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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

イシバノミクス・命脈に無頓着な財政

2024年12月29日 | 経済(主なもの)
 11月の商業動態・小売業は前月比+1.8となり、この9,10月の遅れを取り戻したような形であり、景気が順調で良かった。他方、鉱工業生産は前月比-2.4で一進一退の状況だ。景気を見るには、生産とその背景の輸出を見るのがセオリーだったが、最近は消費と雇用だ。輸出は10,11月がマイナスで停滞しており、逆に、雇用は男性も10,11月がプラスで上向いている。注目点が米国経済のようになっているわけだ。

 2025年度の政府予算案が閣議決定され、一般歳出は+0.5兆円に対し、税収は+8.8兆円で、基礎的財政収支の赤字幅が8.0兆円も圧縮される緊縮型である。国の赤字幅は0.8兆円になった。また、地方は、地方債を0.35兆円圧縮するともに、特会償還を2.3兆円増やす。地方は従来から黒字であり、国と地方で赤字をゼロにする財政再建目標に達したと見られる。さらに、厚生年金は支給年齢の引上げで0.3兆円は締まる。

 2025年度の場合、税収の見積もりは、珍しいことに過小さがなく、いつものような想定外の緊縮にはならないにせよ、消費が景気の命脈になっていて、今年は定額減税に救われた経験もしたのに、こんな無頓着さで良いのかと思う。いつもどおり、産業政策で設備投資の補助金をバラ撒けば景気は加速できるという思想に縛られ、消費が伸びないのに生産力が増強されるという夢から覚めないのである。

 日銀は、12月の利上げを見送り、円安を是正して実質消費をテコ入れするチャンスを捨ててしまった。金融緩和に拘り、それで設備投資が刺激されて、景気が加速すると思っているのなら、リフレ派とは程度の差しかないことになる。円安で物価が上昇したところで、政策の目標として、何の意味があるのだろうか。生産も輸出も頼りにならない状況なのに、誰も命脈を大事にしてくれないのである。

(図)



(今日までの日経)
 長期金利上昇、一時1.11% 13年ぶり高水準。円下落、一時158円台 日米金利差の縮小観測後退で。税収増、新規国債発行30兆円下回る。ガソリン、1年ぶり180円台に上昇。

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12/25の日経

2024年12月25日 | 今日の日経
 10月の人口動態速報の出生は前年同月比-2.1%となり、やや減少が緩み、合計特殊出生率は1.16人くらいになった。また、賃上げで若い低所得層の生活が回復しているせいか、婚姻は10月の前年同月比が-1.9%になり、1~10月は前年同期とほぼ同数まで浮上した。この調子なら、出生は1年遅れなので、1年後に1.11人くらいで下げ止まる可能性が出てきた。まあ、それでも深刻な低水準で、婚姻が増えるようでないと拙いんだけどね。

 低所得層の手取増に関しては、所得控除で迷走している。3号批判の鈴木亘先生も、結局は給付つき税額控除だと言っているのだから、とっとと行き着いてほしい。123万円への引き上げを、2024,25年の物価上昇分も織り込んで133万円にして、あとは、給付つき税額控除を追加で検討するというので妥協してはどうですか。178万円なんて、手取増にも壁除去にも筋が悪すぎて、「国民」のためにもならないよ。

(図)



(今日までの日経)
 年金改革、実現どこまで 厚労省が報告書案。日本の1人あたり名目GDP22位に 韓国と逆転、G7で最下位。ラピダス支援の財源「コロナ基金の返納金活用」。雇用保険料率、来年度0.1%下げ。日本の住宅、再び狭く 30年前の水準に逆戻り。

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緊縮速報・着実に進む財政再建と円安の金融政策

2024年12月22日 | 経済(主なもの)
 7-9月期の資金循環は、一般政府の資金過不足のGDP比が-2.6%と前期より0.3の改善で、着実に緊縮が進む。10~12月の財政資金対民間収支では、税収の好調さから、一般会計が前年同期比+3兆円が見込まれるので、一段の緊縮が進むことになろう。インフレで緊縮が進む中、いかに緩和するかが重要な政策課題なのだが、そうした需要管理の観点は欠如していて、成り行き任せなのが痛い。

