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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

子育て支援と財源の確保

2010年06月30日 | 社会保障
 年金改革の基本原則が示されたので、それを取り上げようと思っていたが、経済教室で、駒村康平先生が子育て支援について書いておられたので、こちらに変えた。年金については、明日としよう。

 まず、駒村先生の提案を高く評価し、賛同する。なかでも、少子化対策が社会保障を通じて全世代に利益があることは、筆者も改めて強調しておきたい。その上で、いくつか点で議論を深めることにする。

 子育て支援策で何がポイントかと言えば、駒村先生の指摘するように、財源の確保である。それには、国民の広い支持が必要で、アピールするものが欠かせない。少子化対策は、総合施策ではあるが、これという心をつかむ柱が必要である。

 例えば、保育所に入れない待機児童には、年齢に応じて月額8万円といった給付を行ってはどうか。国民は、増税を許したからといって、保育サービスが充実されるとは、容易に信じない。増税は皆一律でも、保育サービスは市町村によって、利用可能性に差が出るのは避けがたい。良くなると実感できなければ、増税はなかなか受け入れられないだろう。

 この方法は、現金給付ではあるが、市町村の保育サービスが充実されれば、次第に現物給付に転化し、最後には消滅することになる。保育サービスの拡大で取り込める現金が目の前にあるとなれば、公私の保育サービス事業者の熱心さは段違いであろう。「子ども手当」の政策転換にもマッチするものと考える。

 必要な財源は、待機児童が50万人いたとしても約5000億円である。更に待機児童が掘り起こされても、「新システム」の8~10兆円よりは、小さくて済む。そもそも、希望する出生率の回復には2.5兆円あれば良いという議論もされたこともあるのだから、「新システム」の構えは、大き過ぎるように思う。ここは消費税1%程度まで新施策を絞るべきはないか。

 また、財源について、駒村先生は、年金保険料との一体徴収にも求めるとするが、それならば、年金受給権からの徴収ということにして年金積立金を使えばよい。年金数理として、少子化が緩和されれば、支える人が増え、積立金は少なくて済むのだから、それは可能かつ合理的な選択である。

 いずれにせよ、財源とサービスの連結のさせ方が、子育て支援策の実現を決定づけることは言うまでもない。

(今日の日経)
 小売業初の減収、ネット通販に進出。緊縮財政G20確認、米欧で株安・長期金利低下。年金改革具体策を回避、一元化、最低額の7原則。財政健全化、時間との勝負。鉱工業生産、在庫増え回復鈍化。G20、景気回復へ疑問・FT。ヤマハ電動バイク20万円台。ダイハツ軽HV並燃費。経済教室・子育て支援に安定財源を・駒村康平。
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貴重となった年金論争

2010年06月29日 | 社会保障
 年金問題が一般誌をにぎわすことは、最近ほとんどなくなった。2004年に導入されたマクロ経済スライドによって定期的な制度改正が不要になり、政治テーマにならなくなったことが大きい。給付水準の低下はあるにせよ、この仕組みで制度自体の持続可能性の問題はクリアされたから、研究者にとっても改革を提案する意欲は薄れている。

 そもそも、研究の進展によって、賦課方式の「少子化による損」と積立方式の「二重の負担」は数理的に同じものであり、積立方式への転換は、無意味なことが明らかとなったこともある。これは終ったテーマなのだ。

 また、保険料方式から税方式への転換は、保険料を納めている大多数の国民にとって、給付の権利性があいまいになる税方式への転換は何のメリットもない上に、税で助けるべき低所得者は、全体の方式を変えずとも、それに対象に絞って補助すれば良いという基本的な反論に答えられない。かくして、方式転換論者は、ほぼ絶滅してしまった。

 そんな中、ダイヤモンド・オンラインで精力的に論考を発表する野口悠紀雄先生は、貴重な存在と言っていい。論争は学問の発展のために欠かせない。それにしても、年金破綻の回避策が、支給開始年齢引き上げ、年金課税強化、在職老齢年金廃止というのは、既に議論され尽くした感もある。各制度には問題もあるが、基本的には次のようなことになろう。

