経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

2/26の日経

2025年02月26日 | 今日の日経

 経済指標の谷間なので、世間ではあまり見ないGDP比という構造分析をもう一つ。消費のGDP比率の低下は、投資の上昇を示すので、成長加速を表すことになる。ただし、コロナ禍での低下は消費に制約がかかったためで、その後の上昇はリベンジ消費による。政府消費を足すと低下してないのは、医療消費があったからだ。そして、2024年は下がりぎみなので、景気が上向いているということになる。


 実質の消費は、水準が10%消費増税前を上回れないせいで低いと言われがちだが、2024年の伸びで、増税後のトレンド(平均上昇率)が2014年の8%増税後のトレンドを上回るようになった。年率+0.26が+0.37になったというささやかな変化に過ぎないけれども、日本経済は、消費増税のたびトレンドを下げる一方だったものを、35年ぶりに引き上げたわけで、大きな転機が訪れたのかもしれない。

(図)

 

(今日までの日経)
 自公維党首会談、予算修正で合意。長期金利、迫る日中逆転。Z世代、物価のけん引役に。日用品から見る景気 入浴剤、高価格帯に勢い。

 

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2/19の日経

2025年02月19日 | 今日の日経
 10-12月期GDPで2024年の数字も出た。日本では構造改革や成長戦略が大人気だけど、結果は気にしないんだよね。それを測る最も重要な数字である投資率、とりわけ、設備投資の名目GDPの比率は、前年比+0.2で17.3%となった。これって、バブル期以来の高さで、日本が若かった1980年代前半と同じレベル。実質でも、バフル期以来の最高値だ。いつの間にか、経済構造を高度化する成長戦略は成功していたことになる。

 その割に、景気の良さを実感できないのは、インフレで実質の消費水準が上がってないからだ。経済を牽引したのは、やっぱり輸出で、成長戦略のお陰というわけでもない。それでも、インフレであろうと売上が伸びたのは意味があり、これで賃金を上げられたし、設備投資もできたわけだ。あとは、円安を収めつつ、内需を拡大するために、低所得者への再分配で財政を締めないことだ。もっとも、こうした消費の成長戦略はぐたぐだである。

(図)



(今日までの日経)
 年収の壁、103→160万円案 年収200万円以下で。今と未来の年金改革 氷河期世代を放置するな・駒村康平、芳野知子、西沢和彦。

※年金は難し過ぎて、駒村先生の言われることを、どれだけの人が理解できるのかと思う。西沢さんも批判するように見えて、仕方なしという見解だ。芳野さんは、負担増で平等を図ることの拙さを分かってない。

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2/12の日経

2025年02月12日 | 今日の日経
 1月の景気ウォッチャーは、現状の方向性が前月比-0.4だった。一進一退だね。物価高に耐えつつ、春節に期待というところか。製造業は底打ちしたが、景気を加速させる材料がほしいところだ。10-12月期の国際収支は、輸出は微減となる中、輸入が減り、サービス収支が大きく改善した。そして、2024年の直接投資は5兆円の増。輸出で景気加速というかつての勝ちパターンが望めない中、円安是正と手取拡大で、地味に景気を温めていくしかない。

 経済教室で小林先生は、成長には投資が必要で、それには投資補助金や公教育支援とする。学者らしい発想だけど、そんなので企業は投資しないよね。ひとえに売上が見込めるかどうかだ。いまや、円安でも輸出を増やさず、売上の見込める海外でしか投資しなくなった。国内では、物価高と税収増で需要が抑えられ、売上が見込めないのだから、投資が増えるはずがない。その意味だったら、小林先生の言う政策リスクは大きいわけである。

(図) 



(今日までの日経)
 予算修正協議、今週が山場」。鉄鋼・アルミ25% 近く相互関税。日本企業、米で生産拡大。中国、教育移住の連鎖。経済教室・成長実現には何が必要か・小林慶一郎。

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2/6の日経

2025年02月06日 | 今日の日経
 12月の毎月勤労統計は、ボーナス増もあって、現金給与総額が前月比+1.0と大きく伸び、物価高が特に大きかったものの、実質賃金も+0.1と辛くも2か月連続のプラスとなった。ボーナス増は分かっていたことだが、早期利上げが意識され、長期金利も上がり、円高に振れるという、米国っぽい動きになった。実質の消費を成長させるためには。賃上げはもちろん、円安是正も必要だ。