(図)


………
 所得控除の引き上げは123万円でひと区切りとなったが、これだと1兆円規模の減税にとどまる。2024年度の定額減税が3.2兆円だったから、財源的にも、このあたりまでは行くかと思っていた。残り2兆円分を使って、本予算採決までに決着をつける腹だろう。それは、減税でなく、教育無償化になるかも知れない。どちらにしても、少数与党が本予算を通すための戦法としては、よく分かる筋書である。 

 しかし、考えるべきは、その先の参院選だ。手取増・壁除去で国民党が総選挙に勝利した教訓から、各党は現実味のある負担減の政策競争になる。自民党も無策では、またやられるだけだ。サッカーではないが、少なくとも相手の良さを消す戦法が必要になる。例えば、所得控除で壁除去は無理と刺しつつ、1.1兆円の給付つき税額控除で完全撤廃するとか、無償化は東京や大阪ではできているから、地方創生臨時交付金を複数年で約束して実現するとかである。まあ、目先のことで手一杯かな。役所も助けてくれないしね。

 2024年度予算は、補正後の前年度比で1.1兆円の緊縮になり、減税がこのままだと、2.2兆円の緊縮である。2025年度は、本予算の歳出が1兆円伸びても、税収は+2.7兆円が見込まれるから、合わせて5兆円程の緊縮になる。また、地方は、その6掛けの税収増だ。さらに、厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられる年なので、社会保障の緊縮もきつい。本来は、こうした緊縮の規模を踏まえつつ、どのくらい緩和するかを考えるべきなのである。

………
 今週、日銀は利上げを見送り、円安にしたけれども、何がしたいのか分からない。円安に誘導して年明けのトランプ就任後の急激な円高に備えるつもりなのか。12月は利上げが順調に織り込まれ、市場が荒れる状況でもなかった。今は、坦々と利上げを進め、緩やかな円高に持って行くべき局面であり、日米の金融政策の逆の方向性を薄めることで備えておくのが適当だ。是非はともかく、逆方向だと何かと変動が起きる。

 金融政策では、物価を操作できず、黒田日銀の異次元緩和は、その点では無意味だったが、狙いどおりに円高を是正できた。そうした無意味な緩和に、植田日銀が拘り、円安の是正ができないなら、黒田日銀と変わらないどころか、得るものもないことになる。しょせん、金融政策はドル円くらいしか動かせないと割り切り、どのくらい緩和するかを考えるべきなのである。


(今日までの日経)
 インフレが動かす課税最低限。緩まぬ円売り圧力。日銀総裁、利上げ材料「もう一段必要」。訪日客最多19年通年上回る。日本の1人当たりGDP、韓国と台湾を下回る。ホンダ・日産統合へ。

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12/17の日経・労働者のための3号廃止

2024年12月17日 | 今日の日経
 10月の機械受注は、民需(除く船電)が前月比+2.1と、ようやく4か月ぶりのプラスで、未だ足踏みの状態である。製造業は輸出が伸び悩んでいるし、非製造業は鉱工業の消費財も建設財も横ばいだから、こんなものである。企業の設備投資意欲は強いものの、名目的だったり、ソフト向けだったりなのだろう。ここは、実質の消費が水準を更新して来ないといけなくて、それには利上げによる円安是正と財政による可処分所得の浮揚が肝要だ。ところが、再分配の議論は的外れも良いところだ。

(図)


………
 「壁」の問題に関しては、年金「第3号」廃止を経済同友会が主張するのは分かるが、連合が主張するのは、まったく解せない。専業主婦は労働者ではないからなのか。専業主婦の基礎年金を保険料なしで出すのは、社会的、経済的に不利な立場にある女性の最低限の老後の生活保障をするためである。確かに、不利な立場の女性は減ったかもしれないが、非正規を中心に居なくなったわけではない。廃止は彼女らを切り捨てることになり、彼女らも働く仲間だとすれば、別の救済策なしには主張してはならないものであろう。

