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経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

12/31の日経

2011年12月31日 | 経済

※今日はお休み、明日は載せます。

(今日の日経)
 一体改革の政府素案を決定。次世代への責務・実哲也。社説・消費増税の合意。家計に負担じわり。所得税400億円増。法人税は一段の下げ検討。薄商いでユーロ一時100円割れ。人民元は今年4.7%上昇。ベトナム進出が最多。スペイン赤字8%に。大和ハ・太陽光割引。

※今日の日経には、消費増税のマクロ的影響についての第一生命の試算が出ている。GDPへの影響は、2013年度+0.5、14年度-1.1、15年度-0.5である。第一生命の経済見通しは、もともと低めで、復興需要の落ち着いた後の2013年度は1.2%成長としているから、政府素案どおり消費増税をすれば、ゼロ成長に突っ込むと言っているのと同じだ。妥当な見方だろう。一面の論説記事の実さんは、こういうことを分かって書いているのかね。長期的に消費増税が必要という議論は、もうたくさん。問題は、一気か、徐々かの選択だよ。

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変わらぬ意識と歴史の流れ

2011年12月30日 | 経済
 1年を振り返ってみると、このコラムも作風が少し変わったように思う。当初は、いろいろな話題を取り混ぜて書いていたが、財政運営を批判することが増えた。一番の要因は、震災に際して、稚拙さに我慢できなくなったことだ。筆者も、東北には特別の思いがある。何とかしたいという思いが、そうさせたのだ。

 筆者は近代史が好きで、「あの時、別の選択はなかったのか」と考えたりするのだが、時代状況を踏まえると、後世の人が「なんで、あんなバカなことを」というような選択も、なかなか他には取り得えなかったのだろうと思うことが多い。満州より英米貿易に利があったとしても、英霊の血で贖った土地を手放すことはできなかったのだ。

 今の日本は、「財政再建病」に取り憑かれている。2010年度は、財政破綻への不安から、14兆円もの度外れた緊縮財政を試み、後半に成長を失速させた。その後、日本は、震災で生産と輸出に大打撃を受け、救助と復旧に巨額の財政支出を要したが、経済はビクともしなかった。結果から言えば、2010年時点の不安は過大であり、緩やかに財政再建を進めておけば十分だったことになる。過激な緊縮は、経済のパフォーマンスを悪くしただけだった。

 しかし、歴史的結果が出てもなお、どれほどの人が、その事実に気づき、反省しただろうか。長年に渡って培われてきた、財政破綻への不安は、あまりに強固だ。むしろ、震災で借金が増したのだから、もっと過激な緊縮や増税が必要だという雰囲気だ。満州を死守するために、中国全体へと戦線を拡大していったように。

 よく「意識改革が必要」というようなことが言われる。筆者は、人の意識を変えることほど難しいものはないと思っている。意識が現実に合わなくなり、そのためにボロボロになってすら、まだ現実を認められない人を、たくさん見てきている。おそらく、国レベルであっても、同じことは言えるのではないか。

 昨日、民主党は、2014年4月に消費税を3%アップすることを決めた。2014年度の成長率が1.5%程度の常識的なものであったら、消費税1%は、GDP1%の約半分なので、成長の増加分をすべて税で吸い上げることになる。「増税しても消費は減らない」とする論者は別だろうが、筆者に言わせれば、ほとんど自殺行為である。

 もちろん、増税の一方で、社会保障を拡大するなどして、デフレ・インパクトを緩和することも考えられるが、財政再建のために増税しようというときに、歳出の拡大をしようとはならないものである。1997年のハシモト・デフレの失敗は、消費増税だけでなく、定率減税の廃止、公共事業の削減、社会保険の負担増も合わせてやったことである。消費増税を単独でしていたら、成功していたかもしれない。

 実際、昨日の党税調の議論でも、増税は行革が前提とされている。格差是正のために、高所得者の増税もすることになった。また、2014年には復興が一段落して公共事業が急減するし、年金の「払い過ぎ是正」のための減額は2014年度も行われる。おそらく、1997年と同じことが起こる。意識が変わらないのだから、同じことを繰り返すのである。たとえボロボロになっても、改まることはない。

