経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の心

政権交代と政策論争

2009年08月31日 | 経済
 日本の憲政史上において、一党が議会の過半数を制して政権を獲得したのは、これが初めてのことである。政権交代は、これまで何度かあるが、戦前は、政権を取ってから、選挙で勝って過半数を制するパターンが多く、戦後は、少数党の連立による政権獲得であった。

 今回の政権交代は、歴史に残るものではあるが、歴史に残る政権になるかは、今後の実績次第である。民意を得たからと言って、経国済民の成功は別問題であり、歓呼を持って迎えられても、石を以て追われるのは、民主制の習いでもある。

 その点、民主党は有利な位置を占めている。経済は、ある程度のバラマキを必要としていて、政策が情況にマッチしているからだ。景気が小康を得ているのは、4-6期に2兆円の定額給付金で所得を補ったり、エコポイントで耐久財の需要を引き出したりしたことによる。21年度予算の補正では、14兆円を積み増しており、現状をキープするだけでも、通常の予算規模に補正と同程度の積み増しが必要になる。

 公約である子ども手当などの7.1兆円規模の対策は、マクロ的経済には必要なことであり、むしろ、バラマキでないことをアピールしようとして、既存の対策の執行停止をするような、需要供給を阻害することをする方が問題である。通常予算の規模に、そのまま上乗せするのでも、マクロ的には構わないはずだ。 

 ただし、今の景気回復のスピードが続けば、1年半から2年で景気急落前の水準を取り戻すことになるから、民間需要の回復を見つつ、徐々に景気対策の規模を縮小していく必要がある。公約は、ますます財政支出を増やすことになっており、方向が逆だ。経済対策は、あくまでも、情況に応じてするべきものだ。

 産業政策としてみると、対策のうち、ガソリン等の暫定税率の廃止は、環境産業の発展を妨げるものとして問題がある。暫定税率を廃止するにしても、別途、環境税を導入し、福祉財源として徐々に税率を引き上げることを明示すべきである。将来、ガソリンが高くなるという見通しがあれば、産業発展への悪影響は緩和される。

 環境税については、民主党が年金改革の制度設計を24年度にするとしていることを踏まえると、その際、消費税に代わる財源として注目されることになろう。おそらく、野党となる自民党との政策論争の焦点となるのは、環境と福祉財源である。新たな日本のための実りある議論が望まれる。

(今日の日経)
 民主300超政権交代。そごう心斎橋本店再生ならず。ドバイ鉄道損失も。
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正しい社会保障は経済を成長させる

2009年08月30日 | 社会保障
 「社会保障を膨らますと、経済成長を低下させる」というのが「常識」だが、これはかなり大雑把な話であり、むしろ、適切な社会保障は、経済成長を成長させることになる。経済成長を阻害するのは需要リスクであり、社会保障はそれを軽減する役割を果たすからである。

 一般に経済成長を低下させると言われるのは、社会保障が設備投資に使うべき資金を押しのけてしまう場合である。社会保障に資金を使って貯蓄が不足し、金利が高止まりすれば、設備投資は難しくなる。経済成長は、基本的により多くの設備投資がなされることで高まるものなので、設備投資に制約があると、成長が阻害されるというわけだ。

 しかし、これは日本にまったくあてはまらない。貯蓄が不足して金利が高まったことなど、高度成長が終わってから一度もないからだ。欧米では、こうした現象が起こったので、重要な政策課題になったが、日本では財政再建の道具にされただけで、実態のない議論に振り回されることになった。

 むしろ、日本は貯蓄超過・消費不足の体質を持っている。すずめの涙のような超低金利でも国民はせっせと貯蓄しているのに、企業はさっぱり設備投資をしないというのが日本経済である。企業の代わりに政府が国債で貯蓄を吸い上げて使わないと、バランスがとれない情況にある。

 そもそも、貯蓄を潤沢にして金利を低くすれば、設備投資が出てくると考えること自体が神話である。実際、今は超低金利なのに、設備投資は低迷している。先行きの需要にリスクがあるのだから、金利が低くても設備投資をしようとしないのは当然で、そこが理論と現実の違うところである。

 それでは、今後はどうなるのか。高齢化が進んで社会保障給付が増大すれば、設備投資を制約することになるのであろうか。年金給付が保険料収入などを上回って増大し、社会保障基金を取り崩すようになると、経済には需要圧力が加わることになる。おそらく、需要に反応して設備投資が盛り上がり、景気が良くなるはずだ。