 成長に必要な可処分所得の確保には、社会保険料の抑制も大切だが、高額療養費制度の自己負担を引き上げるのは筋が悪く、「生存権」にすら関わる。社会保険の適用拡大を行えば、医療保険も負担者が拡がり、給付は増えないので、保険料率は抑制される。適用拡大には、手取の確保に、給付つき税額控除が必要だが、保険料軽減と実質的に同じだ。あらゆる問題で、取るべき政策は同じものを指している。どうして分からないのかね。

(図)



(今日までの日経)
 高額療養費の負担増抑制 政府・与党、修正視野に。円上昇、一時152円台 早期利上げ観測。米、対中10%関税発動 中国は報復。年収の壁「150万円台」案 国民民主「生存権の問題」前面に。株高と配当増、税収支える 24年度は1.8兆円上振れへ。

※所得税収の内訳が分かっているなら、公表してもらいたいものだ。
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1/30の日経

2025年01月30日 | 今日の日経
 1月の消費者態度指数は、前月比-1.0と2か月連続の低下になって、基調も下方修正された。「暮らし向きの」前月比-1.9は、物価高の影響を示している。12月のCPIの農畜産物の前年同月比は+15.1にまでなっていたんでね。家計調査の消費性向は上昇傾向で、ボーナス以降に高まった収入で耐えている感じだ。実質消費を落とさずに済んでいるうちに、物価高の背景の円安を何とかしないといけない。

 日銀は、今月、ようやく利上げに踏み切り、首尾よく円高となった。正直、12月にやっておけば、良かったと思う。円安が物価高につながっているのだから、素直に、物価安定のために利上げすべきなのだ。円安が是正されれば、設備や建設の投資コストが下がるから、必ずしも利上げは悪くない。むしろ、投資は、金利の先高観があるなら、今やろうとなる。リアリズムに徹した政策をしてほしいものである。

(図)


………
 日経は、珍しく、厚労省案を推す社説だ。マクロ経済スライド調整の改革では、自民は「損」が出るのを恐れているが、比較する対象が誤っていて、スライド導入時の予定と比較して、全員が「得」すると考えるべきだ。「得」をし過ぎている現状と比較して、「損」だと騒ぐべきではない。むしろ、現状だと、足下の少子化で代替率50%割れになるので、その回避にも必要な改革になる。あるべき姿を国民に説くのも政治だし、支持も得られるものである。

 他方、適用拡大に、自民がビビるのは当然だ。そもそも、低所得者から高い保険料を取ろうとする日本独自の頑ななやり方に無理があるからだ。ただし、厚労省案が悪いのではなく、給付つき税額控除という、欧米ではあって当たり前で、「壁」を除去して手取を増やす政策がないことが無理の原因なのである。たった1.1兆円でできるのに知恵を出さず、所得控除でむしられる守りしかできない「ザイム真理教」の役所に問題がある。 


(今日までの日経)
 社説・この案では年金の不安は全く消えない。ホンダ、北米で低価格EV。建設資材、高止まり。対症療法の備蓄米放出。個人消費、強まる二極化。外食出店、売上高が想定より伸びず。高校無償化「所得制限を」45%。モロッコ、物流ハブ「勝ち組」。住友化学、液晶部材を縮小。最低賃金 全国一律化、困難。

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1/22の日経

2025年01月22日 | 今日の日経
 11月の機械受注は、民需(除く船電)が前月比+3.4となり、製造業、非製造業ともに増加になるのは9か月ぶりで、基調も「持ち直しの動きが見られる」に上方修正された。とは言え、製造業は底入れかも知れないが、非製造業は低下傾向のままである。なお、内需は盛り上がっているのだが、官公需の増加によるもので、防衛省関連と思われる。民需は、少し水準を上げているかなといった程度だ。

 欧州のEV失速は、需要を動かす産業政策がいかに難しいかを示す。コロナ後の緊縮で補助金の梯子が外れ、独の自動車産業はリストラに陥った。中国EVの輸入による漏出も痛い。量産化で域内の生産価格が下がって、ガソリン車に勝てるところまで粘らねばならなかったが、中途半端な政策は、中国企業を利しただけで、かえって、域内企業に打撃を与えることになったのである。

(図)