 まず、保険料方式である以上、払った分の給付は保障しなければならない。そうであれば、給付総額は変えられないのであり、支給開始年齢は、それを変えずに、自由に選ばせるほかない。つまり、保険数理に基づき、早い人には月額を減らし、遅い人には増やすだけのことである。制度維持のために、給付総額を減らす形で給付年齢を上げるわけにはいかない。

 年金課税強化や在職老齢年金も基本は同じである。現状より有利さを減らすことは可能だが、一般所得以上の重い課税はできないし、在職していたからといって保険料を下回る給付にもできない。野口先生が指摘するように、親世代より子世代が減る少子化の下では、子世代の保険料だけで、親世代の払った分の給付を賄えないが、その分は、税と積立金の取り崩しで補う制度に既になっている。

 年金制度に残された研究のフロンティアは、少子化を回復させる仕組みをどう取り込むかであろう。年金は世代間の支え合いであるから、「制度外」で済ましてはいけないものなのだ。これについては「小論」を御覧いただきたい。

(今日の日経)
 中国をG8に、根回しなく波紋。欧州、公的資金注入を検討。設備投資空前の低水準、計画は伸びる見通し。成長推進日本に課題、内需拡大必要に。EUフィリピン協力協定仮署名。ロシア財政悪化で民営化。エコポイント一巡、洗濯機・掃除機は増。ファミリー新幹線。カナダ国債が買われている。経済教室・ワクバラ・山極清子。備品減り文具は自分好み。
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財政再建の競争で何を得る

2010年06月28日 | 経済
 EUがG8で日米に財政再建を求める理由が分からない。国債が売られることを恐れ、EU内では財政再建の競争になった。自分だけは助かりたいという行動が、EU全体の景気回復が十分でない中で需要を減らすという合成の誤謬を起こしている。ただし、これはユーロ安による域外輸出の拡大で緩和されている。ここで日米に財政再建を求めたら、ユーロ安まで失うことになりかねない。

 景気のことを考えれば、現状で良いはずで、財政再建の競争を世界に拡げ、わざわざ景気に悪いことをする必要はなかろう。成長よりユーロの通貨価値を守ろうとする意図なのだとしたら、金本位制の時代の価値観と何か違うのかということになる。しかも、財政赤字の削減年限と目標数値を求めるなど、経済政策としては最悪である。 

 その点、米国の主張は明解である。最大の貿易赤字国として、ドル安で輸出を伸ばし、それを景気回復のテコにするというものだ。国内では、景気対策が切れて住宅投資が失速しており、輸出は一層重要になっている。世界経済を悪くしかねないEUの価値観に付き合う理由はない。

 本当にEUがしなければならないことは、協調しての財政出動である。比較的、財政赤字が少なく、失業率が高い国がより多くの財政支出を行わなくてはならない。それが経済合理性にかなう行動である。むろん、その国の国債は、ECBが率先して買わなければならない。そこまで政治的な枠組みが成熟していないのは承知のことではあるが。

 思えば、現在、経済危機にある南欧は、インフレと貿易赤字に悩んでいた国々である。統一通貨、統一金利の下では、そういう状況でこそ緊縮財政を採らなければならない。たとえ、財政収支が黒字であったとしてもである。悔やむべきは、このときに財政再建を怠ったことであろう。インフレの裏の隠れ放漫財政を疑うべきだったのだ。

 その背景には、インフレはECBの仕事という、政策のタテ割り主義も邪魔していたと思われる。インフレも、景気も、金融政策でのコントロールは限界がある。むしろ、需要管理政策の方が効き目があるのだ。金融政策のように「専門家による支配」というわけにはいかない難しさはあるが、だからと言って、捨てられるものではない。

