情けないのが日本政治の通り相場だったが、今回の補正予算案からは、国民への「情け」が感じられない。日本は、後藤田正晴の言葉で言えば、「政と官」、「情と理」でバランスが取られてきたのだが、政治は唯一の美点すら失おうとしているのか。
2011年度予算は、前年度予算の当初とほぼ同規模だから、補正後と比べれば5兆円少ない。つまり、経済がデフレにあるにも関わらず、最初から5兆円の緊縮財政になっているわけだ。だから、昨年秋の5兆円の景気対策の代わりに、震災対策をして予算規模を膨らませても、前年度並みになるだけである。
よく、昨年度と同額の史上最高の44兆円の国債発行と言われるが、税収は、リーマンショックから抜け切れていない昨年度より3.5兆円も増えており、これを埋蔵金の取り崩しを減らすという「経理操作」によって、財政危機の「看板」は敢えて維持してあるものなのである。したがって、国債増発を極度に恐れる今の世論は、冷静さに欠けるものだ。
今回の補正予算案は、名ばかりのもので、1.5兆円の予備費と0.5兆円ほどの予算の付け替えで構成され、歳出規模には変化がない。すなわち、震災によって、被災地で援護が求められ、消費萎縮で景気が危うくなっているのに、緊縮財政に固執するという、常識では計りがたい内容である。
ただし、ここまでは、日本の政治家は財政に疎いので、仕方のないところもある。問題は付け替えの内容だ。一つは、子ども手当の増額をやめるようであるが、これは年少扶養控除の縮小によって負担増になるのを避けるのが目的だった。そのため、実施段階になると、「乳幼児のミルク代を取り上げて、被災地に送るのか」という不満が必ず出てこよう。
また、国家公務員の給与を5%カットして財源にするようだが、公務員叩きの気分で軽く考えていたら痛い目に会う。これは将来の所得税の5%増税の布石と思われるからだ。「国家公務員が率先したのだから、国民一般も負担せよ」と言ってくるのは必定だろう。ツケは、ちゃんと回ってくる。クワバラ、クワバラ。
それにしても、たび重なる行革で、公務員の半分近くは自衛隊や海保庁などで占められるようになっているはずだ。彼らは、被災地で昼夜を問わず支援に当たったのに、帰ってみると、給与は5%カットされるわけか。助けてもらった被災地の人達は、そうやって復興されることを喜ぶのかね。
被災地には、全国の自治体から、救援のために多くの地方公務員も送られているが、国家公務員の給与カットは、当然、地方にも波及しよう。財政当局にしてみれば、救援で地方交付金が膨らむから、給与カットは、一挙両得の仕掛けのつもりだろう。そのエゲつなさには、あきれてしまう。
今回の補正予算のコンセプトは、「歳出削減なしに、復興予算なし」である。これをやられると、歳出削減で痛みを受ける人と、被災地で復興を待つ人が財源を巡りいがみ合うことになりかねない。だから、過去の災害対策では、直接の国民負担は求めて来なかったのである。保守的な財政学者でさえ、一時的な支出である災害対策には国債発行もやむを得ないとするのが普通だ。こうした「分割統治」の手まで使って、歳出を抑えようという財政当局の魂胆には、そら恐ろしさを感じる。
日経の昨日の夕刊にあるように、1、2月に冴えなかった消費は、3月に大きく落ちたものと見込まれる。これは4-6月期も尾を引くことになろう。補正予算を通す5月中旬頃には、GDP速報で成長の減速が確認され、景気後退への懸念が大きく強まるだろう。そこで日本の国会は、分割統治をする緊縮型の補正予算を推し進めるわけである。
そのとき、政府・民主党は、野党・自民党が緊縮を求めたからとして、責任転嫁を図るのだろうか。それとも、野党・自民党は、あくまで補正予算案は政府の責任として逃げるのであろうか。国民への「情け」を忘れ、財政再建ゲームに興じた日本の政治がどのような、運命をたどるか心配でならない。
今は、財政当局は、うまい仕掛けができたと、ほくそ笑んでいるだろうが、こういう小賢しい所業は、往々にして露見するものである。商売をしている人は分かると思うが、誠実や正直が大切なのは、上手く立ち回ったつもりでも、世間様には見抜かれるものだからだ。頭の良い人は、自分のズルさは知られまいと自惚れがちである。だけど、お天道様は見ているんだよ。今回の補正予算を仕組んだ財政当局の責任者もただでは済むまい。
(今日の日経)
日産がルノーと持ち株会社。圧力容器1~3号機とも損傷。元首相大連立否定せず。主婦年金、決着遠く。子ども手当つなぎ法案きょう成立。円、下げ基調鮮明に。ミャンマー軍事政権に幕。イエメン権力移譲を提案。南三陸町、集団移転2/3望まず。前日夕刊/車テレビ販売大幅減。中国の物価高が日用品に波及。
※損傷は12日には予想できていたのではないか。震災大臣で入閣して緊縮と復興をどう両立させるつもりかね。年金はやはりたなざらしか。共産党が現実主義政党に見えてきたよ。
