経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

6/30の日経

2021年06月30日 | 今日の日経
 5月の新規求人倍率は2.09倍と前月比+0.27となったが、求人以上に求職が減るというもので内容は良くない。むしろ、求人数は、昨年の最悪の水準に近い。むろん、5月は感染が拡大して非常事態宣言が発令されていたためである。解除となった6月はマシになると思われるが、足下では、東京の感染が急拡大してステージ4の寸前だ。すぐにでも「禁酒令」を出し、ブレーキをかけないと、緊急事態宣言の下でのオリンピックになる情勢にある。

(図)



(今日までの日経)
 休業者は210万人超 企業の雇調金頼み続く。厚生年金加入者、5年で370万人増。接種進展、4か月の地域差。

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緊縮速報・資金過不足と税収増

2021年06月27日 | 経済(主なもの)
 1-3月期の資金循環が公表されて、2020年度の資金過不足も判明し、中央政府の前年度差は-38.5兆円となり、家計は+30.1兆円、非金融民間法人は+4.2兆円だった。新型コロナ対策で、政府は大幅な赤字になったが、「誰かの借金は、誰かの貯蓄」なので、それだけ、家計や企業は助かっている。財政赤字を減らしたい人は多いけれど、家計の貯蓄を取り上げるのと等しいとわきまえつつ、今後を展望したい。

………
 日経によれば、2020年度の国の税収は、コロナ前の2019年度を超えるらしい。名目GDPが-3.9%、家計消費(除く帰属家賃)が-7.7%ものマイナス成長だったにもかかわらず、税収が増えるとは異常だ。一番の要因は、コロナ禍で消費増税が行われたことで、国だけで1.9兆円程の増収となり、所得税は前年度比でほぼ横バイと見込まれる。そして、資金循環の公的年金も、2020年度は1兆円の「黒字」になっている。

 法人税収については、トレンドだと1割減だが、予想が難しい。野村、日興の企業業績見通しの経常利益は、3月時点で平均-10.6%だったものが、6月時点では+6.0%に急変しているからだ。海外の景気回復を受けて製造業が好調なこと、投資会社と化したソフトバンクが高収益を得たことなどがある。また、資金循環では、1-3月期の企業の資金過不足は、借入が減り、現預金が増して、前期より資金超過が拡大した。

 コロナ禍で財政赤字は拡大し、2020年度の一般政府の資金過不足はGDP比-9.9%にもなったが、増税しながらのバラマキだったので、コロナ対策が剥落するに従い、収支は急速に改善するだろう。課題は、税・保険料で制度的に抑圧された消費をどう浮揚させるかである。カネの余っている企業に、グリーンだ、デジタルだと資金を積み増すのは、課題を見失っているように思う。

 本当は、社会保険料軽減型の定額給付を導入したいところだ。再分配の強化は、消費減税より遥かに効果が高い。必要性もコロナ禍で身にしみたはずだ。しかし、野党でさえ争点にしない状況では、与党が脅威に感じて取り入れることもない。誰も、非正規のことは考えてくれないのか。少子化にしても、彼女らを救うことが社会のためなのだが。デフレと人口減で地球に貢献する路線は揺らがないようである。

(図)


………
 予想どおり、東京の感染確認数は増加し、今日にもステージ4に突入する。今週の末には、「マスクで会食」では防げないことが、三たび、証明され、「禁酒令」が再発動されるだろう。そうでもしなければ、今のペースでは、7/7に非常事態宣言レベルである過去7日間平均700人を超え、オリンピック開会式の7/23には1500人超の感染を確認するはめとなって、無観客のオリンピックにせざるを得なくなろう。


(今日までの日経)
 五輪前 再拡大に懸念、感染警戒 若年層。日本の総人口0.7%減 国勢調査。20年度税収、コロナ前超え。コロナ予算、30兆円停滞。接種高齢者5割迫る。

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6/23の日経

2021年06月23日 | 今日の日経
 4月の建設総合の出来高は、季節調整をかけると、住宅が前月比+1.3%、企業(民間非住宅)が+2.0%と高めの伸びとなった。いずれも底打ちをうかがわせ、景気浮上へ、また一つ力が加わった形である。ただし、公共は頭打ちの様相だ。設備投資の日経調査も、コロナ前水準への回復を見せており、コロナ後を見据えている。他方、東京の感染確認数は、早くも増加トレンドに変わり、飲酒の再禁止が予想される動きとなっている。

(図)