(今日の日経)
 G20、財政赤字2013年半減で攻防。09年度の国の税収38.7兆円、見積もり1.8兆円上回る。核心・経営の進路政府に頼るな・西岡幸一。黄海に米空母派遣を検討、南シナ海の海自活動に警戒感。損保ジャパン協力でタイ官民で農業保険。米、対韓FTA推進、統制権移管延期。ロシア、カザフと関税同盟。砂丘の形状示す連立方程式発見。アシスト週末農業で自給自足。若者の人生観、偉くなりたくない。
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増税の前にやるべきこと

2010年06月27日 | 経済
 家計が苦しいから、もっとお金を入れて欲しいと奥様に言われたときに、その前にやるべきことがあるだろう、まずはムダ削減だ、主婦に携帯は不用、子供の塾も贅沢と言い返したら、家庭争議は必至である。携帯も塾も、やめたら死ぬわけではないが、痛みと惨めさは甚大で、何のための家なのと思えてくる。

 歳出削減も似たものだ。小泉政権下では、「これくらいなら、増税の方がいい」というぐらいまで歳出を抑制するとしたが、その結果は、医療崩壊だった。介護や保育のような、高齢化で拡大しなければならない分野が特に疲弊することになった。もし、これが続いていたら、崩壊は、現状で保てる分野の教育や安全にまで及んでいたかもしれない。

 「増税をする前にやるべきことがあるだろう」と言って、先進国の中では既に「小さな政府」である日本でそれを行えば、どうなるかは既に実験済みである。もちろん、「携帯や塾」も多少は節約できるだろうが、それに拘っていたら、行き着く先は「離婚」ならぬ、社会連帯の喪失であろう。それは更に増税を受け入れる気持ちを萎えさせる。

 本当に必要な「増税の前にやるべきこと」は、まずは社会連帯を強めることである。保育所探しに駆けずり回り、特養老人ホームに入るのに何年も待つといった社会に、どうして多くの税金を払おうと思うだろうか。それを改め、社会サービスの善さを実感させてから、増税すべきなのである。

 幸いにして経済は需要不足にあり、需要を先行させることが経済的にも合理的な状況にある。波及効果が見込めるため、社会保障で需要と雇用を伸ばし、「デフレを脱してサイフにお金が入るようにしてから増税します」という政策が可能なのである。

 今の日本は、「増税は嫌でも、財政破綻や経済危機よりはマシでしょう」と説いて支持を集めている。まるで、政府は財政や経済を維持するために存在しているかのようだ。それでは、積極的な国民の支持を得られるはずがない。「嫌なものの選択」ばかりを求めるから、無党派の支持は移ろいやすいのである。

 脅しで国民を動かそうというのではなく、理想を説き、実現する社会の姿を示して国民に信を問うてはどうか。あまりにかけ離れ過ぎていて、思いもよらないことかもしれないが、それが本来の政治というものである。

(今日の日経)
 アジアが稼ぎ頭4社に1社。年金事務所これが改善例? 民みんの栄枯盛衰劇。民・自、無党派支持1割。高炉各社スラグ有効活用。ミネベア、タイでものづくりこだわる。企業は数式を愛せるか・滝順一。日経B・日本一楽しい職場。
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経済学と若き政策論

2010年06月26日 | 経済
 経済学の難しさは、理論の適用範囲が狭いことにある。経済学の根幹は、人々は利益を最大化するように行動するという考え方にあるのだが、それでは説明のつかない重要問題があまりに多く、なぜ利益を最大化しないかを考えることの方が意味を持つからである。

 「利益を最大化する行動」と言うと自明の真理のように思えるが、「ムダを最小化する行動」と言い換えると、途端に怪しくなってくる。失業者があふれ、低利の資金が滞留するという社会的ムダは、なぜ延々と続くのか、とても説明がつかない。

 日経ビジネスの若手経済学者の記事を読むと、「まだ若いなぁ」という感じである。政策に対して、経済学の利益最大化行動の観点からはこうですと言っても大して意味がない。工藤先生は、財政出動の無効論を唱えるが、エコポイントなどで消費の下支えをしなかった方が消費と投資が盛り上がったとでも言うおつもりか。