※夕刊/2月の家計調査の結果も今一つだった。中国のインフレは更に一歩深まったな。
2011年度予算は、前年度予算の当初とほぼ同規模だから、補正後と比べれば5兆円少ない。つまり、経済がデフレにあるにも関わらず、最初から5兆円の緊縮財政になっているわけだ。だから、昨年秋の5兆円の景気対策の代わりに、震災対策をして予算規模を膨らませても、前年度並みになるだけである。
よく、昨年度と同額の史上最高の44兆円の国債発行と言われるが、税収は、リーマンショックから抜け切れていない昨年度より3.5兆円も増えており、これを埋蔵金の取り崩しを減らすという「経理操作」によって、財政危機の「看板」は敢えて維持してあるものなのである。したがって、国債増発を極度に恐れる今の世論は、冷静さに欠けるものだ。
今回の補正予算案は、名ばかりのもので、1.5兆円の予備費と0.5兆円ほどの予算の付け替えで構成され、歳出規模には変化がない。すなわち、震災によって、被災地で援護が求められ、消費萎縮で景気が危うくなっているのに、緊縮財政に固執するという、常識では計りがたい内容である。
ただし、ここまでは、日本の政治家は財政に疎いので、仕方のないところもある。問題は付け替えの内容だ。一つは、子ども手当の増額をやめるようであるが、これは年少扶養控除の縮小によって負担増になるのを避けるのが目的だった。そのため、実施段階になると、「乳幼児のミルク代を取り上げて、被災地に送るのか」という不満が必ず出てこよう。
また、国家公務員の給与を5%カットして財源にするようだが、公務員叩きの気分で軽く考えていたら痛い目に会う。これは将来の所得税の5%増税の布石と思われるからだ。「国家公務員が率先したのだから、国民一般も負担せよ」と言ってくるのは必定だろう。ツケは、ちゃんと回ってくる。クワバラ、クワバラ。
それにしても、たび重なる行革で、公務員の半分近くは自衛隊や海保庁などで占められるようになっているはずだ。彼らは、被災地で昼夜を問わず支援に当たったのに、帰ってみると、給与は5%カットされるわけか。助けてもらった被災地の人達は、そうやって復興されることを喜ぶのかね。
被災地には、全国の自治体から、救援のために多くの地方公務員も送られているが、国家公務員の給与カットは、当然、地方にも波及しよう。財政当局にしてみれば、救援で地方交付金が膨らむから、給与カットは、一挙両得の仕掛けのつもりだろう。そのエゲつなさには、あきれてしまう。
今回の補正予算のコンセプトは、「歳出削減なしに、復興予算なし」である。これをやられると、歳出削減で痛みを受ける人と、被災地で復興を待つ人が財源を巡りいがみ合うことになりかねない。だから、過去の災害対策では、直接の国民負担は求めて来なかったのである。保守的な財政学者でさえ、一時的な支出である災害対策には国債発行もやむを得ないとするのが普通だ。こうした「分割統治」の手まで使って、歳出を抑えようという財政当局の魂胆には、そら恐ろしさを感じる。
日経の昨日の夕刊にあるように、1、2月に冴えなかった消費は、3月に大きく落ちたものと見込まれる。これは4-6月期も尾を引くことになろう。補正予算を通す5月中旬頃には、GDP速報で成長の減速が確認され、景気後退への懸念が大きく強まるだろう。そこで日本の国会は、分割統治をする緊縮型の補正予算を推し進めるわけである。
そのとき、政府・民主党は、野党・自民党が緊縮を求めたからとして、責任転嫁を図るのだろうか。それとも、野党・自民党は、あくまで補正予算案は政府の責任として逃げるのであろうか。国民への「情け」を忘れ、財政再建ゲームに興じた日本の政治がどのような、運命をたどるか心配でならない。
今は、財政当局は、うまい仕掛けができたと、ほくそ笑んでいるだろうが、こういう小賢しい所業は、往々にして露見するものである。商売をしている人は分かると思うが、誠実や正直が大切なのは、上手く立ち回ったつもりでも、世間様には見抜かれるものだからだ。頭の良い人は、自分のズルさは知られまいと自惚れがちである。だけど、お天道様は見ているんだよ。今回の補正予算を仕組んだ財政当局の責任者もただでは済むまい。
(今日の日経)
日産がルノーと持ち株会社。圧力容器1~3号機とも損傷。元首相大連立否定せず。主婦年金、決着遠く。子ども手当つなぎ法案きょう成立。円、下げ基調鮮明に。ミャンマー軍事政権に幕。イエメン権力移譲を提案。南三陸町、集団移転2/3望まず。前日夕刊/車テレビ販売大幅減。中国の物価高が日用品に波及。
※損傷は12日には予想できていたのではないか。震災大臣で入閣して緊縮と復興をどう両立させるつもりかね。年金はやはりたなざらしか。共産党が現実主義政党に見えてきたよ。
※夕刊/2月の家計調査の結果も今一つだった。中国のインフレは更に一歩深まったな。