 戦前の歴史では、「東郷外相が開戦閣議に反対して辞職していれば」などの歴史のイフが語られる。現実を分かった者がいたとしても、大多数の人の意識は変わらず、押し流されるようにして、国は破局へと向かっていく。戦前の歴史を見て、若い人は、理に適わない選択を、なぜ、当時の人がしてしまったのか、理解できないと思う。それは、我々が未来の日本人から受ける批判でもある。

(今日の日経)
 消費増税14年4月8%、15年10%で決着。給付控除は間に合わず給付金か。富裕層増税を明記・1600億円。相続税対象4%から6%へ。14年金融所得20%に戻し。景気条項の数値明記せず・財務省の意向反映。デンマーク・金融課税先行に反対。ヤマト・個配へ最短4時間。経済教室・人材育成・守島基博。

※2014年と想定して、年金債でなく交付国債にしたのか。※所要の措置だから、停止以外でもよいことにしてある。※意向を明記とは珍しい。※金融課税は課題の一つだ。

※日経にはなかったが、伊国債3年物は大きく金利が低下、10年物はわずか。調達量はまずまずだった。大幅な低下が3年物までというのは、やはり、ECBの金融緩和の成果だろう。裏返せば、緊縮財政は大して意味がないということ。こういう読みは、日本人の意識には、縁遠い話かもしれんがね。
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12/29の日経

2011年12月29日 | 経済

※今日は、一休み。

(今日の日経)
 イタリア国債入札順調、落札利回り3%程度低下。海外M&A過去最高、5兆円突破。円高抑制の要因に、経常黒字上回る。消費税を地方へ1.54%。住宅の消費税を実質軽減。軽トラ型EV150万円。経済教室・経済停滞下の企業戦略・内田和成。

※イタリア国債の金利が大幅に低下し、ECBの金融緩和措置の効果が確かめられた。措置が発表されたときには、懐疑的な見方が多かったが、ひとまず成功と言える。日経は、発表時に、社説で効果ある措置と評価していたから、ご明察といった次第だ。※円高抑制は良いが、投資が海外に流出し、国内になされてないとも言える。日本もケインズと同様の悩みを抱えることになるのかね。※消費税の引き上げ時に住宅対策は必須。ローン減税では弱すぎ、還付やエコポが必要だろう。
 
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消費増税の焦りが招くもの

2011年12月28日 | 経済
 今日の日経の一面トップは、「消費税15年10%提示へ」だ。いよいよ動き出したか。なんでこんな無理をしなければいけないのかね。昨日、書いたような緩い引き上げで十分だろう。高めで打ち出しておいて、下げて収めるということかもしれないが、それで生じる政治的な軋轢は大変なものになる。

 そもそも、なぜ、年内なのか。むろん、年金負担を交付国債で賄うことにし、消費増税を2012年度予算に関連づけたので、年内に決めておくのは常識的ではあるが、反対派の議員は、年内に離党して新党を作れば、政党助成金を受けられる基準日の1月1日に間に合うことになる。離党を抑制するため、新年に決める日程管理もあり得たはずだ。

 その辺は、政治だけには長けている財政当局が知らないはずがない。そうすると、あえて、そういう日程を選んだのかもしれない。つまり、衆議院の過半数を割るほど離党者が出ることがない以上、「純化」しておく方が、後々の与野党協議にプラスという判断なのだ。消費増税を達成するには、そちらの方が重要だからである。まあ、経済しかわからない筆者には、よく分からない世界だ。

 いつも言っていることだが、消費増税は経済問題である。経済と整合させるには、成長の範囲内で1~2%ずつ、2~3年の間隔をあけて引き上げなければならない。今日の日経では、武藤敏郎さんは、消費税を16%まで上げなければならないとする。それは、おそらく正しいけれども、15年以上の時間が必要だ。もちろん、日本経済が高齢化による消費増でインフレ気味になったら、ピッチを修正すればよい。

 まあ、財政破綻の焦燥感と、政治で何でもできるという「政治主義」のなせるところなんだろう。そんな財政当局の愚行については、本コラムの「特別版」で見てもらえば良い。そうそう、財政破綻と言えば、現代ビジネスのHPに、「日本は倒産する」というヘッジファンド・マネージャーの記事が出ていたね。日本の財政のウラを知らない外国人から見ると、すぐにも起こりそうに思えるのだろうな。