 むろん、それが行過ぎるとインフレになる。そのとき制約になるのは、貯蓄ではなくて、労働力であろう。労働力が不足して賃金が上昇し始めるのだ。そのときには、税や保険料を引き上げて所得を削減し、需要を削減する。それを通じて設備投資も減速することになろう。このとき初めて財政赤字は縮小に向かうことになる。社会保障による需要創出、経済成長、そして、財政再建である。順番を間違えてはいけない。

(今日の日経)
 株式社債発行急増11年ぶりの高水準。イラクに貿易保険。日米、赤字神話。LED・照明に革命。東チィモール12年ASEAN加盟意向。富士フオランダ工場風力で28%。HVトラック燃費2割改善。高純度鉄はさびない。資本主義批判を問う。
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失業率上昇と物価下落

2009年08月29日 | 経済
 昨日発表の労働力調査は、失業率が過去最悪の5.7%にまで低下するという結果だったが、失業率は景気を見る上では遅行指数である。生産が底を打った状況では、何かしら回復の兆しが見られるはずだ。

 そこで、ニッセイ研の斉藤太郎さんのレポートを見ると、失業率は上がっても、雇用者数は増えていると指摘し、失業率の上昇は、非労働力化してきた人が職探しを始めて顕在化してきたものという分析している。有効求人倍率についても、過去最低を更新する中で、新規求人は、小幅ながら増えているとしている。

 他方、消費者物価指数だが、こちらも前年同月比で過去最大の下げ幅を更新し、-2.2%となった。日経は、ガソリン急騰の反動があるとしつつ、需要不足による物価下落も懸念している。しかし、これについては、筆者はあまり心配していない。

 現在の物価指数100.1というのは、2年前の水準とほぼ同じであり、その頃は光熱水料が今と同程度であった。つまり、現在の物価水準は、原油価格の高騰前の情況に戻ったということである。こうしたことからすれば、下落の品目は幅広いものの、それは資源価格の低下や円安が浸透してきたと解釈することができる。

 むろん、物価の下落が所得の低下に結びついて、デフレスパイラルが再発するおそれがないとはいえないが、現状は、雇用の絶対量が少しずつではあるが、増大してきているのだから、まだ希望が持てる情況にある。

 問題は、この情況に踏みとどまれるよう、政策が逃げないことである。経済対策は、何もしなければ、期限が切れて減ってゆくものなので、民需が出てくる前に、政策による需要が落ちないよう、新たな対策を打ち続けなければならない。

 経済対策は、今の水準をキープすることが重要であり、経済対策の規模自体を気にする必要はない。出口の時期は、民需がどの程度出てくるかで決まるもので、政治的な判断で期限を決めてはいけないものである。

 日本は、経済対策の早すぎる撤退をして、これまで何度も失敗してきた。国債残高を増やすことに不安もあるだろうが、早すぎて経済を失速させるリスクもある。両方をにらんで、長期金利の水準に注意を払いつつ、不安には耐えなければならない。それが国民を苦境から救う道である。

(今日の日経)
 失業率7月最悪の5.7%。新型インフルピーク9月下旬30%発症。消費者物価2.2%低下。カンボジア軍一部撤収。英国出生率1.96。米新聞有料化広がる。三井不動産ビル省エネ改修。子育てタクシー。教員免許更新講座定員割れ。 
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戦略を考えるということ

2009年08月28日 | 経済
 日本人の悪い癖は、戦略がないと言って、戦略本部を作れと主張することである。戦略がないなら、戦略を作れば良いのであって、組織作りの回り道をする必要はない。会社でも、コンサルや企画チームで上手くいくと思うようではダメである。先の主張をする人は、本当のところ、戦略がどういうものか分かってないことが多い。

 戦略というのは、問題意識に根ざした具体的なもので、抽象的な方向性を示すものではない。「お客様第一」というようなものは、戦略の源の経営理念である。戦略は、理念のために「どうすれば」良いかを選び、それを組織の都合よりも優先させるところに意味がある。