(今日までの日経)
 EV、先行市場の欧州で失速。大学無償化、所得連動型奨学金で。初日の大統領令は関税発動回避。高校無償化、自民板挟み。中国不動産販売 ピークの7割減。増えた大卒、職とミスマッチ。今は昔、木綿のハンカチーフ。

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1/15の日経

2025年01月15日 | 今日の日経
 12月の景気ウォッチャーは前月比+0.5で2か月連続の上昇となり、上向き傾向が見られるようになった。消費者態度よりも良いのは、消費者の方には物価高が強く影響しているのだろう。景気ウォッチャーでも、ネガティブなコメントは物価高が大半である。売上が伸びていれば賃金は上がる。それで実質の消費が増えるかは、これ以上の円安が抑えられるかになる。

(図)



(今日までの日経)
 基礎的財政収支、赤字に。長期金利、一時1.25%に上昇。奨学金返還、半分肩代わり 都、教員や技術職員支援。半導体投資1.5兆円下振れ 24年度。荷が重かった2%物価目標・鶴光太郎。

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1/8の日経

2025年01月08日 | 今日の日経
 11月の税収は前年同月比+11.0%と好調だ。11月は法人税の納税月で、前年同月比+21.7%と伸びている。2023年度が企業業績の割に低かったので、それを取り戻すような高さになっている。2025年度予算でも企業業績並み+6.6%の設定である。税収は、定額減税の剥落もあって、前年度比+5.0兆円であり、他方、一般歳出の伸びは+0.5兆円に過ぎない。プライマリーバランスが黒字化するにもかかわらず、自然増収はすべて財政再建に充て、還元しないという政策が続く。

(図)



(今日までの日経)
 三井住友銀、初任給30万円。トヨタ、トランプ関税に身構え。ニッポン入ってるに活路・ウリケ・シェーデ。
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1/1の日経

2025年01月01日 | 今日の日経
 あけましておめでとうございます。12月の東京都区部の消費者物価指数の総合は前月比+0.7だった。2022年1月以降、日本はインフレ経済に変わり、2022年+2.4、23年+3.2、24年+2.4と推移した。デフレは1999年から24年で終わったものの、実質成長率は、2023年度+0.7%、24年度0.4%だから、デフレ低成長からインフレ低成長への移行だ。

 デフレは脱却したが、日銀の粘り強い金融緩和の成果だとする者は居るまい。金融緩和で経済が活発化して物価が上がったわけでなく、資源高と円安によることが明らかだからだ。ただし、円安は金融政策にも理由がある。資源高は終わり、円安だけが物価高をもたらすようになっても、金融緩和が成長に必要という幻想によって、日銀は批判を免れている。

(図)



(今日までの日経)
 強まる自国第一 貿易ルール瓦解。縮まぬ金利差、円売りの芽。「106万円の壁」対策、利用鈍く。中国、トランプ関税に備え 東南アに輸出増。イオン、パート時給7%上げ。

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12/25の日経

2024年12月25日 | 今日の日経
 10月の人口動態速報の出生は前年同月比-2.1%となり、やや減少が緩み、合計特殊出生率は1.16人くらいになった。また、賃上げで若い低所得層の生活が回復しているせいか、婚姻は10月の前年同月比が-1.9%になり、1~10月は前年同期とほぼ同数まで浮上した。この調子なら、出生は1年遅れなので、1年後に1.11人くらいで下げ止まる可能性が出てきた。まあ、それでも深刻な低水準で、婚姻が増えるようでないと拙いんだけどね。

 低所得層の手取増に関しては、所得控除で迷走している。3号批判の鈴木亘先生も、結局は給付つき税額控除だと言っているのだから、とっとと行き着いてほしい。123万円への引き上げを、2024,25年の物価上昇分も織り込んで133万円にして、あとは、給付つき税額控除を追加で検討するというので妥協してはどうですか。178万円なんて、手取増にも壁除去にも筋が悪すぎて、「国民」のためにもならないよ。

(図)



(今日までの日経)
 年金改革、実現どこまで 厚労省が報告書案。日本の1人あたり名目GDP22位に 韓国と逆転、G7で最下位。ラピダス支援の財源「コロナ基金の返納金活用」。雇用保険料率、来年度0.1%下げ。日本の住宅、再び狭く 30年前の水準に逆戻り。

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