 前にも書いたが、日本の予算の利払費は、過大に積まれていて、今は1%を割っている長期金利が2%に跳ねても楽に賄えるし、経済予備費を使えば、3%超でも大丈夫だ。しかも、財政状況の見た目を悪くしている償還費という他国にはない日本独特の費目があり、イザとなれば、これも融通することができる。こういう外国人には理解しにくいところがあるから、「倒産」に賭ける投機は、これまで失敗続きである。

 さらに、年金の国庫負担を停止して、一気に10兆円の歳出削減をすることも可能だ。それができるのは、欧米では考えられないほど大きな年金積立金を持っているからである。それゆえ、年金給付を切らずに、簡単に歳出削減ができる。むろん、国債は国内で消化されているから、超過的な利子に重課したり、徴税権をちらつかせて銀行に売らせないプレッシャーをかける奥の手もある。

 むしろ、12/19の読売にあった「Xデー」のように、金利上昇に対して、慌てて、歳出を削減し、増税を行うということをすると、成長を失墜させ、経済を破壊してしまい、そちらの方が財政破綻を引き寄せてしまう。イタリアの悲惨な状況を見れば、緊縮財政が危機対応の処方箋になり得ず、危機を増幅しがちなことは明らかだろう。

 もし、そういう対応策しか日本が意識してないとすれば、それ自体が危険だ。ヘッジファンドが持っているシナリオは、「倒産」を言い立てて、自滅を誘うシナリオなのかもしれない。普通、ヘッジファンドは、自分のポジジョンをあからさまにすることはしないから、あえてそうするのは、他に意図があるのかと疑ってしまう。少なくとも、日本の財政再建を励ましたいわけではないだろう。

 戦前の日本は、金解禁と言い、日米開戦と言い、欧米で失敗が明らかになりつつあった戦略に、焦って飛び乗り、悲惨な結果を招いている。一歩ずつ打開する忍耐強さが足りず、極端に走って自滅するパターンは、1997年のハシモトデフレの一気の緊縮でも同じで、当時の長信銀はヘッジファンドの良いカモになった。まあ、またやりそうな国ではあるんだよね、日本は。

(今日の日経)
 消費税15年10%提示へ、年内集約めざす。武藤敏郎・消費増税の終着点示せ。コンビニ出店最高。電力改革競争示す・政府論点。武器輸出の基準を転換。普天間アセス提出できず。TPP・チリ。ヤマト・被災地に130億円、荷物を創り出す。経済教室・北朝鮮情勢が迫る安保政策・添谷芳秀。

※コンビニ出店は消費拡大の指標だ。※時間がかかるね。「東電国有化、火力分離、電力の競争的な市場化、市場価格で他電力にも圧力」という結論を遅らせるためか。

※KitaAlpsさん、良いリンクありがとう。
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2012年への胎動と相変わらずさ

2011年12月27日 | 経済
 2009年の元旦に現行プリウスやインサイトの広告を見たとき、新しいステージの到来を感じたものだが、来年は、燃費世界一のアクアが登場し、プラグインハイブリッドの発売も予定される。超低燃費のガソリンエンジンの開発と言い、日本の研究開発力は健在だ。一目均衡で、小平さんが指摘する高水準の研究開発費の成果は、こういうところに現れる。来年もブームが訪れるのではないか。

 今日の日経で興味深かったのは、米製造業が南部への投資を加速しているというもので、その背景には、生産コストが中国を下回ることがあるという。このところ、日本国内を含め、「中国より下」というニュースが散見されるようになった。これも時代の変化を示すものだろう。筆者は、かねて、中国のインドネシア化、つまり、6%台の普通の途上国並みの成長率への低下を唱えているが、輸出主導の高成長は終わりを迎えつつある。

 他方、変化がないのが、日本の経済運営というところか。消費増税の方針提示が一日先送りになったが、言われるような2013年10月に3%アップなんて、常軌を逸している。その頃には、復興予算の執行が大幅に減り、経済の回復期で自然増収も大きい。そこに、経済成長の増分の大半を吹き飛ばす大きさの増税なんて、需要管理も何もあったものではない。

 消費税の低所得者対策も示されたようだが、5%引き上げたときに1兆円の還付のようだから、3%アップなら、6000億円の対策をしてくれるのだろうか。年収550万円以下を対象にするらしいが、それなら、社会保険料と相殺すべきだ。税や保険料の未納者に還付するということも、あり得ないだろう。こうしてみると、一元徴収のための「歳入庁」が欠かせないと思うが、財政当局に都合の悪いことは棚上げのままだ。