 今回のリーマンショックでは、輸出関連の設備投資の需要が失速した。では代わりに内需向け投資や消費が自ずと出てくるのか? ムダを出さない経済学の観点からは、そうならないとおかしいが、所得減のリスクの下では、そんな行動は出ようはずがない。利益最大化よりも、リスクを恐れる不合理な行動が出てくるのであり、それを是正する政策は効率的ということになる。

 川口先生は、経済学の見地から「柔軟性で流動性が高い労働市場」を望んではいるようだが、そこは労働経済学者らしく、現実が気になるようだ。経済状況が悪い中で流動性を高めれば、企業は短期的利益と将来リスクから雇用調整に走るだろうが、それが長期的利益にもマッチするものなのか、経済効率の観点で、政策論としても十分な議論の余地がある。 

 他方、累進税率が労働意欲に関係するかに関心をお持ちのようだが、「ない」となっても、それが税制改革に結びつくかどうか。累進税率を上げれば、消費税をあまり上げずに済むというのなら、話は別なのだが。

 花薗先生の場合は、もう少し政策論を聞きたいところだ。政策論を教育に持っていくようでは、まだまだだし、コスト意識も当然のことで、それを生む仕組みが考えどころだ。法人税については、財政赤字を拡大してもすべきか、ぜひ、面倒がらずに、「バランスのある議論」を聞かせていただきたい。

(今日の日経)
 増税で選挙の宿命・クリンチの相手。社説・新IT戦略に欠落。財政再建か成長か・サミット米欧綱引き。育児支援縦割り排除狙うも財源難問。香港、選挙改革案を可決。賃上げ要求南アジアでも。食品大手、健康分野に活路。日経B・若手経済学者からの提言・工藤教孝、川口大司、花薗誠。
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日経の経済観を窺わせるもの

2010年06月25日 | 経済
 日銀が金利水準を10年以内に正常化するとして利上げの計画を立てたりしたら、誰しも変だと思うだろう。利上げは経済状況次第であって、計画になじまないからである。ところが、同様に経済に大きな影響を及ぼす財政については、もっと計画をと叫ぶ始末である。

 しょせん「春秋」と言ってしまえば、それまでだが、「年金や医療の将来像を示したうえで、いくら足りないとお願いするのがスジ」などと、素人感覚そのままでコラムを書くというのは、いかがなものか。経済への深みのある見方を感じさせてこそ、日経であろう。

 やや厳しいことを言うが、どのくらいの増税をするかは、まったく経済状況次第であって、もし、インフレ気味となれば、社会保障の必要額を超えようとも、増税は行わなければならない。使い途に合わせて消費税率を決められるものではないのであり、使い途にはだいたいの対応関係があるだけだ。

 他方、坂本英二さんは政治部的な観点ながら鋭い。与野党が消費税を容認した段階で日本の政治レベルは大きく進化した。指摘のように、「何をどうする」という具体的な処方箋を示すことへと、競い合うステージは上がったのである。まさに、このコラムのタイトルどおり、経済を良くするために「どうすれば」がいよいよ問われる。日経は、これをリードしていかねばならない。

 日経は、昨日、今日と経済教室で新成長戦略を特集したが、自らの経済観を確認することにもなったのではないか。昨日の谷内満先生は、単純化して恐縮だが、新古典派的であって、ほとんど需要管理の意義を認めていない。規制緩和に頼り、法人税減税にすら対応の財源が必要との主張は、ある意味、一貫している。

 今日の宮川努先生も、政府の労働生産性上昇率の想定を抉り出すなかなか読み応えのある内容だったが、結局、成長の源泉を人材や技術といった経済構造にあるとする点は、主流派のスタンダードな見方であろう。筆者は、因果は逆で、成長すると、生産性が上がり、高度化もすると考えるのだが。 

 現実の経済は、住宅投資の失速で米国の景気が陰っているように、安定した需要こそが設備投資を伸ばし、経済を成長をさせる。だから、バブルで先食いすると、後の回復は鈍くならざるを得ない。助けとなるはずの外需も、ユーロ安で望み難くなった。米国は、規制や人材・技術で日本より優位にあるはずなのだが、マーケットは需要のなさに不安を抱いている。

