経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の心

2/28の日経

2017年02月28日 | 今日の日経
 消費の変動は、当然、物価に表れる。長期の消費者物価指数を財・サービス別で見ると下図のとおり。サービス価格≒賃金なのだが、1998年から上がらなくなったことが分かるだろう。財との相対価格も縮まらなくなり、2003年頃には、まったく変わらなくなった。原油高や円安による食品の値上がりで物価が上昇しても、生活は苦しくなるだけなので、金融政策の目標は、あえて言えば、財の価格を抑えつつ、サービス価格を引き上げることであろう。それは、賃金を目標にするということでもある。

(図)



(今日までの日経)
 政策減税で税収減4兆円、消費税収の1/4に。生産統計に明るさ、建機旺盛。エコノ・固定費ずしり緩まぬ財布。一律こそが平等にあらず・奨学金の返済支援広がる・田中陽。
コメント (2)

ミクロとマクロの消費率の異変

2017年02月26日 | 経済
 「家計における非食料消費の割合は一定」というのは、50年以上の長きにわたり観測されてきた「法則」だ。収入が増せば、消費も増え、消費が落ちれば、景気悪化で収入も伸びないというメカニズムが背景にあり、調整には、物価と単位労働コストが介在する。それが2015~16年に異変を見せた。「異次元」な経済運営をしているのだから、何だって起こるのかもしれないが、どんな意味を持つか、少し探ってみることとしたい。

………
 家計調査における勤労者世帯の非食料消費が実収入に占める割合は、図1のとおり、極めて安定している。実は、安定の中で、緩やかな上昇と下降を繰り返しており、これが長期的な景気の変動を表している。他方、食料消費は、日本が豊かになるに連れて、次第に低下し、1997年の大規模な緊縮財政でデフレに転落してから、それは止まっている。つまり、豊かにならなくなったということである。また、税・保険料で圧迫されると、貯蓄ができなくなるという傾向も見られる。

 そんな非食料消費が2015~16年にガクッと落ち、食料消費と貯蓄の比率が上がった。おそらく、理由は二つ。一つは、物価、特に食料の上昇だ。この間、消費増税、円安による値上がり、昨秋の生鮮の高騰と続いた。図では分かりにくいが、食料消費の比率は3年で0.7も上がるという、かつてないものだった。物価高に直面すると、「高い」と思って買うのを先送りし、消費は抑制される。

 もう一つは、定期収入の低下である。2015,16年と、実収入は増しているものの、定期収入が減り、臨時収入・賞与の増加と、配偶者等の収入の追加で確保されている。これでは、日常の消費を増やす気になれず、原油安で光熱費が節約できても、貯蓄に回されるだろう。消費性向で確認すると、両年で2.9ポイントも下がった。ただし、2016年の72.3は、過去最低というほどではなく、原油高の2006年と同程度で、豊かだった1990年代後半はもう少し低かった。

(図1)



………
 併せて、マクロでの消費の割合もチェックしよう。名目GDPに占める消費の割合を示すと、図2のとおり。マクロの消費率は、家計調査のミクロの消費率よりも明瞭に中長期の景気変動を示す。消費率の低下は、投資の拡大による成長の加速を意味している。例えば、高度成長期における池田政権時の「踊り場」も明らかだし、オイルショック期からの景気転換がレーガノミックス下の輸出ブームであったことも読み取れよう。

 また、バブル崩壊後は、後退と小康の繰り返しだったことが分かる。1995年に小康を得て、翌年には回復の兆しがあったのに、1997年の大緊縮財政で二番底へと後退し、2001年の構造改革路線で増悪する。2003年に、米中への輸出に出会って一息つくものの、緊縮で内需波及を妨げたことで改善なく推移し、そうするうちに、リーマンショックに見舞われる。今は2013年からの回復局面である。歳のせいか、「走馬灯」のように思い出が巡るよ。

 消費率が2015,16年に低下したことからすると、アベノミクスは、景気回復に成功したとは言えよう。ただし、水準は、未だリーマンショック前の2008年に及ばない程度でしかない。しかも、肝心の設備投資や輸出がほとんど増えておらず、前向きの投資率の向上が実現したわけではない。輸入の大幅減という、いわば、原油安の天恵と、物価高に悩む国民の我慢の賜物なのである。