 消費税は、2014年4月からの2%アップとし、その半分は、社会保障費への充当、低所得者の社会保険料の軽減、駆け込みの反動対策に使うことにすれば良い。給付控除が必要なのは、社会保険料の免除者のみで十分だろう。そして、更なる引上げは、2年後の2%アップを予定しておく。どうして、こういう常識的なことが提示できないのだろうか。政治力のムダ遣いをしているようにしか見えない。

 技術と内需のある日本の潜在能力は高い。それを引き出すのに必要なのは、安定的な需要管理をする「平凡な経済運営」である。レファレンスを持って眺めれば、日本がいかにムダでバカげたことに血道を上げていることが分かるというものだ。

(今日の日経)
 原発事故調が中間報告。整備新幹線は年度内着工。辺野古アセス発送。郵貯株・自民1/3容認案。アクア燃費世界一で48万円安。消費税の低所得者対策1兆円。協会けんぽの保険料率10.0%に。1人当たりGDP世界14位に。リスクオフで生保が国債増。金融庁に局長ポスト。地震保険の上限上げ。インドに飛行艇。米製造業・南部のコストが中国下回る。一目均衡・日本の研究開発費のGDP比は米独を上回る・小平龍四郎。経済教室・最低賃金・安倍由紀子、玉田桂子。
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日本の秩序感と現実感と

2011年12月26日 | 経済
 今日の核心は、平田育夫さんだ。内容的には大したことはないのだが、平田さんというだけで、何か書いてみたくなるんだな。2012年度予算の分析を3日連続で書いて疲れぎみなので、今日は、気楽にいってみよう。

 今日の核心のタイトルは「強い人々と弱い指導者」である。昔から、「日本の兵・下士官は優秀、将官は無能」と言われてきたから、新しい切り口というわけではない。震災で、改めて印象づけられたことだ。災害のときにも、国民が落ち着いて行動するのは、筆者が思うに、安定した秩序感があるように思う。

 災害が起これば、秩序は崩れてしまうものだが、日本の場合、崩れたとしても、時間とともに回復し、無秩序が続くことはないと信じられている。その背景には、日本は、比較的、平等で均質な社会であり、普段から秩序をひっくり返してやろうと思っている人が少ないことがあろう。まあ、日本の伝統に根ざす美風なのだ。

 そうは言っても、良き秩序感も不易ではない。20年前には、日本企業は長期的視点を持ち、人材育成にも熱心だと言われたが、打ち続く名目ゼロ成長の下で、過去のものになりつつある。経済運営に失敗し、社会が分断化されていけば、災害で秩序が乱れたときに、普段の恨みをはらそうとする人が現れるかもしれない。

 他方、弱い指導者の方だが、現実観が欠けているのだと思う。平田さんは、国民に媚びずに財政再建をやれと言いたいのだろうが、国民は、デフレの中で、なぜ、緊縮財政をしなければならないのか、実感できないでいる。財政当局が操作した「悪い指標」を、これでもかと見せられ、それは理解しつつも、何か納得できないという感覚だ。

 放漫財政をしていれば、インフレ気味の経済になっているはずで、明らかな矛盾がある。リーダーには、こういう不合理さを徹底して考え抜く資質がいる。日本人には、それが欠けているように思う。エリート層が平等で均質であると、事態を転換する、新しい発想や穿った見方が生まれにくい。安易なコンセンサスで済ませがちになる。本物の現実観を得るには、多様で徹底したアプローチが必要だ。

 筆者は、日本経済がダメなのは、たった一つ、財政運営が拙いからだと思っている。まだ、潜在能力が失われるには至ってない。財政運営がそうなってしまったのは、現実的な代案を示せず、単純な増税反対くらいしか、エリート層から出てこないからである。残念ながら、未だに日本の屋台骨を支えているのは官僚組織であり、それが狂ってしまったとき、どう修正するかは、戦前からの古くて新しい問題である。

 平田さんが外国の例を引くので、筆者もそうすると、イギリスでは、キャメロン政権は緊縮財政を徹底しているが、イギリスの日経に当たるファイナンシャル・タイムスは、やり過ぎだと強く批判してる。むろん、どちらが正しいのかの結果はこれからだが、採り得る政策の間で、論争が戦わされているのだ。