(今日の日経)
 参院選・何をどうする・坂本英二。春秋・いくら足りないとお願い。中台、経済協定で合意。バーゼル委検討、緩和へ。余剰マネー国際に流入、米の減速懸念。米景気回復鈍る、政策効果息切れ。モンゴル、第3の隣国日本。豪首相に初の女性。電ガス値上げ4か月連続。大機・フィリピン台湾ECFA。経済教室・人材と技術の育成急げ・宮川努
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年金での超党派協議の結論

2010年06月24日 | 社会保障
 菅首相は、年金でも政策転換を成し遂げた。消費税に引き続き、年金も超党派の議論の対象にすることで、生煮えのために、今後、問題になりそうだった民主党案から脱却することができた。まあ、権丈善一先生の指南かもしれないが、鮮やかなものだ。

 この動きに対して、日経は分析が追いついていない。政策転換は、従来のマニフェストでは消費増税の大半を年金につぎ込むことになりかねず、それを避けるためだろう。むろん、消費税を何に使うかというセンシティブな問題をぼかす意味合いもあろう。それを「選挙後の政策が見えない」としてはいけない。

 年金については、野口悠紀雄先生のように持続性の「危機」を説く方もいるが、そうした少子化に伴う問題は、既に解決済みである。親世代より子世代の人数が少なくなれば、負担が給付を上回る「損」が生じるが、保険料負担でそうならないよう、「損」を税と積立金でカバーするよう、2004年改正で措置してある。

 年金は、デフレから脱すれば、マクロ経済スライドが作動することもあって、持続可能性に不安はない。むしろ、税方式化によって、年金制度に大規模に税を投入するのは、余計なことになる。それでは、超党派で話すべき問題は何か。実は、それについても、既に「社会保障国民会議」で結論が出ており、低所得者の年金保障をどうするかに尽きる。

 最も有力な解決策は、貧困で払えない保険料を、国庫が代わって払ってあげる方式である。こうすれば、無年金や低年金を大幅に削減できる。一部の低所得者のために、全員の基礎年金を税方式に転換し、すべてを国庫負担にする必要性はない。税は、低所得者に絞って使えば良いのだ。

 もう一つ課題を挙げるなら、国民会議では十分議論されていないが、130万円の壁である。これもパートや非正規といった低所得者への対応策の一つである。低所得者に、いきなり高率の保険料がかかるという不合理を解決するのなら、税を使う意味がある。

 いかがだろうか、筆者には、選挙後の政策がはっきり見え、明らかに首相はそこに向かっているように思う。さて、年金については以上だが、安全保障については、採り得る選択肢の上で、政権が何を可能としているのか、そこは、本職の日経・秋田浩之さんの解説を聞きたいところである。

(今日の日経)
 子育て支援策、一括交付。ハイブリッド車150万円で。ユニクロ、バングラデシュなど倍増。普天間移設、首相は具体策素通り。EV出力で区分。G20米は緊縮けん制。日銀新貸出、実質数年の資金魅力。アフガン政策混迷、英軍の引き留めも難題。HP小学校パソコン。人民元、大幅な為替介入。米新築販売、最低に、減税終了が直撃。佐川、拠点4割増。省エネ船第一弾14年CO2を41%減。富士通、実質無借金に。大機・楽観許さぬ米国景気・千鳥。経済教室・供給サイドこそ重視・谷内満
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経済は動物でなく植物

2010年06月23日 | 経済
 尻馬式の論説には疑問を感じる。クオリティ・ペーパーの日経までが陥ってはいけない。景気は順調で、財政再建への機運は高まっているからといって、政府が財政再建に舵を切れば、もっともっとと囃すのはどうなのか。どの程度のペースの需要削減に経済が耐えられるのか、そうした見識を持つのが経済紙の役割であろう。