 若手官僚の手による「霞ヶ関維新」なる本を手に取ったが、どうすれば良いかを考えるのではなく、組織の在り方を論ずるパターンに陥っているように感じられた。日本の舵取りをする人たちなのだから、組織も変えざるを得ないような、鋭い「どうすれば」を考えてもらいたいと思う。

 その点で言えば、日本の国家戦略は、「ない」というより、隠されていると言うべきだろう。実際に日本が採ってきた戦略は、すべてを犠牲にして財政再建を優先するというものである。少子化対策を形だけにしたり、最有力産業の太陽光パネルの補助金を切ってみたり、戦略がないように見えるのは、財政再建最優先という戦略に基づくものだ。

 しかも、財政再建は、大本である経済成長より優先されている。それは、かつてのハシモトデフレは言うに及ばず、近年の超低金利・財政緊縮の「竹中路線」でも明らかであろう。成長の基礎になる需要の安定より、財政赤字の圧縮を優先した結果は、かえって財政再建を遠ざけてしまったが、無反省のまま、変更される気配はなく、再浮上を待っている。

 戦略論としては、少子化の解消や環境産業での首位確保は、財政再建よりも優先し、目標達成には財政的制約を前提にしないというほどでなければ意味がない。その上で、より少ない財政負担で、効果的に実現する知恵を絞るのが戦略本部の役割になる。 

 霞ヶ関の若手の皆さんに考えてもらいたいのは、財政再建最優先という隠れた戦略が正しいものだったのか、そして、それに優越する戦略が存在するのか、あるとすれば、なぜ財政再建より優先されるのかである。そうでなければ、戦略本部をつくったところで、財政再建本部になるだけである。

(今日の日経)
 銀行の国債保有最高水準。インドネシアGHG30年に4割削減可能。東南ア4-6 期10%成長。シャープ・ネットウォーカー。セブン省エネ店舗で出店。あこがれの車今やエコカー。学力テスト、秋田など今回も好成績。
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世代間不公平論の誤謬

2009年08月27日 | 社会保障
 少子化が起こると、世代間の支え合いである賦課方式の年金制度には、給付よりも負担が大きくなるという深刻な問題が生じる。現在の出生率の見通しである1.26が続くと、子世代は親世代の6割に減ってしまうから、10÷6=1.67倍の負担をしなければならなくなる。この1よりも大きい部分が「損」ということになる。

 こんな「損」をするような年金制度には誰も入ろうと思わないから、「損」の解消なしに制度の存続はあり得ない。この「損」の解消は、数理的には簡単で、子のない親世代には年金を払わないことにするだけでよい。

 「損」の原因は、親よりも子が少ないために起こるのだから、多過ぎる親世代、つまり、子を持たない親世代に年金を払わないことにすれば、残る親世代と子世代は、1対1の対応になるから、「損」が解消されるのは自明だろう。

 他方、子のない人は、支えてくれる人がいないわけだから、老後に備えて自分で年金を積み立てておくほかない。つまり、子のない人にだけ、親の年金の支払いと自分の年金の積み立てという「二重の負担」をしてもらえばよいことになる。何も、子のある人も含めて全員が積立方式に移行する必要はない。

 むろん、現実の制度では、子のない人に年金を払わなかったり、二重の負担をさせたりはしていない。それゆえ、「損」が生じているわけだが、保険料の範囲で「損」をさせては制度が危うくなるので、「損」する部分は、税と積立金からの収入で賄うようにしている。基礎年金の国庫負担を2分の1に引上げることが、どうしても必要な理由はここにある。

 さて、子のない人に年金を払わないようにすれば、子世代は「損」することがないことを説明した。すなわち、「損」の正体は、子育てという人的投資を怠ったにもかかわらず、年金をもらおうとする行為にあるのであって、親世代全体が責任を持つべき問題ではないということである。

 したがって、本当は「世代間」に不公平は存在しないのであって、「子のある人と子のない人の間」に生じているのである。世代間の不公平論というのは、見かけだけの粗雑なもので、本質を捉えていない。そうした不公平論に振り回されるのは、もうやめるべきである。

(今日の日経)
 非課税化で海外利益日本に還流。薄型テレビ7月41%増。北朝鮮・丹東に領事支部。米新築住宅販売4か月連続プラス。ソフバン基本料5か月ゼロ。東電10月値上げ。三菱重、産業向けリ電池300億円量産。
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途上国ビジネスの発見

