する。次に、普天間の代替は嘉手納にし、辺野古は陸上のヘリ基地に縮小する。そして、埋め立てをしないことで浮く費用は、空自にも利用させることを条件としてグアムの整備に充てる。

 オバマ政権は、MDでも機動力を重視し、東欧での基地建設は断念した。膨大な経費を固定的な基地に使うより、海空軍そのものに使おうとしている。これと同じことが沖縄で起こらないとも限らない。もちろん、メインシナリオは、現在の合意の枠組のまま進むというものである。

(今日の日経)
 排出枠11年度にも割り当て政府検討。ニクソンに学んだ人たち・伊奈久喜。マクロ経済運営司令塔どこに。自民党経済成長とともに。読書・楽観できない核問題、考える寄生体、血の政治、46年目の光。
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