経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の心

女子の本懐3大改革

2009年06月16日 | 社会保障
 このところ、「バラマキをアピールし、あとは消費税で始末」という思想が蔓延しているが、あまりに安易ではないだろうか。本当は、社会保障と税を統合的に改革すべきだが、当事者の厚労省は身動きが取れないし、改革の構想作りには専門知識も必要になので、民間機関から良案が出てこないのも仕方のないところではある。

 そこで、ここでは「女子の本懐3大改革」をお見せしよう。第1は、子供給付である。0~2歳時に、月額8万円を給付する。この経済的な裏打ちで、仕事と子育ての両立を一気に達成し、少子化を克服する。財源は、将来の年金給付を前倒しで行うものなので、新たなものは必要ない。事業規模は2.5兆円程度である。

 第2に、パート保険料還付構想である。社会保険料還付型の給付税額控除を導入し、パートなど低所得者の大幅な社会保険料負担の軽減を行う。年収131万円なら、約27万円の軽減となる。これにより、すべての賃金労働者が実質負担なしで厚生年金・協会健保に加入できるので、未納未加入問題は一掃され、真の国民皆保険が実現される。同時に、パートの130万円の壁も撤廃されることになるので、女性は、負担の損得を気にせず、思いっきり働くことができる。 財源は、給与所得控除を半減させることで用意できるので、消費税は必要ない。

 第3に、年金担保型の奨学金である。少子化が克服されると、厚生年金は、払った分が必ず還ってくる積立貯金に類似したものとなる。これを利用すれば、将来の年金給付を担保とする奨学金の給付を実現できる。これも将来の年金給付の前倒しなので、新たな財源は必要ない。現在の奨学金の焦げ付きという問題も解決される。子供の教育資金という、母親の大きな悩みが軽くなることは言うまでもない。

 改革が為されれば、女性は、仕事を辞めずに済み、思い切り働けて、教育資金の悩みもなくなる。特に、母子家庭などの低所得で苦しむ女性にとっての恩恵は大きい。これらは消費税の増税なしでできることである。社会全体としても、女性の潜在能力がフルに発揮されることで、より高い経済成長が期待できる。「女子の本懐」を遂げさせようと想うこと、これが今の日本に必要なことである。

(今日の日経)
 安心会議・格差・貧困対策に軸足、社保番号11年までに。年金法19日成立。イランの選択、イラン・低所得者に現金インフレ30%、小麦850万t輸入、中国石油開発で存在感。リオBHP統合に中国独禁法で意趣返し。イスラエル方針パレスチナ反発。米景気・回復後も低成長。BYDハイブリ納入。エコP1か月薄型TV32%増。エコワンプリンター。きしむ介護保険・未経験者助成。ポスト京都複雑化する対立軸。鉄鉱石加工水素利用。対中投資5月17%減。経済教室・高橋是清。
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給付付き税額控除と130万円の壁

2009年06月02日 | 社会保障
 日本の税制の中で最悪の歪みとなっているのが「130万円の壁」である。年収が130万円を超えた途端に、社会保険の扶養対象から外れ、本人と会社の負担分を合わせると32万円もの保険料が圧し掛かってくる。これでは、女性に能力を伸ばすなと言っているようなものである。社会的にも大きな損失であることは言うまでもない。しかも、この壁は、年々厚くなってきている。130万円を超えた途端に課される社会保険料は、徐々に上げられてきているからである。

 この歪みを正すのは容易ではない。歪みは、専業主婦の保険料を免除する優遇措置に由来するからだ。女性への優遇が、女性の能力を押し込めるという皮肉な結果になっている。これを正そうとすると、優遇を減らされる専業主婦からは反発が出るし、専業主婦をパ―トで安く使いたい経済界も大反対だ。

 他方で、扶養の特典を持たない母子家庭の女性は、定額負担の重い国年や国保を支払わなければならない。負担の軽い健保や厚年に移る方がありがたいが、適用拡大には専業主婦が反対する。「女対女」という嫌な構図が作られている。母子家庭には、擬制的に扶養控除を認めたいくらいである。

 かつては、税の配偶者控除から外れる「103万円の壁」というのもあったが、これは既に解決されている。他方、「130万円の壁」は、税と社会保険で連携する必要があるため、解決が難しい。いや難しいのではなく、役所の壁を超えて調整しようとする政治的指導力が欠けていて、放置されてきたのである。

 では、どうするのか。これは、給付付き定額控除を導入することで解決できる。給付と言っても、現金を配るのでなく、支払った保険料見合う、税の還付を行なうようにする。こうすると、急激な社会保険料の負担増を回避することができる。

 具体的には、給与所得を得るすべての者に、健保・厚年の適用を拡大し、他方で保険料と同額の税額控除による給付を行なう。負担は差し引きゼロである。税額控除による給付は、年収130万円の者に対する32万円を最高点とし、そこから年収が5万円増えるにつれ1万円ずつ減るようにする。このフェードアウトによって、年収が300万円弱になると給付はゼロとなる。

 この改革をすると、年収130万円未満の低所得者から高い保険料を取るという無理をしなくて済むようになり、社会保険の未納・未加入の問題は一掃される。また、年収130~250万円程度、すなわち、生活保護水準からやや上の「準低所得者」、いわゆるワーキングプア層の実質的な社会保険料負担は、大きく軽減される。

 給付付き税額控除を導入するための財源だが、これは、かねて大き過ぎると言われている給与所得控除を半分に圧縮することで捻出する。3.4兆円の財源ができるので、お釣りがくるだろう。これによって差引き負担増になるのは、年収250万円以上、すなわち、大卒初任給レベル以上の者となる。こうした中所得以上の人は、専業主婦を扶養する場合が多いので、専業主婦分の保険料をきっちり払ってもらうという意味を持つ。

 さて、解決策は示した。給付付き税額控除は、バラマキの人気取りではなく、低所得者や女性を救い、本当の「国民皆保険」を実現させるために使うべきである。時代は、そんな理想を抱く政治家を待っている。

(今日の日経)
 GM破産法申請。ダウ一時220ドル高。破産裁判所、異議退けクライスラーを1か月で処理。新車販売減は前月より縮小。改正薬事法施行。経済教室・公約、数字の裏付けを。
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