 非正規への差別は酷い。雇用保険料を払っていても、育児休業給付はもらえないのに、3号廃止となれば、国民年金の保険料まで払わなければならなくなる。踏んだり蹴ったりである。正規の女性なら、免除の上、報酬比例分の年金までもらえるのにだ。3号廃止の拙さは、労働者の境界にある不利な女性の上に表れる。もっとも、2026年から自営業者の国年免除もされるようになるが、少子化対策支援金を財源にしており、すんなり非正規も対象にされるかは、自明ではない。

 他方、高所得の夫に恵まれた専業主婦からは、年金保険料を取るべきだという主張は分からないでもない。しかし、専業主婦は所得ゼロだし、妻名義の保険料の払いを、夫婦とは言え別人の夫に義務を課すのは変だから、夫には保険料ではなく税で負担してもらうのが妥当だろう。実は、2018年の税制改正で、既に高所得者には、配偶者控除を認めないようになっている。つまり、「不公平」の是正は措置済だ。3号は皆が優雅な専業主婦のように思って叩こうとするのは大概にすべきだ。

 非正規も含めて労働者の利益を守るのなら、連合が主張すべきは、3号廃止ではなく、社会保険連動型の給付つき税額控除の導入である。女性だから保険料が軽減されるのではなく、低所得なら誰もが軽減されるものにし、3号の特例を普遍化によって事実上廃止するのが正しい道だ。それが非正規も含めた雇用者皆保険の実現につながり、「壁」が除去され、生活改善で少子化も緩和できるようになる。意味のある再分配策を掲げることは、支持政党の勝利にも通じよう。今こそ戦略を磨くべきときだ。


(今日までの日経)
 和悦・税収見積もりの玉手箱。八塩裕之・拙速な所得税改革は避けよ。丹下大・売り上げが上がれば賃金を上げると多くの企業は発想する。坂本英二・衆院選の負けは政策の失敗。八田達夫・「年収の壁」、消失控除の導入を。年金「第3号」廃止要望、経済同友会・連合が一致。

※経済学者に分かってほしいのは、「売り上げが上がれば賃金を上げる」という現実だよね。丹下さんが並みじゃないのは、人材開発を売上の獲得に結びつけるビジネスモデルを持っているところだろう。
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7-9月期GDP2次・設備投資は需要に連れ

2024年12月15日 | 経済
 7-9月期のGDPは、1次速報で前期比+0.2だったものが、2次速報では+0.3に上方修正となった。季節調整のかけ直しで、家計消費(除く帰属家賃)が+1.1から+0.8に縮み、代わりに、在庫と純輸出が押し上げた。日本経済には珍しく、消費が成長を牽引しており、やって良かった定額減税といったところだ。それでも水準は240兆円程で、コロナ直前位にはなっても、10%消費増税前の246兆円程とは歴然たる差がある。

………
 宮川努先生の『投資で変わる日本経済』を読ませていただいたが、30年のデフレ期の停滞の原因が設備投資の不足にあるというのは分かるけれども、日本の経営者が需要に合わせたストック調整型の投資決定から脱せず、収益性重視の投資決定ができなかったためだとするのは、やや酷に思える。需要は投資が生むにせよ、この30年、景気が上向くと急速な緊縮で需要を抜き、投資を挫折させるマネを財政が繰り返してきたわけだから。

 いつもの図であるが、日本の設備投資は、輸出をトレースするように推移している。外需に合わせて生産力を増強しているという当たり前の反応である。他方、内需代表の消費は、増税を機に大きく水準を下げ、増加率も低くなった。消費向けの強気の設備投資をしていたら、売上が立たずに経営が傾きかねない。こんなリスキーな環境では、収益性重視の投資決定なんて無理ではないか。