(今日までの日経)
 膨らむリスク投資、火種に。飲食店街 人出の増の動き。防衛費 まさかの日韓逆転。設備投資回復 10.8%増。上がらぬ米金利の「謎」再び。

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宣言解除後の感染防止策の見通し

2021年06月20日 | 経済
 6/20で緊急事態宣言は解除される。これに伴い禁酒令も取り下げられるが、飲み会が増えると感染が拡大してきた過去4度の経験を踏まえると、ワクチン接種が追いつかなければ、第5波と再禁止になる可能性が高い。禁酒令への不満が高まる中、「ほら、やっばり飲み会が原因でしょう」という教育過程を経て、改めて引き締めた上で、オリンピックに臨むというシナリオであろう。

………
 営業規制を強いられる居酒屋の経営者には気休めにしか思えないだろうが、政府は、ギリギリまで国民に飲み会をさせようとしているように見える。なぜなら、リスク度の高い行為にもかかわらず、シンプルに「飲み会を控えて」とは決して言わないからである。いわば、需要側は抑制せず、供給側を管理するだけで、感染防止と飲み会を最大限両立させようとしている。その象徴が悲劇を生んだ「マスクで会食」である。

 マスクなしで15分会話しただけで濃厚接触者になるのに、マスクを何度も外しつつ、1時間半も会食するのは危険度が高い。離れた席での感染事例もあるから、アクリル板や換気も絶対ではなく、一度に食べて短時間で済ませられるランチと比べても守りは脆弱だ。それにもかかわらず、「飲み会を控えて」とは言わないのは、感染防止だけの観点からすれば、不思議なほどである。

 このことは、人々に戸惑いを生じさせてもいる。「若者は感染が多いから、予防を徹底して」と求めたりするが、マスクと手洗いは、若者もほとんどがしており、違いは会食の多さなのに、「飲み会を控えて」とは言わないから、何を徹底すべきか良く分からない。そこは、察してくれということなのか。ちなみに、筆者のところでは、全員、夜の会食は禁止、ランチも孤食・黙食を徹底している。

 そして、飲み会の削減を言わない代わり、「人流の抑制」が使われているようだ。そのために、東京では百貨店などが休業させられたが、休業のない神奈川と感染状況は同様であり、犠牲の割に効果の感じられない方策だった。そもそも、リスク度の低い買い物フロアが閉じられ、リスク度の高い飲食フロアが開いているのは、リスクを行為で分析する観点からは、矛盾する光景に思われた。

 オリンピックの「人流の抑制」の有識者の提言についても、よくよく読むと、試合後の飲食が問題であるらしい。それならば、「マスクで会食」を許していることと、どう折り合いをつけるのか。組織委の言うように、直行直帰なら問題は解決できるようにも見え、観客数をどうするかではなくなるように思えるが、筆者のような感染症対策の素人からすると、察することも難しい。

(図)


………
 いずれにせよ、禁酒令をやめて2週間もたてば、感染は拡大してくる可能性が高い。大事なのは、そこで躊躇なく再禁止をかけられるかである。「マスクで会食」を勧めて感染を止められなかった大阪のようになってはなるまい。ステージ4に至っては、オリンピックどころでなくなってしまう。居酒屋の経営者はいたたまれないだろうが、「飲み会」の我慢もワクチン接種が普及するまでだ。終わりは見えており、もうしばらくの辛抱である。


(今日までの日経)
 五輪の屋外中継 中止 都知事表明。国内接種3000万回超す。酒類、東京・大阪も容認 「2人以内・夜7時まで」条件。飲食店規制 迷走続く。五輪観戦、直行直帰を 組織委が人流抑制へ指針案。

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6/17の日経

2021年06月17日 | 今日の日経
 5月の日銀・実質輸出は、前月比-0.2であり、過去最高の水準を維持するという内容だった。4,5月の平均は、前期比+3.8となっており、前期の伸びを上回る勢いにある。こうなると、設備投資が促進され、成長が加速することになる。4月の機械受注も公表となり、民需(除く船電)が前月比で若干のプラスという結果だった。非製造業は不振だったものの、製造業は、それを補う伸びとなっている。

 非常事態宣言は、予想どおり、解除されるようだ。沖縄は、ステージ3に至るのに更に2週間はかかるので、延長もやむを得ない。意外だったのは、アルコールを解禁することだ。最大のリスク行為は、何度も外す「マスクで飲酒」なので、再び感染者が増加することになろう。せめて、その兆しが出たら、直ちに再禁止しなければならないことを、予めアナウンスしておく必要があろう。

(図)



