大方の見方は、「EUは財政規律を強めなければならないし、日本は財政赤字による危機を他山の石にしなければならない」というところだろうが、筆者の捉え方は、まったく異なる。ありきたりの分析では足りないように思う。
もし、EUが緊縮財政を選ぶことになれば、これはユーロの価値を維持するために、景気を犠牲にするのであるから、戦前の金本位制の時代の経済政策と変わるところがない。正解は、ギリシャ国債を買い支え、ユーロ安を甘受し、ドイツの輸出を手始めに景気を回復させて、南欧諸国に波及させることであろう。
EUに足りないのは、財政規律ではなく、南欧諸国の国民と共に、ユーロ安による一時的な生活水準の切り下げを受け入れる覚悟である。そういう連帯こそが経済統合の本質であり、自然な流れである。本コラムがECBの国債買い取りを「予言」できたのは、こうした観点に立っているからだ。
一方、日本だが、有識者であれば、財政再建の道筋くらい示してはいかがか。経済論壇の福田先生にしても、中外時評の末村委員にしても、御指摘の財政再建の必要性は言い尽くされている。一定の成長率や物価上昇率の下でなければ増税できないのは明らかであり、どのような情況でするかの手順の議論に進まなければならない。
その際、必要なのは需要管理の発想である。税制の在るべき姿を論じるのも良いが、当面の道筋が重要になる。例えば、設備投資は急速に回復しつつあるのだから、今、法人税をいじる必要性はない。これをいじると将来的な大幅な税収減につながるため、長期金利に悪影響の出るおそれもある。
むしろ、企業収益の回復から法人税収の増加が見込まれ、財政は改善の方向に向かうのであるから、これを待つべき局面だ。他方、今年度予算は、前年より10兆円も少ないため、年度後半に景気が減速する可能性が高く、しかも、ユーロ安によって輸出が減速する心配も出てきた。ユーロ安は、中国の景気にも悪影響を及ぼすだろう。
そうしてみれば、欧州の経済危機で心配すべきは、日本の財政赤字のことではなく、年度後半の需要の維持となる。先のGDP速報で示された景気回復に安心している場合でもなければ、財政再建を先取りするような局面でもないのである。
(今日の日経)
設備投資3年ぶり増、非製造業4.3%増。あえて緊縮の道選ぶ欧州。グアム移転費を下院可決。ソニー跡に環境ビル。誰がこの国を支えるのか・末村篤。高齢者の安否見守り。有機分子層コンピューター。経済論壇・財政規律の確立急げ・福田慎一。読書・グローバルインバランス・白井さゆり、ポジティブ病の国アメリカ、環境と経済の文明史、イマココ。
もし、EUが緊縮財政を選ぶことになれば、これはユーロの価値を維持するために、景気を犠牲にするのであるから、戦前の金本位制の時代の経済政策と変わるところがない。正解は、ギリシャ国債を買い支え、ユーロ安を甘受し、ドイツの輸出を手始めに景気を回復させて、南欧諸国に波及させることであろう。
EUに足りないのは、財政規律ではなく、南欧諸国の国民と共に、ユーロ安による一時的な生活水準の切り下げを受け入れる覚悟である。そういう連帯こそが経済統合の本質であり、自然な流れである。本コラムがECBの国債買い取りを「予言」できたのは、こうした観点に立っているからだ。
一方、日本だが、有識者であれば、財政再建の道筋くらい示してはいかがか。経済論壇の福田先生にしても、中外時評の末村委員にしても、御指摘の財政再建の必要性は言い尽くされている。一定の成長率や物価上昇率の下でなければ増税できないのは明らかであり、どのような情況でするかの手順の議論に進まなければならない。
その際、必要なのは需要管理の発想である。税制の在るべき姿を論じるのも良いが、当面の道筋が重要になる。例えば、設備投資は急速に回復しつつあるのだから、今、法人税をいじる必要性はない。これをいじると将来的な大幅な税収減につながるため、長期金利に悪影響の出るおそれもある。
むしろ、企業収益の回復から法人税収の増加が見込まれ、財政は改善の方向に向かうのであるから、これを待つべき局面だ。他方、今年度予算は、前年より10兆円も少ないため、年度後半に景気が減速する可能性が高く、しかも、ユーロ安によって輸出が減速する心配も出てきた。ユーロ安は、中国の景気にも悪影響を及ぼすだろう。
そうしてみれば、欧州の経済危機で心配すべきは、日本の財政赤字のことではなく、年度後半の需要の維持となる。先のGDP速報で示された景気回復に安心している場合でもなければ、財政再建を先取りするような局面でもないのである。
(今日の日経)
設備投資3年ぶり増、非製造業4.3%増。あえて緊縮の道選ぶ欧州。グアム移転費を下院可決。ソニー跡に環境ビル。誰がこの国を支えるのか・末村篤。高齢者の安否見守り。有機分子層コンピューター。経済論壇・財政規律の確立急げ・福田慎一。読書・グローバルインバランス・白井さゆり、ポジティブ病の国アメリカ、環境と経済の文明史、イマココ。