2009年08月25日 | 経済
近年、途上国の低所得層を対象にするビジネスが注目を集めている。少子化で人口が減少する日本から、消費財の成長を求め、ASEAN、中国、そして、インドへと進出するものだ。単に日本と同じものを売るのではなく、シンプルマイズしたり、小分けにしたりと、貧しい人々にも受け入れられるように知恵を絞っているのが特色だ。

 企業とすれば、売れるところには何処へでもということかもしれないが、自国で売れている高級品を輸出しようというのではなく、途上国に合わせた製品を開発して、ボリュームを稼ごうというところが、従来と大きく異なるところである。

 その中で、驚かされるのは、日経ビジネスで紹介された、インドでのフィリップスの取り組みである。家電メーカーが開発したのは、安価な陶製の薪ストーブである。これは煮炊きの煙を解消し、主婦の健康を守ることになる。大企業の製品開発力で、庶民の暮らしを改善する見事な試みだ。

 思えば日本だって、戦後、電気釜を発明して主婦の苦労を大いに助けた。そして、身近な家電の販売実績が、その後の世界的電器メーカーの礎を作ったわけである。インドの超小型車のナノも、欧米から見ればおもちゃのようだった「スバル360」と比すべきものかもしれない。かつての日本は、まだ低所得だった国民のために製品を開発し、そのビジネスを基に経済大国へと駆け上ったのである。

 低所得者層がビジネスの対象になるというのは、21世紀の「新たな発見」である。これは新興国の経済が輸出産業によってテイクオフし、内需型の成長へと移行してきた証でもある。企業の目的は、儲けることではなく、貧しい人々の生活向上であるという原点を示すことになるかもしれない。

 マイクロクレジットでノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌスは、貧しい人々が小口融資を与えられるだけで、飛躍できることを証明した。持続的な貧困対策を実現する社会企業家も、次々に誕生してきている。

 日本企業も、高度な製品開発力と、生活を豊かにするという「かつての志」を組み合わせることが求められる。企業は、国内市場が少子化で縮小するから、途上国に進出するといった寂しいことを言うべきではない。生活を良くすべき人々が世界にいる、だから、手を貸しに行くのである。

(今日の日経)
 白と黒・韓国の猛攻。太陽光風力離島に。低温世代・起業も身の丈。アフガン情勢悪化、イラクもテロ頻発。
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再分配政策の大切さ

2009年08月24日 | 経済(主なもの)
 経済学の教科書には、再分配をしなければ成長しないとは書かれていない。しかし、実際の経済を見ていると、再分配が極めて重要だということに気づく。理論では、無関係なはずの再分配が、なぜ、重要なのだろうか。

 今日の日経では、インドネシアが取り上げられていたが、その好調さの理由に、最低賃金や公務員給与の引上げが挙げられている。日本と違ってインドネシアの公務員は薄給なので、所得を底上げする意味がある。また、ブラジルでも、 家族手当や最低給与を引き上げるといった貧困対策で国内の新興市場を開き、成長を確保している。

 経済を成長させるためには設備投資が必要だが、その設備投資は、金利次第で調節できるものではない。金利は必要条件に過ぎず、実際には需要が決め手になる。需要が見込めるというリスクの解消があって初めて、設備投資はなされる。

 新興国の場合、低所得層への再分配を行うと、それがストレートに消費需要を呼び起こし、需要が設備投資を促すことになる。肝心なのは、その設備投資が低所得層の雇用を創出し、所得増に結びつくことで、そうなれば、所得増から消費増へという好循環が生まれ、経済は自律的に成長することになる。

 日本の高度成長期は、金融調節が効いた時代とされるが、それでも、昭和40年の不況の際には、金融緩和がすぐに景気回復に結びつかなかった。回復したのは、財政出動を行い、輸出の増加があってからで、その後、いざなぎ景気という大型の成長へと移行した。

 インドネシアやブラジルの成長は、日本のかつてのそうした姿を髣髴とさせる。これこそが本来の内需主導型の経済である。他方、中国については、あまりにも外需に頼り、設備投資比率を高くしてしまった結果、公共事業などで内需拡大を図っても、それが新たな設備投資に結びつくか疑問がある。