(今日までの日経)
 9都道府県 20日宣言解除 東京や大阪、まん延防止。景気対策、事業者支援が軸。FRB、哲学転換の重み 「果てなき最大雇用」波紋。

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1-3月期GDP2次・設備投資の先を読む

2021年06月13日 | 経済
 今期のGDP速報で一番意外だったのは、設備投資のマイナスだ。輸出の伸びからすると、もっと高くて良かったからだ。成長の原動力は設備投資であり、日本の場合、バカバカしいほど輸出に従う。すなわち、今期、設備投資が輸出と逆の動きになったことは、次期、設備投資が追いつく形で大きく伸び、成長が加速することも示唆している。こんな具合に、経済の先を読んでいくわけである。

………
 1-3月期GDPの輸出は、前期比で+2.2%になったのに対し、設備投資は、反対に-1.2%と低下した。前期に+4.3%も伸びた反動があったにせよ、未だ水準も低いので、プラスでもおかしくないと思っていた。実際、名目では-0.3%まで縮まる。基礎統計の鉱工業生産を眺めると、資本財(除く輸送機械)は、1-3月期が前期比+5.1もある。結局、機械・設備が大きく伸びても、建設投資など他が振るわなかったということになる。

 今後については、4-6月期の資本財(除く輸送機械)の見通しは、更に高く前期比+15.5にもなっている。むろん、これには海外向けも含まれるが、4月の出荷内訳表と総供給表を見ても、国内向けが前月比+9.8、輸入が+7.3と高い伸びだ。建設投資も底入れが見られるから、いつものように、設備投資は輸出を追いかけていくと思われる。輸出増を受け、生産に必要な設備を整えるという、常識でも分かる因果関係にある。

 こうした、設備投資は輸出次第という関係、より的確には、住宅や公共を加えた追加的需要に従うことは、図を見れば明らかだ。実は、この関係は、バブル期の過剰投資が解消した1995年以降、25年余りも続いている。この間、様々な金融政策や産業政策が試みられてきたが、それらで、直接、設備投資が動くわけではない。結局、需要によるという、企業家精神とは無縁な至極つまらない実態にある。

 とは言え、少しおかしいとは思わないだろうか。設備投資が追加的需要に反応するなら、景気拡大に伴う消費や設備投資自身の需要に反応しても良いはずだ。実は、日本経済も、デフレになる以前は、そうだったのである。輸出を契機に、設備投資から消費へと波及し、成長が加速して行った。残念ながら、今では、消費税と社会保険料が波及を妨げ、財政再建を焦って、回復期の自然増収を堰き止めるものだから、低成長にくすぶり続けることになる。

(図)


………
 GDPに占める設備投資の比率は、2018年10-12月期には16.6%に達していて、リーマンシッョク前の景気のピーク時に匹敵するレベルだ。その意味で、設備投資の促進策は成功していたとも言える。もっとも、それは消費を徹底的に抑圧し、伸ばしていないことの裏返しでもある。グリーンだ、デジタルだとしつつ、財政再建も堅持とするというと、もっともらしく聞こえるが、経済の一部だけを可愛がる偏頗な政策でしかない。


(今日までの日経)
 個人資産2000兆円の憂鬱。米国の物価上昇圧力続く 消費者物価、5月5%上昇。財政再建目標、年度内に再確認。米富裕層「節税」あらわ ベゾス氏らの納税記録報道で。

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6/9の日経

2021年06月09日 | 今日の日経
 5月の景気ウォッチャーは、「現状」が前月比-1.0と続落したが、思ったほどではなかった。5月の半ば以降、新型コロナの感染確認数が減ってきたためと思われる。中でも、企業関係はプラスになっており、製造業は50を超えている。「先行き」だと、全体でもプラスだ。感染数の7日間平均は、今のペースなら、6/20には、東京で300人を切り、大阪で110人程、愛知や北海道で2桁になる。遅れていた沖縄も減少に転じた。緊急事態の解除は、十分にあり得る情勢となり、五輪の中止もなかろう。会食を減らす「禁酒令」は効果を上げており、あとは、「マスクで会食」のような以前の失敗策に戻らないことが肝要だ。ワクチン接種も、現場のがんばりで1日100万回ペースに乗った。危機の終わりは見えている。今しばらくの辛抱である。

(図)