(図2)



………
 エンゲル係数が目安になるように、国民を豊かにしていくためには、食料消費の比率が下がって行くような経済運営をしなければならない。それには、食料を始めとするモノの値段を相対的に低くし、サービス価格、単位労働コストを高めていく必要がある。それが生産性を上げるということでもある。モノの消費比率が下がるに従って、成長率は確保しにくくなるけれども、基本は変わらない。

 デフレ脱却は重要な課題だが、単に物価が上がれば良いというものではない。原油高や円安による物価上昇によって、デフレでなくなったとしても、生活が豊かになるわけではないからである。消費性向の比較的大きな低下は、賞与等が伸びた2006年にもあったことで、翌2007年は、消費がより伸びる形で消費性向が上昇した。今年も、そのような形になってくれればと、願わずにはいられない。
 

(今日までの日経)
 社説・賃金が力強く上がる基盤を築こう。エコノミスト予測、若い世代ほど後ろ向き 高成長の経験有無、影響?

 ※今日の社説は、「現場で頑張れば、マクロが良くなる」という、とても日本人らしいものだったね。いかに企業が努力して付加価値を生み出しても、待ってましたとばかりに財政が緊縮で所得を抜いたら、リスクを取って設備や人材に投資した者ほど痛い目を見る。生産性向上には投資が必要で、それが報われる需要管理が不可欠だ。労働市場改革では、若年層の保険料を軽減して、社会保険の非正規への適用差別を撤廃しないことには、スキルアップもあるまい。社会保障は、資金循環で見る限り既に黒字になっている。今はカネを貯めている場合でなく、年金の前払いで、乳幼児を抱える若者に給付し、未来の人材に投資すべきである。それこそ、緊縮財政に勝る世代間格差の是正だろう。まあ、日本人に戦略的思考を求めてもムダかもしれないが。
 ※「見たことないもん作られへん」なのかな。強気の筆者の歳がバレるね。
コメント

2/23の日経

2017年02月23日 | 今日の日経
 毎月勤労統計の12月確報で、現金給与総額が+0.4の高めの上方修正になり、やれやれという感じだ。確報で上がるとは、中小が良かったようだ。第一生命研の柵山順子さんがレポート(2/21)で指摘するように、パート比率の拡大による平均賃金の押し下げが収まってきたのかもしれない。円安に伴う物価上昇が予想されるだけに、賃金上昇がストレートに反映されるようになると心強いね。

(今日までの日経)
 ヤマト、宅配総量抑制へ。来年度予算案、40都道府県で減額。
コメント (1)

2/22の日経

2017年02月22日 | 今日の日経
 12月は商業動態や消費活動指数まで崩れ、意外に感じていた。ボーナスが振るわなかったと思っていたが、経済活動自体が落ち込んでいたようだ。昨日公表の12月全産業指数の結果は下図のとおり。輸出が鈍ったところへ、公共と住宅が大きく足を引っ張り、景気のカギになる追加的需要の合計が急減している。

 1月の輸出が今一つで、公共はすぐには戻らず、住宅も滞るだろうから、1月の消費まで心配される。1月のコンビニ、スーパー、百貨店の結果も、あまり良くなく、特に、衣料が低かったようだ。衣料は、天候にも左右されるが、懐具合にも敏感に反応する。景気は、回復の中での小休止となるかもしれない。すんなり行かないものだね。

(図)



(今日までの日経)
 混合介護で待遇改善・規制会議。現法の内部留保最高 16年3.9兆円。配当 リーマン時の2倍 16年度11.8兆円。人手不足の職種 処遇改善。
コメント

10-12月期GDP・2%成長はならずとも

2017年02月19日 | 経済
 月曜に公表されたGDP速報は実質で年率1.0%成長と、ほぼ事前予想のコンセンサスどおりだった。強気の筆者は「はずれ組」ということになる。とは言え、GDP速報は変わり得るものだし、特に、在庫や設備投資は、法人企業統計が出るまでの「仮の姿」だ。当たり外れも面白いが、中身をよく分析することが大切である。その意味で、消費の結果は、今後を占う上で、とても興味深いものだった。

