7/29に公表された「中長期の経済財政に関する試算」では、「2025年度に財政再建を達成するには5000億円ほど足りないから、歳出抑制に努めましょう」というのがメッセージのようだが、ベースになる2022年度の税収が前年度より-1.8兆円と減る設定なのでは、まるで現実味がない。ごく普通に税収が伸びるとして計算すると、2025年度には6.9兆円もの過剰達成になる。結論ありきにしか見えない試算をしているようでは、闇雲な緊縮の過ちを惹起し、成長を失速させることになる。
………
「試算」における税収は、名目成長率で伸びるというのが基本の設定だが、2022年度の名目成長率は+2.1%になっているのに、国の税収は-2.7%とマイナスに逆転している。これは、昨年末に決めた予算の数字のまま放置したせいで、この夏に判明した2021年度の税収実績が大きく上ブレしたことで歪なものになった。この一事でもって、「試算」は意味をなさなくなっている。これから大幅なマイナス成長にでも転落すれば、話は別だが。
そこで、2022、23年度の税収について、所得税は名目成長率、法人税は企業業績見通しの経常利益増加率、消費税は名目消費増加率、その他税は物価上昇率で計算すると、国の税収は、70.5兆円と73.0兆円となる。地方の税収も、同様にして、46.7兆円と48.0兆円だ。そうすると、下図の緑線のように、基礎的財政収支は上方へシフトし、2024年度には財政再建の目標を軽々と超え、2025年度には7.1兆円の過剰達成となる。
このことは、財政再建の「旗」を降ろさずに、新たな施策を行えることを意味する。危機的な状況にある少子化を打開するため、非正規に育児休業を給付するも良し、新しい資本主義どころか、欧米に劣後している定額給付制度の創設で保険料を軽減し、非正規の勤労者皆保険を実現するも良し、それでも、まだ余るほどだ。緊縮で消費をいじめ抜いてきたから、再分配は成長にも資するはずである。
まあ、現実は、実態に合わない「試算」を振りかざし、闇雲な緊縮に走り、循環を堰き止め、成長の足を引っ張り、伸び悩むゆえに、税収も思ったほど上がらず、結局、財政再建の達成は、逃げ水のようになるというのがオチだろう。どのくらい締めているのかを計量することもなく、成り行きでしか財政を運営できず、何だか分からないまま、デフレを続けるというのが、これまでだったわけだから。
(図)

………
まともな「試算」をしようよ。状況に応じた財政の調節をやろうよ。どうして、この程度のことができないのか。財政は成長には一時的な影響しか与えず、リフレこそが成長を導くと信じ込んでいるからかね。需要を安定的に増やしてもらわないと、いくら金融緩和をされても、リスクを感じて国内に設備投資なんかできない。そのあたりの現実感覚の有無が行く末を分けている気がする。
(今日までの日経)
出生率反転、波乗れぬ日本。財政収支、25年度なお赤字 政府試算で黒字目標届かず。円急騰、1週間で6円 一時132円台、米利上げ鈍化観測で。米、2期連続マイナス成長 4~6月GDP0.9%減。
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「試算」における税収は、名目成長率で伸びるというのが基本の設定だが、2022年度の名目成長率は+2.1%になっているのに、国の税収は-2.7%とマイナスに逆転している。これは、昨年末に決めた予算の数字のまま放置したせいで、この夏に判明した2021年度の税収実績が大きく上ブレしたことで歪なものになった。この一事でもって、「試算」は意味をなさなくなっている。これから大幅なマイナス成長にでも転落すれば、話は別だが。
そこで、2022、23年度の税収について、所得税は名目成長率、法人税は企業業績見通しの経常利益増加率、消費税は名目消費増加率、その他税は物価上昇率で計算すると、国の税収は、70.5兆円と73.0兆円となる。地方の税収も、同様にして、46.7兆円と48.0兆円だ。そうすると、下図の緑線のように、基礎的財政収支は上方へシフトし、2024年度には財政再建の目標を軽々と超え、2025年度には7.1兆円の過剰達成となる。
このことは、財政再建の「旗」を降ろさずに、新たな施策を行えることを意味する。危機的な状況にある少子化を打開するため、非正規に育児休業を給付するも良し、新しい資本主義どころか、欧米に劣後している定額給付制度の創設で保険料を軽減し、非正規の勤労者皆保険を実現するも良し、それでも、まだ余るほどだ。緊縮で消費をいじめ抜いてきたから、再分配は成長にも資するはずである。
まあ、現実は、実態に合わない「試算」を振りかざし、闇雲な緊縮に走り、循環を堰き止め、成長の足を引っ張り、伸び悩むゆえに、税収も思ったほど上がらず、結局、財政再建の達成は、逃げ水のようになるというのがオチだろう。どのくらい締めているのかを計量することもなく、成り行きでしか財政を運営できず、何だか分からないまま、デフレを続けるというのが、これまでだったわけだから。
(図)

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まともな「試算」をしようよ。状況に応じた財政の調節をやろうよ。どうして、この程度のことができないのか。財政は成長には一時的な影響しか与えず、リフレこそが成長を導くと信じ込んでいるからかね。需要を安定的に増やしてもらわないと、いくら金融緩和をされても、リスクを感じて国内に設備投資なんかできない。そのあたりの現実感覚の有無が行く末を分けている気がする。
(今日までの日経)
出生率反転、波乗れぬ日本。財政収支、25年度なお赤字 政府試算で黒字目標届かず。円急騰、1週間で6円 一時132円台、米利上げ鈍化観測で。米、2期連続マイナス成長 4~6月GDP0.9%減。