(今日までの日経)
 中国発インフレは来るか。よみがえる消費関連株。「ワクチン証明」今夏に 渡航者用。

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スガノミクス・内需の弱さと自然体の行方

2021年06月06日 | 経済(主なもの)
 4月にマンボウから非常事態へと至ったこともあり、消費は不調だ。他方、輸出増を背景に資本財は異様なほど伸びている。内外の差は、あまりに大きい。むろん、日本も、ワクチン接種が普及してくれば、行動規制の緩和に伴い、良くなってくるだろうが、各国は、ひとり親や育児への支援など、コロナ禍の傷を癒すべく、更に先へと向かう。日本は、コロナ禍で消費税を2.3兆円も増やし、内需を抑制するにまかせ、特に何かするつもりはないようである。

………
 4月の鉱工業生産は、前月比+2.4となり、5,6月の予測を含めた4-6月期の水準は、前期比+3.6であり、1-3月期の+2.7に続き、好調な伸びを示している。特に、資本財(除く輸送機械)は前月比+13.3の高い伸びになっており、5,6月の予測も+9.0、-1.0と、非常に高い水準になると見込まれる。これらは、海外の景気回復に伴い輸出が増加するとともに、海外での設備投資が旺盛なためである。

 また、建設財についても、4月は前月比+1.4となり、5,6月を含む4-6月期の予測は前期比+4.5と、久々の高い伸びになっている。住宅着工がようやく消費増税の後遺症から脱するとともに、企業の建設投資も底入れがうかがわれる状況が背景にある。これに対し、4月の消費財は-0.1にとどまった。それでも、4-6月期の予想は、+0.2しかなかった1-3月期から、前期比+1.2へと緩やかに増加するものとなっている。

 一方、4月の商業動態・小売業は、前期比-4.7と急落した。非常事態宣言よる休業で、百貨店などの各種商業や衣服等の減が大きかったが、高水準だった自動車や器具機械も大きく下げている。ただし、統計局CTIや家計調査は、さほどではなく、CTIが実質で前月比-0.1、二人以上世帯の消費支出(除く住居等)が-0.6だった。この感じでは、4-6月期が前期比マイナスになるかは、まだ見通せないが、5月の消費者態度指数は、更に下げている。

 家計調査を長めに眺めると、消費増税以来、水準を下げていて、コロナ禍で急落しては、その水準に戻るを繰り返しているように見える。コロナ禍で消費が阻害されているのは確かだが、消費増税の押し下げも無視できない。実際、税収全体は低下していても、2019-20年度で消費税は2.3兆円の増収になっている。それが成長の重荷でないわけがなく、いかに経済へ還元するのかが問われる。

(図)


………
 2020年の出生数が84万人に減り、合計特殊出生率も1.34に下がった。コロナ禍で予想されていたことだし、出生率の低下は5年連続で、新たな向上策が必要となっていたところであった。こども庁の構想もあるようだが、こんなに減ってしまうと、自然体で待機児童が解消されてしまう。課題は、いかに非正規の女性を支援して、結婚・出産ができるようにするかに移っているのに、政治は過去の戦争に勝とうとする。

 コロナ禍は、非正規を直撃し、資産を膨張させた。世界は、課題の解決に向けて動き出している。日本は、オリンピックをやるという決断すらできず、そのうち始まってしまうのではないか。幸い、感染確認数は、非常事態宣言の期限の頃には、解除できるくらいまで減っていそうだし、ワクチン接種も加速している。そこから先の戦略は、なってから考えるのがいつものパターンだ。再分配は急にはできないから、自然体での緊縮が、そのうち始まってしまうことだろう。


(今日までの日経)
 G7、法人税率「15%下限」財務省会合。ひとり親を各国で支援。少子化加速、出生数最少の84万人。各国が育児支援急ぐ。国債は将来世代の負担なのか・門間一夫。国内接種、1000万人超す 高齢者の15%に。

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6/2の日経

2021年06月02日 | 今日の日経
 1-3月期の法人企業統計が公表になり、季節調整値で見て、製造業は、売上高が消費増税後コロナ前の2020年10-12月期の94%まで回復し、営業利益が127%となった。他方、非製造業は、売上高が96%の回復に対し、営業利益が88%にとどまっている。輸出増を背景とする製造業の好調さに比して、コロナ禍の内需への悪影響を受ける非製造業は戻りが悪い。この傾向は、4-6月期も続きそうである。

(図)



(今日までの日経)
 一般接種5000万回、月内確保。中国、第3子容認。大学進学支援制度 周知不足。バイデノミクス、世界翻弄。揺らぐ「リスク回避の円買い」対外純資産、迫る2位転落。医師はどこ? 虚しい病床世界一。

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