………
 今回のGDPの一般的な受けとめは、外需依存で消費が弱いというものだろう。しかし、「名目」の消費は意外なほど強かった。家計消費(除く帰属家賃)の前期比を追うと、+0.11、+0.29、そして、10-12月期は+0.35と加速している。一方、「実質」は-0.09である。つまり、天候不順による生鮮食品の高騰がなければ、輸出の好調と相まって、2%成長に届くくらいになっていたかもしれない。

 高騰は一時的なものだから、消費の基調は強いと言える。それは、いずれ表面に出てくることになろう。日銀の消費活動指数では、名目と実質の差は更に大きく、10-12月期の前期比は、名目+1.1に対し実質+0.1である。GDP速報の消費は、異様に不調だった家計調査の影響を受けて、低めに出ていると思われ、今後、改訂が重ねられる中で、上方修正される可能性がある。

 また、消費のベースとなる雇用者報酬は、前期比が名目で+0.5、実質で0.0と、これも差がついた。ただし、7-9月期の名目+0.6より、やや低下している。毎月勤労統計からすると、7月の給与総額は高かったのに、12月に伸びがなく、冬のボーナスが振るわなかったようだ。12月の消費は、消費活動指数でも落ちが大きく、生鮮食品の高騰以外では、この影響もあったと考えられる。

 消費は追加的需要とパラレルな性質があることから、実質GDPの「住宅+公共+輸出/2」を見ると、前期比が4-6月期+0.4、7-9月期+1.3に続き、10-12月期も+0.8と順調だったにもかかわらず、実質の消費は、+0.2、+0.3と推移して、10-12月期が逆に-0.1と減ってしまった。経済活動からすると、消費はもっと高くても不思議でなく、こうした乖離も、消費の潜在力を示していよう。

………
 10-12月期GDPは、激しい物価変動の下で消費を予想するという難度の高いものだった。今回、筆者が手掛かりにしたのは、家計消費状況調査である。なぜなら、4-6期、7-9月期のデータがGDP速報に近い値だったからだ。これを使うと、10-12月期までの各期は、+0.11、+0.25、+0.06であり、これに対し、今回のGDP速報の名目は+0.11、+0.29、+0.35であった。この関係もあり、GDP速報は高いと評したわけである。ちなみに、実質化した状況調査の結果は+0.17、+0.35、+0.03で、対するGDP速報の実質は+0.19、+0.33、-0.09だった。

 オタクしか興味はないと思うが、一応、算出方法を記しておくと、状況調査の二人以上世帯の速報値を使い、支出総額から「除く仕送り金及び贈与金」を作り、12か月移動平均をかけ、期差を取るという簡易なものだ。実質化は、消費者物価の季節調整済指数の「除く帰属家賃」で割っただけである。なお、図では、比較のために、家計調査の支出総額から仕送り金と贈与金を除いたものを並べておいた。

 こうして見ると、家計調査の消費レベルの低さが目立つ。しかも、勤労者世帯の差が開いてきている。これでは、家計調査は下ブレするし、物価上昇に弱いわけである。家計調査の改善の方向としては、ちゃんとお金をかけて、簡易項目の調査サンプルを増やすことではないか。また、人手の問題になるとは思うが、とりあえず、状況調査と結合した指数の算出を求めたい。

(図)



………
 景気がテイクオフするには、条件が揃うことが必要である。雇用が引き締まり、輸出が堅調だったこともあって、10-12月期には、大いに期待していた。そこへ、秋の長雨による生鮮食品の高騰である。ツイてなかったが、10月の消費が悪くなかったことで、甘く見ていた点もある。政策的には、公共事業の息切れも拙手となった。需要管理の無計画ぶりがなければ、外需拡大のチャンスをものにできただろう。

 今後の最善のシナリオを描けば、外需拡大を受けて輸出が堅調を保ち、補正予算で復調した公共が住宅の衰えを補い、需要リスクの低減の中で、設備投資が徐々に増し、雇用の引き締まりの下、賃金上昇が加速するというものだろう。消費は、無職世帯の多さを踏まえれば、緩やかな円高の方が有利に働くと思われる。言うまでもないが、財政も、金融も、需要安定の観点が求められる。回復にも財政を退かず、円安を金融政策にしないのは、結構、難しい。