 近年の日本は、輸出で大きく稼いでも、購買力を円安で流出させ、所得を財政再建でせき止めたために、内需なき景気回復を経験した。結局、再分配のできる政府を持ち、おカネを循環させなければ、成長は得られない。企業でも、富裕層でも、また、財政でも、カネを滞留させないで、必要とする人々に散じて健全な需要を生み出すことが、より多くのものを得られるようにするのである。

(今日の日経)
 LED電球NEC三菱も参入。VW中国で1位ブラジルでフレックス、華為・特許出願1位。農産物需要増で下落見込めず。インドネシア膨らむ内需、最賃・公務員給与引上げ。丸紅・一般職の採用復活、引き継ぎ円滑、伝票派遣。
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政権喪失の教訓

2009年08月23日 | 経済
 一週間後には、総選挙の結果が明らかになって、政権が変わるなるかもしれない。一体、何が悪かったのだろうか。経済的に見れば、昨年、秋以降のリーマンショックを果敢な財政出動で乗り切り、先進国の中で最も早く回復軌道に乗せている。政権運営の格好の悪さを別にすれば、高く評価されてもおかしくはないはずだ。

 むろん、責任は麻生政権にのみに帰すべきではなく、安倍政権以降の経済運営のまずさにある。ここでGDPの長期統計を見てみると、民間消費は、安倍政権の発足の頃から、まったく伸びなくなっていることが分かる。四半期で高く伸びたときもあるが、前後が落ち込んでいるために、均すとわずかなものになる。

 その原因は、円安と資源高による購買力の低下である。また、中小企業は、原材料高に苦しめられることになる。その一方、円安と内需不振による賃金安のために、輸出型の大企業の収益は好調であった。安倍政権の当時、格差論が盛んに言われるようになったのは、このコントラストの大きさにある。

 ここで問題になるのは、超低金利と緊縮財政である。2006年度予算では、国債発行30兆円枠を達成し、定率減税廃止による増税も行った。これは性急だった。やはり、国内物価の下落が続いている以上、緊縮財政をすべきではなかったのである。その上、2007年度予算で、安倍政権は国債発行の4兆円圧縮を誇るようなことをしてしまう。

 この当時に優先すべきは、財政再建より、超低金利の是正であった。それをしていれば、円キャリーによる極端な円安にはならなかっただろうし、米国のバブルも膨らませずにすんだかもしれない。参議院選挙があると分かっているのだから、拡張的な経済政策が採られても不思議ではなかった。少なくとも、高齢化による社会保障の自然増を圧縮するようなことをしていなければ、国民の評判は大きく異なったものになっただろう。

 過ちは、市場主義的な規制緩和ではなく、マクロ経済政策にある。それを批判する側も、される側も分かっていない。国民も、苦しさに苛まれながらも、理由は知りようがない。経済政策の失敗によって政権が変わろうとしている。最も良くないのは、そこから何の教訓も得ていないということである。。

(今日の日経)
 パナ白物中国で売れインド、ベトナムでも好調。ビール中国メジャー台頭、レイヨン中国製猛威。北方領土支援人材育成に軸足。市場原理主義タクシー、自民ほどほど民主大胆ばらまき。レアメタル住商カザフ。単位労働コスト伸び鈍る。食品再編縮む国内問われる調達力。三越地方分社。イオン葬祭事業に参入。若者自転車バスツアー。沖ノ鳥島星の砂で守る。ジャワ軟水。読書・自治体クライシス、超階級。
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選挙でのスイングと一院制化

2009年08月21日 | 経済
 民主党が優勢と言われていても、300議席超が当選圏というのは、予想を超える勢いである。前回の郵政選挙が熱に浮かされたような特別なブームだと思っていたら、今度も、立場を入れ替えて同じことが起こりそうである。こうして見ると、日本は「同質社会」だと改めて認識させられる。

 日本と同様に小選挙区制を採る国であっても、地域的な党派性があると、3分の2を取り合うという大規模なスイングは起こらない。例えば、アメリカでは、ブルーステート、レッドステートと言って、民主、共和両党の色分けがはっきりしているし、イギリスも、保守、労働両党の地盤が明確に分かれている。いずれの国でも、少ない中間的な州や選挙区を争うことで、過半数の勝負がつくことになる。

 日本の場合、自民党は地方の町村部で強く、民主党は大都市や一区で強いとされていたが、米英ほどの強固な地域性はないということになる。もし、両党の公約のように、国会議員の数が減らされて、比例代表の割合が小さいものになれば、選挙ごとに勢力が大きくスイングする傾向は、ますます強まることになろう。