 日本経済は、1997年の大規模な緊縮財政で設備投資率を落とし、低成長の構造に陥った後、後始末で大きな財政赤字を出したために、景気が上向くと反動で撤退も大きくなる図式となって、抜け出せなくなってしまった。景気が上向いても、それなりの財政赤字を我慢しつつ、内需と設備投資を育てることが必要だったのであり、ひいては、設備投資に需要は重要でないという観念が失敗を招いたことになる。

(図) 


………
 デフレ期の「改革」により、消費税率と保険料率が高まり、消費が増えにくく、財政が締まりやすい「構造」になっている。どの程度、締めるのか、戦略的に考えなければならない。今年は、定額減税に助けられたが、来年は、剥落を補えるよう、低所得者を軸にした上手い再分配が求められる。ところが、「壁」の除去とは無縁で、低所得者には薄い所得控除の論議で白熱しているのを見ると、戦略の的外れっぷりには情けなくなるよね。


(今日までの日経)
 トランプ関税、米も打撃 27年GDP1.1%下押し。ECB、0.25%利下げ。年金「第3号」廃止要望で一致 経済同友会と連合。補正予算ありきの暫定合意。働く高齢者、控除280万円上限に。
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12/11の日経

2024年12月11日 | 今日の日経
 11月の景気ウォッチャーは、前月比+1.9で9,10月の低下を取り戻した形だ。秋の遅い訪れによるズレのような気もするが、やれやれである。先行きも+1.1と順調だ。ただし、製造業の-1.1の低下が気がかりではある。先行きは+1.5とプラスにはなっているのだが。いずれにしても、GDPの2次でも分かるように、成長は消費が支えているわけで、財政を安定的に出していく政策運営が肝要である。

 補正予算は、直ぐに需要にならない基金への繰入で膨らませているという問題はあるにせよ、前年度の補正後予算の比較では縮んでいるわけで、左派政党が緊縮を主張してどうする。雇用保険にでも繰り入れて、非正規の育児休業給付でも求めたらどうか。使い途にアイデアがないからこうなる。その雇用保険は、お金が余って料率を下げることになっている。カネの使い方が下手過ぎるよ。

 年金は改正項目が出揃い、珍しく日経は肯定的な評価をしている。基礎年金の底上げは、財源が要るとは言っても、デフレによる予想外の基礎年金の縮小で財政負担が減っていたものを元に戻すようなもので、増税が必要な性格のものではない。当然増として、自然増収で対処すべきだし、デフレ脱却で十分に確保できるようになっている。むしろ、「黒字」財政の時代になり、どう上手く使うかが戦略的課題なのだ。

 その点、増収を、少子化対策として、「教育は公が負担すべきもの」という理念を向け、着々と無償化に充てている小池都知事は、もっと評価されて良いと思う。国が責任を持つ年金に関しては、少子化対策としても、日経が言うように更に適用拡大を進めるべきであり、その実現には、給付つき税額控除でもって、零細企業・低所得者の負担軽減に充てるのが極めて経済合理的である。

(図)



(今日までの日経)
 中小の軽減税率、2年延長へ。東京都の第1子保育料無償化 小池知事「来年9月から」。日本の知力 若年層けん引。社説・年金底上げへ手を抜くな。補正予算 基金上積み 立民は減額要求。

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消費のための金融と財政

2024年12月08日 | 経済
 10月のCTIマクロは名目で前月比+0.1と増勢を保ったが、実質では-0.1と7か月ぶりのマイナスとなった。消費は、賃上げと定額減税で順調に伸ばしてきたけれども、このところの物価高があって陰りが見える。11月の消費者態度は持ち直しているし、12月のボーナス増で何とか持続してほしいところである。足下では、円安がやや戻しており、内需でもって成長を維持したいところだ。

 8,9月は円安が一服していたのに、10,11月にまた円安がぶり返してしまった。日銀が今月上手く利上げをすることで、円安が収ってくくればと思う。つくづくドル円は、適切な水準を目指すのではなく、方向感ばかりで動く。トランブ関税の米国、EV政策失敗の欧州ともに、輸出先として期待できなくなっており、内需を育てて、景気を維持するには、利上げが必要という論理になる。しょせん金融政策は為替への道具という割切りだ。