(今日までの日経)
 年金「世代間」の盲点、予算増えず少子化加速・石塚由紀夫。正社員緩和・吉野家。転職者300万人回復、賃金増が初の逆転。共働きと値上げで食費増・エンゲル係数。保育所新設 企業が主導。消えた新規国債0.6兆円。残業上限 月60時間。景気緩やか回復続く、GDP10-12月 年1.0%増。

※石塚さんが書くように、少子化対策はいつもtoo little too late。それは今も同じ。本コラムが、年金を使って乳幼児給付をせよとか、若者の保険料を軽減せよとか、主張しても、常識外れにしか聞こえず、「そこまでやるの」という感じだろう。しかし、時が経てば、「どうして、そうしなかったんだ」となる。昔も、そうだったのでね。
コメント (2)

アベノミクスは、どう進化する

2017年02月12日 | 経済
 今年になって、アデア・ターナー、クリストファー・シムズのお二人が登場し、日本の経済政策は、需要管理の重視へ変わろうとしている。アベノミクスは、「機動的」な財政であって、「時々しか使わない」ことを意味し、実際、スタート時だけで、消費増税に限らず、緊縮を貫き、赤字を大幅に削減してきた。リフレ派に緊縮の意識は薄いかもしれないが、金融緩和が決定的と考え、財政当局のすることを甘く見ていたのだろう。今後は、両方見てもらいたい。それは景気回復の中でこそ重要になろう。

………
 最も単純なリフレ策は、日銀の当座預金を大きくすれば、景気は良くなるというものだ。日銀が国債をひたすら買うことは容易にできるが、それが景気に結びつくかは別問題である。経済を活発化させるには、金融緩和を受け、市中銀行が融資を拡大する必要がある。その際、財政が緊縮で需要を抜き、名目成長率をゼロにしてしまうと、健全な融資の拡大は望めなくなる。  

 なぜなら、融資に対しては、少なくとも利子を払ってもらわないといけないのに、その原資は、より大きくなったGDPから得られるからである。むろん、金利がゼロでなければ、金利を低下させることで、融資の規模を拡大することは可能だ。例えば、金利を2%から1%へと半分にすると、支払われる利子の総額は同じでも、融資の規模は2倍にできる。しかし、既に金利がゼロに近いと、それも限定的となる。

 すなわち、デフレの状態で、リフレ策を取っても、緊縮財政を組み合わせていては、効果が得られないのである。ゼロ成長状態で融資を増やすとしたら、株や土地の値上がりを見込むとか、人件費を削るだけで収益を上げる企業にするとか、ロクなことにならない。これらに持続性は伴わないからである。結局、「不況には金融も財政も両方が必要」という常識的な話に収まる。

………
 リフレ策には、もう一つの意味がある。政府の利払いの削減だ。日銀が国債を保有すると、払った利子は日銀の納付金で戻って来るので、事実上、無利子になる。財政当局にとっては、おいしい話だ。その代わり、日銀の当座預金が膨らむことになる。国債が当座預金に置き換えられるわけだ。その違いは流動性にある。市中銀行は、いつでも、それを融資などに使うことができる。

 デフレの今は、融資先がないので、定められた準備率以上の当座預金が積み上がっている。しかし、内需の名目成長率がプラスになり、十分に増すと、信用を拡大し、融資を増やそうとするだろう。もっとも、今は、名目の家計消費(除く帰属家賃)は、未だにリーマン前を下回っている状態だから、供給力を増強するための健全な設備投資をしようというインセンティブは乏しい。

 少し先の話になるが、もし、市中銀行の融資が急速に拡大し、ブレーキをかける必要が生じたときは、日銀は、当座預金の準備率を引き上げることになる。現在は1%強だが、安達*1によれば、大恐慌後のFRBは、金融緩和の出口政策において、それ以前に13%だったものを、26%まで引き上げたとしている。準備の当座預金に利子は付かないので、この部分については、政府は無利子で国債を発行しているのと同じだ。

 さらに、準備を超える当座預金に利子を付けることで留め置き、融資の拡大を抑える方法も取られる。これに、どのくらい応じるかは、市中銀行が付利の高さを見て決める。現在は+0.1%だが、留め置きに必要なレベルは、経済の状況次第である。政府にとっては、国債の金利と付利の差がトクになる。なお、市中銀行を通じ、一般預金者に利子が払われる段階で20%の課税がなされるので、その分も政府の実質的負担とならない。

