7-9月期のGDPは、思いがけず、前期比-0.3%のマイナス成長となった。輸出の寄与度が+0.4もあったのに、輸入の寄与度が-1.0にもなったたためである。国内需要で見れば、+0.35%のプラス成長だから、まずまずの結果であり、心配には及ばない。懸念は、未だ低水準にありながら、動きの鈍い消費であり、2期連続で牽引してきた設備投資の衰えである。28兆円もの大型の補正予算を組みながら、成長が加速すると思えないのが残念なところだ。
………
家計消費(除く帰属家賃)は、前期比+0.3%で、239兆円となり、コロナ禍前の2020年1-3月期をわずかに超えた。それでも、10%消費増税前の2019年4-6月期とは7兆円もの差がある。正直、ギャップが大き過ぎ、いつになったら埋められるのか、予想もつかない。ただし、名目では、252兆円になっており、2019年4-6月期の水準を超えている。使うお金の水準は戻ったが、物価上昇で実質が伴っていない。
他方、国の税収は、2021,22年度で、9.3兆円も増えており、これを、どう還元して消費を回復させるかが重要な課題だが、課題とも思われていない。補正予算では、設備投資の促進を念頭に置く成長戦略に巨額が投入される。しかし、設備投資は、既に好調であるし、しょせん、需要に従って行われるものだ。今回の設備投資が前期比+1.9%と良かったのは、輸出が3期続いて大きく伸びたことが要因だ。
そうした好調ぶりも、世界経済の陰りから、輸出の更なる伸長は難くなっており、また、輸出と住宅から導かれる予測値とのギャップも埋まってきていて、早晩、衰えてくるだろう。経済対策としては、設備投資の更なる促進より、消費の浮揚を図るべきであり、それが設備投資を引き出すことにもなる。消費を伸ばさず、設備投資だけを伸ばそうとする単純な発想の戦略には無理がある。
消費を伸ばすには、消費性向の高い低所得者に、いかに再分配をするかになる。賃上げをしても、税・保険料で半分が抜かれる構造にしてしまったのだから、なおさらだ。とは言え、コロナ禍でも苦しんだ、制度的なインフラのなさによって、またも、代替的な手段を用いるはめとなり、電気・ガスやガソリンの価格抑制を行うことになった。これらの需要が維持されたところで、設備投資をしようとはならない。
(図)
………
立民党の枝野元代表が「消費減税は間違い」という発言をしたことが話題になったが、日本が必要としているのは、時計の針を戻すことではなく、米国の勤労所得税額控除や英国の勤労者タックスクレジットといった「負の所得税」を導入することである。ポピュリズムによって支持を拡大するにしても、課題の発見が必要だ。政権が取れずとも、そうした主張は、与党にも影響を与え、日本を良くすることにつながる。
時事によれば、政府は、自営や非正規に出産後給付を検討しているようだ。月2~3万円の案だが、出産で仕事ができなくても、生計が成り立つくらいでないと、人生設計への認識を一新して、行動を変えることにならない。財源の問題だろうが、少子化の緩和には、財政負担を軽くする効果もあるのだから、中途半端では却ってムダになる。児童手当を合わせた月額15万円を1歳になるまでで8000億円だから、1500億円くらいで済まそうということか。今年の出生率は、過去最低になる危機なのだがね。
(今日までの日経)
住宅市場、世界で変調。物価、40年ぶり3.6%上昇。防衛財源、法人税を軸に。メモリー生産、急ブレーキ 米マイクロン2割減産。
※GDPの輸入を動かすほどの経営コンサルの広告費支払いとは何なのかな。