 他方、自民党税調は、来年度の定額減税はないという決定をし、所得控除は2026年1月からとしているが、それだとタイムラグで2025年は穴があいてしまう。定額減税は半年でできるが、所得控除は1年かかるという技術的理由だが、来年度の財政は、いったん強い引締めがかかってしまう形になる。定額減税と組み合わせる決着もあるかもと思っていたが、あとは運良く円安が緩んでくれるのを祈るしかない。

 社会保険料軽減型の給付つき税額控除なら、本人分の保険料を事業者に取らないでもらい、取らなかった分を保険機関に申告してもらい、その総額を保険機関に国が支払うという形になる。いわば、軽減分の補助金を事業者に出すより容易で、今年度も壁対策として、急遽、補助金を出したりしているくらいだから、技術的難易度は低い。厚労省のように、労使交渉で事業者が多く負担することで壁をなくすよりもね。知恵がないよネコの国は。

(図)



(今日までの日経)
 東京23区の家賃、30年ぶり上げ幅。学生バイト「103万円の壁」上げ。年収156万円未満の負担軽減 パートの社会保険料、企業肩代わり。「106万円の壁」撤廃、26年10月に。定額減税、来年は継続せず。円キャリー 猛威緩和の兆し。

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12/4の日経・税収の大幅な上方修正

2024年12月04日 | 今日の日経
 補正予算で一番のサプライズは、当初から+3.8兆円という税収の大幅な上方修正だった。いつもなら上ブレを隠すのだが、マクロ的な予測値とほぼ同じで、今回は実現の確度が高い。おそらく、拡大した防衛費を上ブレで賄えないようにし、防衛増税をやめさせないためだろうが、緊縮財政には両刃の剣となる。税収の上ブレで、2025年度は、2.8兆円程の基礎的財政収支の黒字になり、「減税には財源を」の論理が効かなくなるからだ。

 2.8兆円あれば、物価上昇分の所得控除の引き上げをし、社会保険料相殺型の給付つき税額控除で年収の壁を除去した上、非正規に育児休業給付を拡大することまで可能だ。補正予算分の財政赤字はあるにせよ、なぜ経常分が黒字でなければならないかの理屈付けは弱い。逆に言えば、7~8兆円の減税は無理でも、2.8兆円の範囲ならできるというサインになる。あとはコレジャナイ壁除去でなくて、ちゃんと給付つき税額控除を設計できるかである。

 国民の玉木代表は、「次は給付つき税額控除」と主張していて、手取増・壁除去の着地点を調整しているように見えるが、社会保険料相殺型であれば、最大の難点である給付事務がいらないので、来年度中にできる。他方、厚労省は、雇用保険料を下げ、壁除去の財源にされないように手を打ってきた。これで「子ども子育て支援金」の負担増を相殺する形が取れる。財務省の現役の皆さんも、腹を括って真っ当な策を出すべきである。

(図)



(今日までの日経)
 韓国大統領が非常戒厳。業績変調下の最高要求 製造業、ベア4%。円上昇、一時1ドル148円台。富裕層課税、経団連が提言。雇用保険料率、8年ぶり下げ。今年の出生数、初の70万人割れ 民間推計。自動車減速、増益足踏み 7~9月法人統計。大学4割「授業料上げ」。「無償化」に対する社会意識 幼少段階ほど支持多く。

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イシバノミクス・年収の壁でのコレジャナイ財源論

2024年12月01日 | 経済(主なもの)
 再分配の政策となると、どうして、この国は、コレジャナイ議論になるのかね。国民党の壁除去を巡り、財源論が戦わされているが、昨年の3.2兆円の定額減税のときはしなかったし、地方財源で揉めたりもしなかったのだから、今年も、いらぬ話にできるんじゃないの。ハイロンパ。しょうもないことで迷走せず、まじめに給付つき税額控除の設計をしてくださいな。コレジャナイに付き合わされる国民は、本当に不幸だよ。 