………
 日銀からすると、国債を買い入れるということは、政府に「長期固定」でお金を貸すのと同じである。2016/3/8のロイターによると、その時点で、日銀が保有する国債の簿価ベースの利回りは+0.3%台以上とされ、他方、日銀が当座預金に払う平均利回りは+0.1%程度ということだから、この差が日銀の「利益」になっている。そして、当座預金への付利を一定以上に高くすると、逆ザヤによる「損失」が生じる。

 日銀は普通の会社ではないので、「損失」が生じても何ともない。いわば、自分でお金を刷って支払える唯一の会社だ。ただし、「利益」がないと、政府への納付金もゼロになる。2017年度予算では3044億円を予定しており、この財源が消えるのは痛い。その反面、国債の利払いが少なく済んでいることも意味する。言うまでもないが、政府が日銀に対して「損失」を補填してやる必然性もない。

 逆ザヤが続くと、日銀の「損失」は累積していくが、順次、国債の借り換えが進んでいけば、逆ザヤは解消される。そもそも、日銀は通貨発行益を得る存在なので、それで累積した「損失」を埋め、いずれ、政府への納付金を復活させる日が来る。このあたりの事情は、吉松*2に詳しい。出口の過程では「損失」が発生するけれども、それ以前の国債の買入れによる「通貨発行益」の取得と裏表なことは合わせて考えたい。

………
 市中銀行による健全な融資拡大の速度は、名目GDPの成長率並みであろう。そこまでなら、金融引き締めの苦労はない。問題は、設備投資への融資でなく、株・土地などへの融資が膨らみだしたときである。これに金融政策を割り当てると、大きな「損失」が出てしまう。したがって、アベノミクスの進化の方向として求められるのは、緊縮をしないというだけでなく、物価には消費増税、株・土地には資産課税というような、金融と財政の多角的な政策の割り当てを考えておくことだろう。当前だが、これからも金融と財政の両方が必要なのである。

*1安達誠司 :『アベノミクスは進化する』第8章
*2吉松 崇 :『アベノミクスは進化する』第5章


(今日までの日経)
 上場企業2年ぶり最高益。不動産融資 最高に。製造業の設備投資 復調。対米投資膨らむ。日銀の国債保有4割超す。介護保険料8月上げ。賃金ようやく上昇? パート、女性・シニア頼みに限界。
コメント (2)

アベノミクス・なるか2%成長

2017年02月05日 | 経済(主なもの)
 10-12月期GDPの予想は年率1.1%が平均のようだが、期待も込めて2%としておこう。本当は余裕で行けると思っていたんだけどね。12月の消費指標からすると、ようやく到達できるかどうかだ。それでも、7-9月期の1.3%成長に続き、景気は加速している。前期と同じく、輸出が牽引する形ではあるが、消費には潜在力があると考えられ、今後、内需主導へと変化していくと見ている。

………
 12月の商業動態は、小売業が前月比-1.8となったものの、10,11月の貯金があり、10-12月期は前期比+1.9にもなった。財の物価上昇で割り引いても、+0.7にはなるだろう。これにより、10-12月期の日銀・消費活動指数は前期比+0.3くらいと見込む。これだけなら、消費は順調と言えるのだが、家計調査が極端に悪い。二人以上世帯の実質消費支出(除く住居等)は前期比-2.1と落ち、12月の95.2という水準に至っては、消費増税直後の2014年4月の98.8を遥かに下回る。

 他の指標や景気の局面に照らし、あまりに不自然だ。そうは言っても、GDPの1次速報の消費は家計調査の影響を受けるため、前期比がゼロ近くとなる可能性は、わきまえておく必要がある。消費水準指数からすると、この3か月が極端に悪いのは、変化に敏感な家計調査が生鮮食品の物価高騰に直撃されたためと思われる。統計を批判して終わりにせず、こうした特性や傾向を踏まえ、総合的に使うことが大切だ。