 さて、毎回のように政権党が3分の2を占めるようになると、参議院はどうなるのだろうか。常にオーバーライドされてしまう議会の存在意義はなくなってしまうのか。いや、そうではないだろう。むしろ、オーバーライドを前提に、比例代表の比率を高め、国民の意見の縮図を作るという役割を果たすことが考えられる。

 結局、衆参ともに議員定数を減らしつつ、衆議院は小選挙区に、参議院は比例代表に特化して、衆議院は決定の府に、参議院は再考の府に役割を分担することになる。その上で、衆院選を参院選と同時に行う慣行を作り、同時選の際には、衆参での重複立候補を認めるようにすれば、事実上の一院制が出来上がることになる。

 一院制にすることは憲法改正が必要になるために極めて困難だが、事実上の一院制は、十分できるし合理性もある。現在は、衆参の任期が異なるために、3年に2回も国政選挙が行われている。選挙による政権交代が現実のものとなれば、衆参同日選を実施し、3年間は落ち着いて政権を担おうとする志向が生まれることになろう。その機会は、1年後にも訪れるし、それができずとも4年後には再び巡ってくることになる。

(今日の日経)
 民主圧勝の勢い。社説・温暖化を争点に。ルース大使着任。自民離れ地方でも。輸入小麦値下げ10月から2割程度。埋蔵金に不安、財投特会20兆円使い切る。常用労働者60歳以上10%乗せ。中国国防省PRホームページ。ブラジル深海油田試験生産。スマートEV 量産。生態系保全、原料調達を左右。経済教室・医療の対象範囲の見直し急げ。
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高齢者主導の政治にはならない理由

2009年08月20日 | 社会保障
 高齢者が増えてくれば、数は力なのだから、高齢者に有利な政治がなされることになるのだろうか。論理としては、どこにも間違いがないように見える。ところが、そうはならないのだ。論理的な見地からも、そうはならないのである。

 少子化が進み、親世代より子世代の数が少なくなると、当然、年金などの社会保障負担は重くなる。今の出生率の見通しである1.26であると、子世代は6割に減ってしまうから、10÷6=1.67倍の負担をしなければなくなる。むろん、割増しの負担をしたからといって、将来の年金が多くなるわけでもなく、0.67の部分は丸損である。

 それでも、政治的には、親世代の数が多いから、損を押し付けられるかというと、そうではない。損をなくしてしまう方法が一つだけあるからだ。それは、子のない人には、年金を払わないという方法である。

 子世代に重い負担をさせようとすると、子世代からは、「育ててもらった親の年金は払うにしても、子のない赤の他人の年金の面倒まで、なぜ看なければならないのか」という不満が必ず出る。特に、自ら望んで子を持たなかった高齢者に対しては、「老後の面倒は、自己責任ではないか」という批判が渦巻くだろう。

 これについて、子を持つ高齢者は、「かわいい我が子が、子育てをサボった高齢者の犠牲になるなんて許せない」と、賛成するだろう。結局、少子化社会において、政治的な苦境に立たされる少数派というのは、若い世代ではなく、子を持たない高齢者なのである。

 お分かりだろうか。若い世代が、理不尽にも負担を押し付けられるはずはないのだから、わざわざ政治的発言力持たせようと投票法をいじる必要はない。デーメニ投票は良いにしても、単に選挙権を18歳に引き下げるようなものは、少子化を起こしているのが現在の若い世代だけに、意味の分からない政策となる。

 もちろん、最大の問題は、将来、政治的に年金をもらえなくなることを知らずに、気軽に子なしという人生の選択している今の若者たちである。早く、彼らに真実を伝えなければならない。悲劇が現実となる前に。

(今日の日経)
円ドルLIBOR急接近。社説・政治主導の中身。5年債利回り3年11月ぶり低水準。低温世代タクワリサイト。ブラジル家族手当最低給与の貧困対策で国内新興市場。電力排出枠6400万t初利用1t1700円なら1000億円相当。鉄道貨物へシフト続くエコ定時で。成田アークヒル無料ヘリ。パネル高足かせ外部調達のソニー。経済教室・デーメニ投票法・青木玲子。
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