 今日は気楽になんて言っておいて、ちょっときつくなったかね。平田さんの機嫌を損ねたかもしれないが、これがダイバーシティというものなんだよ。本コラムでは、数字やデータをベースにして、代案を示すようにしている。日本人的でないことを、普段は見せないようにしている筆者の、これも一つの日本へのボランティア活動だと思っている。

(今日の日経)
 日中が国債持ち合い、日100億ドルと中10.5兆。月曜経済・山口泰。核心・弱い指導者・平田育夫。アジアは消費を・S・ローチ。中国・次の次のリーダー。新・新興国へ進出じわり。経済教室・生活保護・林正義。

※林先生には、生保世帯の国保への加入を、もう少し具体的に考えてほしいなあ。改革案を考えることが理解を深めることになると思うよ。
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やはり特会は良くない

2011年12月25日 | 経済
 2012年度は2.2%成長なのに、税収が今年度補正後のベースから0.3兆円しか伸びないとするのは、あまりに少ないと批判してきたが、日本の財政当局は、単に過少見込みをするだけでなく、もう一つカラクリを仕込んでいた。税収の自然増は、とことん隠蔽したいようである。こんなことをしていると、財政運営を見誤ることになりかねない。

………
 それは、復興特会への税収の直入である。2012年度に復興特別税が始まるが、その分の0.5兆円を一般会計には計上せず、直接、復興特会に入れている。つまり、実際は、合わせて0.8兆円の増収だったのだ。特会だからといって、直入しなければならないわけではなく、筆者は、一般会計に計上してから復興特会に繰り入れるものとばかり思っていた。財政の基本は、「入るを計りて」である。これでは肝心なことが分からなくなってしまう。

 財政当局は、復興特会を設けたいわけではなかった。特会は、財政状況の把握が複雑になるとして、廃止統合すべきものとしていたからである。それでも復興特会が設けられたのは、三次補正の与野党折衝の過程で、協力と引き換えにされたからだ。それを税収増の隠蔽に「活用」するのだから、お役人というのは、転んでもタダでは起きないものらしい。

 おそらく、数年後、復興の歳出が一段落すると、復興特会には黒字が発生することになる。復興債を償還していくのだから当然ではあるが、一般会計は赤字、復興特会は黒字となって、非常に分かりにくくなる。プライマリーバランスのラインをどこに引くかといった問題も起こる。やはり、特会は良くない。せめて、交付税特会などのように、一般会計に計上してから繰り入れるべきだろう。

………
 2012年度予算案の決定を受けて、各紙は社説を掲載しているが、いつものことながら、財政当局の情報操作に、手もなくやられている。財政を見るイロハは、税収のチェックであるのに、ほとんど言及しない。今回、財政当局は、補正後の税収見込みをベースにすることで、「0.3兆円しか増えない」という宣伝に努めたが、これに引っ掛かったようだ。

 補正後の税収見込みは42.0兆円だから、これに成長率の2.2%を掛け、財政当局がよく使う「税収への換算値」の1.1を乗ずるという計算をするだけで、1.0兆円増という数字が簡単に出てくる。おかしいとすぐに気づかなければならない。復興特会分を含めると0.8兆円にはなるが、これでも少な目である。実際には、2兆円程度まで伸びるだろう。

 また、当初予算ベースで見るなら、公表資料でも、前年度から1.4兆円増えていることが読み取れる。復興特会分を加えると1.9兆円になる。実際には、消費税の1%分に当たる2.5兆円は楽に超えるだろう。だからこそ、隠蔽される。来年度に限らず、2%程度の成長で、消費税1%分に相当する税収増があると分かれば、消費増税の切迫感が薄れるし、税収増に加えて一気に消費税を3%も上げることの危険性が知られてしまう。

………
 今回の財政当局の宣伝戦略は、批判を年金財源の交付国債に集めることだった。すべての批判を避けようとするのではなく、叩いてほしいところに誘導するのは、プロパガンダの常套手段である。交付国債への批判は、その財源の確保手段となる消費増税を後押しすることにもなる。また、国債依存度が最悪の「49%」という、普通なら計算もしない「悪い指標」を作り、アピールしたのも特徴だ。見慣れない数字なのに、ほとんどのマスコミが食いついた。