………
 定額減税で財源論が出なかったのは、1年限りとしていたからだ。今回も1年限りとして、恒久化するかは、参院選の結果を見て、再度議論すれば良い。他方、財源論の本質は、いかに野放図な財政をしないかであって、7-8兆円もの減税はやり過ぎであり、いかに、昨年並みに収めるかが重要だ。財政赤字は出しつつも、収支の改善は着実に進んでいるという方向性を示すことが信用維持に不可欠だからだ。 

 そもそも、103万円の壁を110万円にするくらいなら、インフレ調整だから、財源は無用だ。自動的に増税になっていたものを元に戻すだけで、ある意味、減税ではないから、財源がいらないのは当たり前である。他方、インフレ調整に見せかけ、別の尺度を持ち込み、178万円にするのは無理スジである。その無理さかげんが、7-8兆円という大きさと財源への戸惑いに表れるのである。

 また、壁をきれいに除くのは、以前に示したように1.1兆円ほどでできることだ。そこへコレジャナイ政策を打って7-8兆円も使うとなったら、野放図さが露わとなる。ロジで破綻しがちなのは。戦略がダメな証拠である。減税で得られる成長での税収増もタカが知れている。一方、壁を除いて勤労者皆保険を実現すると、年金財政が大きく改善することは検証済で、注目すべきはこちら。これで財源は後で補え、一時的減税に整理できるわけだ。

 細かいことを言うと、壁除去で主婦パートの健康保険料を軽減しても、財源は要らなかったりする。なぜなら、既に夫の健康保険をタダで受けていて、本人の加入でサービスが増えるわけではないからである。良い戦略は、ロジにも強い。ただ、良い戦略の欠点は、分かりにくいいことである。異次元緩和でデフレ脱却のように、ロクでもない戦略が取られるのは、単に分かりやすからである。

 財務省も、暴論を暴論で制しようとせず、給付つき税額控除の代案を示してやれよ。去年の定額減税と低所得者への給付の組み合わせは、事実上の給付つき税額控除だし、社会保険料の減免型なら、給付先は制度の所管機関だから、実務上のネックもない。何なら補助金の形にして厚労省にさせてもいい。OBだって、給付つき税額控除しかないと言っているのだから、知恵のある収め方を見せてほしい。

………
(図)


 10月の商業動態・小売業は、前月比+0.1とほぼ横ばい。自動車は回復したものの、各種や衣料が落ちており、前月の-2.5の後なので、物足りない。鉱工業生産は、自動車の回復生産があって前月比+3.0だったが、11,12月の予測は-2.2と-0.5だから、一進一退の状況だ。雇用は、労働力調査の就業者と雇用者が共に増え、女性ばかりとは言え、着実に拡大している。11月は、都区部CPIが前月比+0.6と物価高が続き、消費者態度が前月比+0.2にとどまった。

 輸出に期待できなくなった日本経済は、内需を大事に育てていかなければならない。金融政策では円高方向に誘導して物価高を緩和し、財政運営では安定的な需要の確保をする必要がある。2024年度予算は、補正後の歳出歳入で前年度比-1.0兆円、一般歳出で-3.7兆円で、若干の緊縮という堅実なものとなった。あとは、昨年の3.2兆円の定額減税が剥がれる分をどう埋めるかで、これが壁除去で使う目安となる。もう少しお客の国民を意識して再分配のネタを作ってくださいね。


(今日までの日経)
 女性正社員、非正規上回る。「年収の壁」米国は毎年調整。東京都、25年10月から第1子保育料無償化。政府、103万円の壁「6.1兆円減税なら1年目GDP1.3兆円増」。日米金利逆向き、円上昇サイン。法人の追徴税、最多3572億円 AIで抽出。EV失策で生産過剰に。バイト悩ます「103万円の壁」上げ。

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