昨日、また一つ現実が明らかになった。ひと月前のコラムで「5月の家計調査が横ばい程度であれば、それで消費増税のもくろみは終わり」としていたが、結果は正にそれだった。明日で終わる6月がかなり良くないと、4-6月期の消費は成長なしとなろう。消費はGDPの6割を占めるから、他の需要項目が好調だとしても、消費増税の条件である2%成長のハードルは高い。予定通りの増税は困難と見るべきだろう。
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5月の家計調査の結果は、季節調整済の実質指数が99.8で、前月比+0.1のほぼ横ばいであった。仮に6月が1-3月期の平均値の102.4まで高まったとしても、4-6月期は100.6と前期から-1.8にもなってしまう。1-3月期に4.0も伸びた反動が出た形だ。アベノミクスで急に景気が良くなったように感じているかもしないが、偶々の要素が大きい。これまでが出来過ぎであったことは、4-6月期のデータで明らかになろう。
こうした家計調査の結果は、GDPにどう表れるか。テクニカルな話になるが、概説しておく。GDPの消費は、「消費総合指数」をベースにしており、従ってGDPを占うには、消費総合指数の発表を待つ必要がある。家計調査は、自動車などの大きな買い物をした世帯が偶々あると大きく振れるため、購入頻度の少ないものについて多くのサンプルで調査する「家計消費状況調査」で補っており、それらを踏まえた総合的な結果が消費総合指数に反映される。
実は、この1年ほどの家計調査は、四半期単位でも大きく揺れており、昨年7-9月期に大きく落ち、1-3期に飛び跳ねるという動きを示した。これに対し、消費総合指数は、大きく落ちない代わりに飛び跳ねもしないという穏やかな動きとなっている。そこで、長期的には両者は収束すると考えると、家計調査が前期から大きく落ち、総合指数は横ばいというのが「頃合い」なのである。
つまり、4、5月の家計調査の動向からすると、GDPの消費も、ほとんど伸びないと予想される。5月の家計調査の結果については、「堅調」という見方が多いようだが、筆者は「停滞」という評価だ。ちなみに、ニッセイ研の斎藤太郎さんも、鉱工業生産の分析の中で、自動車の落ち込みを指摘しつつ、消費について、「増加は維持するものの伸び率は大きく低下する可能性が高い」としている。
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消費税を判断する4-6月期のGDPは、民間住宅、政府消費、公共投資で一つずつ稼ぎ、あとは、前期に寄与度が0.4もあった純輸出がどれだけ上乗せできるかになるだろう。輸出は円安で比較的順調なので期待しているが、いずれにしても、民間消費が伸び悩む中で、直にそれを冷やす消費増税が適切なわけがない。それを補おうと、住宅、公共、輸出に頼ろうとするのは本末を取り違えた政策だ。
先週も述べたように、成長ができれば、増税が不要なほど税収は伸びるし、成長ができなければ、増税は無理なものでしかない。一気の消費増税は、端から矛盾を抱えた政策なのだ。しかるに、6/27の日経電子版で、滝田洋一さんは、日本経済にとって、消費増税などが「結構な重荷」と正確に理解しながら、「消費は案外底堅く推移するかも」と偶然が続くことを期待し、 市場が未知数と評する「成長戦略」に日本の「死命」を賭けようとする。こういう認識にあるのは、彼一人ではあるまい。
また、財政再建を一方的に表明しただけで、見返りに何かの約束を得たわけでもないのに、「国際公約」と信じたり、消費増税の2014年度は成長失速が当然視されているのに、増税をやめれば、市場の信用を裏切るとする者も少なくない。しかし、今年度内に税収が急増するのを目の当たりにしつつ、成長を捨てる増税を決めようものなら、世界経済に悪影響をもたらすと批判され、財政の運営能力が欠如していると見放されるだけだろう。
(今日の日経)
宅配便で企業物流網。市場の不安心理薄れる。食品に値上げの波。求人倍率はリーマン前水準に。中国の短期金利が低下。ガスト・脱家族。国内4輪車生産6.2%減。