 昨日も指摘したように、2012年度に、こうなったのは、「埋蔵金」が減ったからである。また、税収を過少に見込んだ上、法人特別税を特会に出したためでもある。こうして意図的に作られた「悪い指標」を見て、なぜ、嘆かなければならないのか。筆者には、さっぱり分からない。今回、分かったのは、日本は、ますます管理の難しい仕組みを作り、役に立たない指標を不安がるようになったということだけだ。

………
 その一方、予算のゆとり度を表す予備費は、まったく注目されていない。2012年度は、本来の予備費3500億円のほかに、経済危機対応予備費が9100億円も用意された。前年度より1000億円の増だ。概算要求段階の9600億円から500億円減ったが、おそらく、土壇場で沖縄振興予算を500億円積み増したためだろう。そのせいか、日本再生枠は1兆577億円と、半端に飛び出た額になっている。経済予備費は、基礎的財政収支の一部であり、大事がなければ、使われず、財政再建に貢献する。むろん、これも「49%」で用意されたものだ。

 また、国債費は、今年度1.3兆円も余らせたが、2012年度は更に0.4兆円積み増しされた。「49%」の内には、こんなものもある。これだけ余裕があれば、長期金利が今の2倍の2.0%を超えても賄えるし、先の経済危機対応予備費を回すなら、3.0%でも大丈夫だ。さらに、日本の場合、他国にはない12兆円もの償還費が計上されており、大きなバッファーになっている。償還費は、借金して借金を返す、ある意味、無用のものだが、これも「49%」を膨らませている一因なのである。

………
 日本人は、基本中の基本の「税収」をロクに確かめない上に、歳出のムダにはうるさくても、予算管理上の「水膨れ」には無頓着である。それでいて、国債依存度という、無意味なものには注目する。財政当局に乗せられるままで、自身の見識がないからだろうが、また一つ、海外で説明するには何とも厄介な「日本の不思議」が出来てしまった。

(今日の日経)
 医療費明細を電子照合。日印がドルを相互供給。社説・日本再生の看板が泣く野田予算案。国家公務員は初の純増なし。年金減額2段階で。国家公務員人件費5.1兆円、地方は21兆円。復興は補正と合わせ18兆円。ODA0.3%増。防衛費1.3%減。住宅ローン・金利下げ競争。環境税関税実施で2623億円。地方税収0.8%増。中国指導部枠に拡大論。化学のチカラ台頭。温暖化で増えた南極の雪。サルはアルツハイマーにならない。
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2012年度予算を評価する その2

2011年12月24日 | 経済
 今日の日経の見出しは、「国債依存最悪の49%」というものだった。税収が増えているのに、何のことかと思ったら、2012年度は、「埋蔵金」が少なかったために、相対的に、国債依存度が増しただけのようだ。何とミスリーディングな。まあ、復興の特別会計を含めれば、本当に最悪かもしれないが、解説を吹き込んだであろう財政当局が、震災をダシにしなかったことは、多としておこう。

………
 この「埋蔵金」は、一般的には「税外収入」と称されるが、今年度は7.2兆円だったものが、2012年度は3.8兆円になった。3.3兆円の減である。基礎年金の1/2国庫負担分2.6兆円の財源が交付国債という形で分離されて、計上されなかったので、概ね、その分が減ったということである。

 交付国債にしたのは、埋蔵金が底をついたというより、消費税を上げないと担保されないと主張して、増税のテコにするためだろう。埋蔵金については、特別会計の剰余金が1~2兆円あるようだし、復興財源の検討の際、郵政株は簿価ベースで7兆円程度あるとされた。また、10/18には、リーマンショック対策の使い残しの基金が地方に約2兆円もあると、会計検査院が指摘したりもしている。

 冷たいかもしれないが、「国債依存最悪」にしたのは、制度改革を間に合わせられなかった財政当局の責任だろう。日経も、責任の所在が明らかな形で書いてほしいね。なお、交付国債の場合は、年金積立金を取り崩すことになるので、実質的には、年金積立金という埋蔵金が掘り出される。2009年度に1/2国庫負担が始まって、歳入歳出の規模が膨らんでいたが、元に戻った形だ。

………
 積立金と言えば、昨日の日経は、地方公共団体金融機構の積立金3500億円を取り崩して、出口ベースの地方交付税を補填するとしている。他方、四次補正でも、2012年度に繰り入れる地方交付税を3600億円確保している。国の税収見込みは横ばいだが、2012年度も税収増があると暗に期待して取り崩したと見るのは、うがち過ぎだろうか。