 家計調査を補完する「家計消費状況調査」を見ると、サンプルが多いだけに比較的安定しており、消費支出は、二人以上世帯で横バイ、勤労者世帯では緩やかな増加傾向にある。実態は、こちらに近いと思われる。状況調査は、家計調査より消費水準が高いために、変動に振られにくい。しかも、その差は、昨年の春から秋に広がっている。家計調査は、いわば、慎ましく生活する人たちの様子を映しており、その敏感さは、景気動向を読むのに役立つことも多いのである。

(図)



………
 他方、鉱工業指数は、好調そのものだ。10-12月期の前期比は、生産が+2.0、出荷が+3.2にもなる。財別でも、消費財出荷が+3.2、資本財(除く輸送機械)出荷+3.6、建設材出荷+2.2であり、鉱工業は、全産業の2割でしかないにせよ、「これで景気が良くなかったらおかしい」レベルだ。さらに、1,2月の見通しも強い。その背景には、輸出の回復がある。日銀の実質輸出入で見れば、2016年後半から上昇傾向に変わり、直近のピークを超えるところに漕ぎ着けた。これで製造業の設備投資も上向くだろう。

 10-12月期GDPの外需については、ニッセイ研の斎藤太郎さん、第一生命研の新家義貴さんともに、寄与度0.3という予想であり、2%成長の基礎としては十分過ぎるほどだ。残り0.2の内需による確保については、消費が伸びなければ、在庫減が少なめ、設備投資増が多めになるのではと思っている。今期もまた、最強気になってしまったが、せっかくの回復局面だし、高揚感を楽しみたい気分である。

 雇用については、10-12月期は満足できる結果だった。労働力調査では、特に、男性の雇用者数が夏頃の停滞から一段の上昇を見せている。産業別の新規求人の動向からすると、建設業、製造業、運輸業のフルタイムが伸びているようだ。内容も伴っており、鉱工業指数の動きとも整合的である。クルマも売れるようになったし、やはり、値上がりに弱い家計調査だけが取り残された印象がある。

 新規求人倍率は、昨秋に急増を期待していたが、そう上手くはいかなかった。しかし、12月になって、「除くパート」が、前月比+0.07という高めの伸びで、1.90倍となり、バブル期のピークだった1991年2月の2.02倍も射程に入ってきた。日経では、運輸業の著しい繁忙ぶりや、バイト時給の前年同月比の2%超えを報じており、1月以降の更なる高まりを望みたい。労働需給が引き締まり、人間の価値が高まらないと、リスペクトも生産性向上もないからね。

………
 デフレ経済は、需要リスクが支配する世界なので、金融政策は効かず、追加的需要が景気を動かすことになる。足元の成長は、輸出回復と建設需要の押し上げがもたらした。それらが所得を生み、消費も増やしている。また、輸出は製造業の、内需は非製造業の設備投資を促していく。あとは、財政が敢えて需要を抜いたりしなければ、需要が需要を呼んで、リスクが薄れ、やがて、通常の金利が支配する世界へと変わる。

 したがって、金融政策が輸出や住宅をどの程度動かしたか、財政が緊縮をしていないかを点検していけば、景気は読めるし、動かせるのである。アベノミクスが始まって4年が過ぎ、その間、景気は様々な局面を経た。先のような見方は、それらをシンプルかつ的確に説明してくれる。今更のように、財政の重要性が「発見」されたようだが、本コラムは、消費増税以前から、同じ説明を繰り返してきた。もっとも、予知を信じてもらえないカサンドラでしかないが。 


(今日までの日経)
 地方公務員も「同一賃金」 非常勤にも賞与。移民の社会ストレス甘くない 冨山和彦氏。年金改革「楽観」で後手。読書評・丸川知雄。疑う市場 惑う日銀 緩和巡り長期金利乱高下。17年度税制改正、421億円減税。給食無償化 地方に広がる。トランプ氏の為替批判、日中独に照準。公的年金、米インフラ投資。出生率見通し高めに 人口推計「1億人割れ」5年遅く。上場企業、業績底入れ 10~12月、半導体関連けん引。瀬戸際の物流「このままではパンク」。

※日経に権丈先生が登場とは、時の流れを感じるな。低成長や少子化は、それ自体を変えないと解決がつかない。年金の問題ではないよ。米インフラへの投資も良いが、日本の若者に積立金を「投資」したらどうかね。こちらこそ年金の問題だ。
コメント (3)