4月にマンボウから非常事態へと至ったこともあり、消費は不調だ。他方、輸出増を背景に資本財は異様なほど伸びている。内外の差は、あまりに大きい。むろん、日本も、ワクチン接種が普及してくれば、行動規制の緩和に伴い、良くなってくるだろうが、各国は、ひとり親や育児への支援など、コロナ禍の傷を癒すべく、更に先へと向かう。日本は、コロナ禍で消費税を2.3兆円も増やし、内需を抑制するにまかせ、特に何かするつもりはないようである。
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4月の鉱工業生産は、前月比+2.4となり、5,6月の予測を含めた4-6月期の水準は、前期比+3.6であり、1-3月期の+2.7に続き、好調な伸びを示している。特に、資本財(除く輸送機械)は前月比+13.3の高い伸びになっており、5,6月の予測も+9.0、-1.0と、非常に高い水準になると見込まれる。これらは、海外の景気回復に伴い輸出が増加するとともに、海外での設備投資が旺盛なためである。
また、建設財についても、4月は前月比+1.4となり、5,6月を含む4-6月期の予測は前期比+4.5と、久々の高い伸びになっている。住宅着工がようやく消費増税の後遺症から脱するとともに、企業の建設投資も底入れがうかがわれる状況が背景にある。これに対し、4月の消費財は-0.1にとどまった。それでも、4-6月期の予想は、+0.2しかなかった1-3月期から、前期比+1.2へと緩やかに増加するものとなっている。
一方、4月の商業動態・小売業は、前期比-4.7と急落した。非常事態宣言よる休業で、百貨店などの各種商業や衣服等の減が大きかったが、高水準だった自動車や器具機械も大きく下げている。ただし、統計局CTIや家計調査は、さほどではなく、CTIが実質で前月比-0.1、二人以上世帯の消費支出(除く住居等)が-0.6だった。この感じでは、4-6月期が前期比マイナスになるかは、まだ見通せないが、5月の消費者態度指数は、更に下げている。
家計調査を長めに眺めると、消費増税以来、水準を下げていて、コロナ禍で急落しては、その水準に戻るを繰り返しているように見える。コロナ禍で消費が阻害されているのは確かだが、消費増税の押し下げも無視できない。実際、税収全体は低下していても、2019-20年度で消費税は2.3兆円の増収になっている。それが成長の重荷でないわけがなく、いかに経済へ還元するのかが問われる。
(図)
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2020年の出生数が84万人に減り、合計特殊出生率も1.34に下がった。コロナ禍で予想されていたことだし、出生率の低下は5年連続で、新たな向上策が必要となっていたところであった。こども庁の構想もあるようだが、こんなに減ってしまうと、自然体で待機児童が解消されてしまう。課題は、いかに非正規の女性を支援して、結婚・出産ができるようにするかに移っているのに、政治は過去の戦争に勝とうとする。
コロナ禍は、非正規を直撃し、資産を膨張させた。世界は、課題の解決に向けて動き出している。日本は、オリンピックをやるという決断すらできず、そのうち始まってしまうのではないか。幸い、感染確認数は、非常事態宣言の期限の頃には、解除できるくらいまで減っていそうだし、ワクチン接種も加速している。そこから先の戦略は、なってから考えるのがいつものパターンだ。再分配は急にはできないから、自然体での緊縮が、そのうち始まってしまうことだろう。
(今日までの日経)
G7、法人税率「15%下限」財務省会合。ひとり親を各国で支援。少子化加速、出生数最少の84万人。各国が育児支援急ぐ。国債は将来世代の負担なのか・門間一夫。国内接種、1000万人超す 高齢者の15%に。