 ところで、筆者としては、予備費の行方も気になる。何しろ、概算要求基準の段階で1.3兆円も確保するとしていたからである。災害対応などの本来の予備費は3500億円ほどで十分だから、約1兆円もの「余裕」がある。昨日の日経では、「特別枠」を予定の7000億円から1兆円超に拡大したのようなので、これに使ったのかもしれない。昨年、管首相の指示で科学技術予算を積み増すのに使った手だからだ。

 もう一つ、昨日の日経にあった「戸別所得補償の減額」も興味深い。13%減の6900億円と、1000億円も減るわけで、この分はどこに使われるのだろう。おそらく、別の農業予算に回るのだろうが、四次補正での1600億円の農業対策の追加と言い、農業には、ずいぶんと手厚い印象を受ける。おっと、細かい話になってしまったね。

………
 2012年度予算の大きな特徴は、別途、復興特会に、復興事業費と予備費が3.8兆円も計上されたことだ。これで、当初5年間で必要とされていた19兆円が用意されることになる。正直、途方もない額である。数字を確認すると、警察庁(12/22現在)によれば、全壊12.7万戸、半壊23.0万戸である。半壊を全壊の1/2に換算すると、1戸当たりの予算額は、7850万円にもなる。これは、復興費が多すぎるのではなく、被災地以外への経済対策的な支出、長期的には通常でも整備されていたものへの支出などが含まれるためと考えられる。端的に言って、予算管理の失敗なのである。

 失敗の理由は、復興増税を狙って意図的に膨らませたことにある。阪神大震災の際は、当初の応急復旧の段階のみ補正予算で措置し、復興の段階は通常予算の中で消化していった。また、ショックに対応して、別途、経済対策を実施し、その年の成長を財政出動で確保している。今回の震災では、三次補正が11月に成立するまで、前年度補正後と比較して、マイナスの状態だったのだから、ゼロ成長へ転落するのも当然だ。阪神の際と比較すると、財政運営の拙劣さが際立つ。

………
 それでは、全体を位置づけよう。本予算を見る限り、財政再建は着実に進んでいる。国民は悲観する必要はない。順調に行けば、税収の自然増が2兆円、予備費の不要が1兆円出る。その一方、復興特会で、3兆円強の支出増があるとすれば、全体では、実質的に歳入歳出がほぼ同じ「均衡予算」と言えるだろう。

 別の観点では、今年度三次補正の真水分約7兆円の半分程度が2012年度に執行されると仮定すると、2011年度二次補正後の歳出規模(71兆円+補正実質4.5兆円=75.5兆円)と比較して、ほぼ同規模の歳出規模(三次補正3.5兆円+本予算68.3兆円+年金2.6兆円=74.4兆円)となる。これに、四次補正の真水分の1.6兆円が加わる。

 おそらく、2012年度の日本経済は、財政に足を引っ張られないという一事だけで、力強い成長を見せるだろう。予算案は、今日、閣議決定され、明日の紙面は、予算の細目で埋め尽くされようが、マクロ的に位置づけ、戦略的な評価をするところは、果たしてあるのだろうか。それを誰も変に思わないのが、今の日本なのである。

(今日の日経)
 ホンダ全車種1割軽く。猪木武徳・課税などによって金融取引を適度にコントロールする必要がある。社会保障改革に数値目標・3歳未満の保育サービスを75万人から118万人に。建設の人手不足が復旧に影。中国が新体制に食糧援助。ベトナムCPI鈍化。インドネシア新車1位に。貿易相が日本を誘致。

※カイゼン力は健在だ。※猪木先生もこう言っているのだから、若手からトービン税を超えるアイデアを出してほしい。※少子化には、これがカギ。※補正で全国の耐震工事まで計上したが、供給力を被災地に集中できなくなる。予算管理の悪い見本。※中国は支えるか。※思い切ったドン切り下げが奏功した。※友好国の繁栄はうれしいね。
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2012年度予算を評価する その1

2011年12月23日 | 経済
 今日は天皇誕生日の祝日だから、予算編成も一段落。あとは24日に政府予算案の閣議決定を済ますだけだ。今年は、これに続いて、消費税準備法案の素案を決定する運びとなる。日本の場合、日経の見出しの「歳出の削減甘く」に見られるように、バラマキや負担増の批判だけのように思う。「枠」の内側に気を取られ、「枠」そのものを考えようとしない。戦略的な思考が欠けてはいないだろうか。

