9/8公表のGDP4-6月期2次速報は、大きめの上方修正となり、実質年率3.5%となった。これは、法人企業統計の結果を受けて、設備投資が大きくなり、在庫減が小さくなったことによる。家計消費も、若干、上乗せされ、10%消費増税後の最高だった2020年1-3月期と、ほぼ同じ水準である。これで、コロナ禍からの戻りは完了し、コロナ後の成長がどうなるかというフェーズへと移る。
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2014年4月に消費税を8%に引き上げた後は、下図のとおり、消費水準は7兆円以上も下がり、増加速度も年率+0.3%へと鈍化した。そして、5年経っても、ついに消費増税前の水準を取り戻せなかった。それにもかかわらず、2019年10月には、10%への消費再増税を行い、更に消費水準を下げる政策が採られた。その後の増加速度は、コロナ禍のために不分明となったが、更に鈍化していると考えるのが妥当だろう。
足下では、日本は政策金利を引き上げないと見られているために、急速に円安が進んでいるが、その背景には、欧米と比べると、かなり低い物価上昇率がある。なぜ低いかと言えば、コロナ前の消費増税が消費を減らし、需給ギャップを拡げていたからである。ギャップは8兆円近くもあり、これを埋めるには、増税後も増加速度が鈍っていないと仮定しても、10年以上かかるが、7,8月の消費指標を見る限り、横バイ状態である。
消費を名目で見ると、この4-6月期は297兆円で、消費増税前の2019年4-6月期の299兆円と、大して差がなくなった。いわば、消費の数量は少ないけれど、以前と変わらないくらいお金を使っているところまで来ており、消費ができるのに我慢している感じは薄れている。したがって、今後、消費が伸びるかどうかは、平常時のとおり、どのくらいのペースで可処分所得が増えるかどうかにかかっている。
その際、忘れていけないのは、アベノミクスの間に、税や社会保険料を重くして、賃上げをしても、可処分所得の増加は半分になる構造にしたことだ。また、円安や物価高は、実質的な可処分所得を目減りさせる一方、企業収益や税収を膨らませる。実際、国の税収は2022年度に3.5兆円、地方が2兆円、厚生年金も0.6兆円の増収になると見込まれ、いかに還元するかが消費の行方を決めることになる。
(図)
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9/9に予備費による物価対策が決定され、第2次補正予算の編成の表明もなされた。大事なのは、若年層とも重なる働く低所得者への還元を考えることである。高所得なら、賃上げ率が物価上昇率に追いついてなくとも、額はカバーできるが、低所得だときつい。これまで、政府は投資を促進することばかり考えてきたが、消費を政策的に育てなければならない時代になっている。
折しも、2021年の出生動向基本調査が公表されたが、結婚も出産も希望が大きく下がっており、経済的困難から来るあきらめが内面化されているように思える。2022年は、合計特殊出生率が1.26人の過去最低まで下がりそうな危機的状況だ。日本総研の藤波匠さんが毎日エコノミスト(9/6)で的確に分析しているように、女性人口がまだ多い2020年代のうちに手を打ちたいものだ。
(今日までの日経)
給食無償化で子育て支援。コンテナ船、米の「渋滞」解消。政府、3兆円規模の物価高対策決定。未婚女性の希望子ども数、初の2人割れ。欧州中銀、0.75%利上げ。来月に総合経済対策。ガソリン補助金を段階縮小へ。円急落1ドル=144円台。全世代型社会保障、議論を再開。