 どうも日本人は擬人化が好きのようで、肉体と同様、痛みを与えて鍛えるほど、経済も強くなると信じているようだ。身体なら、鍛錬をすれば、筋組織はいったん壊されるが、より太い組織が再生して強くなる。経済は、需要の吸い上げで設備投資の機運を壊してしまうと、金利が下がっても、より多くの設備投資が出てくることはあり得ない。

 経済に「痛み」はナンセンスなのだ。しかも、日本は国際的に見て米国に並ぶ小さな政府である。歳出削減で小さい政府を目指せば、諸外国並みの社会保障はあきらめねばならない。米国のように医療の国民皆保険すらない国になりたいのだろうか。国の行き先は、社会保障で需要を維持し、それを基礎に設備投資を育てることにある。

 経済というのは、植物に似て、無理に伸ばそうとするのではなく、環境を整えることに注力し、伸びてくるのを待つ我慢が要る。需要と設備投資が相互に循環して次第に大きくなり、十分に大きくなったところで財政再建という需要の剪定ができるのである。

 安倍政権の当時、4兆円の緊縮財政に対して大新聞は生ぬるいとしたが、結果は、格差論の厳しい批判と内需の停滞だった。そうなった時に、「財政再建をしたのだから、痛みなんて当たり前、景気停滞に文句を言うな」とは、誰も言わなかった。信念のない尻馬式の報道とは、無責任なものだ。

 欧州は、通貨価値を守ろうとして緊縮財政に向かうという戦略の誤りを犯している。それでも、銀行税の導入によって、低い法人税が設備投資促進で上でムダにならないよう、戦術の工夫は施している。そこを見ずに、緊縮財政と法人減税の組み合わせを礼賛するようなことをしてはならないだろう。

 方向性で論じるのではなく、行く先のイメージを明確に持ちつつ解説しなければならない。名うての国際部長だった秋田さんは政治解説もするようになったようだ。次世代の論説として、内政についての見識にも期待している。
 
(今日の日経)
 首相、年金でも超党派協議。英が緊縮財政策、法人税は下げも銀行新税。社説・痛みなき悠長な財政目標では通らない。選挙後の政策が見えない・秋田浩之。財政戦略を閣議決定・予算編成に難題山積、税収は2兆円増。北アフリカ3国欧州の工場に。ギリシャ領収書革命、中国は貿易協力。JFEが低温地熱設備に参入。海運・日本の高い寄港料。経済教室・生物の人口合成・米本昌平。一流研究者に出前授業を義務づけ。
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消費税の軽減措置

2010年06月22日 | 社会保障
 菅首相は、消費税増税には、食料品の軽減税率や給付付き税額控除など低所得者対策を前提とするとしたが、なぜ、軽減税率や税額控除なのだろう。社会保険料や給付とトータルに設計した方が合理的なのに、あえて社会保険を出さないのは、国民の利便性より、税の世界だけで物事を処理することを優先しているからではないか。

 消費税の軽減税率については、食品か外食かといった軽減対象の線引き、二重税率による納税の煩雑さ、そして、高所得者の食品の消費まで軽減してしまう効率の悪さからすれば、給付付き税額控除が優れていることは明らかである。

 その税額控除にしても、給付を受けていながら、他方で社会保険料を未納するというのでは、世間的に許されないだろうから、結局のところ、所得に応じた一般的な社会保険料の減免によって消費税の負担軽減を図る方が合理的である。

 そもそも、消費税の10%に対して軽減が求められているのに、所得の25%にも相当する社会保険料について、低所得への一般的な減免がないということ自体が問題である。そのために、非正規労働の拡大によって、無保険状態に陥る人が大量に出ている。病気でも医療を受け難いという状態は悲惨であり、それは子供にまで及ぶ。

 例えば、年収150万円だと、1人世帯でも、まったく貯金はできないだろうから、消費税5%増は7万5千円の負担増になる。他方、国保は11万円程度であるから、低所得の賃金労働者については、消費税の負担軽減として、思い切って、申請だけで保険料なしの国保加入を認めてはどうか。