 まず、税収を点検する。2012年度の42.3兆円は、今年度当初の40.9兆円より、1.4兆円増えている。実は、四次補正で1.1兆円の上方修正をしているので、来年度は、今年度の実績見込みより、0.3兆円しか増えないとする設定だ。補正の修正は堅めにするので、おそらく、決算時には、今年度の税収は42.3兆円くらいになるのではないか。つまり、実質成長率を2.2%と想定しているのに、来年度の税収増を、事実上、ゼロにしているのである。

 2010年度は3.1%成長で2.8兆円の増収だったし、今年度は-0.1%成長で1.1兆円の増収である。また、リーマン・ショック前の2007年度の税収は現在より8兆円多い51.0兆円であった。順調に成長すれば、税収は伸びると考えるのが自然であり、2012年度は2兆円増の44兆円程度にはすべきだ。今年度の当初予算と比較すれば、3兆円の増収を見込むということでもある。

 次に、公債金収入だ。2012年度は44.2兆円で、今年度の44.3兆円から横ばいである。これと裏腹にある国債利払費は約22兆円とされて、今年度の21.5兆円より増えているようだ。来年度の実際の国債費がどうなるかは、長期金利次第である。来年度は、借換債が130兆円、新発債が44兆円であるから、1%を割る状況にある長期金利が、今後、国債の利率の残高加重平均である1.29%まで上昇したとしても、国債費の増は4000億円くらいだろう。

 今年度の国債費は、長期金利の低位での推移によって、四次補正までに1.3兆円も余ることになった。したがって、成長に伴って多少の長期金利上昇があっても、やはり、1兆円程度余るのではないか。ただし、長期金利については、この10年を振り返っても、1%強の水準から年間に0.75%幅で上昇したこともあるので、厚めに予算を用意しておくことは、間違ってはいない。来年度の国債費の大きさは、2.0%まで上昇しても十分に賄えると見ている。

 以上からすれば、2012年度予算は、着実な財政再建の道を歩んでいると評価できる。公式ベースでは、税収42.3兆円、新規国債44.2兆円だから、「税収を上回る国債発行で賄う危機的状況」という、耳にタコの宣伝文句を聞かされ続けるだろうが、実態的には、税収が新規国債を上回るようになる。実態を知らせれば、国民は勇気づけられ、成長を目指して復興に励もうとするだろう。 

 財政の実態から国民が受け取るものは、「成長が大事で、それが財政を好転させる」という認識である。また、財政再建は着実に進んでいて、焦ることはなく、ある程度の金利上昇にも十分対応できるという自信である。不安に駆られ、とにかく消費税という、今の雰囲気とは対照的なものだ。日本には、こうした実態に即したリーダーシップが必要に思える。
(明日に続く)

(今日の日経)
 米独でマイナス金利。給付付き税額控除を明記。皇室典範改正を検討。武器輸出三原則を緩和、27日に官房長官談話。社説・電力値上げと併せ東電の将来像を示せ。東電値上げに不満が続出、東ガス値下げ。歳出の削減甘く、交付国債、積立金、特別枠、コメ所得補償。来年度2.2%成長見通し決定、海外に期待。都内の発電2倍に。乗用車国内生産4%増。経済教室・中国の対外投資・郭四志。

※皇室典範といい武器輸出といい、野田政権は為すべきことをしている。※一歩前進の社説だね。将来像を示すのは社会の木鐸たる日経の役目でもあるよ。※政府の成長見通しが高いのは、外需を高めに見ているだけでなく、個人消費の高ささもある。内需が予想以上に伸びそうな気がする。
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12/22の日経

2011年12月22日 | 経済

※今日は休載します。

(今日の日経)
 東電が企業向け値上げ2割前後、負担増5000億円。資本注入へ収益改善。前例なき廃炉は難航必至。診療報酬は小幅増額。ミニ白書・デフレ持続でGDP下押し1~2兆円。銀行殺到50兆円応札、予想の1.5倍、国債購入向け限定的。中国成長率は来年8.4%に鈍化。経済教室・TPP政治対立の構図・久米郁夫・河野勝。
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