 形式としては、申請をすれば、本人に代わって、国が保険料を払うというものになる。こうすれば、無保険は一掃されて、本人や子供が助かるだけでなく、低所得者から高い保険料を徴収するという市町村の苦労も大きく軽減される。むろん、事務が省ければ行革にもなる。新たな事務負担を増やして給付税額控除をするより遥かに良いではないか。

 財政当局が、消費税増税と社会保険料減免の組み合わせを避けるのは、おそらく、税と社会保険料の一体徴収への道に通じるからであろう。国民にとっては便利で安上がりでも、組織にとっては嫌な話である。しかし、消費税を財政再建にも使いたいのなら、その程度の覚悟はいる。時間があるのだから、国民の生活の上でどういう制度が合理的かを考えたい。 

(今日の日経)
 消費増税2~3年必要、制度設計に時間。普天間専門家協議が初会合、知事選後に先送りも。人民元、目安は3%か。地域主権大綱を策定。温暖化、企業投資促進を・植田和弘。アジア通貨元連動鮮明。豪中資源強力8000億円。新日鉄、発電設備を増強しCO2削減。
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我慢の経済政策

2010年06月21日 | 経済
 経済コラムにも関わらず、世間に受ける「お金の貯まる方法」などは、書かないでいたが、今日は、ちょっとだけ触れてみよう。受け売りなのは恐縮だが。

 ある人に言わせると、ボーナスをもらって嬉しくなり、美味しいものでも食べようかというようでは、お金は貯まらないそうだ。半年待って、ボーナスの残りを確認し、その中から楽しみに使うくらいでないとダメだという。なるほど、納得である。まあ、行動経済学を愛し、人間の弱さを理解する筆者には、実践できそうにないけれど。

 さて、この「我慢の哲学」は、経済政策でも極めて重要だ。増税をするなら、成長を確認し、余分な需要の分だけ吸い上げる、こうすることが、どうしても必要だからだ。逆に、この我慢ができずに早々と需要を吸い上げ、内需の低迷を招いて低成長に甘んじてきたのが日本なのである。

 今日の日経「核心」で岡部直明さんは、菅流経済政策を甘いと断じるが、これ以上急進的な財政再建をどう進めようというのか。吉川洋先生の「消費税増税には景気配慮が必要というが、財政破綻の経済へのダメージは計りしれない。これはビック・リスクであり、その芽を摘むことが先だ」との言を引くが、根拠になっていない。

 財政破綻のダメージが大きいのは当たり前で、その現実味が中期的にどれほどあるのかが問題である。他方、緊縮財政を焦って景気を失速させたことは、これまで何度も繰り返してきたことで、リアル・リスクである。

 「ビック・リスクの芽を摘む」というが、一定の成長率を停止条件に消費税を1%ずつ上げるとすれば、それだけでリスクは解消できる。むしろ、急進的、硬直的な財政再建計画を立てたりすれば、景気失速のリスクを生み、かえって財政への信任を損なうことになる。

 菅流経済政策の内容は不明だが、社会保障で需要を維持し、成長を確保してから財政再建につなげるというのなら、「岡部理論」よりもずっと合理的である。大田弘子先生も引き合いに出しているが、彼女が経済政策の任にあった安倍政権の当時、4兆円の緊縮財政を敷いたものの、あてにしていた輸出が減速し、経済は停滞した。

 今また、ユーロ安や人民元高によって、輸出の先行きには暗雲が見え始めた。今こそ、内需を大切にする「我慢の哲学」が必要ではないか。需要が十分貯まるまえに、財政再建の欲求を満たそうとしてはいけない。

(今日の日経)
 首相「軽減税率が前提」、低所得者に配慮。人民元見直し、円は連れ高の公算。政府見通し、輸出好調続く。公約検証、実現可能性の吟味ないと。核心・甘い菅流経済政策。幸福度指標は無駄・西水美恵子。中国生活コスト日本並み。資本規制相次ぎ導入。医療機器、最先端外国製が席巻。経済教室・抑止力再構築を・神保兼。時代錯誤の府市再編・谷隆徳。
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